ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』鈴木拡樹さん&三浦宏規さん、Wヒロキ合同取材会レポート



 2020年3月にシアタークリエにて上演されるミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』!のちに「リトルマーメイド」「美女と野獣」「アラジン」などでアカデミー賞をはじめ数々の賞を受賞することとなる名コンビ、ハワード・アッシュマン(脚本・歌詞)とアラン・メンケン(音楽)によるカルト・ミュージカルがシアタークリエ初登場です。

 1960年の同名ホラー映画(チャールズ・グリフィス脚本、ロジャー・コーマン監督)が若きクリエイターによってミュージカル化され、オフ・ブロードウェイで産声を上げたのは1982年のこと。舞台のヒットを受けて制作された1986年のミュージカル映画版もヒット!超個性的なキャラクターと謎の植物“オードリーⅡ”の織りなすブラックな物語とキャッチーなナンバーが魅力の本作は、日本でも1984年の初演以来、幾度も上演されてきました。2020年上演の東宝版で主人公シーモア役(Wキャスト)で主演を務めるのは鈴木拡樹さんと三浦宏規さんのおふたりです。

 朗らかで和やか、さらに作品への期待も大きく膨らんだ WシーモアでW主演なWヒロキさんの合同取材会をレポートいたします。



鈴木拡樹さん、三浦宏規さん

【ご挨拶】


鈴木さん)
 本作では「楽しい」をテーマにしています。今日も本番同様に楽しい時間になればと思います。よろしくお願いいたします。

三浦さん)
 (たくさんの取材陣を前に)想像していた取材会とちょっと違い、少々緊張しておりますが(笑)よろしくお願いいたします。

鈴木さん)
 そうだね。なんだか本番とは違う複雑な緊張感があります(笑)。


【質疑】


──日本でも長きに渡り上演が重ねられている本作、その魅力は。



鈴木さん)
 本国でも日本でも長く愛され、何度も上演されているこの作品の魅力ってなんだろうと僕自身も考えました。まず、タイトルにうまく裏切られるんですよね。「ホラー」とついているので怖い作品なのかと思うと──。そういうところが魅力なのかな。
 また、自分が演じるキャラクターで恐縮ですが。シーモアの純粋さは見ていて心地良い、そういう主人公の人柄に惹かれている方も多いのかな。

三浦さん)
 まず楽曲がイイ!ということが挙げられます。とにかく楽曲が素敵で、観終わってから気付いたら口ずさんでいました。また、登場人物それぞれのキャラクターの個性が強い!オリンとか、すごいじゃないですか(笑)。そうかと思えばシーモアに感情移入し自然に物語に入りこんでいたり。何度観ても飽きない面白さがあるんですよね。

鈴木さん)
 僕も映画を観たとき、オリン登場の際の強烈なインパクトに笑ってしまったことを思い出しました。


──シーモア役について。おふたりといえばこれまで自転車に乗られたり、テニスをされたり、刀を振ったりと華やかな役どころが多かったかと思います。一方で、今回演じるシーモアは自分に自信がなく冴えない眼鏡の青年。おふたりにとっては珍しいタイプの役柄、現時点での役作りのプランは。



鈴木さん)
 自転車に乗っていたほうの拡樹です。実はクール担当とかはやったことはないのですが(笑)、確かにシーモアのような役も珍しいですね。ただ、カッコいいイメージで居続ける必要はないので気持ちは楽ですね。シーモアの魅力は噛めば噛むほど味が出るようなイメージですので、みなさんにもじっくりと咀嚼するように味わっていただけるシーモアを創りたいと思います。

三浦さん)
 ラケットを振っていたほうの宏規です(笑)。頼りなく情けない青年というのは初めての役どころです。これまではキメキメの俺様だったり、物忘れが激しいほんわかキャラだったり。それはかなり極端なところですが。普段の僕は決してキメキメではないので(笑)、どちらかというとシーモアのほうが僕自身に近いかな。情けない人間なんです、僕自身も。でも、初めての役どころに挑戦することで新しい自分を発見できると思うので、頑張りたいと思います。

──鈴木さんはシーモア役とご自身を重ねていかがですか。

鈴木さん)
 近いところはあると思います(笑)。シーモアは周りに振り回されることが多く、僕も人の言うことをすぐに受け入れてしまう傾向にあります。(劇中に登場する植物)オードリーⅡにそそのかされると同じ結末をたどる?かもしれませんね(笑)。つまり僕ら2人ともシーモアの素質を持っているみたいです。

──お互いに感じるシーモア要素は?

鈴木さん)
 稽古で増えるかな。(三浦さんを見て)今は、ただただかっこいいなと。

三浦さん)
 同じく。今ところシーモアの香りは全く感じませんね(笑)。


──鈴木さんにうかがいます。本格的ミュージカル初挑戦への気持ちは。

鈴木さん)
 ミュージカル作品に初めて挑戦することには不安もありましたが、信頼できる制作のみなさんや事務所スタッフのサポートのもとで精一杯戦おうと決断しました。今はそんな戦う気持ちで身構えていますが、最初に申し上げた通りテーマは「楽しい」。本番に向けて、楽しいという気持ちだけで立てるようになりたいと思います。

──三浦さんは『レ・ミゼラブル』ご出演に続いてシアタークリエ初主演と大役が続きますが意気込みのほどは。



三浦さん)
 シアタークリエではこれまでもたくさんの作品を観てきました。まさかその舞台に、それも主演という形で立てるとは思っていませんでした。こうして『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』という素敵な作品でその機会をいただけたことを嬉しく思います。「主演」にはプレッシャーも感じますが、鈴木拡樹さんの背中を見ながら精一杯頑張っていきたいと思います。

鈴木さん)
 逆に僕のほうが(三浦さんの背中を)見ていると思います(笑)。


──おふたりともシーモアの先輩とご縁がありますね。鈴木さんは「映画刀剣乱舞」で山本耕史さん(2005年上演版シーモア役)と、三浦さんはミュージカル『レ・ミゼラブル』で相葉裕樹さん(2012年上演版シーモア役)とご共演されています。ご出演に際しアドバイスは。

鈴木さん)
 出演が発表された直後に山本耕史さんとお食事をご一緒しました。僕が報告する前に「出るんだって」と言ってもらえたことが、まず嬉しくて。優しい先輩の言葉に、耕史さんにも「やりきりました!」と胸を張って言えるような作品にしなければと思いました。普段はそういう気持ちを持つことはないのですが、この作品にはそんな初めての感覚も抱いて臨みます。

三浦さん)
 相葉さんとは仲良くさせてもらっていて、ちょうど(本作出演が)発表されたときも『レミゼ』でツアーを回っている最中でした。「へぇ~、宏規、出るんだ~」(モノマネ風)と嬉しそうにニヤニヤしながら言ってくれて(笑)。作品について質問したら、「あのシーンはね」とか「あそこが大変かな」と、とても詳しく教えてくれました。僕も頑張らなきゃ!と思いました。

──気になるキャラクターは。



鈴木さん)
 気になるというとやはりオードリーⅡがどうなるかですね。どういう表現方法、視覚的にどう出てくるのか楽しみです。しかもオードリーⅡはデーモン閣下。声のご出演ということですが、閣下と一緒にお芝居できるなんて!貴重な機会を楽しみたいと思います。

三浦さん)
 僕もオードリーⅡが気になります。きっとみなさんも気になっていると思いますが、出演者である僕らもまだ知らない!!楽しみですね。


──楽曲の印象は。

鈴木さん)
 多くの方がディズニー映画などで一度は耳にしたことのあるおふたりの楽曲。三浦くんも言っていたように一度聴いただけで耳に残る、歌の力を感じる作品です。どの曲も素晴らしく本当に僅差なのですが、一番となると──、表現として好きなのは♪Grow for Meです。どうしたらオードリーⅡが大きく成長してくれるのか。シーモアの苦悩も含め楽しんでもらえると思います。歌っていてもとても楽しい楽曲です。

三浦さん)
 楽曲に関しては、僕がどうこう言うのもおこがましいくらい素敵。『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の世界で素敵な楽曲を歌えることを幸せに思います。僕の好きな楽曲は、オードリーⅡとシーモアの♪Feed Me。植物と人間の掛け合いって(笑)。曲もキャッチーで最後のハモリも素敵。それもデーモン閣下と一緒に歌える、ハモレルなんて!

──ほかにもシーモアとオードリーが歌う♪Suddenly Seymourなどの名曲もあります。鈴木さんはすでに歌稽古に入っているとのことですがいかがですか。



鈴木さん)
 ♪Suddenly Seymourは本作のオープニングのメインテーマと同じくらい印象深い曲です。歌稽古でも、この曲になると「キタ!」と思わず構えてしまうくらい大きな楽曲なんです(笑)。

三浦さん)
 美しいメロディラインに面白い歌詞というギャップも魅力ですよね。

──鈴木さんにうかがいます、歌稽古の手ごたえはいかがですか。また、ビジュアル撮影時のエピソードをお聞かせいただけますか。こちらはおふたりに。



絶妙な表情!!

鈴木さん)
 僕は先行して歌稽古に入っていますが、気持ちの面では歌うことが楽しくなってきました。本稽古に突入するにあたって、良い状態になっていると思います。というのも、ここからはミュージカルの第一線でご活躍されているみなさんとご一緒するので、現場で吸収できることがたくさんあると思っているからです。楽しい状態でいかに吸収できるかの勝負になるだろうと。その意味で、今の段階で自分が目指すところに持っていけていると言えます。

 撮影のエピソードは、いきなりこの(ポスターの)“衣裳をオードリーⅡに引っ張られているようなポーズ”と言われ、最初は動揺しました(笑)。引っ張られているポーズを何カットも撮った、もがいている中の一枚です。いろんな動きをして楽しかったですね。

三浦さん)
 初めて衣裳を身に着けたときは「ベストの丈が短い!」と思いました(笑)。シーモアのキャラクターを反映させたデザインなのですが、普段はあまりこういうのは着ないので。撮影は意外と苦戦しました(笑)。自分としては情けない感じでやっていてもまだまだできていなかったようで。そこである意味もがいたというか(笑)。


─2020年版の『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』ならではの魅力、歴代の上演に対してここは負けないぞというところは。



三浦さん)
 演出も違ってくるでしょうし。そうですね、ここは負けないか──。僕は普段すごくだらしないのが取り柄というか、いや取り柄じゃないですよね(笑)。あ!おっちょこちょいだねと言われて育ってきたので、植木鉢を割ってしまうシーンなどはおっちょこちょいを活かして上手くやろうと思います(笑)。

鈴木さん)
 まず全力で「楽しい」に満ち溢れた空間にしたいと思います。そして観劇後にみなさんがどんな時間を過ごされるのか。僕の中でミュージカルは観終ってからの余韻も味わえる贅沢な時間というイメージがあります。観劇の楽しさと余韻がお客様の力に変わるように、そこまで届けられるようにしっかりと務めたいと思います。そんな意気込みと目標を持っています。

──ほぼ初対面とのことですが、早くも「Wヒロキ」が定着しつつあります。現時点でのお互いの印象は。



鈴木さん)
 三浦くんは『レミゼ』をはじめ、僕が経験してこなかったミュージカルのステージを経験しているので、現場では先輩・後輩関係なく自分が疑問に思ったことは三浦くんに訊こうと思っています。そうやってコミュニケーションをとっていくことで、いい関係性が築けると思って。ダブルキャストとして切磋琢磨しながら一緒に創り上げる。そして本番中はそれぞれのステージでありながら、僕たちふたりの力を1つにして創り上げたことを感じていただけるような作品にしたいと思います。僕からもたくさん質問をすると思いますし、質問してもらえる先輩でもありたいですね。

三浦さん)
 これまで直接お会いしたことはなかったのですが、この作品への出演が決まってからというもの、たくさんいる共通の知人から幾度となく「彼は本当に仏だよ」と言われました。僕が「(鈴木さんは)どんな人?」と聞くと必ず、いや聞かずとも皆口をそろえて「仏だよ」と。そして、今の言葉を受けて「ああ、やっぱり仏なんだな」と思いました(笑)。鈴木さんにそう言っていただけたことで後輩としては気持ちが楽になりましたし、本当に鈴木さんと一緒にお芝居できることが嬉しいです。


──では、最後にひと言ずつメッセージを。



三浦さん)
 本番はまだ少し先ですが、ダブル主演でシアタークリエに立たせていただくにあたり僕自身も覚悟を決めて挑まなくてはと思っています。そして、なによりこの素敵な作品に携われることが幸せです。鈴木さんも仰っているように、楽しくこの作品をお届けしたいと思います!

鈴木さん)
 ずっとご覧になってきた作品ファンのみなさんにどう感じていただけるか、僕自身も興味を持っています。コアなファンの方にも楽しんでいただけるようにしっかりと務めて参ります。一方で、ミュージカルに興味はあるけれど一歩が踏み出せず、まだ触れたことがないという方もいらっしゃるでしょう。そんな方に近い立場の僕だからこそ投げかけられる言葉もあると思っています。敷居が高そうで──と感じているみなさんも僕と一緒に一歩を踏み出してみませんか。
 ずっと観てきた方も、まだ観たことない方も楽しんでいただける作品。劇場でお待ちしています。




鈴木拡樹さん:舞台を中心に、映画やTVなど幅広く活躍の場を広げている。主な出演作に、舞台「刀剣乱舞」シリーズ、映画「刀剣乱舞」、劇団☆新感線「髑髏城の七人」Season月、舞台「弱虫ペダル」、ドラマ「カフカの東京絶望日記」(MBSほか)など。


三浦宏規さん:ミュージカル「テニスの王子様」、ミュージカル「刀剣乱舞」などに出演。2019年にはミュージカル「レ・ミゼラブル」でマリウス役を演じた。2020年6月ミュージカル「ヘアスプレー」にリンク役で出演予定。特技はクラシックバレエ。



【公演情報】
ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』
2020年3月13日~4月1日@シアタークリエ
公演日程(全国ツアー)
<山形>山形市民会館 4月11日~12日 (2回)
<愛知>日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール 4月14日~16日 (4回)
<静岡> 清水市文化会館マリナート 4月18日(1回)
<大阪>新歌舞伎座 4月20日~27日(11回)

<スタッフ>
脚本・歌詞:ハワード・アシュマン
音楽:アラン・メンケン
翻訳・訳詞・演出:上田一豪

<キャスト>
シーモア(Wキャスト):鈴木拡樹/三浦宏規
オードリー(Wキャスト):妃海風/井上小百合
ムシュニク:岸祐二
オリン:石井一孝
オードリーII(声):デーモン閣下

まりゑ/清水彩花/塚本直
榎本成志/高瀬雄史

<ストーリー>
さびれた街の小さな花屋で働く冴えない青年シーモアは、店主のムシュニクに怒られてばかり。シーモアは同僚のオードリーに恋をしているが、彼女にはオリンという歯科医のボーイフレンドがいる。
ある日、シーモアは町で奇妙な植物を手に入れる。意中のオードリーにちなんで、“オードリーII”と名付けたその植物を店に置くと、客の来なかった店がなんと突然、大繁盛!
しかし、“オードリーII”には、人びとを魅了する不思議な力がある一方で、あるとんでもない秘密が隠されていた。“オードリーII”によってシーモアの人生は一変し、一躍有名人となるのだが──。

公演HPはこちらから



おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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