【初日コメント:初日を終えた現在の心境(1月27日)】
森 新太郎 [演出]
劇場主催ということもあり、演出家としてはものすごく恵まれた環境の中、最後の最後まで丁寧に舞台稽古に取り組めました。役者はもちろん劇場を含めスタッフ全員が私の粘りに根気強く付き合ってくれて、実は今日、幕が開く 2 時間前にやっとラストシーンがつくれたんです。今回の舞台セットは伽藍洞なむき出しの劇場、役者の熱量がほんの少しでも落ちたりすると、もう一瞬にして観るものがなくなってしまうとまで言えるような、綱渡りの芝居。あれだけの緊張感を持続させながらつとめあげる座組の皆に拍手を送りたいと、本当にそう思います。長谷川 京子 [メアリ・スチュアート役]
1ヶ月半稽古してきたものの結果が今日だと思っていたけれど、「今日からだな」「ここからだな」と改めて思いました。そして本当に、舞台はお客さんが入って完成するものなんだなって、今日すごく実感しました。客席の場所によってはお客さんととても距離が近いところまで踏み込んでいくので、自分の息づかいとかちょっとした目の動きとかまでも大事にしなきゃいけない。今回は熱量がすごく大事な舞台な ので、その熱量を味わって欲しいなと思います。ステージに特に何か装飾があるわけでもないスタイリッシュなこの世界観の中で、ライブで人間が体でぶつかり合う、エネルギーのぶつかり合いみたいなものを見てもらいたいです。シルビア・グラブ [エリザベス女王役]
まさか今日のこの日が来るとは思っていなかったですね(笑)辿り着けるとは思わなかった(笑) 本番では思っていなかったところで客席から笑いがおきたり意外な反応があって、いろんな発見がありました。これからお客さんと一緒にもっとこの作品を育てていきたいと思います。 古典劇で、200 年前に書かれていて、「メアリ・スチュアート」という題材的にもちょっと難しいのかなって思っている人達は多いかもしれないけど、誰でも楽しめる作品だと思います。今日のお客さんのリア クションもわりと笑いが多かったので、気難しい気持ちじゃなく、フランクな気持ちで観に来てくれたらすごく嬉しい。もっといろんな人に観て欲しいです。吉田 栄作 [レスター伯ロバート・ダドリー役]
初日が開けるのはどの舞台でも感慨深いですが、まだ 18分の1 が終わっただけで、むしろこの後の一回一回のステージが大事だと思います。今日もらえた反応が、明日以降もあるとは限らないので、しっかりと熱量を落とさずに、千秋楽まで駆け抜けたい所存です。最後にはメアリの処刑が待っている悲しいお話ではありますが、思わず笑ってしまうシーンがあったり、決して難しい作品ではありません。森さんの演出によって、当初の僕のイメージとはかけ離れたとても人間らしいレスター像ができあがっているんですが、それは芝居と演出のセッションの賜物なので、最後まで深めていけたら、と思います。三浦 涼介 [サー・エドワード・モーティマー役]
稽古中はたくさんのことを吸収し、なかなか発散できないでいましたが、舞台稽古とゲネプロを重ねていくうちに心から楽しいと思い、早くお客様の前で思い切り表現できたらと楽しみにしていました。 無事に初日を迎え、お客様の反応を感じながらステージに立てたこ とで、今は胸がいっぱいです。僕が演じるモーティマーは、ピュアである以上にすごい熱を秘めている人間で、恐ろしささえ感じる…。それを押し殺してでも、真っすぐな思いで大切なものを守り抜こうとします。そんなはかなさや切なさを抱えた彼が愛おしく感じます。 お客様に楽しんでいただくのはもちろん、明日から生きていくパワーを受け取っていただけるように精一杯愛を持って演じますので、ぜひ劇場にお越しください。ストーリー
16世紀末、政変により国を追われ、遠縁(父の従妹)にあたるイングランド女王エリザベスのもとに身を寄せたスコットランド女王メアリだったが、エリザベスはイングランドの正当な 王位継承権を持つ メアリの存在を恐れ、彼女を 19 年の長きにわたり幽閉し続けていた。その間、二人の女王は決して顔を合わせることはなかった。そして時は今、エリザベスの暗殺計画にかかわったのではないかという嫌疑がメアリにかけられ、裁判の結果、彼女には死刑判決が下されたのである。
スコットランド女王メアリと、イングランド女王エリザベス一世の対立を縦軸に、二人の間を奔走する、 メアリに恋心を抱く 青年 モーティマーや 、二人の女王から寵愛を受ける 策略家のレスターをはじめとした数多の男たちの駆け引きを横軸に、 刻一刻と迫る処刑の前で裁判を不当なものとして己の正 当性を訴えるメアリと、 その処刑を決行するか否かと心乱れるエリザベスの苦悩が描かれていく。
その姿を一目見、その声を一度聴けば、誰もが心を許したくなるといわれる女王メアリ。メアリを救いたいと願う男たちは、メアリをエリザベスに一目逢わせれば、エリザベスの頑なな思いも氷解するのではないかとその機会をさぐる。 果たして二人の女王は初めての対面を果たすことができるのだろうか?