ノスタルジックな楽曲とたくましく生きる家族愛の物語、1967年の日本初演以来、長きにわたり愛され続けるミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」。
3月の日生劇場での公演を前に、稽古場にお客様をお招きしてのイベントが開催されました!
吉川友さん、大塚千弘さん、水夏希さん
歴史ある作品、繰り返し上演されている作品・・・ゆえに?!タイトルは知っているけど、見逃している。なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなみなさまにお伝えしたいのは!
まず、タイトルロールが主役ではない!ということ。
この作品は“屋根の上でヴァイオリンを弾いている男”の話じゃないんです。
(初めて知ったときはビックリしました!)
ロシアのアナテフカという寒村で酪農業を営む、信心深くて楽天家のユダヤ人テヴィエ(市村正親さん)とその家族の物語なのです。
前置きが長くなりましたが、この日のイベントでまず披露されたのは、「TRADITION(伝統の歌)」♪
この作品のキーワードでもある”しきたり”の歌です。
ロシア・アナテフカのユダヤ人は“屋根の上のヴァイオリン弾き”みたいに不安定なところで暮している。どうしてかって?それは生まれ故郷だから。バランスのとり方?それは一言でいえば“しきたり”を守ること!そんなテヴィエの語りから始まるこのナンバー。
稽古場スペシャルバージョンとして、演出の寺﨑秀臣さんのテヴィエでお届け!
写真中央はテヴィエの妻で肝っ玉母さんゴールデ役の鳳蘭さん
「しきたり~しきたり~」 稽古場ならではの臨場感!
個人の価値観ではなく、父親・母親・娘・息子という役回りの中で生きている彼らの姿、ただ、決して不幸ではなく、それぞれが幸せを見つけて元気に暮しているのです。
続いて「MATCHMAKER,MATCHMAKER(結婚仲介の歌)」♪
テヴィエの可愛い5人の娘のうち、上の3人の関心事は“結婚”!
そんな3姉妹ツァイテル(長女)、ホーデル(次女)、チャヴァ(三女)が歌うナンバーです。
左よりチャヴァ(吉川友さん)、ツァイテル(水夏希さん)、ホーデル(大塚千弘さん)
結婚仲介人・イエンテが素敵な結婚相手を見つけてくれることを夢見る乙女たちの可愛いシーンです。
みなさん三角巾とエプロンがお似合い!
最後は一番有名な曲かもしれませんね、「SUNRISE SUNSET(サンライズ・サンセット)~BOTTLE DANCE(ビンの踊り)」です♪
一幕最後のツァイテルと仕立屋モーテル(植本潤さん)の婚礼のシーンです。
しかも!ただ見ているだけでなく、観客のみなさんも一緒に歌うというスペシャルバージョン♪
モーテル(植本潤さん)とツァイテル(水夏希さん)
みどころの一つはボトルダンス!
種も仕掛けもないんです!ただ落とさないように踊るのみ!
祝いのダンスはどんどん盛り上がります!
曲の印象はややメランコリックなのですが、決して悲しい場面ではなく、どんなときでも“陽はまた昇る!”そんな人の営みの力強さがこめられた素敵な婚礼シーンでした。
そして、お楽しみのトークコーナー!
ロシア人シュロイム役としてご出演、振付も担当されている真島茂樹さんの愛情溢れる司会に終始和やかなトークショーでした。
真島さんの絶妙な紹介&みなさんの作品への意気込みをご紹介いたします。
真島さん)
「竹を割ったような性格でいつもきちんとした女性、誰よりも早く稽古場に来てストレッチをしている疲れ知らず、宝塚の村からアナテフカの村に引越ししてきた水夏希さん!」
水さん)
「これまでは守るべき人がいたのですが、今度は守ってくれる人がいるんです!」
植本さん)
「いやぁ、そういうタイプじゃないんだよな~、オレ!笑」
水さん)
「笑!!いずれは両親(である)テヴィエとゴールデのような絶妙のパワーバランス(=かかあ天下です!笑)になるような片鱗を見せつつ、初々しさも出していきたいと思います!」
真島さん)
「この作品には二回目の参加となる、お稽古場でもとってもいい感じに仕上がっている植本潤さん!」
植本さん)
「(芝居の中では)僕らはサンライズ・サンセットは歌わないので、今日初めて(みなさんの練習に合わせて)歌い、(この曲)歌いたいなぁと思いました(笑)。
僕、45歳なんですが、本番ではかつらを被って20歳になろうと思います!」
真島さん)
「元気でスポーツウーマン(器械体操をされていたとか!)、心も身体も柔軟で歌・ダンス・芝居三拍子揃っていて、あと優しさが出てきたらもっと素敵な女性にね(ふふふっ・笑)、大塚千弘さん!」
大塚さん)
「初参加ですが、ユダヤ教や時代背景などディスカッションの時間も多くいただいています。
初演から45年、長く愛されている作品にはみなさんに共感していただける“家族愛”はもちろん、さらなる奥深さがあるんだなと感じています。優しさを持った(笑)ホーデルにしたいと思います!」
真島さん)
「お名前が「自由」とかいて「みゆ」さんってお読みするんです。今はダンスと歌のレッスンを一生懸命やっています、お芝居のほうはもう完璧なのよね(笑)。ホーデルの恋のお相手、キエフからきた学生・パーチック役の入野自由さんです!」
入野さん)
「お芝居もがんばってます!初の東宝ミュージカル、稽古場でも初めてのことばかりです。ホーデルと踊るシーンではまだまだホーデルに引っ張ってもらっています(笑)」
真島さん)
「こちら(大塚さんを見て)、お転婆ですからね~(笑)
あと二週間で村人全員をリードするようなダンスにして欲しいと思ってます!」
入野さん)
「はい。キエフからきたユダヤ人、しきたりに縛られていたらダメだという情熱を持ちながらもインテリな部分もしっかりと出していきたいと思います。」
真島さん)
「そして三女チャヴァ、必死に食らいついて お稽古をとってもがんばっています。根性のある女性・吉川友さんです。」
吉川さん)
「初ミュージカル、最初の頃はすごく緊張していて、みなさんにもいっぱい迷惑をかけてしまいました。本番までにチャヴァをしっかりと演じられるようにがんばります!」
真島さん)
「チャヴァにはバレエシーンがあるのですが、すごく良いテンションにもっていってくれているんですよ。
なんてったって、教えているのが水さんですからね!
(吉川さんを見て)知ってる?ものすごい男役だったんだよ!とにかく、二人のお姉さんのリードでとってもいい感じです!」
真島さん)
「チャヴァのお相手、ハンサムなロシア人フョートカ役!ロシア人、ユダヤ人、全部の振りを勉強したいというハングリーなところもある上口耕平さん!」
上口さん)
「ユダヤ人役としてサンライズ・サンセットのシーンに参加できることをとてもうれしく思っています。土着的なダンスに参加したかったですし、出来ればロシア人の踊りも覚えてみたいです。」
真島さん)
「ボトルダンスが出来るようになったらロシアンダンスもね!本当に彼は努力型です!」
とても温かいカンパニーの様子が伝わってくるひとときでした。
素敵な司会でした!真島茂樹さん
公演期間中もアフタートークショーが開催されます!
詳しくはこちらをご覧ください。
故郷への思いや家族への愛情、自立、そしてユダヤ人がロシアの地で暮らすということ。様々なドラマがちょっと物悲しくも美しい音楽で綴られるミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」。
愛に裏づけされたたくましさを強く感じる稽古場イベントでした。
【こぼれ話】
婚礼のシーンでのミニハプニング!
モーテルがツァイテルに指輪をはめてあげると・・・んん?
トークショーで謝る植本さん、「サイズ合わせていただいたのに、むくんじゃって~」と笑う水さんが印象的でした。
<公演情報>
2013年3月5日~29日 東京公演 日生劇場
2013年4月6日、7日 愛知公演 刈谷市総合文化センター大ホール
2013年4月10日~14日 大阪公演 イオン化粧品シアターBRAVA!
<ストーリー>
1905年、ロシアのアナテフカという寒村で、テヴィエは酪農業を営む。
信心深くて、楽天家、五人の娘たちを可愛がり、25年連れ添っている妻のゴールデには頭が上がらない。
貧しいながらも幸せな家族であった。
テヴィエは言う。
「アナテフカのユダヤ人は皆、"屋根の上のヴァイオリン弾き"みたいなもんだ。
落っこちて首を折らないよう気をつけながら、愉快で素朴な調べをかきならそうとしている。
どうして、そんな危ない場所に住んでるのかって? それは生まれ故郷だからさ。
どうやって、バランスを取ってるかって? それは・・・、一言でいえば"しきたり"だ!」
上から三人の娘たちの関心事は、結婚。
今日もイエンテが、ツァイテルに縁談を持ってきている。
娘たちは気もそぞろ。
娘たちにとっても、姉さんが早く結婚を決めてくれないと、自分たちに順番が回ってこない。
そんなある日、ツァイテルに金持ちの肉屋・ラザールからの縁談が舞い込むが・・・。
公演HPはこちらから
おけぴ取材班:chiaki 監修:おけぴ管理人