こまつ座 第136回公演『父と暮せば』開幕レポート



これは命の物語。
前を向く力強さにあふれる2021年の『父と暮せば』開幕!





舞台となるのは終戦から3年後のヒロシマ。
原爆で大切な人々を失った娘・美津江と父・竹造の命の物語。
1994年の初演以来、何度も上演されてきた『父と暮せば』。
父・山崎一さん、娘・伊勢佳世さんの組み合わせは2018年に続いて2回目となります。
再演にして、また新しい景色を見せてくれるおふたりの芝居の余韻が今も胸に残ります。

娘の恋の応援団長としてそこにいる父。
美津江が自らの人生を歩み出す決意に向かう意識をより強く感じました。「あの時」と向き合う勇気と、それを与えてくれた出会い。その過程での、美津江の慟哭、ただそこにたたずむしかない竹造。その痛みと葛藤が、どちらの立場ということを超えて自らの胸に突き刺さる。

全体の印象は何と言いますか……「太くなった」。
チャーミングな“おとったん”こと竹造と聡明な美津江のやりとりの面白さはそのままに、父娘の関係も太く、会話も太く、それぞれのキャラクターもより太く。
信頼関係に基づく力強い芝居が作品のもつエネルギーを増幅して届けます。

こんな思いをする人々を二度と生み出してはいけない。
強い決意と生きる力がみなぎる、強度を増した『父と暮せば』。
はじめて見る方も、見たことある方も新鮮な気持ちでお楽しみください。

ここからは、早速公演をご覧になったおけぴ会員のみなさんから寄せらた感想を舞台写真と共にご紹介いたします。




◆父と娘の広島弁の会話が楽しくて、一緒に娘の結婚を応援したくなる!微笑ましい光景の後ろに、現実の厳しさが透けて見える傑作!戦争と原爆の惨さに、胸を締めつけられながら、忘れてはいけないのだ、と毎回確認させてもらっている。また観たい。

◆2年前に拝見した時より深く沁みました。戦争・原爆の恐ろしさだけではなく、生き残った方へのエールが込められていると感じました。広島弁のやり取りが時々よく分からない箇所もありましたが、軽快・和やかで雰囲気で楽しめました。

◆今まで観てきた「父と暮らせば」とは違う空気を感じた。鵜山さんの演出、伊勢さん山崎さんの演技が生み出した空間が、より強烈につき刺さる作品に仕上がった気がする。

◆二人だけの舞台なのにさすがの演技力。この時期だからこそ、思いが強く伝わったのではないかと思います。やっぱり生は良いなぁ!




◆有名な作品だが実は初めて観る。面白く感動的だった。 
井上ひさしが1994年に書いて初演してから、役者を変えて何度も上演されている作品で、原爆の話が軸なのだけれど、娘の日常をある意味で淡々と描き、悲惨さを全面に押し出しすぎないところが井上らしいと言える。山崎一と伊勢佳世のコンビも淡々と、時にコミカルに、しっかりと演じて、素敵なモノを見せてもらった、という気持ちを持って帰れる、そんな舞台だった。エンディングのセリフが素晴らしい。

◆ミュージカルなら「レ・ミゼラブル」、ストレートプレーなら「父と暮らせば」を一番に薦められます。人が人を想うことは、こんなに美しい。原爆で生き残り、自分は幸せになってはいけないと思い続ける娘、娘の幸せだけを願い続ける父親。親子でも見てほしいし、若い人達にぜひ見てほしい。今、何かにつまづいていたり、人生に迷ってたりする人たちはこの芝居を見たらリセットして、新たな一歩を踏み出せると思わせてくれるくらいの作品です。

<おけぴ>レミゼもプレビュー開幕!両作品とも上演中ですね♪




◆後世に残していかなければならない芝居

◆終戦から3年後の広島。反戦を声高に訴えることなく、広島弁でテンポよく父娘の会話が進む中、戦争の悲惨さを浮き彫りにし、行きつ戻りつして、最後は、明るい未来に・・・。そんなあっという間の90分でした。

◆広島弁で繰り広げられる父と娘の台詞の応酬、迫真の芝居が素晴らしかったです。二人の会話のなかで明かされる原爆の悲惨さには、知っているつもりで何もわかっていなかったなと思いました。実体験者がすっかり減った今だからこそ、一人でも多くの人が見るべき、見てほしい作品でした。マスクの中が涙でぐちゃぐちゃになるくらい泣きましたが最後は前向きな気持ちになれるところもとても良かった。実家の両親に連絡を取りたくなりました。

<おけぴ>マスクの替えも忘れずに!

◆過去に原爆の資料館を訪ね、どれだけ多くの方が悲惨な状況で苦しみながら亡くなったのか、町の無残な姿を写真等で学びました。ただ、生き残った人たちがどれだけの罪悪感や後ろめたさを感じながら暮らしてきたかを心から想像することは出来なかったと思います。この舞台ではその痛みが深く胸に刺さります。被爆国で暮らす私たちはそのような心の痛みを知り、深く感じるべきだと思います。山崎さんのお芝居も素晴らしく、言葉のひとつひとつが深くしみいり、余韻が残ります。

◆今まで観たこまつ座作品の中でも、群を抜いて素晴らしかったです。時代や背景を超えて、観る人ひとりひとりの背中を押してくれるようなひと時でした。今こそ芝居に救いがある、対話の意味を噛み締める、そんなことを想いました。





 7月にはナガサキを舞台にした『母と暮せば』(原案:井上ひさし、作:畑澤聖悟、出演:富田靖子・松下洸平)が紀伊國屋ホールにて上演されます。併せてお楽しみください。



【公演情報】
こまつ座 第136回公演『父と暮せば』
作:井上ひさし
演出:鵜山仁
出演:山崎一 伊勢佳世

<東京公演>
2021年5月21日(金)〜 30日(日)@紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
★スペシャルトークショー開催★
5月24日(月)7時公演後 木村草太(憲法学者)
5月26日(水)2時公演後 西村繁男(絵本作家)
5月29日(土)5時30分公演後 鵜山仁(演出家)
※スペシャルトークショーは、開催日以外の『父と暮せば』のチケットをお持ちの方もご入場いただけます。ただし、満席になり次第ご入場を締め切らせていただくことがございます。出演者は都合により変更の可能性がございます。

<愛知公演>
2021年6月3日(木)@幸田町民会館つばきホール
<岩手公演>
2021年6月6日(日)@一関文化センター大ホール

こまつ座HPはこちらから

感想寄稿:おけぴ会員のみなさま 舞台写真提供:こまつ座
おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人

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