“最もブロードウェイ・ミュージカルらしい”ミュージカル、4度目の再演!
ナイトクラブの大スター・リノと個性豊かな乗客たちの恋の行方は……?
一筋縄ではいかない「なんでもあり(エニシング・ゴーズ)」な船旅がいま始まる!
明治座初のブロードウェイ・ミュージカルとしても話題の『エニシング・ゴーズ』製作発表レポをお届けします!
原田諒(演出)『エニシング・ゴーズ』、10年ぶりの再演で指名がかかって驚いています。
この作品は1934年にブロードウェイで初演され、以降何度もNYでも再演しています。コール・ポーターのジャズの魅力がふんだんに織り込まれた、ブロードウェイらしいミュージカル。コロナ禍ではありますが、
暗い時代を打破するような楽しい、明るい作品です。
以前に宝塚大劇場で初めて作った「華やかなりし日々」という作品のインタビューで、「次にやりたい作品」としてこの『エニシング・ゴーズ』を挙げました。10年ごしの夢が叶ったことになります。皆さんのご期待に応えるべく、いい作品にしたいと思います。
紅ゆずる(リノ・スウィーニー役)宝塚退団後の初ミュージカルです。この作品には、男役のときには到底見せることのなかった、そして見たことのなかったものがたくさん詰まっています。話をいただいたときに、
私自身に「とても近い役」と言っていただいたので、「よし、頑張ろう、やってみよう」と思っていま取り組んでいます。
陣内孝則(ムーンフェイス・マーティン役)“ミュージカル俳優の”陣内孝則です。ライバルは井上芳雄君と山崎育三郎君です(一同笑)。できれば早いうちに、
ご婦人方にキャアキャア言われるミュージカルスターになりたいと思っています!
一路真輝(イヴァンジェリン・ハーコート役)この作品は初演も再演も観ていますし、自分のコンサートでも何曲か歌っていますが、楽曲がとても素敵で、参加させていただくのが楽しみです。原田先生とは初めての仕事ですが、以前に『リンカーン』(宝塚の『For the people —リンカーン 自由を求めた男—』)という作品を観たときに、
宝塚歌劇を超えた素晴らしい世界を作られていて衝撃を受けました。素敵なメンバーの中に加わることができて幸せです。
大野拓朗(ビリー・クロッカー役)何かと不安な世の中ではありますが、
何も考えずにたくさん笑って元気を貰える作品だと思います。特に、リノとビリーがお互いを褒め合う「You are the top」という曲が大好き。観に来てくださった皆さまも、自分がリノに褒めてもらっている気持ちになって、元気や勇気を貰える曲です。観に来てくださった皆さまの明日の活力に繋がるように、舞台上でめいっぱい弾けたいと思います。
廣瀬友祐(イヴリン・オークリー卿役)素敵な作品をお客様に届けられるように、カンパニーの一員として精一杯がんばりたいと思います。よろしくお願いします。
平野綾(アーマ役)ブロードウェイらしさがたくさん詰まったこの作品に出演できて嬉しいです。アーマはトラブルメーカーの面があったり、裏で何かを画策していたりと面白い役で、
この時代のアメリカを象徴している女性でもあると思います。アイコン的な存在としてコケティッシュに演じられたらと思っています。
愛加あゆ(ホープ・ハーコート役)この作品は古典ミュージカルとも言われる
「ミュージカルの原点」。出演させていただくことを嬉しく思います。原田先生とは宝塚時代にいろいろ学ばせていただいて以来。そのときに比べて成長した姿をお客さまにもお届けできるように、精一杯演じたいです。
市川猿弥(エリーシャ・ホイットニー役)歌舞伎界からやってきました市川猿弥でございます。
少しでも爪あとを残して帰れるようにがんばりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
──宝塚退団後初のミュージカル作品。「女性役」リノを演じる感想。紅) ずっと男役を突き詰めてきたので、突然女性を演じるとなると「えっ?」となりますが。リノと私はとても近いという思いがあります。自分をリノ(の役作り)に活かしたり、リノから学ぶことも多いと思います。
リノはパワフルでエネルギッシュな女性。自分自身の“何か”がリノと通じて、
「リノが私なのか、私がリノなのか」というところまで突き詰めていければと思っています。
──女優としての紅さんの印象。陣内) まだそんなに深い関係じゃないんですけれども(笑)、
宝塚のトップを張った人は独特の華がありますよね。紅さんもそういう方だろうなと思っています。
ただ、(紅さんとの)デュエットがあるんですけれども、僕はちゃんと音符通り歌わないんで。紅さんはちゃんと歌っているので、心の中で舌打ちしているんじゃないかと(紅さん「してないです!」)。本番ではそこのハレーションが面白く出ればと思っています。
──同じ宝塚の出身。先輩として、女優として、紅さんの印象。一路) まだ2日間しかご一緒しておらず、私もまだあまり深くは知らないんですが(笑)。「役と自分が近い」と言ってらした印象が本読みからも読み取れました。
このリノという役は普通のミュージカルの主演女優の立ち位置とはちょっと違う。
全体を見渡して、見守って、それぞれの人を立てるというとても難しい役ですが、宝塚のトップという立場から来て演じる役としてはとてもスムーズに入りやすい。そういう役に巡り会えるという強運を持っていらっしゃるんだなと思いながらご一緒しています。
──歌舞伎界からミュージカルに初挑戦の気持ちは。市川) 最近は歌舞伎界からミュージカル界に進出というのが目立っていますが、なぜ私が呼ばれたのかというと、原田先生が歌舞伎がお好きで、いろいろ観ていただいている中で僕が引っかかったようです。特に今回のホイットニーの体型とか、ちょっと金持ち的なところに僕が来たんじゃないかなと思っているんですが、とても嬉しいですね。
ミュージカルは大好きなので、楽しみにしています。皆さんの足を引っ張らないようにしたいと思います。
──宝塚との演出方法の違い。原田) “宝塚的なもの”を期待されているかもしれませんが、そういう意識はありません。いまこの状況下で「ブロードウェイ・ミュージカル」と銘打ってやることが意味のあることだと。ブロードウェイがクローズしている状況で、こうして日本で一番ブロードウェイらしい作品をやるというのは、舞台の神様がそうしろとおっしゃっているような気がします。
この作品ができたは1934年で、NYの大恐慌が終わって5年後。
ちょうど街にパワーがみなぎっていた時代。そういう作品を今やることも何かの縁、運命のような気がします。素晴らしいキャストの皆さんと一緒に、お客様に楽しんでいただける作品を作ることが一番の使命。それを肝に銘じたいです。
──全国のお客様へメッセージ。紅) いまコロナ禍で大変窮屈な思いをされていると思います。でもこの『エニシング・ゴーズ』を観劇している間だけは心を解放していただきたい。1930年代の話で、大恐慌の不景気からのし上がっていくときの、パワーのある作品。
明日からポジティブになれる作品にしたいと思っていますので、ぜひぜひ、会場に足をお運びくださいませ。お待ちいたしております。
おけぴ取材班:hase(文・撮影) 監修:おけぴ管理人