ミュージカル『オリバー!』歌唱披露イベントレポート



 英国の文豪チャールズ・ディケンズ(「二都物語」「クリスマス・キャロル」)の長編小説「オリバー・ツイスト」を原作とした名作ミュージカル『オリバー!』が久しぶりに日本でも上演されます!

 本作のウエストエンド初演は1960年。“ロンドン・ミュージカルの原点”とも言われる不朽の名作を豪華絢爛で荘厳な超大作ミュージカルに生まれ変わらせたのは、名プロデューサーの誉れ高いキャメロン・マッキントッシュ氏(『レ・ミゼラブル』『メリー・ポピンズ』『ミス・サイゴン』)。

 1960年の初演を見た、当時13歳のキャメロン少年は、そのわずか5年後に、本作の最初の全英ツアーに加わることになったのです。今では世界各国の『オリバー!』のメイン・プロデューサーを務める氏が満を持して届ける2021年、日本での『オリバー!』に集いし俳優も多彩で才能豊かな面々。





 この日は、フェイギン役Wキャストの市村正親さん、武田真治さん、ナンシー役Wキャストの濱田めぐみさん、ソニンさんといった大人キャストの4名に加え、オリバー・ツイスト役:エバンズ隼仁さん、越永健太郎さん、小林佑玖さん、高畑遼大さん、アートフル・ドジャー役:大矢 臣さん、川口 調さん、酒井禅功さんの7名と、<フェイギンのギャング団>20名を合わせた31名が劇中曲を披露!(※ドジャー役の本田伊織さんは欠席)


【「これが人生」(It‘s A Fine Life)】

 オリバー少年が、ロンドンの街で出会ったドジャーに連れてこられたギャング団の住処。そこにやってくるナンシー。つらい境遇で生きているが「これもいい人生」と持ち前の明るさと芯の強さで歌い上げるナンバー。一気に作品世界にいざなう濱田さんの歌声はさすがのひと言。19世紀のイギリス・ロンドンを生き抜く女性のたくましさにオリバーや子どもたちならずとも魅了されます。



ナンシー:濱田めぐみさん


オリバー:越永健太郎さん、高畑遼大さん
ギャング団:ペッカム


いっちょ前にエスコートするドジャーもいい!
ドジャー:大矢 臣さん

【「愛はどこに?」(Where Is Love?)】

 続いては、オリバーが愛を求めて歌う「愛はどこに?」を4人のオリバーの競演で♪


オリバー:エバンズ隼仁さん


オリバー:越永健太郎さん


オリバー:小林佑玖さん


オリバー:高畑遼大さん

 透き通るような歌声とはまさにこのこと。一気に魂が浄化されました。この存在は、周囲の人に変化をもたらすと、なんだかとても納得した瞬間です。会見中のお話で、細かな芝居についてはこれから本格的なお稽古になるとのことですが、このピュアな歌声は持ち前のもの。厳しいオーディションで選ばれた、その言葉通りの実力派オリバーな4人です。

 こちらは「愛はどこに」のオフィシャル映像です♪


【「何でもやるよ」(I'd Do Anything)】

 子どもながらに紳士・ジェントルマンを自称するドジャーが、ナンシーたち淑女・レディに歌いかけるポップなナンバー「何でもやるよ」。



ドジャー:川口調さん、ナンシー:ソニンさん

 あんなこともこんなことも、まさに「何でもやるよ!」なドジャー、でも…ビルと闘うって(笑)。(ビルを演じるのはspiさんと原慎一郎さんですよ!そりゃもう大きな壁というか。でも、そんなこまっしゃくれたところも愛おしいドジャーなのです)



あなたもやってみなさい!とドジャーのフレーズに挑むオリバー。
たどたどしいところが最高!
オリバー:小林佑玖さん

 ソニンさん演じるナンシーのクルクルと変わる表情。少年たちを照らす太陽のような明るさが印象的です。彼らとのやり取りを通じて伝わる、関係性も鮮やか!



フェイギン:武田真治さん

 そこに登場するのがスリ集団の元締め、悪党だけどどこか憎めないチャーミングな魅力を持つ武田フェイギン!子どもたちの心を掴むカリスマ性も感じさせます。


【「ポケットからチョチョイと」(Pick A Pocket Or Two)】


 そして、もう一人のフェイギン、市村正親さんの登場です。オリバーに世の中を生き抜く流儀を説く「ポケットからチョチョイと」。緩急織り交ぜた表現はまさに市村さんの真骨頂。キャメロン・マッキントッシュ氏、直々のご指名でのキャスティングにも納得の、「あれ、市村さんは再演ですか」のキャラクターの完成度。



オリバー:エバンズ隼仁さん、フェイギン:市村正親さん、ドジャー:酒井禅功さん


ギャング団:ハックニー


ヘイッ!

【「信じてみなよ」(Consider Yourself)】

 最後の曲は、オリバー&ドジャーのみなさんによる「信じてみなよ」。ロンドンの広場で出会った孤独な少年・オリバーにドジャーが歌いかけ、仲間となる元気のいいナンバーです。「オリバーのマーチ」の名でも広く知られていますね。




チームワーク抜群!!




【ご挨拶&質疑応答】



 「楽しいミュージカルにしたいです」(エバンズ隼仁さん)、「がんばります!」(越永健太郎さん)、「こんな素敵な舞台に立てるなんて夢のようです。全身全霊でがんばります」(小林佑玖さん)、「お客様が元気で帰ってくれるように、一生懸命努力するので。余裕とかがあったら見に来てください」(高畑遼大さん)。力強い意気込みから、観客への心配りまで、心を尽くして言葉にする4人のオリバーに心ワシヅカミにされる会場の大人たち。


──ここを大切にしたい、ここをがんばりたいというポイントは。

 「歌を特にがんばりたい!」(越永さん)、「怒ったり、勇気を出したりするオリバーのいろいろな気持ちの一つひとつを伝えられるようにがんばる」(エバンズさん)、「寂しい時やつらい時も信じて前向きな勇気をもっているオリバーなので、悲しみから、もう一回立ち直る演技を努力したい」(高畑さん)、「オリバーはどんな困難にぶつかっても純粋な心を持ち続けるので僕も純粋な心をもってやりたい」(小林さん)



オリバーくんのひと言ひと言に、大人キャストのみなさんも笑みがこぼれます。
稽古場の雰囲気もこんな感じなのかなと想像が膨らみます。

ソニンさん)
 ナンシーはこの作品の中でも数少ない労働階級の女性キャラクターなので、ナンシーの母性、つらくても笑顔で乗り切るというタフさを大事に子どもたちとの関係性、信頼感を大切にしたい。稽古場で毎日沢山コミュニケーションをとって、笑顔で過ごしています。


濱田めぐみさん)
 ナンシーという女性がオリバー少年と出会ったときに抱く“真実を見つけたきらめき”を自分の中で探して舞台上で表現できたらな。そこがポイントになると思います。


武田真治さん)
 『オリバー!』という作品のピースになること、市村正親さんの背中をしっかりと追うことが重要なポイントだと思っています。それは、キャメロン・マッキントッシュ作品に出るというのは、世界の基準を満たしたということ。ミュージカルをやっている俳優にとって一つのゴールでもあります。そして、それと同じくらい、僕にとっては市村さんと同じ役を演じるということはすごいこと。これまで客席で感じていた、翻訳劇を日本のお客様により伝わるように演じる市村さん流の工夫。台本に書かれたことが、市村さんが演じることでどう芝居として立ち上がるのか。稽古場ではそれを日々、目の当たりにしています。


市村正親さん)
 お客様が元気になるような役作りをしていきたいと思っています。フェイギンは子どもたちを利用してお金を稼ぐ狡猾なところもありますが、それもあの時代を生きるための術。最後には、ロンドンに住む一人の男の切なさもにじませます。
 子どもたちのお手本になれるように、そして真治のためにもね。真治の年齢でフェイギンという役をやるのはすごくいい経験になる。弟のような俳優である彼がついに同じ役を演じる。真治のためにも、僕は一生懸命いい芝居を見せなくては。



二人のフェイギンに期待!


 19世紀、産業革命による発展で絶頂期を迎えた大英帝国のロンドンを舞台に、その裏にある貧困・格差の中を生き抜く人々を描く本作。一人の少年・オリバーが信じる仲間と共に未来への道をひらく物語に、観客は何を思い、何を受け取るのか。混迷を極める2021年という、今、上演されるめぐり合わせにも思いを馳せたくなります。

 ミュージカル『オリバー!』は、2021年9月30日(木)より東京・東急シアターオーブにて31年ぶりに新演出版として上演。その後、12月4日(土)~12月14日(火)に梅田芸術劇場メインホールにて上演されます。





 オフィシャルダイジェスト映像も上がっています!

【公演情報】
ミュージカル『オリバー!』
2021年10月7日(木)初日〜11月7日(日)千穐楽@東急シアターオーブ
◎プレビュー公演 2021年9月30日(木)~10月6日(水)
2021年12月4日(土)~12月14日(火)@梅田芸術劇場メインホール

<スタッフ>
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本・作詞・作曲:ライオネル・バート

演出:ジャン・ピエール・ヴァン・ダー・スプイ

<キャスト>
フェイギン … 市村正親/武田真治<Wキャスト>
ナンシー … 濱田めぐみ/ソニン<Wキャスト>
ビル・サイクス … spi/原慎一郎<Wキャスト>

オリバー・ツイスト … エバンズ隼仁(えばんずはやと)/越永健太郎(こしながけんたろう)/小林佑玖(こばやしたすく)/高畑遼大(たかはたりょうた)(クワトロキャスト)
アートフル・ドジャー … 大矢 臣(おおやおみ)/川口 調(かわぐちしらべ)/酒井禅功(さかいぜんこう)/本田伊織(ほんだ いおり)<クワトロキャスト>

ミスター・バンブル … コング桑田/小浦一優(芋洗坂係長)<Wキャスト>
ミセス・コーニー … 浦嶋りんこ/鈴木ほのか<Wキャスト>
ミスター・サワベリー/ミスター・グリムウィグ(2役) … 鈴木壮麻/KENTARO<Wキャスト>
ミセス・サワベリー/ミセス・ベドウィン(2役) … 北村岳子/伊東えり<Wキャスト>
ミスター・ブラウンロウ … 小野寺昭/目黒祐樹<Wキャスト>

ベット … 植村理乃
ノア・クレイポール … 斎藤准一郎
シャーロット … 北川理恵
サリー婆さん … 河合篤子
ローズセラー … 青山郁代
ミルクメイド … 元榮菜摘
ストロベリーセラー … 飯田恵理香
ナイフグラインダー … 森山大輔

荒井小夜子、家塚敦子、石川剛、大久保徹哉、小原和彦、金子桃子、菊地まさはる、小林遼介、今野晶乃、
白山博基、鈴木満梨奈、高瀬育海、髙田実那、照井裕隆、宮野怜雄奈、吉田玲菜、蘆川晶祥 (五十音順)
フェイギンのギャング団
チャーリー・ベイツ … 中村海琉(なかむら かいる)/日暮誠志朗(ひぐらし せいしろう)※Wキャスト
ディッパー … 河井慈杏(かわい じあん)/福田学人(ふくだ がくと)※Wキャスト
ハンドウォーカー … 山口俊乃介(やまぐち しゅんのすけ)/山下光琉(やました ひかる)※Wキャスト
スネイク … 市村優汰(いちむら ゆうた)/河内奏人(こうち かなと)※Wキャスト
キング … 入内島悠平(いりうちじま ゆうへい)/花井 凛(はない りん)※Wキャスト
キャプテン … 佐野航太郎(さの こうたろう)/髙橋唯人(たかはし ゆいと)※Wキャスト
スティッチム … 杉本大樹(すぎもと だいじゅ)/瀧澤拓未(たきざわ たくみ)※Wキャスト
スパイダー … 高田夏都(たかた なつ)/田中琉己(たなか るき)※Wキャスト
キッパー … 田中誠人(たなか まこと)/平澤朔太朗(ひらさわ さくたろう)※Wキャスト
ニッパー … 髙橋維束(たかはし いつか)/渡邉隼人(わたなべ はやと)※Wキャスト

救貧院の子どもたち<Wキャスト>
磯田虎太郎(いそだ こたろう)、市川裕貴(いちかわ ゆうき)、小川竜明(おがわ りょうめい)、西口青翔(にしぐち あおと)、石倉 雫(いしくら しずく)、井上綾子(いのうえ あやこ)、木村 心(きむら こころ)、木村律花(きむら りっか)、
久住星空(くずみ せいら)、黒川明美(くろかわ めいみ)、河本雪華(こうもと せっか)、佐藤 凌(さとう りょう)、
鐘 美由希(しょう みゆき)、高澤悠斗(たかざわ はると)、土屋飛鳥(つちや あすか)、寺﨑柚空(てらさき ゆず)、
土岐田 育(ときた いく)、仲西 奏(なかにし かなで)、平賀 晴(ひらが はる)、廣瀬健也(ひろせ けんや)、
弘山真菜(ひろやま まな)、松浦歩夢(まつうら あゆむ)、森田みなも(もりた みなも)、矢田陽輝(やだ はるき)、
涌澤昊生(わくさわ こうき)、涌澤摩央(わくさわ まお)


オフィシャルサイト:https://www.oliver-jp.com/

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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