東京ライブレポ追記【まだまだ道の途中】藤岡正明さんスペシャルインタビュー~20th Anniversary LIVE TOUR 「TERMINAL」~

【追記♪ 東京 M&F special LIVEプチレポ】

 今年、デビュー20周年を迎えた藤岡正明さんの東京会場でのライブに参戦!温かい愛の溢れる空間で過ごすハッピーな時間をレポート♪

 会場に足を踏み入れると、流れているのは、11月21日にリリースされた20周年アルバム「TERMINAL」♪(もちろん会場でご購入もできます!) ライブスタートの時をワクワクして待っていると、ついにその時が!



東京のセットリストです♪

 前半はミュージカルライブ!最初はもちろんミュージカルデビュー作の『レ・ミゼラブル』。バンドで奏でるレミゼ、ギターがギュインギュイン鳴るあのジャジャーン、ジャーンジャジャーンはかなりレア(笑)。そこからのマリウスのナンバー「カフェソング」へ。その瞬間、マリウスの心情を歌い上げるしなやかで強くて悲しい歌声に衝撃を受けた“あの日”の記憶がよみがえります。

 そこからは次々に、クリス~!ロジャー!と思いを馳せ、そして、『タイタニック』より「バレットソング」!! ボイラールームの灼熱の世界。音楽や歌声で時空を超えたドラマを思い出す。そのどれもが痛みや温かさを伴ってよみがえるのは、舞台上で俳優藤岡正明さんが、それぞれの役を血の通った人物として生きた記憶、証でもあるのだと、改めて感じるのでした。

 インタビューでもうかがっていた「ヘロデ王の歌」は、もう、かなりおすすめ!アンドリュー・ロイド=ウェバーのゴージャスなナンバーをなんとも伸びやかにカッコよく歌う(そして憎々しくも憎めないー)、聞いているだけで嬉しくなってくるような、みんなマスクの下はニコニコです。

 ビッグナンバーをMCなしで歌いまくる、ミュージカルナンバーに肩まで浸かって幸せ~な第一部が終わると休憩をはさんで第二部です。

 こちらは20周年記念アルバム「TERMINAL」からのナンバーを中心に、ライブで盛り上がる鉄板ナンバー、もちろんデビュー曲「交差点」までたっぷりとどっぷりと藤岡正明ワールドです。唯一のMCタイムで「交差点からはじまって、20周年でTERMINALって、そういうのが好きなんですかね、僕(笑)」と話す藤岡さん。人との出会いを大切に、それを糧に歩んでいる藤岡さんらしいなと感じました。

 心地よい雰囲気に包まれつつも、そこにはこのご時世ならではの「客席は声出し禁止」などの制約も。それまでも手拍子や拍手で思いを伝えてきたのですが、「ピカソの絵」のキ~ラキラ、ゆ~らゆら、ニ~コニコ……どんどん盛り上がっていく身振り手振り!思いを共有しよう、繋がろうとする気持ちが生み出す素敵な一体感だな。そんなふうに前向きになれる瞬間でした。(それだけにコロナめ!という悔しさもありつつ)

 ライブ全体を通して感じたのは、舞台上にいる「自然体でそこに立つ、ファンのみなさんを愛し、仲間を愛し、音楽を愛し、音楽に愛され、音楽を楽しむ人」それが藤岡さんの20年の集大成であり、それはこれからも変わらないのだということ。20周年、変な気負いもなく常に変わらぬ温かさで軽やかに駆け抜けていく、これからも藤岡さんらしく進んでいくのだろうな。そして、これまで何度書いたことかというこの言葉をやはり書かずにいられない、ホント歌ウマ!!

 第二部終了後も拍手は鳴りやまず、ご本人曰く「ツアーファイナルでもないのに……まさかの」ダブルアンコールまで、お腹いっぱい、幸せいっぱいの時間でした。

 ツアーはここから大阪、名古屋へと続きます。
 そうそうアルバムを聴きながら、幸せを思い出すのもおススメですよ♪


【20周年インタビュー】


 2001年11月21日のデビューから20年、いよいよ20th Anniversary LIVE TOUR 「TERMINAL」がスタートする藤岡正明さんにお話を伺いました。歌手として、俳優として歩んできた藤岡さんの20年を振り返るライブ、ライブリハ写真とともに、ひと足お先に藤岡さんのこれまでと現在、そしてこれからをひも解いてみましょう。



【今の僕自身が“20年の集大成”】

──デビュー20周年、おめでとうございます。20年を振り返って率直にどのような心境ですか。

 長かったような、あっという間のような……。ただ、20年前にはまさか自分が俳優もやっているとはまったく想像していませんでした(笑)。

 ひとつの節目として20年を振り返ると、僕は山あり谷ありの道のりをたくさんの方に助けられ、支えられて歩んできたのだと感じます。特に、この2年程はコロナ禍で大変な状況が続いていますが、その中でもシングル・アルバムのリリース、ライブの開催、そして舞台という活動の場をいただけていることは本当にありがたいことです。その感謝の気持ちをお伝えするライブツアーにしたいと思います。

 それと同時に、18歳でデビューしてから20年経つと、いろいろと重力に逆らえなくなったり(笑)、人間的にも丸くなってきたように感じます。それも含めて、今の僕自身が“20年の集大成”なのかな。でも、まだまだ道の途中、ここからも変化、進化していきたいと思っています。

──歌唱表現について、変化したと感じるところは。

 今回のライブに向けて、何を歌おうかとデビュー当時の音源を聞くと、全然違うんですよね。ずっと歌い続けているのであまり自覚はなかったのですが、気づかないうちに少しずつ変わってきたのかな。

──2005年のミュージカル『レ・ミゼラブル』マリウス役をきっかけにミュージカル俳優としても活動されるようになりました。ミュージカルは藤岡さんにどのような影響を与えましたか。

 作品によって求められる歌唱表現が異なるので、表現力という意味でもオリジナルを歌っている時とは違う成長があったと思います。それだけでなく、体調や精神のコントロール、特に喉のコンディションを整えることの難しさ、大切さを学びました。

 ミュージカルの難しいところは1日2回公演、それが2日、3日と続くこと。昼公演で温まった喉が、何時間か経つとクールダウンしてしまう。そこから夜公演に向けてもう一度喉を起こしていく。そこで喉に負担がかかるんです。それに慣れるのには時間がかかりました。もちろん歌手としても1日2ステージというのはありますが、それが何日も続くということはあまりなかったので。

 あとは集中力。演劇はチームプレイ。若いころは「自分のタイミングじゃないと集中できない」というようなタイプで(笑)、今思うと困ったものでしたね。それではいけないということを俳優としての活動で学び、それが音楽活動にも大いに活きています。

──表現という意味では同じでありながら、違う要素も必要になるのですね。

 音楽も、みんなでひとつのものを作るという意味では同じようにチームプレイですが、その役割がより専業化しているところがあります。一方で演劇は、舞台上で同時にいくつもの出来事が生じたり、その中でも主になるところを際立たせて見せるためのパス回しが重要になったり、マルチタスク状態になるんです。音楽ではボーカルを務めることがほとんどなのでそう感じるのかもしれませんが、演劇での、自分の役を務めながら俯瞰でも見るという経験を通して鍛えられたところは確かにあります。


【要するに“べた”にやろうと思っています(笑)】



──ここからはライブについて、少し具体的にお話伺います。今回、博多・東京・大阪・名古屋で開催されます。

 東京はミュージカルライブ、オリジナルライブの2部構成となっていますが、もちろん僕の20年を振り返るライブなので博多・大阪・名古屋も、ミュージカルナンバーもオリジナルナンバーも織り交ぜた構成になります。

 東京以外では、ミュージカルメドレーをお届けしますが、打ち合わせ段階では15分を超え20分近い大メドレーになる予定です。足跡をたどるとなると、どうしてもそのくらいのボリュームになってしまうんです。東京では、藤岡と言えばこんな作品あったね、というところを網羅していこうと思います(笑)。ド頭はもちろんミュージカルデビュー作のあのミュージカルで始まる、わかりやすく確実に軌跡をたどる。要するに“べた”にやろうと思っています。

──ここは!というおすすめポイントがありましたら。

 今年7月に出演した「ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート」のヘロデの楽曲については、演劇性を前面に押し出すのではなく、音楽性を高めたアプローチで歌ってみようかと考えています。カッコイイ音楽として!

──オリジナルナンバーについてはいかがですか。

 ツアー初日となる11月21日には、20周年のニューアルバム「TERMINAL」がリリースされます。ツアーも同じタイトルですが、この20年間での様々な出会いと別れ、そしてここからまた新たな出発をするという思いを込めて「TERMINAL」というタイトルをつけました。

 ライブでは、シングル曲や今まで出したアルバムから1曲くらいずつピックアップして振り返りつつ、ニューアルバムからの楽曲も披露したいと思っています。

──この夏には20周年イヤー第二弾シングル「Together」もリリースされました。この曲のメッセージに励まされた方も多くいらっしゃると思います。

 実は、この曲は僕が19歳の時、それこそ20年近く前に僕の3rdシングルとしてリリースするはずだった楽曲です。この曲を作ったのは田村直樹さん、サウンドプロデュースも手掛けてくださいました。それが、僕がバイク事故を起こしてしまい音楽活動休止となってしまい、リリースが叶わず、田村さんに申し訳なさ過ぎて連絡もできずにいました。

 また、それまでに田村さんと一緒に仕事をする中で出会ったのが、田村さんの中学時代からの友人でベーシストの谷源昌さんでした。谷さんとは、23歳ごろに再会。そこから二人三脚で音楽を作っていました。そんな谷さんが、2年前、2019年8月に急逝されました。その葬儀の席で17、8年ぶりに田村さんと再会、ようやくあの時のお詫びを伝えることができたのです。そこから連絡を取り合うようになり、昨年11月に谷さんのバースデー配信ライブを開催した際に、田村さんにも参加していただきました。そこで一緒に歌ったのが「Together」です。

 田村さんとの再会、「Together」との再会、これは谷さんが再び繋いでくださった縁。それは僕にとって大きな意味のあることだと確信し、今度こそこの曲をリリースしたいと思いました。

 そして、コロナ禍で大切な人と一緒に過ごすことや、ともに何かを分かち合うことが困難なこの時代に「Together」という言葉が持つ力、楽曲のもつ前向きな世界観、今しかない!と田村さんに相談しました。ありがたいことにご快諾いただき、なるべく当時の形を崩さないように、再レコーディングをしました。トランペットとサックスのお二人はまさにあの時演奏してくださっていたお二人。そうやって出来上がったのが「Together」です。

──20年近い年月を経て、ついに今、なのですね。そして、人と人との縁というものを感じます。

 田村さんとは、今もとてもいい関係を築かせていただき、刺激をいただいています。都合のいい話かもしれませんが、ようやく本当の意味で19年前の胸のつかえがとれたような気がしています。

 ただ、お聴きになるみなさんには、それはそれとして、率直に仲間と会える楽しさ、音楽の楽しさを感じてほっこり笑顔になってもらえたら嬉しいです。


【幸せをかみしめる瞬間】



──ライブへの意気込みコメントで「幸せが近づいてくるような」という一節がありましたが、藤岡さんが、今、幸せを感じるのはどんな時ですか。

 やはりひとつの作品やイベントが無事に終わった時です。なんとも言えない安心感と達成感がある。それが、今、僕にとっての幸せです。

 まだまだコロナが終息したわけではないのですが、その中でも劇場や会場に足を運んでくださる方がいる。客席に座るお客様の顔を見ると、マスクをしていてもわかるんです! みなさんの気持ちは舞台上にいる僕らにもしっかりと届いています。共演者とも「今日のお客様もすごく嬉しそうに見てくれていたね」という話をよくしています。そして、僕らはそのことにとてつもない元気と勇気をもらっています。今の状況で無事にその日の公演を終えることは、大げさではなく、日々必死でつかみ取るような感覚です。そうやってひと公演ずつ、大切に積み上げてみんなでつかみ取った千穐楽。幸せをかみしめる瞬間です。

 時代は変化し、そこに出向かずとも配信でも様々なコンテンツを楽しめるようになっています。でも、劇場のあの空間というのは、お客様にとっても、僕らにとってもやっぱり特別なもの。今はまだ不安に感じるというのもよくわかりますが、僕らはずっと待っています!


【自分自身にも人に対しても、社会に対しても誠実でありたい】

──突然ですが名は体を表す。「藤岡正明さん」のお名前についてうかがってもよろしいでしょうか。

 正しく明るい子。僕の兄が「時代を開拓していって欲しい」という願いが込められた「拓也」なので、幼いころは子ども心にも託されたもののギャップは感じていました(笑)。この名前とも長い付き合いなので、今は愛着しかありませんが!

 名は体を……子どもの頃は、明るかったですが、正しかったかと言われると(笑)。でも、最近、この名前だからというわけではないのですが、自分にとっての正しさって何だろうと考えるようになったんです。10代、20代の僕は社会の一員としての自覚が乏しかった。でも、30代になり、家庭をもち、自分が社会とどう関わるのかを考えた時、襟を正して生きていきたいと思ったのです。「正しい」というと、仰々しいし、偽善的に聞こえるかもしれませんが、自分自身にも人に対しても、社会に対しても誠実でありたい。

──コロナ禍で社会全体が落ち込んだ時、有料/無料問わず配信ライブの開催、YouTubeへの弾き語り動画のアップなど、いち早く行動されました。藤岡さんの歌声に救われた人は多いと思います。その歌声はギフトなのだと改めて感じました。

 少しでも元気を届けられていたなら嬉しいな。何かしようと思った時に、自宅にそのための機材が揃っていたこと、弾き語りができたことはラッキーでした。

──藤岡さんのこれからは。

 いままでは、自分をルーズに見せることで楽をしていたところがあるんです。テストの前に「勉強なんて全然していないよ」と言う、あの感じ(笑)。ストイックとか思われたくないというか。

 でも、最近は純粋にカッコよく、精悍でありたいと思うようになりました。そのために佇まいも身体も精神も健やかであることを常に心がけています。それがあってはじめて周りを明るくできると。明るくというのは、ただ面白おかしくというのではなく、前向きなエネルギーを与えるという意味。そしてそうなった時に、どんな音楽が生まれるのか、どんな役との出会いが訪れるのか。それを楽しみにしています。

──最後に、ライブツアーを楽しみにされているみなさんにメッセージを。

 普段ライブやる時は腹八分目を心がけています。もうちょっと聞きたいな、また見たいと思ってもらえるボリュームで。でも、今回は、お腹いっぱいになって帰っていただこうと思っています。みなさんもその覚悟で⁉ご来場ください。幸せを感じていただける時間、ぜひ、ご期待いただければと思います。
【公演情報】
藤岡正明 20th Anniversary LIVE TOUR 「TERMINAL」
2021年11月21日 博多
昼公演:OPEN 13:30 / START 14:00
夜公演:OPEN 17:00 / START 17:30
チケット :6000円(別途ワンドリンク)
会場:ROOMS https://goo.gl/maps/HFiLuXuaf4znrjPc6

東京 M&F special LIVE
2021年11月23日 東京
ミュージカルライブ、オリジナルライブ2部構成のスペシャルライブ
OPEN 16:45 / START 17:30
チケット:6500円 / SS席 7500円
     (別途ワンドリンク)
会場:新宿FACE https://shinjuku-face.com/access

2021年12月4日 大阪
昼公演:OPEN 13:00 / START 13:30
夜公演:OPEN 17:00 / START 17:30
チケット:6000円(別途ワンドリンク)
会場:Soap opera classics -Umeda http://soarsmusic-soc.jp/access/

2021年12月5日 名古屋
OPEN 18:00 / START 18:30
チケット代 6000円(別途ワンドリンク)
会場:伏見JAMMIN https://www.nagoya-jammin.com/contact

藤岡正明公式サイト:https://masaaki-fujioka.com/contents/465319
チケットはこちら 

おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文)監修:おけぴ管理人

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