♪You Can't Stop the Beat! 身も心も踊りだすミュージカル『ヘアスプレー』開幕!

2020年に予定されていた公演の中止を乗り越え、待望の復活公演となるミュージカル『ヘアスプレー』。9月19日に開幕! 東京公演を皮切りに、福岡・大阪・愛知にて上演です!(9月17日に初日を迎える予定でしたが、公演関係者に新型コロナウイルス感染症の陽性反応が確認されたことから、3公演が中止となりました)





客席に座った瞬間からワクワク。
トレイシーのあのヘアスタイルとリボンを描いた幕がお出迎え!




トレイシー:渡辺直美さん

幕開けはもちろん♪Good Morning Baltimore
そして、そこにいるのはまさしくトレイシー! 会いたかった―!
客席からも待ってましたとばかりの大きな拍手が。
上演決定時からピッタリ!との声が溢れた渡辺直美さんのトレイシーがついにお披露目の時を迎えました。

さて改めて本作の物語を。

1960年代アメリカ、黒人差別の風潮がいまだ色濃く残るボルチモア州に住むトレイシー・ターンブラッド(渡辺直美さん)は、ダンスが大好きでちょっぴりビッグサイズな女の子。彼女の夢は、大人気のテレビダンス番組「コーニー・コリンズ・ショー」のダンサーになること。ある日、トレイシーの元に番組で新メンバーを募集するニュースが飛び込んでくる。オーディションを受けたいと両親に懇願し、心配性でトレイシーと同じくビッグサイズな母のエドナ(山口祐一郎さん)に反対を受けながらも、自慢の髪型をバッチリ決めてオーディション会場へと向かう。しかし太っているという理由で一方的にオーディションの受験を拒否されてしまい―。


夢に向かう真っ直ぐな心と持ち前のバイタリティ、感じた疑問をそのままにしない強さを持ち合わせるトレイシーが、「コーニー・コリンズ・ショー」の人気者リンクや居残りクラスで出会ったダンスの名手シーウィード、親友のペニーらとともに時代の不公平、人種差別やルッキズムの壁をなくそうと奮闘する物語。



トレイシー:渡辺直美さん、リンク:三浦宏規さん


リンクには三浦宏規さん。
リンク、すごくカッコつけています(笑)、そしてすごくカッコいいです。ちょっと残念なところもご愛嬌。ティーンのアイドルのモテオーラさく裂ですが、自分自身を客観的に見る冷静なところも。リンクは盲目的な自信家でもなく、トレイシーに対する周囲の扱いに対して違和感、嫌悪感を示し、シーウィードたちのダンスを素直に認めるなど、しっかりと多層的なキャラクターになっています。リンクの葛藤が舞台の端々で表現されているのですが、あちこち目移りしてしまって大忙しです。そしてダンスについては……のちほど!



ペニー:清水くるみさん、シーウィード:平間壮一さん


シーウィードは平間壮一さん、役柄同様にダンスの名手である平間さんの魅力や実力をいかんなく発揮する役! それだけでなく、全身からあふれ出すビート感、シーウィードがもつ優しさや人生を楽しむしなやかな強さなど、台詞や関係性という前提はあるものの、メイクに頼ることなく音楽性やダンスという文化の表現で黒人キャラクターであることを表現している平間さんです。現実を受け止め、そこで楽しく生きているシーウィード、それは人種差別の壁に挑んでは傷ついた母の姿から学び取った賢さなのかもしれません。でも、トレイシーにとってシーウィードとの出会いが大きな力になったように、シーウィードにとってもトレイシーとの出会いは彼の価値観や人生を大きく動かすようになった。双方向であることを強く感じさせます。もちろんペニーとの出会いも含めて♪

ペニーは清水くるみさん。手にはロリポップ、ちょっと不思議で最高にキュートなトレイシーの親友。仕草や発言のひとつひとつがツボです。シーウィードの家のパーティーでも、気になるシーウィードだけでなくみんなと交流をする、そんな細かなところにもペニーの人柄がにじみます。



1960年代のボルチモア、当たり前のように黒人差別のある社会でも、これからの時代を見据えた番組司会者のコーニー・コリンズや、シーウィードの母親で月に一度の<ブラック・デー>の司会者“モーターマウス”メイベルはトレイシーの背中を押します。

コーニーを演じるのは上口耕平さん。人気司会者のスターのオーラがまばゆい!
「このままじゃいけない」、マイノリティを排除しようとするプロデューサーに対しても臆することなくたてつく強い信念と、トレイシーのダンスを見てイイものはイイと評価する公平性。身も心もカッコいいコーニーを上口さんが存在感たっぷりに魅せます。また初日は、休演されているアレックス カワモトさんに代わりビッグサイズの洋服店のMr.ピンキーも演じられました。こちらはガラリと雰囲気を変えて。 カワモトさんのMr.ピンキーも楽しみです。



トレイシーたちは人種差別に対する抗議デモを起こす!

メイベルには、これまでにも数々のステージでパワフルな歌唱を披露されてきたエリアンナさん。これまでも差別に対して抗議をしてきた、切り拓こうとしてきたその道のりを歌い上げる♪I Know Where I've Beenは圧巻です。力強い歌声、メッセージはトレイシーを鼓舞し、同時に観客をも鼓舞する。身体と心の奥底から湧き出るようなソウルフルな歌声に、劇場が震える! メイベルの大きなハート、それもまた息子のシーウィードや娘のリトル・アイネス(荒川玲和さん)にも受け継がれていると感じさせます。



もう一組の親子。
物語の中ではいわゆる意地悪キャラになのですが、振り切れた芝居と歌で魅了するのが番組プロデューサーのヴェルマを演じる瀬奈じゅんさんと娘でトレイシーのライバルとなるアンバーの田村芽実さんです。アンバーが歌うスゴイ歌詞のポップな曲にもご注目ください♪ 娘をスターに、私こそがスターに、野心をむき出しにする姿は滑稽に映りますが、やり切る姿勢は一周回って清々しくもあります。でも手段を選ばずというのは……ね。



エドナ:山口祐一郎さん、ウィルバー:石川禅さん


そしてトレイシーの最大の最愛の最強の味方は母エドナと父ウィルバー。
自分と同じビッグサイズの娘が傷つかないように守ろうとする母、妻と娘を絶対的な圧倒的な愛で包む父。この二人のもとで暮らしていたら自然にトレイシーの心もビッグになるよねと納得の親子。山口祐一郎さんと石川禅さんの醸し出す“長年連れ添った感”は期待通りのほっこり。なんだか二人には違う時間が流れているかのような、穏やかな夫婦です。でも、このパパとママ、やるときはやるんです! 夢見る力や愛と共に、それもしっかりと娘に受け継がれているのです!



ほかにも川口竜也さんの番組スポンサーでヘアスプレーメーカーのスプリッツァーをはじめとするあの役この役!! 青野紗穂さん、MARIA-Eさん、原田真絢さんのダイナマイツによる抜群のパフォーマンス! などなど見どころがいっぱいありすぎる~(嬉しい悲鳴)!


また、本作の魅力は、個性的なキャラクター、メッセージとともに楽曲の素晴らしさも。

娘が母に「もう大人よ」と歌う♪Mama, I'm a Big Girl Now。トレイシーとエドナ、アンバーとヴェルマ、ペニーとプルーディー(可知寛子さん)、娘を心配し応援する3組の母娘、それぞれの関係が映し出されます。



また、憧れのリンクと会って夢見心地のトレイシーの♪I Can Hear the Bells、トレイシーのためにリンクが歌う♪It Takes Twoなどは楽曲に加えて、その間のコミカルな芝居も見どころ。直美トレイシーの目は別世界へ行ってしまっているし、三浦リンクはここぞとばかりにキメ顔で、最高です! 思いっきり笑わせていただきました。

そして、全編にちりばめられたダンスナンバーも!
表現力の塊・直美トレイシーの魅惑のダンスは言うに及ばす、三浦さん、平間さん、上口さんというミュージカル界きってのダンスの名手たちの競演もたまりません。
見ているこちらも気分爽快! たっぷりしっかりカロリーを消費したような気になります(気のせい)。しかも、三浦さんはアイドルオーラを纏いながらキレと優雅さを見せつけ、平間さんは自然に身体が動いちゃうんですとでも言いそうなくらいの即興性を感じさせる(振付なのでしょうが)。さらに上口さんはエンターテイナーとしてのショーダンスで大人な印象といった具合に三者三様のダンスで観客を魅了します。もちろんアンサンブルのみなさんも歌にダンスに大活躍! 作品のエネルギーを増幅させて客席に伝えます。


元気いっぱいで駆け抜けるように進む物語とポップな楽曲。
もちろん楽しさあふれるハッピーミュージカルなのですが、とあるシーンでリンクが言う「ここまで(黒人居住地区)乗せてくれるタクシードライバーを探す方が難しかった」、ダンスパーティーでシーウィードの妹アイネスが言う「どうして私たちは後ろで踊るの?」という台詞に象徴されるような現実もあるのです。トレイシーが太っていることを理由に受けられなかったオーディション、アイネスは黒人であることを理由に受けられません。そもそも<ブラック・デー>以外は「コーニー・コリンズ・ショー」に黒人は出られないという現実も。
またトレイシーの考えや発言、行動も、今の私たちからみると「そうだそうだ!」となりますが、当時のボルチモアではかなり衝撃的なものだったのでしょう。そういう心に突き刺さる痛みと底抜けの楽しさの両方が残るというのもミュージカルの魅力です。その楽しさから私たちは、なにがしあわせ? どんな世界を選ぶ?ということを自然と感じるのです。そう、難しく考えずに感じる!

そして、渡辺直美さんがトレイシーにピッタリというのは、そのビジュアルのためだけでなく、トレイシーが持つ内面的な豊かさも併せ持っているからなのだということも強く感じました。世界を舞台に活動すること、海外で暮らすことも含め、様々な体験をされてきた、努力をされてきた。その一つひとつがもたらす嘘のない、裏付けのある表現。こんなにもクリアーに、説得力のあるトレイシーの前向きなエネルギーを浴びることができてしあわせ。


最後にハッピーなカーテンコールの模様をお届けします!
百聞は一見に如かず、 これぞ You Can't Stop the Beat!です。


こちらはご挨拶動画♪

本当に今日という日を迎えられてよかったと思っております(渡辺直美さん)
ママも本当に幸せでした!(山口祐一郎さん)






エドナママ、眩しい✨
【公演情報】
ミュージカル『ヘアスプレー』
~10月2日(日) 東京建物 Brillia HALL
10月7日(金)~10月18日(火) 博多座
10月23日(日)~11月8日(火) 梅田芸術劇場メインホール
11月12日(土)~11月20日(日) 御園座
ご挨拶動画はこちら https://youtu.be/PFIb7U-UhFo

<スタッフ>
脚本 マーク・オドネル/トーマス・ミーハン
歌詞 スコット・ウィットマン
歌詞・音楽 マーク・シェイマン
演出 山田和也
翻訳 浦辺千鶴
訳詞 高橋亜子

<キャスト>
トレイシー:渡辺直美
“モーターマウス”メイベル:エリアンナ
リンク:三浦宏規
シーウィード:平間壮一
ペニー:清水くるみ
アンバー:田村芽実
コーニー・コリンズ:上口耕平
ウィルバー:石川禅
ヴェルマ:瀬奈じゅん
エドナ:山口祐一郎

スプリッツァー:川口竜也
ダイナマイツ:青野紗穂 MARIA-E 原田真絢
プルーディー:可知寛子
Mr.ピンキー:アレックス カワモト
リトル・アイネス:荒川玲和

岡田治己 Kosuke 篠本りの 高瀬雄史 高橋莉瑚 田川景一 堤 梨菜 東間一貴
福山葵衣 堀江慎也 MAOTO 松平和希 松谷 嵐 森田有希 柳本奈都子 八尋雪綺

公演HP:https://www.tohostage.com/hairspray/

写真提供:東宝演劇部
おけぴ取材班:chiaki(取材、文)監修:おけぴ管理人

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