【公演NEWS】KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』 開幕

もがきながら迷いながら創り上げてきた痕跡があちこちに見えた気がして、そこにこそ日本と沖縄の未来についての微かな「希望」があるのではないかと思いました。
──兼島拓也(作)


少し大きな言い方ですが、どんな明日を、どんな未来を迎えることが出来るのか。変化をもたらすことが目的ではありませんが、何か変わったり、気づいたりすることがあったりするといいな、と思っています。
──田中麻衣子(演出)




左から)あめくみちこ、蔵下穂波、亀田佳明、魏涼子、前田一世、神田青、小川ゲン
撮影:引地信彦



左から)南里双六、亀田佳明、神田青、小川ゲン
撮影:引地信彦


沖縄本土復帰50年となる今年、沖縄在住の若手劇作家・兼島拓也が書き下ろし、沖縄に出自を持つ田中麻衣子が演出を手掛けるKAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』が11月30日に開幕しました!兼島拓也さん、田中麻衣子さんの初日開幕コメントと舞台写真が届きました。



左から)神田青、前田一世、あめくみちこ、南里双六、蔵下穂波、小川ゲン
撮影:引地信彦



左から)南里双六、亀田佳明
撮影:引地信彦


【作:兼島拓也さんコメント】

開幕直前で足止めを食ってしまいましたが、ようやく、今日、スタート地点に立ちました。一年以上のあれやこれやがこうして日の目を見ることができてひと安心です。

僕の書いた言葉が、僕の手を離れてどんどん拡がり、拡がる過程でいろんなものを取り込んで、とてもとても豊かで面白い作品になっていました。もがきながら迷いながら創り上げてきた痕跡があちこちに見えた気がして、そこにこそ日本と沖縄の未来についての微かな「希望」があるのではないかと思いました。

役者から放たれる鋭く強い矢が、観客席に突き刺さっていく様を、最後列から眺めていました。作者でありながら、迫り上がってくるものを抑えつけるのに必死だった瞬間も数多くありました。カーテンコールの拍手だけでは払いきれず、劇場の外にまで引きずっていってしまうような、そういう作品になっていると思います。これからご観劇になられる方にも、いろいろなものを持ち帰っていただけたら幸いです。



左から)亀田佳明、あめくみちこ、魏涼子
撮影:引地信彦



左から)亀田佳明、小川ゲン、前田一世
撮影:引地信彦


【演出:田中麻衣子さんコメント】

1年以上にわたる兼島さんとKAATスタッフとの創作を経て、ついにこの日を迎えた、という気持ちです。

ずっと準備をしてきた中で、色々なことを考えたり、想像したり、目を向けたり、より深くそこに潜ってみたりしてきて、今日、初めてお客様が入った劇場で、作品として上演することが出来て、ひとまず良かった、と思います。

これからまた、役者の皆さんも含めて、進化していくと思います。進化というのは、おそらく、より現実とつながっていく、観客の皆さんと、劇場という空間にいる役者・スタッフの皆さんを含めた私たちが、この作品を通して何を感じられるのか。少し大きな言い方ですが、どんな明日を、どんな未来を迎えることが出来るのか。変化をもたらすことが目的ではありませんが、何か変わったり、気づいたりすることがあったりするといいな、と思っています。



公演は12 月 4 日(日)まで、KAAT神奈川芸術劇場<中スタジオ> にて上演。

【公演情報】
KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース
『ライカムで待っとく』Backyard in RyCom
~2022年12月4日(日)@KAAT 神奈川芸術劇場<中スタジオ>
11月27日(日)に予定されていた初日は延期となり、30日に開幕いたしました。
上演時間:約1時間50分(休憩なし)

作:兼島拓也  演出:田中麻衣子
出演:亀田佳明 前田一世 南里双六 蔵下穂波
小川ゲン 神田青 魏涼子 あめくみちこ

登場人物
浅野悠一郎 …… 亀田佳明
藤井秀太 …… 前田一世
浅野知華 ……魏涼子
伊礼ちえ ……蔵下穂波
運転手 ………南里双六
金城(きんじょう) …………あめくみちこ
佐久本 寛二(さくもと かんじ) ……南里双六
嘉数 重盛(かかず しげもり) ……神田青
平 豊久(たいら とよひさ) ………小川ゲン
佐久本 雄信(さくもと ゆうしん)…… 前田一世
大城 多江子(おおしろ たえこ) ……あめくみちこ
栄 麻美子(さかえ まみこ) ……蔵下穂波

あらすじ
雑誌記者の浅野は、五八年前の沖縄で起きた米兵殺傷事件について調べることになったのだが、実はその事件の容疑者が自分の妻の祖父・佐久本だったことを知る。
佐久本やその共犯として逮捕された男たちの半生を絡めた記事を書きはじめる浅野だったが、なぜか書いた覚えのない内容に文章が書き換えられていた。そしてついにはその記事の中に、いつのまにか自分自身も飲み込まれていく。
過去と現在が渾然となった不可解な状況のなかで、沖縄が歩んできた歴史や現在の姿を知っていく浅野。記者として何を書くべきなのか少しずつ気づきはじめたとき、突然娘の行方がわからなくなってしまう。
混乱する浅野に、それは「沖縄の物語」として決められたことなのだと佐久本は告げる。その「決まり」に沿った物語を自身が書いていて、また書き続けていくのだと、次第に浅野は自覚していく。

「ライカム」とは
かつて沖縄本島中部の北中城村比嘉地区に置かれていた琉球米軍司令部(Ryukyu Command Headquarters)の略。現在「ライカム」は地名として残っている。司令部があった近辺の米軍関係者専用のゴルフ場の跡地には、2015 年「イオンモール沖縄ライカム」がオープン。地元民のみならず県外からの観光客も多く訪れる場所になっている。

「米兵殺傷事件」とは
1964年8月16日未明、宜野湾市普天間の飲食街周辺で、米兵2人と数人の沖縄人が乱闘し、米兵1人が死亡、1人が重傷を負った。沖縄青年4人(2人は徳之島出身)が普天間地区警察署に逮捕され、傷害致死罪で米国民政府裁判所に起訴された。事件は陪審に付された。
沖縄人に重罪を課そうとする米国人らが陪審員の多数を占め、評議は4人に不利な流れとなったが、無罪を主張する沖縄人陪審員・伊佐千尋の粘り強い説得で形勢は逆転し、傷害致死罪については無罪、傷害罪では有罪の評決に至った。しかし、同年11月の判決では3人に懲役3年の実刑(1人は猶予刑)という初犯としては重い量刑が下った。
殺傷事件と沖縄住民への差別意識が渦巻く陪審評議、その後の判決は米統治下に置かれた沖縄の過酷な現実を浮き彫りにしている。

公演HP

この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました

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