ミュージカル『スクルージ ~クリスマス・キャロル~』日生劇場にて開幕!



原作は英国の国民的作家チャールズ・ディケンズの名作『クリスマス・キャロル』。1970年公開の同名のミュージカル映画をもとに1992年に誕生したミュージカル版『スクルージ』。日本初演は1994年、主演はもちろん市村正親さん。以来、ライフワークのように取り組む市村さんの当たり役、3年ぶりに市村スクルージが届けるクリスマス・イブの物語、ミュージカル『スクルージ ~クリスマス・キャロル~』が日生劇場にて開幕です!



スクルージ:市村正親さん


舞台となるのは19世紀半ばのロンドン。
クリスマス・イブを迎えた街は笑顔と活気にあふれている。



そんな街の陽気な賑わいとは対照的なのが金貸し業を営むスクルージのオフィス。



スクルージ:市村さん、ボブ・クラチット:武田真治さん

クリスマスなんて大嫌い、人間嫌いで金!金!金のスクルージはクリスマスだというのに笑顔ひとつ見せず、そこで働くボブ・クラチットへの優しさもゼロ。スクルージのもと訪ねた甥のハリーも「なぜ彼と友達になれないんだ……」と嘆く始末。



厳しい取り立てや不当に高い利息のために街の人々からも嫌われているスクルージですが、そんなことはお構いなしに我が道を行く彼のもとに、かつての親友ジェイコブ・マーレイの亡霊がやってきて……。



写真後)ジェイコブ・マーレイ:安崎 求さん


クリスマスの精霊たちとともにめぐる過去、現在、未来……スクルージの旅が始まる。



幼き日の楽しかったクリスマス
導き手は過去のクリスマスの精霊:愛原実花さん


明るく従業員思いのフェジウィッグ夫妻(阿部 裕さん、今 陽子さん)


フェジウィッグさんのもとで見習いとして働いていた若き日のスクルージはイザベルと出会う
若き日のスクルージ:相葉裕樹さん、イザベル:実咲凜音さん


かつての自分の背中を押す


そこに生きる人たちには老いたスクルージの姿は見えない。自らが得たものと失ったもの、過去を振り返ることで気づくこと……

こうしてスクルージが心の奥底押し込んで蓋をしていたものが蘇るような旅が始まります。偏屈ながら愛嬌を垣間見せながら演じる市村さんが、魅力&説得力たっぷりに見せます。彼は根っからの悪人ではない。


続いては、現在のクリスマスの精霊がドドーンときらびやかに登場。



現在のクリスマスの精霊:今井清隆さん


現在の景色を見せるために、スクルージが飛ばされるのは
(このフライングが飛ぶというより、ぶっ飛ぶレベルの勢い!!)

スクルージは彼のもとで働くボブ・クラチットの家へ。



クラチット夫人:愛原実花さん


5人のこどもたちと貧しいながらも心は豊かに明るく暮らす一家
病弱な末っ子のティムも家族の愛を受けて育った心優しい子

続いてスクルージが訪れたのは甥のハリーのクリスマスパーティー。



陽気に歌い、踊る人々。グラスを片手に乾杯をしようとしたとき、ハリーが祈ったのは……。



未来のクリスマスの精霊が見せたのは……ここからはぜひ劇場で!



写真右)スープ屋さんのトム・ジェンキンス:神田恭兵さん
Thank you very very very much♪ 未来の街にあふれる笑顔の理由は……

さらにある出来事に心を揺さぶられるスクルージ。一夜の旅を終え、彼はある決意を胸にクリスマスの朝を迎える。



クリスマスの精霊たちとめぐる過去・現在・未来の旅。
童話の世界と思いきや、そこに横たわるのは貧困や病、そして死……ロンドンの街もクリスマスに華やぎつつも、そこで暮らす人々の日々の暮らし向きは厳しいという現代にも続くような社会問題。それでも大切ななにかに支えられ、そして支え合い幸せに暮らす人間讃歌。

そのファンタジーとリアリティのバランスが絶妙。ミュージカル作品としても、オーケストラ生演奏やコーラスの重厚感と聖歌隊のアカペラのシンプルさであったり、ダンスナンバーやパーティーシーンでの賑やかさとスクルージの孤独や内面と向き合うシーンの静寂といったコントラストの妙が冴えて、より豊かなドラマに仕上がっています。演出は井上尊晶さん。

ものがたりを生きる俳優陣も、初参加となる相葉さんはちょっと不器用だけど明るいハリーを快活に、若き日のスクルージは仕事への実直さ、恋するきらめきと同時に彼が心をお金という分厚い鎧で覆うような道を選んだのか、その分岐点をしっかりと表現。また実咲凜音さんがヘレンとイザベルの2役を演じることも含めて、2役を演じるということが大きな意味を持つのです。それもお二人がしっかりと役を生きるからこそ!

ボブ・クラチットを演じる武田真治さんは、薄給であるがゆえ十分にクリスマスの準備ができないふがいなさもにじませつつ、こどもたちを見つめる目線の温かさに愛が溢れます。歯に衣着せぬクラチット夫人とのコンビもバッチリ。その夫人と過去のクリスマスの精霊…実は…の愛原実花さんもたくましさと慈愛、タイプの違う愛を鮮やかに演じます。

安崎さん、今さん、今井さん、阿部さんの歌と芝居、ダンス、フライング……などなどみなさんの安定感と爆発力は作品を支え、こどもたちの存在もこの作品の大きな魅力、そしてアンサンブルのみなさんや今さんをはじめとするみなさんも複数役で作り出すロンドンの空気、ひとつひとつのピースがかっちりとはまるのは名作の証。



佇まいや表情のわずかな変化でにじませるスクルージの人生の機微

そして市村スクルージ。賑やかな場面、大勢の中でキラリと光る芝居やダンス、その華もさることながら、舞台上に一人スクルージが佇む。その時の、市村さんの芝居で空間を埋める存在感が印象的。その佇まいだけで、そこにドラマを生み出す。来年、役者生活50周年を迎える市村さん。名優ここにありを見せつけられました。

最後には、スクルージ、ハリー、ヘレン、クラチット家、ロンドンの街の人々……みんなにメリークリスマス! と言いたくなる素敵な作品です。劇場を出ても、日比谷の街もクリスマスムードいっぱいで、思わず♪Thank you very very very muchと口ずさんでしまいそう。




素晴らしい一日、素晴らしい一年、素晴らしい人生! 未来は変えられる!
ミュージカル『スクルージ ~クリスマス・キャロル~』とともに、みなさまも素敵なクリスマスを! 公演は日生劇場にて12月25日まで。




ものがたり
19世紀半ばのロンドン。クリスマス・イブを迎えた街は賛美歌が流れ、陽気な賑わいを見せていた。しかし、金貸しを営むスクルージはひたすら不機嫌だ。クリスマスなんか大嫌い。金、金、金!ドケチな彼は今宵も借金の取り立てに勤しみ、献金を拒み、人々に嫌われるばかり。
そんな彼のもとに深夜、かつての親友の亡霊とクリスマスの精霊たちが現れた。彼らはスクルージを過去、現在、未来の旅へと連れていく。幼い頃の楽しかったクリスマス、愛する人との幸せな日々と別れ、身近な人々の慎ましい暮らし、そして思いもよらない未来の自分…。
クリスマスの朝、スクルージは新たなスタートを決心する。
夢と希望、愛を胸に街へ向かい、おもちゃや七面鳥、「借金帳消し」のクリスマスプレゼントを人々に贈る。大切な人と心からクリスマスを祝うスクルージは、幸せな笑顔に満ちていた。



【公演情報】
ミュージカル『スクルージ ~クリスマス・キャロル~』
2022年12月7日~25日@日生劇場

原作:チャールズ・ディケンズ
脚本・作曲・作詞:レスリー・ブリカッス
演出:井上尊晶

スクルージ:市村正親
ボブ・クラチット:武田真治
ハリー/若き日のスクルージ:相葉裕樹
ヘレン/イザベル:実咲凜音 
ジェイコブ・マーレイ:安崎 求
クラチット夫人/過去のクリスマスの精霊:愛原実花
フェジウィッグ夫人:今 陽子
現在のクリスマスの精霊:今井清隆

フェジウィッグ/未来のクリスマスの精霊:阿部 裕
トム・ジェンキンス:神田恭兵
高橋ひろし 中西勝之 さけもとあきら 高木裕和 松岡雅祥 井口大地
家塚敦子 伽藍 琳 三木麻衣子 七瀬りりこ 横岡沙季 森田万貴 脇領真央

マーサー・クラチット(Wキャスト):設楽乃愛 長谷川愛鈴
ベリンダ・クラチット(Wキャスト):佐々木咲華 若井愛夏
ピーター・クラチット(Wキャスト):越永健太郎 重松俊吾
キャシー・クラチット(Wキャスト):下井明日香 戸張 柚
タイニー・ティム(Wキャスト):奥田奏太 三田一颯
少年スクルージ(Wキャスト):西山遥都 長谷川悠大
街の子ども(Wキャスト):荒井天吾 入内島悠平

<スウィング>
西垣秀隆 尾上菜摘

公演HP

おけぴ取材班:(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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