CHESS IN CONCERT
石井一孝さん、浦井健治さんおけぴ管理人インタビュー
2012年1月26日から、ABBA作曲、ティム・ライス原案・作詞の伝説的ミュージカル“チェス”コンサートバージョンに出演される石井一孝さん(アナトリー役)、浦井健治さん(審判アービター役)のお二人にお話を伺いしてきました!
(先日の安蘭けいさん、中川晃教さんインタビューに続くおけぴ管理人CHESSインタビュー企画第二弾でございます!)
おけぴ管理人)
お二人はこれまでも「マイ・フェア・レディ」(2005年,2007年)、「蜘蛛女のキス」(2007年,2010年)と共演されていますが、お互いどんな印象、存在ですか?
石井さん)
まず、僕が健治をすごいと思うのは、僕がなりたい役者像をまだこんなに若いのに全うしているところです。
浦井さん)そんなこと。。(恐縮する浦井さん)
石井さん)
僕が尊敬しているローレンス・オリヴィエという役者さんは白人でありながらオセローで黒人を演じたり、他にも美少年からおじいさんまでどれもが同じ役者が演じているとは思えなかったそうです。。そんな、役によって役の色に変われる役者になりたいんです。
先日、(浦井さんがアルフレート役でご出演の)
ダンスオブヴァンパイアの東京公演千秋楽を観に行きましたが、(蜘蛛女のキスで)あのヴァレンティンを演じた人が、ちょっと一本ねじが足りないようなアルフレートというあほな(失礼)青年を見事に演じている。びっくりするんだよね!
本当に健治から学ぶことが多いですよ。
年齢は離れていますが、我々役者は“役として生きる”のが仕事、その点では先輩後輩関係なく見習っていきたいと思っています。
再びの共演がうれしいですね!
浦井さん)ありがたいお言葉ばかりいただいてしまって。
おけぴ管理人)
浦井さんから見た石井さんは?
浦井さん)
尊敬しています。カズさん(石井一孝さん)こそ役を演じる上で、自分を消されますよね。そして、どんどん役の幅を広げていく貪欲さもすごい。歌うことに関しても、たとえ喉がしんどい時でも役で歌おうとするので決して引かない。その気持ちの強さ、そして持って生まれた喉の強さ、全身共鳴板のような声・・・本当にいろいろな面で尊敬しています。
そして知識という点でも!
天性の音楽的センスに加えて、きちんとした知識に裏付けされた音楽への見識も素晴らしいと思います。実は、カズさんの持っているCDの書庫というのがすごくて…
地方公演中に二人で中古CDショップを巡り、生まれて初めてCDショップで蛍の光を聞きました。やがて無音になり、徐々に電気も消え。。。その中でも選び続けるカズさん。
石井さん)
一つの店舗で100枚以上買うからね、馬鹿だよねぇ、可笑しいでしょ(笑)選んでそこからレジに行く、そこからまだこだわりがありまして、背の帯の有無をすべて開封して調べるんですよ。
僕、帯マニアなんでね。
浦井さん)
200枚くらいのCDを運び、仕分けるカズさん。それを僕が後ろから見ているとスタッフさんが僕の周りに。最後は店長さん含め全員が見守る中でその作業が続いていったのですよ…この熱意はすごい!!!
石井さん)
健治、そこから学ぶことはないと思うよ。しいて言えば、もっと人に迷惑をかけないで生きた方がいいってことかな(笑)。
浦井さん)
いえいえ、こんなこと言うのは先輩に失礼ですけど、カズさんの音楽への情熱は秀でたものがあります!この音楽への情熱、愛をぜひ見習いたいです。
石井さん)
僕のマニアなところ、だめなところを可愛いと思ってくれる後輩と一緒でうれしいです。はっはっは。
おけぴ管理人)
今回共演されるCHESSという作品。
今回はコンサート形式ということですが、どのような役作り、作品作りになりそうですか。
石井さん)
コンサート形式だからと言って、ただ歌を歌って“いい声だった”とか、“ロングトーンがよく伸びていた”とかではないんです。
歌手の場合、一曲の中でその曲の主人公は消化され完結されますが、役者の場合、曲と曲が連動していて、且つその一曲を歌う“理由”が必要なんですよね。
突然アンセムが出てくる、突然マリウスがカフェソングを歌うのではなく、なぜマリウスがカフェソングを歌うのかということです。もし理由がなければ自分でサブストーリーを作ってでもそこまでのプロセスが必要になります。
僕らがやるからにはコンサート形式といってもお芝居なので、きちんとその骨格を埋めて歌いたいな。そう、健治とも話しているんですよ。
なぜこのイントロで三連符なのかというところ、それはそこに登場している人物の感情が三連符だからなんです。そうやってイントロから感情が紡がれていって歌う、そうなりたいですし、そうなると思います。
このメンバーですし!
もちろん、一曲一曲で分断された風には荻田さんが作らないでしょうからね。
感動するおけぴ管理人)
それぞれの役についても、お話をお伺いさせて下さい
浦井さん)
僕の役は一人俯瞰した、別次元にいるような存在でもあるんです。
カズさん、中川くんの対立関係、そして安蘭さん。このお三方の声の魅力ってすごいじゃないですか。
その三人を束ねているようにも見えなくてはいけない・・・。僕がどう束ねればいいですか。土下座すればいいんですかって話ですよ(苦笑)。
石井さん)
面白いこと言うね!!
浦井さん)
すごいお三方がハーモニーを奏でたり対立したりする。石井さんのアナトリーはやわらかいクラシック要素が多く、中川くんのフレディはロックテイスト。その理由は役を通してわかってくる。
僕が演じるアービターがジャッジするチェスのボードの上で、どう見えてくるのか楽しみではありますね。
おけぴ管理人)
このような役にキャスティングされたということについていかがですか?
浦井さん)
ありがたいと思っています。
(僕に)やらせたいと思ってもらえたことは大きなチャンスですから。アービターは世界各国でいろんなアプローチで演じられているので、荻田先生の演出の下、浦井版アービターを作り上げたいと思います。今までのアービターは革ジャンだったり、モヒカンで黒縁めがねだったり、中にはサラリーマンのようなスーツ姿で紳士的だったりと色々なんです。
果たしてどんなスタイルになるのか、お楽しみに。
そしてそれはほかの役に関してもみんなそうで、もしかしたら石井さんのアナトリーが革ジャンかも(笑)
石井さん)ってことは、健治がモヒカンで海パンかもしれない?!?!
浦井さん)それはありません(笑)。
石井さん)そうだね、その挑戦は必要ないね(笑)。
笑いが止まらないおけぴ管理人)
では、気を取り直して!
石井さんの演じるロシア人チャンピオンアナトリーについてはいかがですか?
石井さん)
閉鎖的で抑圧されていた冷戦時代のソ連。その空気感を出したいですね。
そしてそこで才能を見抜かれチェスの世界チャンピオンになるべく英才教育を受けて育ってきた。当然頭脳明晰だろうし、数学的に物事を考え、常に何手も先を読むようなそんな人物ではないだろうかと荻田さんとも話しています。
自由な国の人ではない、KGBが背後に潜んでいて、盗聴されているかもしれないので思っていることを言わない、言えない。そんな中で生きてきた人間が、チェスの世界大会を通して自由な世界に旅立つ経緯。祖国を捨てるべきかの葛藤。そんなバックボーンを作りたいですね。
そして彼は、ただ単に、チェスが好きだからやっているのでは決してありません。そうできたら幸せなのに…。
一方で中川くん演じるフレディは豪放磊落で、本物のチェスの天才です。そして自由な発想と表現ができる環境下にある人。で、キレやすい(笑)。
つまりNO!!と大声で言える環境で生きてきた人と、NO!!と言えない人。
だって、言えないですよね。
自分の言動ひとつで親兄弟にまで影響が及ぶかもしれない、国の恥をかかせるようなことをすれば命さえも保障されない状態ですから。
そのあたりも作り上げて行きたいと思っています。
とはいえ、僕一人が違うアプローチをしても変なので、あとは荻田さん、そしてみなさんと一緒に作り上げていきたいと思っています。
健治のアービターと目が合う瞬間、審判をどう見るのか、彼のジャッジで僕が勝つのか負けるのか、目線ひとつとっても、そこにぴりぴりしているでしょう。
アナトリーとしてアービターを見たいと思います。
おけぴ管理人)
アナトリーはフローレンスという敵対する側の女性と惹かれあうという複雑な展開も待っていますがそのあたりは?
石井さん)
そこに関しては心配していません(笑)。なにせ、とうこちゃん(安蘭さん)が素敵な女性ですから。かわいいし。
浦井さん)
カズさん!さっきから“フローレンス”ではなくて、ずっと“とうこちゃん”になっていますよ(笑)
石井さん)
あらそう?
とにかく、こうしてああでもないこうでもないとみんなで話をしながら作り上げていきたいですね(笑)。なにせ健治は4人全員と共演しているのに対して、僕は健治以外初共演だからね!
もちろん楽屋で挨拶ぐらいはしたことあるし、中川くんは何と言っても”モーツァルト!”初演を観て、なんてスゴい人だろう、いい役者だし、何と言ってもあの声!と思いました。
音楽好き、歌好きの僕は打ちのめされましたね。
そして、とうこちゃんは、実は宝塚時代、まだ、二番手か三番手のころから見ていました。
「あの役の人いいよね」と宝塚に精通している方に話すと、「あの人は安蘭けいさんという方よ」と教えてくれました。
それから何ヶ月か経ってまた見に行き、また「あの役の人いいよね」と話すと、再び「あの人は安蘭けいさんよ。よっぽど好きなのね。」と言われました。
つまり、とうこちゃんとは、これはもう運命の出会いかもしれないですよね!
まあ僕にとっての運命は、一方通行と同義語ですけどね。ははは~(笑)
浦井さん)
もうっ!勝手に運命の人だなんて!!しかもとうこちゃん、とうこちゃんって!!(笑)せめて呼び方は“フローレンス”にしてくださいよ!ぼくは事務所の人じゃないですけど(笑)
石井さん)そのくらい好きな役者さんってことだよ!!(笑)
~おけぴ管理人編集後記~
限られたインタビュー時間だったのですが、お二人の掛け合いトークにどんどんエンジンがかかっていって、めちゃめちゃ楽しいインタビューでした。
また、一ミュージカルファンとして、とっても深くいいお話もお伺いできて幸せでした!
ありがとうございました!!
p.s.石井一孝さんのブログがめちゃめちゃ面白いです!CHESSのお稽古のお話もとても面白くて楽しい♪
CHESS IN CONCERT
アメリカ人チェスチャンピオンのフレディ役を中川晃教さん。
フレディのアシスタント・フローレンス役を安蘭けいさん。
そしてフレディのライバル、ロシア人のアナトリー役を石井一孝さん。
CHESS競技を華麗にクールに裁く審判アービターに浦井健治さんなど、素敵なキャスティング♪
出演:安蘭けい/石井一孝/浦井健治/中川晃教(五十音順)
AKANE LIV/池谷京子/大野幸人/角川裕明/田村雄一/ひのあらた/横関咲栄
演出:荻田浩一
音楽監督&Piano:島健
作品HPはこちら
東京公演は2012年1月26日から29日まで青山劇場にて
大阪公演は2012年2月10日から12日まで梅田芸術劇場メインホールにて上演
上演期間も短いです!お見逃し、お聴き逃しなく!!