2014/02/13 『今度は愛妻家』 瀬奈じゅんさんインタビュー

歌はありません。
勿論、踊りもありません。
でも、ちょっとの愛があります。(公演公式サイトより)



中谷まゆみさん×板垣恭一さんの名コンビ再び!
愛すべき登場人物たちが織りなす、思いきり笑えて、ちょっぴり切ないストーリー。
映画化されたことでも知られる『今度は愛妻家』が、瀬奈じゅんさん×葛山信吾さん共演で舞台に帰ってきます!

2012年、同じく中谷まゆみさん×板垣恭一さんコンビによる舞台『ビューティフル・サンデイ』に出演、初めての“等身大の女性”を演じたことが「女優としての楽しさを発見」するきっかけになったという瀬奈じゅんさん。

宝塚歌劇団月組のトップ男役からミュージカル女優へ、そしていま “女優” としてさらなる進化を遂げた瀬奈さんに、舞台『今度は愛妻家』のことから、ご家庭での私生活まで(!)、いろいろとお話を聞いてまいりました!



<『今度は愛妻家』とは?>
ある事をきっかけに、仕事もせずにプータロー状態に陥ったかつての売れっ子カメラマン・俊介。
妻・さくらは、何があろうとマイペースな天然人。
何故だかやって来る、贔屓のお店のママ・文太(?)。
そこに俊介の助手・誠と、謎の女・蘭子と、あれやらこれやらが加わり・・・。
愛すべきちょっとダメ人間たちが織りなす、カラッと笑えて、ホロッと泣ける、ちょっとシリアスなお話。



―昨年の舞台『エニシング・ゴーズ』でのキュートなリノ役、瀬奈さんの新しい魅力が開花した素晴らしい演技でした。中谷さん・板垣さんコンビと組んだ前作『ビューティフル・サンデイ』でなにか手応えを感じられたのでは、と思ったのですが。

瀬奈)
そうですね、それは大いにあります!
『ビューティフル・サンデイ』が芝居だけで勝負するという作品だったこともありますし、なによりもそのときの自分と同じ “等身大の女性” を演じることができたことが大きかった。物語の舞台も日本でしたし、年齢設定も私に合わせてちょっと上にしてもらって(笑)。
ですから本当に自然に力が抜けた状態で演じることができたんです。「舞台って楽しいな」と心の底から思えた、そんな経験でした。
それまではどうしても宝塚歌劇の男役という影を引きずっている部分もありましたし、ミュージカルに出演していても素晴らしい共演者の中で「こんな私でいいの?」と思ってしまうこともあったんです。歌にコンプレックスもありましたし・・・。もちろん成長していくためにその気持ちは失ってはいけないものだとは思うのですが、どこかもがいている部分があった。
『ビューティフル・サンデイ』がなかったら舞台をやめていたかもしれない、それくらいの迷いがありました・・・「女優としてやっていくぞ」と決めて、努力もしていましたが、どこか(女優に)なりきれない自分がいたんです。
でもあの作品でお芝居の楽しさ、女優としての手応えを感じることができて、自分の中で何かが変わった。女優としての楽しさを見つけることができた舞台でした。
あのときに何かが吹っ切れたから『エニシング・ゴーズ』でミュージカルに戻ってきて「あ、私は人を楽しませることが本当に好きなんだ」と再確認できたんです。
その後に出演させていただいた『クリエ・ミュージカル・コレクション』もほんとうに楽しくて!それまでの私だったら「こんなに素晴らしい方々の中に私なんかが混ざっていて申し訳ない」と思ったかもしれない。でも私なりの何かをおみせすることができる、「こんな私でもいいんじゃない?」って思えたんです。



―『今度は愛妻家』も、その『ビューティフル・サンデイ』とほぼ同じカンパニーでの上演です。

瀬奈)
台本を読んで、(出演依頼の)お話をいただいたときに「やりたいです!」と即答していました(笑)。
『ラスト・シンデレラ』というドラマ、ありましたよね。あのドラマの中で展開していく会話が本当に素敵で、言葉の選び方も最高!これ脚本書いたの誰なんだろう? と思って調べたら、中谷(まゆみ)さんだった(笑)。やっぱり私は中谷さんがつくる世界が好きなんだなと再確認しましたね。
『今度は愛妻家』でもストーリーはもちろん、登場人物たちがかわす会話が本当に魅力的です。
『ビューティフル・サンデイ』のときによく「あれってアドリブ?」と聞かれたんですけれど(笑)、アドリブはぜんっぜん!入っていません(笑)。全部きっちりと台本に書き込まれているんです。
そういった会話のおもしろさは今回もたくさんありますのでお楽しみに!


―前回はちょっと変わったカップルとの三角関係(?)でしたが、今回は夫婦のおはなしなんですね。

瀬奈)
最初に台本を読んだときは、まだ結婚をしていなかったんです。それでも「なんておもしろいんだろう!」って。ストーリーに “ある仕掛け” があるのですが、台本を読みながら早い段階で私はそれに気がついちゃった(笑)。でもその仕掛けがわかっていても、やっぱりおもしろい。
台本を読み返してみても、いろいろなことを考えさせられます。自分自身が結婚したことで「もし私が “さくら” だったら、どうするだろう」と考えることはありますね。「彼のためにいったいなにができるのか、どうしたらいいんだろう・・・」って。でもこれネタバレになっちゃうから(笑)あまり詳しくは言えない。
「日常を大切にしよう」「些細な幸せを大切にしよう」と思わせてくれるお話ですよね。一緒にいられる時間や、なんてことのない毎日が大事なんだって・・・。


―今回演じる “さくら” 役は、いまの瀬奈さんに近い等身大の女性でありながら、それだけではない存在ですね。

瀬奈)
そうなんです!
“さくら” は彼女自身でもあるし、葛山さんが演じる “俊介” がみている “さくら” でもある。彼の隣に寄り添って、そこにいるのが当たり前の存在。それが彼にとって良くもあり悪くもある・・・という、ね。“さくら” という人物をしっかりとベースに持ちながら、彼の目を通した彼女を演じてみたいなと思っています。
これってじつは『エリザベート』とも似ているんです(笑)。私はこれまでにトート役もエリザベート役も演じましたが、トートという存在はエリザベートが生み出したものなんですよね。宝塚時代、トート役を演じた時に「もっと存在感を出して演じてもいいのでは」と言われたこともあるんです。でも私はそう思わなかった。あのふたりは“スカーレットⅠとⅡ”じゃないですけれど(笑)、裏と表の関係なんです。だからまずエリザベートありきということを意識しながらトートを演じました。
今回の役も、それとちょっと似ているところがあるのかなって。葛山さんが演じる彼の目を通した彼女、彼の理想、彼の“サクラ”・・・。そこがね、おもしろそうでしょう?



―その彼を演じる葛山さん、前回に続いての共演ですがいかがですか?

瀬奈)
もう彼は人として、とてもおもしろい(笑)。ものすごく真面目で誠実で、表現することがストレート。本当に飾らない表現をするんです。人って悲しい時に笑うとか、そういうこともあるでしょ。でも彼はそのまんま。感情のままにストレートにみせるから、前回(『ビューティフル・サンデイ』)の時も、彼が「うわああー!」と爆発すればするほどおもしろいというか、それをイジるのが楽しい(笑)。
でもそうやってイジられているようでいて、全てを大きく包みこんでくれる人。今回も共演が楽しみです。


―村井國夫さんとも共演が続きます。今回はかなり個性的な役柄のようですが。

瀬奈)
そうなんです。でも村井さんは個性的な役をそのまま思い切り表現するタイプではないので。ひねりをきかせて演じられると思うので楽しみです。ポスター撮影のときにも「誰がみても“○○○だな”と思えるようには作りたくない」とおっしゃっていましたね。本当に役に入り込んで作られる方なので、ポスター用の写真を撮っている時も村井さんから、とってもあたたかい雰囲気が伝わってきました。



―ちょっとプライベートなこともお聞きしていいですか?ご結婚されて1年ちょっと経ちましたが、ご主人と演技論というか(笑)、お仕事のお話をされることもあるのでしょうか?

瀬奈)
あります、あります! 普通に話しますよ。
家にいるときはどうしても家事に追われたり、飼っている二匹の犬の世話もあったりするので、もう少し生活感のあるというか(笑)、日常のあれこれの話題が多いですけど、たまに「外でご飯を食べようか」なんていうときには仕事の話もよくしますね。外でデートするときは恋人同士に戻るのかな? 家にいるとどうしても掃除や片付けに追われて夫婦モードになるので(笑)。


―今度の舞台ではその夫婦モードバリバリの役柄ですね!

瀬奈)
そうなんです(笑)。
もちろん私生活を舞台に持ち込もうとは思いませんが、でもそのエッセンスを取り込むこと、そういうことも(役作りに)利用できる自分でありたいなとは思っています。
いわゆる大劇場でのミュージカル作品ではないですから、そういった繊細なところまでみていただきたいんです。昨年はドラマなどの映像作品にも出させていただきましたので、そこでの経験も活かして・・・。ちょっとした表情の変化とか、目線ひとつとかで伝わるものがある。できることがいっぱいあると思う。
まあ、私はもともと宝塚時代からあまり大げさな演技ができなくて「ベルばらに最も似合わない男役」と言われていたんですけど(笑)。


―女優・瀬奈じゅんさんが楽しんで演じる “夫婦の物語”。劇場で拝見するのを楽しみにしています!




舞台『今度は愛妻家』は2014年4月4日から東京芸術劇場 シアターウェストにて、4月24日に名古屋・青少年文化センター アートピアホールにて、そして4月26日・27日に兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。

女優・瀬奈じゅんさんのナチュラルな魅力、そしてコメディエンヌとしての才能も存分に感じることのできる舞台となりそうです!
共演は葛山信吾さん、村井國夫さんのほか、ともに『宝塚BOYS』出演経験のある入野自由さん・石井一彰さん、そして声優としても人気の名塚佳織さん・新進注目女優の今村美乃さんが、それぞれダブルキャストとしてご出演。

原作、映画版を未見の方はぜひそのまま、まっさらな気持ちで観ていただきたい!
そして、もちろんストーリーを知っている方でも、きっと新しい感動を見つけられる・・・そんなチャーミングな作品『今度は愛妻家』。
劇場があたたかい涙と笑いに包まれる瞬間をお楽しみに!

<瀬奈じゅんさん プロフィール>
1992 年、宝塚歌劇団に入団し、『この恋は雲の涯まで』で初舞台をふむ。
早い時期からその素質は注目され、2005 年、『JAZZY な妖精たち/REVUE OF DREAMS』で 月組トップスターとなる。宝塚版『エリザベート』で、ルキーニ、エリザベート、トート、と他では 考えられない 3 役を制覇するなど、様々な色を持つトップスターとして絶大な人気を得る中、 2009 年 12 月、『ラスト プレイ/Heat on Beat!』で退団。
2010 年、女優として臨んだ『エリザベート』(演出:小池修一郎)、『アンナ・カレーニナ』(演出:鈴木裕美)で、瀬奈ならではのタイトルロールを魅せる一方、コンサート『ALive』('10 年)、『ALive Ⅱ』('11 年)、『ALive Final』(’13 年)ではエンターテイナーとしてのきらめきを存分に発揮。また、初のストレイトプレイとなる『ビューティフル・サンデイ』(演出:板垣恭一)、越路吹雪さんの生涯を等身大に演じた『Chanson de 越路吹雪 ラストダンス』(共に’12 年)、ミュージカル『エニシング・ゴーズ』('13年)、『ニューヨークに行きたい!!』('11年、以上3作演出:山田和也)など、天性の明るさがそこに開花し、女優でありエンターテイナーである瀬奈の存在を更に印象付ける。最近は、「科捜研の女」「女優麗子 ~炎のように~」等の TV ドラマにも出演し、活躍の場を広げている。
2012 年、菊田一夫演劇賞 演劇賞受賞、岩谷時子賞 奨励賞を受賞。
本年 6 月~8月ミュージカル『シスター・アクト』(演出:山田和也 帝国劇場、他)に出演予定。



<公演情報>
『今度は愛妻家』
東京公演:2014年4月4日(金)-4月20日(日) 東京芸術劇場シアターウェスト
名古屋公演:2014年4月24日(木) 青少年文化センターアートピアホール
兵庫公演:2014年4月26日(土)・27日(日) 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
チケット料金:7600円

<スタッフ>
作:中谷まゆみ
演出:板垣恭一

<出演>
瀬奈じゅん
葛山信吾
村井國夫
入野自由/石井一彰 (ダブルキャスト)
名塚佳織/今村美乃 (ダブルキャスト) 

「今度は愛妻家」公演公式サイト

♪おまけ(取材こぼれ話)
健康オタクという設定のさくら役。瀬奈さんご自身の健康の秘訣、こだわりを聞いてみました♪
「このあいだ、初めてコストコに行ったんです!母と、荷物持ちの主人と友だちを引き連れて(笑)。そこで“トウモロコシのひげ茶”と“ルイボスティー”を大量に買いました(笑)。これ結構いいですよ!むくみに効くらしいです。温かくしてよく飲んでいます。
あとは“半身浴”ですね。これはもう10年以上続いています。人間は体温が1度上がるだけでぜんぜん違うんだって春風ねえさんが言ってました。あ、春風ひとみさんのことです(笑)。半身浴は春風ねえさん直伝ですね。
(シャワーで済ませてしまうという記者に)ぜったい冷えてる!女性は特に冷やしちゃダメ。私も、もともと体温が低いのであげていきたいなと。男役のときは体温低めのストイックな感じが素敵だなと思っていたんだけど(笑)、女優はやっぱり体温高めで!“幸せ感”って大事ですからね!」



やわらかい幸せオーラ全開♪ の瀬奈さんでした!

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