【7/25さらに追記】
まずはみなさんの感想どどーんとご覧ください!とても良かった。自身の人生観、戦争報道の捉え方についても考えさせられるお芝居。
演出、出演者、舞台装置もとても良かったけれど、脚本が秀逸。
ちりばめられた端的なセリフを通して、登場人物4人の生き方、考え方がみごとに浮き彫りになっていた。
海外のウェルメイドプレイを日本で観ることができるありがたさを実感するお芝居。
▽
自分で選択する人生、ということを考えました。
何を選んでもいい、善し悪しではない、
大事なのはどうであれば自分が幸せでいられるのか、
それを選び取ることご大事だということ。
▽
イスラエル紛争の激化や集団自衛権をめぐる論議が熱を帯びている昨今、
ある意味非常にタイムリーなテーマだった。
戦争報道に対する倫理的葛藤、正義感ゆえの無力感、人生の意義とは、
幸せとは・・・等の思いが、2カップルのキャラクターが多層的に
交差することで浮かび上がり、
そこに「正解」がないゆえに考えさせられる。
▽
人生の岐路に立ったときに見ると、いろいろな道が見えてくる作品。
たった四人の登場人物しか出てこないが、彼らのそれぞれの生き方、
考え方を通して、自分だったらどのような行動をとっただろうか?
と
自分と重ね合わせて考えさせてくれる作品だった。
▽
戦場という非日常に身を置いていた二人が、日常に戻った時にどう「幸せ」を見出だして、
どういう結論を出すか・・・
リアルな台詞の応酬と同僚カップルとの対比の中で
浮き彫りになるストーリーが見事です。
出演者男女4名でカップル同士、男性同士、女性同士の言動がそれぞれ好対照です。
場面場面で様々な変化が見られ、どちらに感情移入するかは、観た人に委ねられます。
社会、仕事、結婚、家族・・・いろんなことを考えさせられます。
娯楽性は皆無ですが、ぜひ観劇をおすすめしたい、秀逸な舞台です。
▽
愛しあっている者同士の生活が、必ずしも安らぎでも幸せでもない・・・同じ女性として、
自分に向き合うことを余儀なくされました。題材、脚本、演出、俳優、
みなレベルが高かった・・・
演劇を観る喜びを感じた作品でした。
▽
最初から最後までアパートの一室だけれど、テレビに映る写真が
世界の別の場所っている悲惨な状況を常に思い起こさせて劇の背景を
よくわからせてくれていた。
▽
戦場ジャーナリストのカップルの
生き方、悩み、仕事の意味が本当によく伝わってくる。
舞台いっぱいに創られた
二人の部屋と天井が素晴らしい。よく象徴されている。
女性が働き、結婚、子育ての問題が二組の男女を通して考えさせられる。
▽
まったくタイプの違うカップル2組、そして
ひとりひとりの感情や個性がはっきりと描かれているが、単純に類型的にならずに各々が魅力的。
戦場カメラマンとして、たくさんの不幸をみながら、自分のライフワークとして記録者として生きていこうとする主人公の決断が重くて、中越さんも良かったが、一歩引いてしまうしかない瀬川さんの優しさが印象に残った。
中東の戦争はさらに激しさと複雑さをましているので、この劇のテーマは考えさせられた。
では、改めて稽古場の様子をレポートいたします!
社会の縮図感がハンパない!縮図感なる言葉があるのかわかりませんが(笑)。
でも、率直にそう思ったお芝居が
『永遠の一瞬』、稽古場の様子をレポートいたします。
登場人物は二組のカップルのみ。
その一人ひとりが異なる価値観を持つなかで、ぶつかり合い、認め合い、それぞれの人生を歩む姿に自らを重ね、見つめなおす。
それと同時に今なおやむことのない世界各地での紛争、それに対して個人、組織、社会が果たすべき役割とは何かを問う。
観劇のひとつの醍醐味、
考えるきっかけ(=素敵なお土産)をもらえる、
新国立劇場ならでは、宮田慶子さん演出ならではの作品です。
―ものがたり―
舞台はニューヨーク、ブルックリン。イラク戦争の取材中、路上爆弾で負傷したフォトジャーナリストのサラを、恋人であり、職業上のパートナーでもあるジェームズはいたたまれない思いで迎えに行き、二人のアパートに戻ってくる。
彼らの友人であるリチャードが、若いガールフレンドのマンディを伴い見舞いに訪れる。屈託なく、幸せそうな二人の姿に、サラとの結婚を切り出すジェームズだが・・・・・・。
サラとジェームズ、互いに自立したカップルのアパートを舞台にしたお芝居。
有能な女性戦場カメラマン・サラには中越典子さん。
中越さんに可憐な印象を抱かれている方も多いかと思いますが、なかなかの
骨太女性を創り上げています!ハンサムウーマン!
サラ:中越典子さん イラク戦争の戦場取材中に負傷しニューヨークに戻っている
サラのボーイフレンド・ジェームズには瀬川 亮さん。
このジェームズという男性、とてもスマートで優しい、ずばり
ナイスガイなのですが、もちろんそれだけではございません。内面のぐちゃぐちゃしたところも含め、とても
人間味あふれる瀬川さんのジェームズなのです。
ジェームズ:瀬川 亮さん 恋人の負傷を機に・・・
ふたりの元にもう一組のカップルが訪ねてくると。
リチャード:大河内 浩さん、マンディ:森田彩華さん
編集者のリチャード、そして彼の若い恋人マンディが登場すると、
「うわぁ、リチャード、どうしちゃったの?」
苦笑いとなんとも言えないイラっと感が “自然に” わいてきます。
それって、裏を返せば
描写が非常にリアルということ?!
イベントプランナーという仕事に就いているマンディ、彼女なりのやり甲斐を感じているようですが、サラ、ジェームズ、リチャードたちとは異なる感覚の持ち主。
リチャードは人生も後半に差し掛かって、いろいろと思うところあり若いマンディと真剣交際を始めたという。
大河内さんのどっしりとした存在感。サラの理解者、頼りになる編集者でありながら、男性としての弱さなど可愛らしいところも。
森田さんのマンディは登場の破壊力がすごいです。若くて、キャピキャピしていて、とてつもなく場違いで、でも、マンディなりに筋の通ったキャラクターなのです。
リチャード、サラ、ジェームズ、共通言語を持っている三人
一幕の稽古を拝見して印象的だったのは舞台上から伝わる
空気の緩急です。
サラ、ジェームズ、リチャードの三人の会話からは付き合いの “歴史” からくる
親密さが、対してマンディの
異質さ加減たるや。
そのコントラストをはじめ、まるで自分もその部屋にいるような、温度変化や “気” の動きを感じるお芝居です。
それは、立ち位置やセリフで表現されるところももちろん大きいのですが、それ以上に
役者さんがひとりひとりのキャラクターの人生を背負ってそこに居るからこそ伝わる感覚ではないでしょうか。
物理的にも心理的にも人との距離感っていろいろですよね
予想以上にリアルで親しみを覚える物語。
見る人それぞれに面白さが見つかるおススメの作品ですが、稽古場レポートを書くにあたっては独特の難しさも感じています。
なぜか第三者的視点を持てなくなり、ちょっと気を抜くとついつい誰かに肩入れして感傷的になってしまうこの感覚。
中立を保つのにちょっと頑張りがいるのです。
もしかしたらそれがこの戯曲の持つ魅力なのかもしれませんね。
大人なカップルに訪れる変化のとき。
え、何があったの?!というこの写真でレポートを終わろうと思いますが、ここから先、第二幕では新たな展開をみせる二人。
それぞれに共感してしまう、行き場のない思いがあふれます。
でも、登場人物たちはたくましい。
ぜひぜひ劇場で確かめてください。
女性の働き方、結婚、出産などに強いスポットがあたっている今の世の中に、新国立劇場が放つ『永遠の一瞬』。
知的で愛情深くて、ドラマのスパイスも効いている大人の会話劇です。
観劇後の女子会も盛り上がりそうですし、そこに男性の視点が入るともっと面白そう。
お友達を誘っての観劇もおススメです。
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影) 監修:おけぴ管理人