2014/12/31 冬のソウルで熱狂の感激観劇!ソウル観劇レポ

正午近くに金浦空港に着陸の機内で「現地の気温は-3℃」とのアナウンス。
一瞬たじろいでしまいましたが、その地で待ち受けていたのは熱狂のミュージカル感激観劇体験♪

数ある上演作から今回選んだのは、『ジキル&ハイド』 『ラカジ』(邦題:『ラ・カージュ・オ・フォール』) 『キンキーブーツ』 『マリー・アントワネット』(『MA』)の4作品。
日本でもおなじみの作品から、2013年のトニー賞の賞レースを沸かせた最新作まで取り混ぜてみました。


『ジキル&ハイド』

『ラカジ』(邦題『ラ・カージュ・オ・フォール』)

『キンキーブーツ』

『マリー・アントワネット』


【ジキル&ハイド】


まずご紹介するのは、『ジキル&ハイド』、今回最も衝撃的だった作品です。
日本でも2001年の初演以来、鹿賀丈史さんや石丸幹二さん主演で人気のジキハイ!

劇場にあるさまざまなボードの中でひときわ目を引いたのがこちらの一枚です。
2014年が初演から10周年となる韓国版『ジキル&ハイド』、歴代のキャストがみなさまをお出迎えです。(切れてしまった俳優さん、ごめんなさい)



例えばタイトルロールは、この10年で9人の俳優さんが演じています。
その中には韓国ミュージカル界をけん引し続けるリュ・ジョンハンさん、ドラマ『馬医』などでもおなじみのチョ・スンウさんといった初演キャストや2014年『ミス・サイゴン』のトゥイ役でウェストエンドプリンシパルデビューを飾ったホン・グァンホさん、そしてキム・ジュンヒョンさんヤン・ジュンモさんといったジャン・バルジャン役で日本のレミゼラブルに出演の面々といった豪華な顔ぶれ!


歴代ジキル&ハイド!!

今年は記念公演ということもあり初演キャストのリュ・ジョンハンさんとチョ・スンウさんがカムバックという話題の公演! なのですが、観劇したのはこちらのキャスト。10年目に誕生した10番目のジキル&ハイド役のパク・ウンテさんです!


パク・ウンテさん(ジキル&ハイド役)、リナさん(ルーシー役)、チョ・ジャンウンさん(エマ役)

これまでにも『エリザベート』のルキーニ役や『モーツァルト!』のヴォルフガング役、『ジーザス・クライスト・スーパースター』のジーザス役など幅広い役柄を演じてこられたパク・ウンテさんがまたまたやってくださいました!
正直に申し上げますと、実際に観るまでウンテさんのジキル&ハイドはピンとこなかったのですよね。

それを華麗に裏切ってくれました。1幕は初めて聞くハイドヴォイスに驚愕!!こんな声が出るの?!
そして2幕はその衝撃を引きずりつつ、今度はお芝居に心奪われました。もちろん終盤のジキル&ハイドの演じ分けにも圧倒されましたが、それ以上にハイドの哀しみとそれゆえの美しさが胸に突き刺さりました。演じ分けとは言ったものの、あくまでも一人の人間から派生した2つのキャラクター、その紙一重の表現にノックアウトです。
人間の弱さや哀しさ、そしてその悲劇の発端が“愛”であるということの切なさ。
さまざまな思いが観劇後もめぐるような、まるでストレートプレイを見たような余韻いっぱいの幸せな観劇でした。

それでいてカーテンコールはサービス精神旺盛!端正なジキル姿で登場し拍手喝采を浴び、ほかのキャストがはけてからは舞台上に一人、はらりと髪をほどいてハイド氏登場!シャツの前側をガバッとはだけさせ、キレのある投げキッスで去っていきましたとさ。
もう客席はキャーキャーものです。

公演は4月まで、ジョンハンさん、スンウさんのレジェンズももちろん素晴らしい公演ですがウンテさんも超おススメです!
(そして年明けに11番目のジキル&ハイド、チョ・ガンヒョンさんの加入が発表されました!こちらも楽しみですね)
リナさんはアイドル出身のミュージカル女優さんですが可憐さと妖艶さを持ち合わせた素敵なルーシー、ジャンウンさんのエマは安定の強さと美しさです。

さらに劇場紹介!


ロビーにはジキル博士の実験室セットも!これはテンション上がります!


衣裳も展示されていました


【ラカジ】


続いては『ラカジ』、日本では『ラ・カージュ・オ・フォール』の名で人気のこの作品、今年日本では30周年記念公演が行われますね。





韓国では今回は再演。初演時に見たキム・ダヒョンさんのザザではなく(超美ザザでした)、韓国レ・ミゼラブルのジャン・バルジャン役を務められたチョン・ソンファさんのザザを観劇しました。
180cmの大柄なザザはドレス姿もインパクト有!客席の笑いのツボを心地よくくすぐるソンファザザの生き様と母性に笑ったり泣いたりの大忙し。

終盤のジャン・ミッシェルが♪見てごらんを歌う場面でのジョルジュ(ナム・ギョンジュさん)がザザを見つめる目線の優しさにも涙涙。ラカージュ最高!!
ダンドンパパの化けっぷりも振り切れていましたし、ダンドンママとザザ(アルバン)の同じ匂い感もいい感じ♪
そして、忘れてはならないのが侍女のジャコブを演じるキム・ホヨンさん、あの華と毒っ気、クセになります♡

ちなみに今回のザザはトリプルキャスト、ソンファさん、ダヒョンさんのほかにイ・ジフンさんもいらっしゃいます。見比べたい…欲望は尽きません。


3人のザザ/アルバン


【キンキーブーツ】


まだまだいきます!
こちらは日本未上陸、2013年のトニー賞ミュージカル作品賞、オリジナル楽曲賞、ミュージカル主演男優賞受賞の話題作『キンキーブーツ』が早くも上演!
オリジナル楽曲を手掛けたのがシンディ・ローパーであることも注目されましたね。

倒産の危機にある老舗紳士靴メーカーがドラァグクィーン用のブーツを手掛けることで再生を図る物語です。


キム・ムヨルさん(チャーリー役)、カン・ホンソクさん(ローラ役)、チェ・ユハさん(ローレン役)

エネルギー発散型のノリノリの作品。なんと言ってもドラァグクィーンのローラ役がパワフル!
いわゆるミュージカル楽曲というよりはロック、ポップス、そしてソウルな歌唱法が要求されるこの作品。1幕ラスト(ココはなかなか複雑なステージングにドッキドキです)や大詰めはライブのノリです。(レポラストにPR動画あり!)

それでいて心温まる物語もしっかりと堪能できます。
代々継承されてきた靴店の跡取り息子チャーリー(キム・ムヨルさん←誠実さ&男前が炸裂)と父に勘当されながらも自分らしく生きることを選んだローラ(カン・ホンソクさん←パンチが効いた歌唱と時折見せる切ない表情に心鷲掴みされました)、二人の“息子たち”の物語でもあります。
ちなみに、こちらは同名の原作映画を見てストーリーを予習してから観劇しました。



こちらがキンキーブーツの写真スポット!
手前のプレートの後ろに立つとド派手なブーツを履いている姿で写真が撮れるという趣向を凝らしたスポットです。
このように写真を撮りたくなる → SNSに投稿 → 情報拡散!となるような写真スポットが巧みに配されているのもソウルの劇場の特徴かもしれませんね。


【マリー・アントワネット】


そして最後は『マリー・アントワネット』、そのタイトルロゴからお分かりの通り『MA』です。
タイトルロール“マリー”なのね。ちょっと複雑な気持ちもいたしましたが、大丈夫、マルグリットも出てきますよ。
♪心の声もガッツリ聴かせます!



ほかにもルイ16世が歌う♪もしも鍛冶屋ならなど名曲はそのままに新曲も多く取り入れられ、登場人物もマリー、マルグリット、フェルゼン、オルレアンを中心に描かれています。

日本の『MA』ファンにはカリオストロ、ボーマルシェ、アニエスといったキャラクターが登場しないところにさみしさを覚えつつ、フェルゼンとマリーの恋愛ドラマやひとりの母としてのマリーを目の当たりにしたマルグリットに芽生えた感情などを描くこの作品はわかりやすいといえばわかりやすいのかな。そんなことも思いました。

ギロチンのシーンは何度見てもなかなか残酷…心が痛くなりますが、演出効果によってそれが次の時代の始まりの象徴であるような印象が残るものになっていました。



キャストは母としての演技もイイ!マリーにオク・ジュヒョンさん、ガンガン歌いまくりマルグリットにユン・ゴンジュさん。2幕のお二人のデュエット(というかガチ歌対決)は聞きごたえ120%でした♪
男性陣は豊かな声量、麗しのフェルゼンはチョン・ドンソクさん、悪の色気ムンムンのオルレアンはキム・ジュンヒョンさんと日本でも公演をされているみなさま揃い踏み!
ドンソクさんやジュンヒョンさんは日本でのコンサートも予定されています!

♪『チョン・ドンソク The Greatest Vocalist』2015年2月22日(日)
♪『キム・ジュンヒョンコンサート』2015年2月11日(水・祝)


他にも「風と共に去りぬ」、「ONCE」、「シャーロックホームズ:アンダーソン家の秘密」、「スリル・ミー」などなど話題のミュージカルが上演中のこの冬のソウル!
確かに東京よりピリリと寒い日が続きますが、観劇で心はポカポカ、いや、それどころかかなりのヒートアップが予想されますよ♪(とはいえ、暖かい格好でお出かけくださいね)

もちろん春以降も続々開幕!
同じ作品でも日本版、韓国版を見るとそれぞれに特徴があり観劇の楽しさの幅がぐーんと広がります!
ぜひ一度、作品、役者、劇場、客席の熱などミュージカル@ソウルをお楽しみください。

また、BUTAKOMEさんサイトのソウルミュージカル特集も充実の内容ですよ。
特集☆ソウルから直送!最新ミュージカルレポート
舞台トレイラー映像などもたっぷりですよ!


【日本からも日本語でチケットが買えます!】


韓国のプレイガイドINTERPARK Globalサイトよりミュージカル公演などのチケットを日本語で購入できます(座席選択可、カード決済、キャンセル可能※)。
※所定のキャンセル料が発生いたします

ミュージカル「ジキル&ハイド」
公演期間 : 2014-11-21 ~ 2015-04-05
会場 : ブルースクエア・ミュージカルホール

ミュージカル「キンキーブーツ」
公演期間 : 2014-12-02 ~ 2015-02-22
会場 : 忠武アートホール・大劇場

ミュージカル「マリー・アントワネット」
公演期間 : 2014-11-01 ~ 2015-02-08
会場 : シャルロッテシアター

ミュージカル「ラ・カージュ」
公演期間 : 2014-12-09 ~ 2015-03-08
会場 : LGアートセンター

※公演期間は記事公開時点での情報です。
※公演の延長などもありますので詳細は公式発表などをご確認くださいね。


【ご参考まで】

今回の遠征スケジュール

金曜日午前便(羽田→金浦)
空港鉄道・地下鉄でソウル中心部へ移動、ホテルにチェックインしてひと休み
夕方 劇場方面へ移動し夕食 
 20時『ラカジ』観劇
土曜日 午前中は街をふらふらし劇場近くでランチ
 14時『マリー・アントワネット』マチネ公演観劇
 お茶&軽食
 19時半『キンキーブーツ』ソワレ観劇
 ホテルで食事
日曜日 午前中は街をふらふらしランチ
 14時 『ジキル&ハイド』マチネ観劇
 打ち上げディナー!(ココにもう1公演入れるのも可!)
月曜日 お昼便(金浦→羽田)
※早朝便を利用すると午前中に羽田空港に着きます!午前休で職場復帰可能!

ちなみに韓国の公演スケジュールは基本的に下記の通りです。(この限りではありませんので正式なスケジュールは各公演の公式発表をご確認くださいね)

月曜日休演 
火~金曜日はソワレ公演(20時開演が多い)、水曜日のみマチネもあり
土・日曜日はマチネ・ソワレ公演

そのため、金曜日夜からソワ・マチ・ソワ・マチ・ソワと観劇して月曜日早朝便で帰国!で5公演観劇が効率よく観られるようです。ベテランになると深夜公演などにも挑戦できそうですが、まだまだその度胸はなく…。
また、マチネ公演が14時/15時始まりが多いこともあり、午前中を有効活用すれば観光やショッピングなども楽しめます。

【チケット代のお話】


気になるチケット代金については海外ライセンス作品の大劇場ものに関しては日本とほぼ同程度(為替の関係で最近はやや高い)です。
各種席種がありますが、だいたい5万ウォン~14万ウォン(5,500円~15,000円)の価格帯となります。
プログラムはだいたいの公演で1万ウォン(1,000円ちょっと)程度です。
要注意なのは公演初日にはパンフレットがまだ売られていなかったり、千穐楽には売り切れてしまうことも!

中・小劇場もの(例えば『スリル・ミー』『シャーロックホームズ』など)は4,000円台~8,000円台の席種が設定されています。


長~いレポ、お付き合いありがとうございます!最後にご紹介するのは『キンキーブーツ』公演PR動画です♪
ノリノリです!!




おけぴ取材班:chiaki 監修:おけぴ管理人

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