トニー賞史上最多受賞!伝説と共に歩み続けるクリエイター、
ハロルド・プリンス。
彼が自らの集大成として、ミュージカル史に燦然と輝く名曲・名場面を一挙に贈る最高に贅沢な
ミュージカルショー『プリンス・オブ・ブロードウェイ』。
世界トップレベルのクリエイティブチームと実力派キャストが集うショーの世界初演にむけ、制作発表が行われました。
写真左より)市村正親さん(声の出演)、ハロルド・プリンスさん(演出)、
スーザン・ストローマンさん(演出・振付)、柚希礼音さん(出演)
まずは、『プリンス・オブ・ブロードウェイ』、その人、
演出のハロルド・プリンスさん。
26歳で傑作ミュージカル『ウェストサイドストーリー』をプロデュース、演出家に転身後は『キャバレー』『太平洋序曲』『スウィーニー・トッド』『エビータ』、そしてブロードウェイの最長ロングラン記録を更新し続けている『オペラ座の怪人』などを手がけたミスターブロードウェイ!これまでにアメリカ演劇界最高の栄誉であるトニー賞を、史上最多・前人未到の21度受賞されています。
「正直に言うと、この公演のお話をいただいたとき、最初は躊躇したんです。
自分のことを報告しているみたいでちょっと恥ずかしかったんです(笑)。でも、同時に魅力も感じました。
いままで創り上げてきたものを、伝統として守っていく、遺産としてみなさんと分かち合うことも必要だと。また、
守りながらオープンマインドで進化も遂げ、これからも演劇界の輪を広げていきたいと思います」
ひと言ひと言の深み、温かさに会見場がつつまれる、素敵な人柄がにじみ出るコメントの数々です。
続いては、
共同演出、振付を担当するスーザン・ストローマンさん。
5つのトニー賞受賞(『プロデューサーズ』、『コンタクト』など)、過去最多の5度のフレッド・アステア賞を受賞のストローマンさんにとってこの公演は『クレイジー・フォー・ユー』、『コンタクト』、に続いて、日本での3つ目の公演となるそうです。
スーザン・ストローマンさん
「
ニューヨークで仕事をしている者はみんな、ハロルド・プリンスから演劇を学んできました。彼が開拓した道を我々が歩んできたのです。
ハロルドの素晴らしいキャリアを祝福するこの公演に参加できること、それを皆さんと共有できることを大変うれしく思っています」(スーザン・ストローマンさん)
ストローマンさんからご登壇のキャストについても紹介がありました。
「礼音はたぐいまれなパフォーマー、ダンサー、彼女のために振付をできることを楽しみにしています」(スーザン・ストローマンさん)
柚希礼音さん、シュラー・ヘンズリーさん
「この夢のようなお話をいただきましたが、まさか現実になるとは…今、制作発表をしていて本当になるのだと身の引き締まる思いです。
素晴らしい方々とご一緒できることは夢のようですが、夢ではないので、いろんなことを勉強しながら、英語もいっぱい勉強して、
心を伝えられるように稽古をして日本に戻ってきたいと思います」
「彼とは『オクラホマ!』でご一緒しました。そこで彼は、助演俳優としてトニー賞、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞しました」(スーザン・ストローマンさん)
シュラー・ヘンズリーさん
「長く俳優をやっておりますが、作品に入る前からこんなに興奮したことはありません。
ハロルド、スーザンと仕事をするということはアメリカの俳優にとって夢です。
どちらかお一方というだけでも素晴らしいのに、二人一緒に!こんなに素晴らしいことはありません。
また、私は、いまだかつてこのような作品に出たことはありません、なんといっても
全楽曲がヒット曲なんですからね!
キャストを代表して申し上げます、“みんな楽しみにしています”。ありがとうございます」
「現在、ブロードウェイで『オペラ座の怪人』クリスティーヌを演じている新星ケイリーです」(スーザン・ストローマンさん)
ケイリー・アン・ヴォーヒーズ
「みなさんこんにちは!私は大学在学中に『オペラ座の怪人』出演がきまり、そのままブロードウェイの舞台に乗ることになりました。今回、日本に来るまでパスポートを持っていませんでした。初めての外国です。なんて素晴らしいんでしょう!
夢が実現しワクワクしています。
こんなにたくさんのカメラを向けられて、信じられない気持ちです。精一杯務めます。お楽しみに」
そして、この日にサプライズ発表されたのが、
劇中でプリンスのモノローグ(独り語り)を担当する声の出演者、市村正親さん!
プリンス氏曰く、
「本当に長い付き合いとなる彼のことを紹介したい。
彼はおそるべき賢さと感性、ユーモアのセンスの持ち主なんです。私は運に恵まれてここまで来た、リスクを冒してでもチャンスをつかむ、その勇気を、それからミュージカルというのは古き良き時代からポピュラー音楽が作曲され始め、その流れが来た時に、より政治的なものも含めシリアスなものになってきました。その
大きな流れを彼以上に表現できる人はいないと思います」
ハロルド・プリンスさん、市村正親さん
「ハル(ハロルド)との出会いは『オペラ座の怪人』初演です。
当時は劇団におり、ファントムはオーディションを受けなくていいと言われておりましたがハルがどうしても市村の歌を聞いてみたいと言いまして(笑)。
そして彼は僕をファントムに選んでくれました。初日が開けて何で選んでくれたのか尋ねたら、決して歌じゃないと…目が危なかった。そう言われたときに歌じゃないんだって(笑)。その頃からの付き合いです。
僕にとって、ハルこそが劇場の人です。
僕も昨年病気をいたしましたが、まだ芝居の神様が“お前は劇場で働く人間だ”と生かせてくれたと思っています。
劇場の人の声を、劇場を愛する僕がやる。芝居の神様が僕にこの役を与えてくれたと運命的なものを感じています」
ほかにも
「ミュージカルという、ひとつの芸術の形態に長い期間かけて起こった変化を描きたい」と語ったプリンス氏。
プリンス氏が感じてきたのは、ブロードウェイの古き良き、軽妙で軽快なミュージカルからポピュラー音楽、ロック音楽が台頭し、同時にシリアスなもの、政治や社会、組織のこと結婚生活のこと真摯に受け止めた演劇性の高いものへの変遷。
「演劇性、そこにこそ、私の興味があります。さらにそこに音楽と踊りが加わるミュージカルはとても好きです」と力強く語る姿が印象的でした。
また、ご自身が劇場へ行ったときにオーケストラのチューニングの音や、舞台裏から伝わる熱気が伝わってこなかったときは非常にがっかりし、
作り手の情熱がこもっているものを描く、表現することを大事にしているという言葉に、ミュージカルを愛するものとして共感マックス!!
その集大成ともいえる『プリンス・オブ・ブロードウェイ』への期待もマックスに高まったのでした。
公演には、現在ブロードウェイの『レ・ミゼラブル』公演にてジャンバルジャン役を務めている、日本でもおなじみの
ラミン・カリムルーさんをはじめとした才能豊かなキャストのみなさんが集結。そして、クリエイティブスタッフには、あの
ジェイソン・ロバート・ブラウンさん(『マディソン郡の橋』にて2014年トニー賞最優秀作曲賞、最優秀編曲賞、『ラスト・ファイブ・イヤーズ』ドラマディスク賞、2014年には映画化、『4Stars』編曲)も音楽スーパーバイザー・編曲で名を連ねる豪華さです!!
世界に先駆けて日本で上演される、
『プリンス・オブ・ブロードウェイ』、さぁ、どんな夢の世界が繰り広げられるのか、ミュージカルラバーズ必見の舞台です!
【囲み取材レポ】
会見後行われた囲み取材での話題はやはり・・・柚希礼音さんの役どころ!
「彼女のことは大好き、ワンダフル!一緒に仕事をするのが待てないわ。
REONという、彼女自身としてパフォーマンスするだけでなく、『くたばれ!ヤンキース』のローラ、『蜘蛛女のキス』、『太平洋序曲』や『ブロードウェイ ベイビーズ』など作品の中の
劇中人物も演じていただきます」(スーザン・ストローマンさん)
確認ですが女性役ですよね。スカート姿も?!との問いに
「退団後、一作目ですからね。恐ろしいと、
ファンのみなさんもショックを受けない(笑)、でも女性としても美しく見える衣裳を用意してくださっているとのことです。カッコイイ女子!ですかね」(柚希さん)
「女性じゃないですか!美しいレディですよ!
実はサプライズにしようと思いましたが、1回パンツスタイルで登場してもらおうと思っています。
『太平洋序曲』での水夫役です」(ハロルド・プリンスさん)
「屈強な男性の中で男役に見えるか心配…」
「何も心配しないで、ちゃんとするから!」(ハロルド・プリンスさん)
頼もしい!!
「プリンスと出会えたことが、僕にとっての幸運。こうしてスーザンとも出会え、柚希さんともこういう形でご一緒できる、それも運です」(市村さん)
最後に、長いキャリアをもつプリンス氏ならではの含蓄あるメッセージをご紹介いたします。
「運というものは、よく軽んじられますが、運こそが物事を決めていくと思います。キャリアにおいても、とても大事なんです。どれだけ才能があったとしても、運に恵まれないから出られない人が世の中にはたくさんいます。
タイミングよく運が来たときにつかめるかどうかが大切なんです」(ハロルド・プリンスさん)
【歌唱披露フォト】
ヘンズリーさんによる♪If I Were A Rich Man(『屋根の上のヴァイオリン弾き』)、♪My Friends(『スウィーニー・トッド』)、ヴォーヒーズさんによる♪Wishing You Were Somehow Here Again(『オペラ座の怪人』)。
イントロが流れると、その表情と歌声、醸し出す空気で作品世界へ誘う、ブロードウェイの第一線で活躍する役者の力量をまざまざと見せつけられました。
【おまけの笑顔フォト】