なにわ道頓堀、
大阪松竹座の秋は…笑って泣いて、心しみじみ&ホッカホカ!
11月7日に初日の幕を開ける、
『松竹新喜劇 錦秋公演』公演ニュースを、出演者のみなさまのコメントとあわせてお届けいたします!
【公演資料より】
とことん笑えて、ほろりと泣ける
それが松竹新喜劇!!喜劇は時代を映す鏡である。
昭和23年に松竹新喜劇が誕生しました。源流となる「喜劇」が生まれたのは明治37年。折々の時代を背景に、松竹新喜劇は人々の喜怒哀楽を笑いの中に描いてきました。そして喜劇第一号「無筆の号外」は、当時開戦したばかりの日露戦争を題材にした作品でした。
松竹新喜劇には先人たちが生み出してきた名作が宝の山のようにあります。作品自体は昔作られたものでも、人間の行いや気持ちは普遍であり、松竹新喜劇は、そんな人物たちの喜怒哀楽を“いま”の時代の空気とともに“いま”の観客の前で演じてきました。
また、歌舞伎俳優であった曽我廼家五郎、十郎によって喜劇が発祥した歴史があることから、歌舞伎など伝統芸能を基にした作品も多く、所作や演技、下座音楽までさまざまな要素を取り込んでいます。そういう意味でも松竹新喜劇は、伝統と“いま”が同居する劇団です。
「はるかなり道頓堀」にも登場する 道頓堀の相合橋にて
それでは、気になる昼夜の演目をご紹介♪
<昼の部>
入れ替わりに、早替りに、恋のドタバタ!?一、
「はっぴとズボン」好いて好かれて夫婦にと誓う、文太郎さんと露子さん。しかし、文太郎さんの仕事は色街の男衆。田舎にいる昔気質の父親友蔵さんに結婚を反対されてはと、文太郎さんの仕事を銀行員とごまかし、晴れて夫婦となった二人でしたが、友蔵さんが田舎から出てきたから大変!とんだ騒動に・・・!
銀行員と妓丁、兄と弟の使い分け・・・持ち前の手八丁口八丁であれやこれやの大奔走が、背広とズボンがはっぴとズボン、はっぴとパッチが背広とパッチ。一人で二役の抱腹絶倒の一幕! ザ・喜劇! なドタバタもの。
主役の曽我廼家寛太郎さんはひとこと
「がんばります!」松竹新喜劇版“愛と青春の旅立ち”!? 笑いのち心しみじみ…二、
「はるかなり道頓堀」昭和初期、芝居街として賑わう道頓堀の芝居茶屋「松嶋」。ここで働くお茶子お初とおきくは仲の良い姉妹で、お初には同じ「松嶋」で男衆として働く亭主平吉がいました。飛ぶ鳥を落とす勢いで人気急上昇中の若手役者、青柳啓二郎とおきくの秘めた恋がお初と平吉を巻き込んで・・・。
舘直志(二代目天外)が最盛期の昭和四十年六月に書き下ろした作品で、珍しく三幕の長編喜劇。平成四年、三代目渋谷天外が襲名狂言として中座、新橋演舞場で上演、大好評を博しました。渋谷天外さんの襲名狂言としても上演された、二代目天外作(現・天外さんの父。しかもこのストーリーは実話が基だとか!)の「はるかなり道頓堀」。
当時、天外さんが演じた役(人気役者・啓二郎とその息子・菊二郎の二役)を、今回は藤山扇治郎さんが演じます。
天外さん:
「他の劇団にはない温かさがフワーッとでてくるお芝居。綺麗な新派風のラブストーリーですが、最後にはやっぱり松竹新喜劇になります(笑)。」扇治郎さん:
「良い芝居を悪いお芝居にしないように精進したい。天外さんの役をできる嬉しさ、緊張もありますが、先輩方が伝統を残してくれたからこそできること。感謝しています。自分の個性も大事ですが、まずは役になりきることが大切だと思っています」
<夜の部>
藤山寛美二十快笑の内一、
「愛の設計図」大崎工務店で現場監督として働く石原堅造さんは人情深く信望厚いと評判です。しかし、大学を卒業して一級建築士を目指し建設作業員として働く勤勉な青年、間文太郎さんにだけ厳しくあたるその訳とは・・・。
藤山寛美二十快笑の内。建物の設計図、機械の設計図、人生の設計図。行末を担う設計図。設計図次第では・・・。石原さんが文太郎に委ねる愛の設計図とは・・・。心温まる一幕。藤山直美さん座長公演でおなじみの曽我廼家文童さんがご出演。
藤山寛美さんが演じた石原役を弟子の曽我廼家八十吉さんが初役で挑みます。
演出は劇団赤鬼の川浪ナミヲさんです。
曽我廼家文童さん:
「私が劇団を離れて随分たちましたが、“もう一度新喜劇に元気を取り戻したい”という思いに胸が熱くなりました。私はただ先輩方に教わったことをそのまま伝えるだけ、言葉が厳しくなることもあるかもしれないけれど、若手はそれに応えてがんばってくれるやろと期待しています」嫁姑問題に親子愛…永遠のテーマです二、
「お種と仙太郎」住吉神社境内で茶店を営むお岩さん、女手一つで子供を育て、娘のお久さんを丹波屋さんへ嫁がせ、息子の仙太郎さんにはやさしくて器量よしのお種さんを貰い、無事母親の役目を果たしました。しかし、息子夫婦の仲の良さに嫉妬してお種さんに辛くあたる日々。これを懲らしめようと・・・。
藤山寛美二十快笑の内。子への情が行き過ぎて、嫁と姑がこじれだす。笑いの中に親子の情愛、嫁姑の絆というテーマを描いた作品。とことん笑うてホロリと泣かす、人情喜劇の傑作。私財を投じて道頓堀を開削した安井道頓・道卜の記功碑前にて
さいごに、長年松竹新喜劇に携わってきた大津嶺子さんと、劇団代表の渋谷天外さんのコメントをご紹介しますね。
大津嶺子さん:
「時代とともに、変わらなければならないことがあります。若い劇団員たちも、自分たちが持っているものを出しながら一生懸命にがんばってもらいたい。そのなかで私も一緒にがんばらせていただきたいと思います」天外さん:
「松竹新喜劇は、劇団の力、アンサンブルを大事にしています。それぞれの芝居のおもしろさを出しながらも、全員がスクラムを組んだ時にものすごい力がでるようなチームワークの良さをみてほしい。100人お客さまがいらしたら90人には笑って泣いてもらい、あとの10人には納得してもらえるように、昼夜どちらを観ても楽しんでもらえるものを作りたい」道頓堀角座にて製作発表を行いました。
『松竹新喜劇 錦秋公演』は、かつて劇場が立ち並び“芝居町”とよばれた道頓堀に、いまも残る
大阪松竹座にて、11月7日に幕をあけます。
全世代が楽しめる、安心喜劇。
ご一緒にワハハと笑って、ジーンと涙…芝居の醍醐味を味わいましょう♪
【これまでおけぴでご紹介した「松竹新喜劇」関連レポはこちら♪】
「松竹新喜劇新秋公演」製作発表レポ【藤山扇治郎さんからのメッセージ付き!】『松竹新喜劇 錦秋公演』顔寄せ・稽古場レポート【番外編♪】『道頓堀パラダイス』ゲネプロ&会見レポート
写真提供:松竹株式会社 大阪松竹座
編集:mamiko 監修:おけぴ管理人