渡辺えり還暦特別公演『ガーデン~空の海、風の国~』渡辺えりさんインタビュー

【感想が届きました♪】



♪小劇場の聖地「ザ・スズナリ」で渡辺えりさんの還暦特別公演を観ることが出来たことは、同年代の私にとって一生の記念になります。えりさんのエネルギーをおすそ分けしていただいた気分です。

♪スズナリのあの小さなスペースの舞台なのに、驚くような仕掛けが満載!
役者さんのダンスや立回りもすごいし、何よりメインの役から脇役の方まで、歌舞伎も顔負けの早替わりが見事でした。渡辺えりさんは歌とダンスも上手いし、中嶋朋子さんの演技力はさすが。脚本のテーマも壮大な作品でした。

♪歌舞伎のパロディ、とはアフタートークでのえりさんの言葉ですが、なるほどその通り役も衣装も早替わりの連続。これだけでも一見の価値あり!

♪不思議な会話に導かれて、あっという間に作品世界に引き込まれました。
笑いを交えながらも、生と死、時間、そして今の自分について考えてみたくなる舞台ですね。
一人何役も兼ねていて、早替わりも見応えありました!

♪渡辺えりさんの公演初めて観ました。また行きたくなりました。
演出が素晴らしかったです。

♪還暦の渡辺えりさんが、早替わりの術でばんばん変身します。
「多重構造」の構成でほかの出演者さんたちもばんばん早替わり。
内容は難しいけれども、伝えたいことはストレート、「どんどん水をまきなさい!私は何度でも進化するわよ」というセリフに渡辺えりさんのパワーを感じました!

♪渡辺えりさんワールド全開の美しくも不思議な物語でした。
いのちはどこから来てどこへ行くのか?いまここに「わたし」がいることの奇跡と、そのために紡がれた無数の糸について考えました。愛する人々に感謝したくなる、ただ存在するだけで幸せなのだと感じられた舞台でした。

♪早替え!何しろ早替え!盛りだくさん過ぎる!
渡辺えりさんのサービス精神がドーンと押し寄せる幸せな時間が楽しめるはず。
超豪華なアフタートークも必見!!

♪若い!えりさん!

♪渡辺えりさんの持っているバイタリティがあふれて、周りの人をグイグイ巻き込んでいくようなお芝居でした。
ファンタジー色の強い作品で、解釈や感じ方は観る側に委ねられているように思います。
でも、根底にあるのは間違いなく「愛」です。
歌舞伎を意識したという早替えにも驚き、楽しませていただきました。

♪台詞と演出を見逃さないようにしてください。練られています!



【渡辺えりさんインタビュー】


劇作家、演出家、そして女優の渡辺えりさんが還暦特別公演と銘打って上演するのは…劇団 3◯◯時代 に描いた大人になれない少女のネバーランドの物語。1997年に上演された『ガーデン ~空の海、風の国~』が長い時を経てついに再演されます!

開幕を間近に控えた熱い稽古場で渡辺えりさんにお話をうかがいました。


【還暦特別公演は『ガーデン』】



──今回、還暦特別公演として『ガーデン』を選んだのは。

渡辺)
理由はいくつかあるんです。
まず、うちの作品は自分で演出をしているので、だいたい自分の出番は少ないのですが、この作品では割と多いんです。自分の特別公演と銘打ってあまり出ないというわけにはいきませんよね(笑)。そして演じるのはおばさんと少女の2役、それを私のおばさんパワーと少女性で…というのも還暦にあっているかなと(笑)。
あとは今回、出演を快諾してくださった中嶋朋子さんに合うものをという意味でも、この作品の光子という役がピッタリだと思ったんです。
そして、実はその光子という役は、夢見る少女時代からずっと我慢を強いられた自分の母親がモデルなんです。今は介護施設にいる母へ捧げる意味でも、この作品がいいと思いました。
あと、もうひとつあってね。昨年、この作品を好きで、やりたいと言っていた若い女優さんが亡くなったんです。彼女への追悼の気持ちも込めています。


──さまざまな思いがこもった作品なのですね。そして、いまのお話にも出た中嶋朋子さんのご出演、念願だったとのことですが。こうして一緒にお稽古されていていかがですか。

渡辺)
素敵、想像以上にいいです!朋子ちゃんは透明感があるのに存在感がある女優さん!実生活でもお母さんとなり、母親役の時の説得力もありますし、少女性はもともとお持ちですよね。本当に素晴らしいです。私が初めてテレビドラマの脚本を手がけた『音・静かの海に眠れ』(91年/プラハ国際テレビ祭グランプリ受賞)に主演していただいてから、いつか…と願っていたことがようやく叶いました。


──今もまさにお稽古が進められていますが、18年ぶりに『ガーデン』という作品に取り組んでみての手ごたえは。

渡辺)
大変ですね(笑)。
18年前は劇団でやりましたが、劇団特有の力ってあるんですよね。この作品には実世界とは別のパラレルワールドが存在するのですが、劇団という集団の力でこそ別の空間へ飛べるというような。
それをプロデュース公演でやるのは本当に大変ですが、まるで劇団のように小道具や衣裳も自分たちで作っていますし、客演陣もハートがあって。力強い芝居になりそうです。

でも、それって逆に言うと、いまどきめずらしい作品でもあるんです。このご時世のせいか、構想段階の自分の次回作も含め、最近では戦争をテーマにしたり、リアリズムに寄ったものが多い中で、18年前の平和で夢を見ることが自由なころの良さが出ている芝居なんです。


──でも、そこで取り上げられているテーマは現代にも十分響くものですよね。

渡辺)
そうですね。
リストカットする少女や引きこもりの人が出てきたり、社会問題として古さは感じませんね。
そういうリアルな題材と夢の世界をやってしまう芝居、ばかばかしいところもシリアスなところも目一杯…1本で5本分くらい詰まっているのがうちの特徴
若い方にも、こういうお芝居もあるんだ!とぜひ見てほしいですね。



【60年の節目はスズナリで】


──今回は劇場ザ・スズナリでの上演となります。

渡辺)
久しぶりのスズナリです。
若いころは雲の上のような憧れの劇場、唐十郎さんの戯曲などをやっていた聖地のようなところでした。
そこを使わせていただけるようになったときは嬉しかったですし、その後も、豊川悦司さん主演の『風の振る森』(89年)、トラブルに見舞われてどうしよう…と思っていた中での再スタートとなった『赤い靴』(94年)もスズナリでした。
この作品のテーマのひとつでもある「再生」、私自身も60歳の節目に改めてゼロに戻って再生!となるとスズナリがふさわしいと思ったんです。

あと、若い頃は衣裳の製作が間に合わないときには、母が新幹線で山形から出て来てスズナリのロビーで私の衣裳を縫ってくれた。そんな思い出もある劇場なんです。


──思い出がいっぱい詰まった劇場なのですね。

渡辺)
そして、その思い出の劇場に、演劇人としての自分を知ってくれている仲間がアフタートークで来てくれるんです。思い出を語り合える仲間たちです。



【思い出を語り合える仲間】


──多彩なメンバーがお集まりになりますね!

渡辺)
17日の小日向文世さんはほぼ同い年、自由劇場時代からお互い見てきていますし、夫婦役もやりましたし、初めて出たミュージカル「The 5 O'clock Girl 5時の恋人」(92年)や「ミザリー」(07年)でも共演している古くからの友達です。

18日は中村獅童さん。獅童さんがスターになる前、まだお若いころに共演して以来の付き合いです。実は獅童さんには日本劇作家協会の会報"ト書き"に「好きな台詞」というコラムを連載してもらっているんです。まだ若かったころに彼が書いた作文を読んだら、すごくうまくて!少ない御礼で悪いんだけど…とお願いし、それが今日まで続いているんです。
お亡くなりになった獅童さんのお母様からも、「いつか本にして出してね」と言われていたのですが、その約束もようやく果たせそうなんです。

19日は小泉今日子さん、キョンキョンです。彼女ともこれまた古い付き合いでね(笑)。まだキョンキョンが16歳ぐらいだったかな、ドラマで共演して以来の付き合いで、彼女が初めて見た小劇場の芝居はうちの芝居(劇団3○○)という間柄なんです。

21日は篠井英介さん、深沢敦さん、山崎ハコちゃんといった『クレヨンの島』などの思い出をたっぷりと語れる面々。ハコちゃんはスズナリの『赤い靴』にも出てくれていますしね。
22日は古くからの仲間の大谷亮介さん、今年の『有頂天旅館』でもご一緒したキムラ緑子さんと新納慎也さんで昔話から最近の話まで!

26日は中村勘九郎さんと宇梶剛士さん。勘九郎さんとはお父さんの思い出話をしたいですね。旧知の仲の宇梶さんは28日にも来てくれるんですよ。
ほかにも飛び入りで!!と言ってくださっている方もいて、ありがたいですね。



【あの日の自分を裏切らないように…】


──こうして記念公演にたくさんのお仲間が集まってくれるのも渡辺えりさんの人徳、演劇人として歴史によるものですよね。ちなみに演劇の世界を志したきっかけは。

渡辺)
もともと歌うことが好きでした。2、3歳のころから親せきの大人の前で歌って喜んでもらうのがうれしくて、その笑顔のために歌っていました。とにかく人の笑顔が見たかったんです。
その後、『赤い靴』という映画を見てバレリーナに憧れたりもしましたね。他にも絵を描くのも、デザインをするのも好き、それが全部入っているのが演劇でしょ!それで頑張って受験勉強をして、山形西高(進学校!!)の演劇部に入って…そこからは、もうやめられなくなっちゃった。

そこから、本格的に芝居の世界にと決意したのは山形県民会館で文学座の『ガラスの動物園』を見たときです。
演出、そしてアマンダ役は長岡輝子さん,トムが江守徹さん,ジムが高橋悦史さん,ローラが寺田路恵さんだったのですが、本当に素晴らしくて。自分がローラで、いつも小言を言う母がアマンダに見えてきちゃってね(笑)。アメリカの話に見えず、これは自分の話じゃないかと思うほど感動し、こういう芝居をやりたい!と。

傷つきやすく、周囲になじめずに悩んでいる人間でも生きていいんだ!と生きる勇気を与えてくれる芝居をしたいと思ったんです。
あまりの感動に、先輩と一緒にアポなしで楽屋に行ったんです。そうすると、舞台裏では江守さんが大道具を車に運び、高橋悦史さんが楽屋の掃き掃除をしているじゃないですか!今、トムをやっていた人がそれを忘れたように大道具を運んでいたんですよ。
私はこういう風になりたい、表も裏も全部やっているのがカッコいいと思ったんです。

そして長岡さんの楽屋へ行き、そこから宿まで、どうしたら役者になれるのか、質問攻めでした。長岡さんはそれに丁寧に答えてくださって、「東北の人はなまりがあるから養成所に入ったほうがいい」とか「役者に学歴は必要ない」とか言われ、その日から受験勉強を辞めました(笑)。

あとになって、ドラマで長岡さんと共演したとき、「覚えていますか」と聞いたんです。そうすると「そういう人、セーラー服を着た演劇をやりたい子たちが毎日来るから、悪けど覚えていない」って。でも、長岡さんはそれ以降、亡くなるまでうちの芝居を見に来てくれたんです。
そうやって長岡さんに親切にしていただいた恩返しに、私も演劇を志す人には親切にしようと思っています。
そして、私自身も、くじけそうになるとその時のこと、その時の自分を裏切らないようにしよう。夢を持っていたあのころの気持ち、初心を忘れないようにしよう!と踏ん張るんです。

さらに後日談があって、50歳を過ぎたころ、浅丘ルリ子さんとご一緒した『おかしな二人』で、その長岡さんが使っていた県民会館の同じ楽屋を使うことになったんです。それはもう感激しました。
そう考えたら幸せだと思わないといけませんね。夢が実現しているんですからね。


──こうしてお話をうかがっていてもパワフルで素敵な渡辺えりさんにとって、60歳は節目でありながら、同時に通過点のようですね。

渡辺)
そうですね。時にはチキショーと思うこともありますが(笑)、舞台に立てるということは最高の贅沢なんだと思います。手伝ってくれる仲間もたくさんいますしね!
そして、やっぱりお客さんの笑顔をみるとヤメラレナイ!


──素敵なお話をありがとうございました。『ガーデン』、そしてこれからの作品もますます楽しみになりました。

【NEWS】
★アフタートーク★ゲスト決定!★
12/17(木)夜 小日向文世さん!
12/18(金)夜 中村獅童さん!
12/19(土)夜 小泉今日子さん!
12/21(月)夜 篠井英介さん、深沢敦さん、山崎ハコさん!
12/22(火)夜 キムラ緑子さん、大谷亮介さん、新納慎也さん!
12/26(土)夜 中村勘九郎さん、宇梶剛士さん!
12/28(月)夜 宇梶剛士さん!


【公演情報】
渡辺えり還暦特別公演『ガーデン~空の海、風の国~』

<スタッフ>
作・演出 渡辺えり

<キャスト>
渡辺えり/中嶋朋子/大沢健/谷川昭一朗/奥山隆
谷口幸穂/石田恭子/小出奈央/川口龍
岩崎浩太郎/熊埜御堂彩/櫻井美代子/深海里沙子/ふくい瑠美子
大須みづほ/橘田美穂/小川知/黒田歩/町田達彦
土屋良太/山崎清介

★アフタートーク★ゲスト決定!★
12/17(木)夜 小日向文世さん!
12/18(金)夜 中村獅童さん!
12/19(土)夜 小泉今日子さん!
12/21(月)夜 篠井英介さん、深沢敦さん、山崎ハコさん!
12/22(火)夜 キムラ緑子さん、大谷亮介さん、新納慎也さん!
12/26(土)夜 中村勘九郎さん、宇梶剛士さん!
12/28(月)夜 宇梶剛士さん!


公演HPはこちらから

宣材写真提供:オフィス3○○
おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文) 監修:おけぴ管理人

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