【ビジュアルコンセプト】
モチーフとして大きいものは、上部の当時の戦争を彷彿とさせる写真、中央の主人公・ハリー(中山優馬)の横顔、下部のフットボール場と思われる芝生。人生を大きく一変させていく過酷な戦地と、平和で希望に満ちていた頃に駆け抜けた芝生との間に挟まれた、青年ハリーが見つめる視線の先にあるものとは? 絵の具を飛ばしたように散らばる模様は、過去、現在、未来に及ぶ様々なハリーの思いや、不安定な時代の中に生きる人々の無数の思いを表し、そんな数多の感情が交差していく中に深く静かに侵食されていくハリーの横顔をとらえています。ですが、この横顔の青年はハリーに限定されない、当時の市井に生きる人々の象徴的な横顔、つまり登場人物全員の横顔としてもとらえて頂ければと思います。 制作時の意図は上記のイメージになりますが、こちらはあくまで解釈の一例に過ぎません。ご覧になるお客様にご自由に発想して頂き、ハリーの視線の先にあるものを無限にご想像頂ければ幸いです。~ものがたり~
第一次世界大戦中のアイルランド、ダブリン。軍からの短い休暇をもらって帰郷していたフットボール選手のハリー・ヒーガン(中山優馬)は、銀杯(優勝カップ)を抱え、歓喜にわく人々の輪の中にいた。だが戦地へ戻る船の出航時間は刻一刻と迫っていた。家族や友人たちに見送られ、ハリーは、仲間のバーニー(矢田悠祐)や同じ共同住宅に住むテディ(横田栄司)らと再び出征する。ハリーの母親(三田和代)は神に 3 人の無事を祈るのだが――。