2020年3月に日本初演を迎える
ミュージカル『アナスタシア』。主人公アーニャとともに旅をする若くてハンサムな詐欺師・ディミトリ役でご出演される
相葉裕樹さんのインタビューをお届けします。本作やディミトリ役への思い、2020年への展望などお話しいただきました。
──ミュージカル『アナスタシア』出演への思い、ディミトリ役の印象からお聞かせください。 まず率直に「この『アナスタシア』という作品の世界に自分が存在できる!」という嬉しさがあります。同時に、この素敵な作品を日本でも上演できることが楽しみです。
ディミトリ役の印象はひと言で表すなら“ナチュラル”。無理がないんです。キャラクター紹介にあるようにもちろんハンサムなのですが、キメキメのカッコよさではなく愛嬌もあって嫌味がない。とても魅力的なキャラクターだと感じました。
──相葉さんにピッタリですね。 ありがとうございます。クリエイティブスタッフの方々も「裕樹はディミトリという役にピッタリ合っている」と言ってくださいました。実際、比較的自分が演じることをイメージしやすかったです。ただ、楽曲的には非常にバラエティ豊かで、ポップなものもあれば、歌い上げも、非常に繊細な表現が求められるものもあります。そのためにやらなくてはならないことがたくさんあり、新たな挑戦になるでしょう。僕を選んでくださったみなさんの言葉を自信に変えて挑んでいこうと思います。
──製作発表会見でも話題に出ましたが、じっくりと適性を見るようなオーディションだったようですね。 はい、しっかりと時間をかけて見てくださいました。「このシーンはこういう状況で──」とシーンの前後関係やディミトリの置かれている状況、心情を丁寧に説明してもらいながらのオーディションでしたので、腑に落ちたというか。時間のない中で進められるオーディションではどうしても一発勝負というか、力を発揮できずに終わることもあるのですが、今回は「今やれることは全てやった。これでダメなら仕方ない」と思えるところまでやり切ることができました。
──ディミトリ役に決まったときの心境は。 まずホッとしました。そして、もちろん嬉しさもありました。アーニャと一緒に旅をする過程でディミトリは恋に目覚め、彼自身も変化していく。ディミトリの成長譚としても楽しんでいただけるように、気を引き締めて務めたいと思いました。
──ディミトリと深く関わる人物はもう一人、詐欺師仲間のウラドがいます。演じるのは大澄賢也さんと石川禅さんです。 禅さんとは、今も『ダンス オブ ヴァンパイア』(以下、TdV)でアブロンシウス教授と助手のアルフレートとして共演し、日々鍛えられています。ウラドとディミトリのやり取りにはTdVほどの余白はないかもしれませんが、禅さんですからね(笑)。いろいろと芝居を仕掛けてくると思うので楽しみです。賢也さんとは、2008年の『ピピン』以来12年ぶり共演となります。あの頃は20歳になるかならないかの子供でしたから、相葉も大人になったなと思ってもらえる──かな(笑)。
──連続共演の石川さんと12年ぶりの大澄さんとは対照的ですね!ちょっと脱線しますと、そのTdVでは夏の15周年インタビューでも大好きな曲と仰っていた♪サラへ をアルフレートとして歌われています。 役として、物語の中で歌うとまた違いますね。稽古場から試行錯誤の連続でしたが、劇場で、作品の中で歌うことでアルフレートとしての♪サラへ が身体に馴染んでくるというのも確かです。ただ、もっともっとと思う自分もいます。表現には「これで完成」ということはないのでこれからも日々精進です。
──帝国劇場で拝見した時も心揺さぶられる♪サラへ でしたし、教授とのコンビ感も日増しにアップしていてとても楽しいTdVでした。ここからさらなる進化があるとなるとますます楽しみです。フィナーレでのカッコよさ、飛び出してくる勢いも素敵です。 あの登場、改めて言われるとちょっと恥ずかしいですが(笑)。しかも、やらなくてもいいのに、ついついやってしまうんですよ。
──こうして年をまたいでのTdV、そこから『アナスタシア』へ。2020年も充実した年になりそうですね。 今年15周年を迎え、これからもより多くのことにトライしていきたいという思いが一層強くなりました。この『アナスタシア』のディミトリ役へも大きなやりがいを感じています。
──作品への意気込み十分ですね。『アナスタシア』へのワクワクも増してきました! LEDスクリーンに映し出される映像によってペテルブルクやパリの街並みも鮮明に描かれ、実際に旅をしているかのように景色も移ろう。視覚的にもわかりやすく表現されているので、ミュージカルファンにも、初めての方にも楽しんでいただける作品です。そしてそれはご覧になる方だけでなく、役者にとっても大きな手助けになります。舞台装置などの視覚効果や音楽の力が物語を運んでくれるので、そこで僕らは自由に役を生きることができるからです。日本初演のキャストに選んでいただいたことは本当にありがたいことです。日本のお客様にもしっかりと『アナスタシア』の物語をお届けしたいと思います。
──少し気が早いですが、この物語の先になにが見えそうですか。 シアターオーブの舞台に立つのも初めてですし、自分でもどうなるのか未知な部分が多いですが、やり遂げた時に自分自身がステップアップできていたらいいなと思います。この作品が代表作になるようにがんばります!!
【製作発表秘話~歌唱披露~】
──製作発表ではいきなり歌唱披露でした。 いやぁ、めちゃくちゃ緊張しました。稽古に入る前に歌唱披露というのは心臓によくないです(笑)。
──ディミトリ役のお三方、三者三様の魅力のある素敵な歌唱披露でした! そう言っていただけると結果的によかったのかなと思いますが、本当に気が気じゃなかったです。でも、3人で、それもキャッチーでアップテンポの曲だったのが幸いでした。海宝(直人)くん、内海(啓貴)くんがいてくれたことは心強く、歌い始めたら楽しむことができました。これがソロでバラードとかだと──恐ろしい(笑)。
【声のお仕事】
──2020年1月にはキャラクターボイス(入江奏多役)を務めている「新テニスの王子様 オン・ザ・レイディオ」のエンディング曲も担当されることが発表されました。 久しぶりの入江奏多くん、キャラクターソングを歌うのも久々でした。先日レコーディングをしましたが、キャラソンですのでどんなトーンで歌うかの確認のために、前に歌った曲を聞いたら面白いくらいに今回と曲調が違って(笑)。20代前半に録った曲なのですが、歌や声の表現も──。その変化も楽しんでいただけたらと思います(笑)。
ヘアメイク/国府田圭
スタイリスト/Die-co★
衣装協力/ARCHETIPO(アルケティポ)/NOVARESE 銀座(ノバレーゼ 銀座)03-5524-1117
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人