100年前を生きた人々の物語が問いかけるものとは──
ミュージカル『ラグタイム』2023年9月日生劇場にて上演決定物語は20世紀初頭のニューヨーク。アメリカの移民の約9割がやってきたといわれる激動の時代。
ユダヤ人、黒人、白人。それぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとする―。
この物語の中心を担う3人を務めるのは、
娘のためにラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人、ターテ役に
石丸幹二新しい音楽“ラグタイム”を奏で、新時代の到来を目指す黒人ピアニスト、コールハウス・ウォーカー・Jr.役に
井上芳雄正義感にあふれ人種の偏見を持たない、裕福な白人家庭の母親、マザー役に
安蘭けい現代日本ミュージカル界における「BEST=最高」と呼ぶに相応しい3人が、ミュージカル『ラグタイム』において、夢の共演を果たす!
そして、本作の日本初演の演出に挑むのは、今、次回作が最も待望される演出家
藤田俊太郎です!
【あらすじ】
1902年。ユダヤ人のターテ(石丸幹二)は、娘の未来のために移民となり、ラトビアからニューヨークにやってきた。
黒人のコールハウス・ウォーカー・Jr.(井上芳雄)は才能あふれるピアニスト。恋人は彼に愛想をつかし、二人の赤ん坊を、ある家の前に置き去りにしてしまう。
赤ん坊が置き去りにされたのは、経済的に豊かな白人家庭の母親 マザー(安蘭けい)の家だった。偏見を持たず、正義感にあふれるマザーは、夫が出張中で不在ではあったが、赤ん坊を拾い上げ家に迎え入れる。
そんなある日、街でターテとマザーは偶然出会う。マザーのターテへの敬意にあふれた対応に、ターテはマザーに対して好感を抱くのだった。
恋人を取り戻すために彼女の元に通い詰めるコールハウスは、今や“ラグタイム”を奏でるピアニストとして注目され始めていた。フォード車を買うことができるくらいまで稼げるようになったが、黒人であるがために、車を焼き討ちされてしまう。人種差別に対する窮状を訴えるコールハウスではあったが、誰も彼の話に耳を貸さないのだった・・・。
ブロードウェイ初演を観劇された石丸幹二さんはその忘れえぬ衝撃を
「うねるような物語の壮大さ、そして、多彩なメロディーが飛び交う音楽の豊かさ。当時まだ30代半ばにもいかない私は、楽曲のひとつひとつが持つ強烈なエネルギーに打ちのめされ、音楽的に難しい曲が多いからこそ、『挑みがいがある、歌ってみたい!』と願いました」と語ります。さらにその楽曲について
「アメリカの異なる人種たちが、与えられた場で必死に生き抜こうとするエネルギーを表しているんだと、今、改めて音楽に触れ、ひしひしと感じています」と言及。ミュージカルだからこそできる表現、作品への期待が増します。
井上さんは上演・出演への思いを
「ブロードウェイミュージカルのあの傑作を、遂に日本でもやるのか!という、興奮と喜びがありました」と率直に表現。作品については
「『ラグタイム』は人種や歴史など、アメリカという国を体現している作品だと思います。音楽も、アメリカのいろんな面が感じられて魅力的」「いろんな価値観が変化している今、僕たちがこの物語をどうお客様にお届けできるか。大きな意味があるチャレンジだと思います。僕自身も初めての役柄ですし、想像できないことに挑戦できる幸せを感じています」と意気込み十分!
安蘭さんは本作を
「今までなぜ日本で上演されてこなかったのか、不思議でならないミュージカル」と捉え、
「人種差別や階級差別を描いたストーリーと、ラグタイムという軽やかな曲調との違い、ギャップがとても興味深いと思いました。その当時の、激動の時代を生きた人達のエネルギーを感じる」とその魅力を語ります。
この度の、満を持しての上演については、石丸さんの
「異なるバックグラウンドの者たちがひと所に共存する難しさ、大切さを描いていきます。今の世界情勢をみると、その道は想像を遥かに超えて厳しく困難なものかもしれない。けれども、小さくともひとつになれた瞬間のきらめきが少しずつ積み重なり、いつの日か大きな輝きになると信じたい。まずは、冒頭の大合唱を聴いてください。さまざまな民族を演じる出演者全員が心を合わせて歌います」という言葉が一層重みをもって受け止められます。
この夢の顔合わせについて、井上さんは──
「大学の同じ門下の大先輩」である石丸さんとの作品での初共演、安蘭さんとのミュージカル作品での初共演に
「お二人ともストレートプレイもミュージカルも両立されている憧れの先輩なので、一緒にお芝居させてもらう中で得られるものがたくさんあると思います」と語ります。もちろんキャリアや先輩後輩に限らず学び、高め合うみなさんなのですが、近年、作品を背負って立つ、座長としての印象が強い井上さんが、こうして胸を借りるというスタンスで臨む姿は新鮮であり、その言葉からどれほど強度のある座組、作品なのかということが改めてわかります。
また、藤田さんとは意外にも“初”がたくさん!
「15年ほど前、蜷川幸雄さん演出の『コースト・オブ・ユートピア』で演出スタッフ時代の彼とご一緒していたはず。再会が楽しみです」(石丸さん)
「ミュージカルでご一緒するのは初めてです。丁寧にこだわって作品作りをされる印象があるので、楽しみしかないです。同世代の演出家との出会いも、感謝です」(井上さん)
「蜷川幸雄さん演出の『アントニーとクレオパトラ』に出演させて頂いた時に演出助手をしておられました。藤田さんの演出はどこか蜷川イズムのようなものを私は感じてしまいます。今回初めて演出を受けるのがとても楽しみです!」(安蘭さん)
そんな藤田さんは
「『ラグタイム』は、黒人音楽を基礎として19世紀末から20世紀初頭に従来とは違う、ラグした(ズレた)リズムのシンコペーション、時に裏拍の強調を特徴として生まれたと聞きます。聞き慣れないのにどこか懐かしくて、普遍的な魅力を持っていると感じます。また同時に、出来事の裏に潜む、もう一つの真実を暴いているように美しく、官能的な音楽でもあると思います。
様々なシーン、ドラマを通して、全ての人物が新たな思想や考えを持つようになります。新しい芸術が生れ、音楽、豊かなメディア産業が誕生します。上演中に何度も歌われるフレーズ、「The Wheels of a Dream」。夢の乗り物、もしくは夢の車、もしかしたら夢の地球号という乗り物に私たちは同じ想いを抱きながら乗って、一緒に進むことができるのか。
およそ100年前を生きた人々の物語は、100年後を生きる私たちに、その夢は叶ったのか、と問いかけます。『ラグタイム』は遠い国の遠い過去の話なのではなく、特に2020年以降を生きる私たちの現在形の作品なのだと感じています。決して悲しいシーンばかりではなく、未来への夢が詰まったエンターテインメントを是非、楽しんでいただけたらと思っています。お客様に心からの愛を込めて、劇場でお待ちしております」1998年トニー賞において、ミュージカル部門13ノミネート 最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など 4 部門受賞。ドラマ・デスク賞ミュージカル最優秀作品賞・最優秀脚本賞・最優秀作曲賞 他多数受賞。ブロードウェイ発 驚異のミュージカル叙事詩が、日本演劇の名門 日生劇場60周年イヤーを飾る!ミュージカル『ラグタイム』は2023年9月日生劇場にて上演です。
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました