劇作家
ウィリアム・シェイクスピアが単独で書いた最後の戯曲『テンペスト』が
白井晃さん演出、豪華キャスト出演で
シェイクスピア生誕450年のメモリアル・イヤーに新国立劇場に登場!
人間礼賛、
人間肯定に満ちたメッセージ溢れるこの作品、未だその全貌は明かされておりませんが、そこも含めて開幕が待ち遠しくなる制作発表の様子をどうぞ!
ものがたり
元ミラノ大公プロスペローは12年前、弟アントーニオとナポリ王アロンゾーの謀略によりその地位を追われ、娘ミランダとともに海に流された。やがて漂着した孤島で魔術の修練を積み、空気の精エアリエル、醜い怪物キャリバンを従えて暮らしていた。その島は豊かな自然に恵まれ、妙なる楽の音がこだまする一種の桃源郷であった。
そこにアントーニオ、アロンゾー一行の乗った船が差し掛かると、船は突然の嵐に遭遇し、全員命からがら島に上陸する。だがその嵐は一行の到来を知ったプロスペローが魔術で起こした嵐だった......。(HPより)
演出:白井晃さん
「『テンペスト』を
一人の男の記憶の物語と捉え、一番小さなテンペストを創り上げたいと思います。
出演に際して、みなさんたくさんお悩みいただいたかと思うのですが(笑)、最終的にはご快諾いただき、本当に強力な役者さんが集まってくれました。
高野さんを除き、何らかの形でご一緒した方々です。
正直かなりご苦労をおかけする気がするので、気心が知れた方のほうが良い、そのほうが多少の無理が言えるかもしれないですからね(笑)
(舞台美術については)まだ言いたくないというが本音でして。
島の物語ですが、その
“島” をどう考えるかというところに焦点を合わせた美術を考えています。
つまりリアルな岩場ではなく、
プロスペローの記憶の集積地としての島です」
物語の主人公、元ミラノ大公プロスペローを演じるのは
古谷一行さん。
さらにプロスペローの地位を奪った弟アントーニオに
長谷川初範さん、
ナポリ王アロンゾーに
田山涼成さん、そしてその弟セバスチャンに
羽場裕一さん。
もう、どうです、この画ヂカラ!顔ヂカラ!
古谷一行さん 長谷川初範さん 田山涼成さん 羽場裕一さん
「一般的に考えるとこの作品はスペクタクル。
大嵐から始まり、自分に仇なした連中を呼び寄せて鉄槌をくらわそうとする。そこからの展開が・・・そのあたりの白井さんのアプローチが
“そうくるか!” というものでね。意外で面白いんです。
昨日の稽古初日を経て、セリフの量など自分の中に重くのしかかっていたものがふっと軽くなりました」
(古谷さん)「確かに。白井さんの構想にはみんな
“え!” という感じでした(笑)。
ちなみに、以前参加したロイヤルシェイクスピアカンパニーの方が仰っていたのは、シェイクスピア劇は衣裳も含めて常に現代的なものを用いて上演するのがポピュラーだということ。
400年前の作品が現代に通用するそれがシェイクスピアというものなのでしょう。
僕らは白井さんの演出の中で人間劇をきっちりと演じるのみです」
(長谷川さん)田山涼成さん 羽場裕一さん
「私は高校1年生の夏休み、誕生日にこの作品と出会いました。
坪内逍遥先生の文語調のセリフについていけないところもありつつ、感動した覚えがあります。
当時の私はコンプレックスの塊。テンペストと出会って、とある疑問が生じました。
その答えはいまだにわかりません。
今回、
白井さんの演出のもと謎解きができるのか、それを僕のテーマとして臨んでいきたいと思います!」
(田山さん)「
長谷川さん、田山さんと私のおっさん3人組は人生のダークサイド、人間の影の部分。古谷さんの人生の中でこういう嫌なやつがいたということで、私たち三人が選ばれたと思います(笑)。だから、それぞれの顔付きが違って当然です、ただ、ここが兄弟(兄:田山さん、弟:羽場さん)っていうのはどうよって感じです。
で、田山さんの息子さんが伊礼君という二枚目でね(笑)」
(羽場さん)「私から伊礼君、出てくるでしょう!!」
(田山さん)続いてその田山さん演じるナポリ王の息子ファーディナンド
伊礼彼方さん。
ロマンスのお相手のプロスペローの娘・ミランダの
高野志穂さん。
「きっと母親似の・・・ファーディナンド役の伊礼彼方です(笑)」ウマい!
「若い頃はもっとシュッと痩せてたの!!」(田山さん)
「久しぶりの
王子様役、みなさまが
気恥ずかしくなるくらい高野さんと思い切り恋におちたいと思います」
(伊礼さん)「私にとって学生時代を過ごした第二の故郷であるイギリスの作家の作品を日本に帰って来て、女優として演じられることを嬉しく、光栄に思います。初めてですが
白井さんにガッツリついて行こうと思います」
(高野さん)道化役・
野間口徹さん、賄い方・
櫻井章喜さん、空気の精・
碓井将大さん、怪物・
河内大和さんとさらにさらに個性派メンバーが名を連ねます。
櫻井章喜さん 野間口徹さん 伊礼彼方さん
「僕、笑いを着地点にした作品にしか出たことがなかったので、このお話をいただいたとき、白井さんはきっとどうかしちゃったんだと思ったんです(笑)。
1週間くらい考えさせていただき、40歳にもなったので、そろそろ逃げてきたシェイクスピアをやってもいいのかと思い、本日この場にいます。
お客さんの笑いがとれればいいなと思います。それが第一目標です、頑張ります!」
(野間口さん)「ステファノーという役と似ているところは、蝶々が目の前を通ったらそれを追ってふぁーと行っちゃうところですかね(笑)それで
肝心なところを見逃したりして怒られるんですけど。白井さんについていきながら、ときどき間違えたりして、そんな風に作品を作っていきたいと思います。」
(櫻井さん)碓井将大さん
「白井さんが作る小さなテンペストの中での
魔法や妖精というのが、実生活では何になるのかを突き詰めて大きな作品の一部を務めていきたいと思います」
(碓井さん)河内大和さん
「怪物キャリバンという役、台本の形容に
“半分魚で半分化け物” とあるんです(笑)。
どういう風に役づくりをしていいかわからないのですが、僕は見ての通り半分魚みたいなものなので、存分にこの見てくれを活かして役割を果たそうと思います」
(河内さん)最後に新国立劇場演劇部門・芸術監督の宮田慶子さんのご挨拶を!
新国立劇場演劇部門・芸術監督の宮田慶子さん
「私見で恐縮ですが、この作品はあれだけたくさんの戦闘や権力闘争を描いたシェイクスピアが、
最後の最後に彼の哲学を戯曲に託したような作品だと思っております。
大自然とその中で生きるちっちゃな人間の存在を対峙させているかのようで、ほかの作品とは趣が違うんですよね。
限りある生を受けた人間が何を使命として命を全うするのか、考えさせる深い作品をシェイクスピア生誕450年の年に取り上げられることを嬉しく思います。
ただシェイクスピアは手ごわいです。
その舞台をガッツリ支えてくださる実力派のみなさんにお集まりいただきました。本当に強者揃いでしょう。
その役者のみなさんと演出の白井さんで中劇場の空間に独特の世界を構築してくださること、私自身とても楽しみにしています!」
取材班もとっても楽しみなこの作品。
でも、その上を行く?!(笑)ワクワクを感じさせる宮田芸術監督の言葉と表情!
“これは相当面白くなる” それを確信する制作発表でした。
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影) 監修:おけぴ管理人
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