「クリンドルクラックス!」稽古場レポート&阿久津愼太郎さん 伊阪達也さん 宮地雅子さん 安寿ミラさんインタビュー
阿久津愼太郎さん(D2)、伊阪達也さん、小野健斗さんが11歳の少年に! 彼らを取りまく、ちょっぴりへんてこな大人たちを演じるキャストも、これまたとっても個性的♪
演劇好きならきっとワクワクしてしまう、この顔触れは“事件”です!
ドラゴン退治伝説を下敷きに、子どもはもちろん、大人も笑って泣けて心躍る冒険物語「クリンドルクラックス!」。
17歳から85歳まで、バラエティ豊かで魅力的なキャストが集まった稽古場レポートと、劇中で親子を演じる2組の母と子、阿久津愼太郎さん&宮地雅子さん・伊阪達也さん&安寿ミラさんインタビューをお届けいたします♪♪
写真右:主人公の少年ラスキンを演じる阿久津愼太郎さん
写真左:ラスキンを愛する母・ウェンディを演じる宮地雅子さん
演劇オタクのいじめられっ子・ラスキンは、愛する町“とかげ大通り”で暮らす11歳。
「太陽だって、月だって、自分を疑えば輝けない」
公演チラシに印刷された、詩人ウィリアム・ブレイクの言葉の通りに、自分を信じて夢に向かう勇敢な少年です。でも、そんなラスキンを取り巻く大人たちは、色々と問題を抱えていて…。
ぶっ飛んだ個性で、素敵なキャラクターを演じるキャストのみなさんはこちら♪
まずは主人公ラスキン役、若手俳優ユニットD2メンバーの17歳(!)阿久津愼太郎さん。
(写真左から 伊阪達也さん 阿久津愼太郎さん 大河内浩さん)
体の大きないじめっ子エルビス役に伊阪達也さん、その子分で弱気なスパーキーに小野健斗さん(残念ながらこの日のお稽古は欠席でした)。お二人も阿久津さん同様に11歳の少年を演じます!
かつては夢を持っていたはずのラスキンの両親に、酒井敏也さんと宮地雅子さん。町の実力者、エルビスの両親ケイブ夫妻に大河内浩さん、安寿ミラさん。スパーキーの母・ウォルナット夫人にペンギンプルペイルパイルズの、ぼくもとさきこさん。町のお医者さんフラワー先生を演じるのは、演出家として大活躍されているスズカツさんこと鈴木勝秀さん! (なんと17年ぶりの俳優活動とのこと)
(写真中央 鈴木勝秀さん。写真右はラスキンのパパ・ウィンストンを演じる酒井敏也さん)
さらに、映画館オーナーのフリックさんを小田豊さんが、ラスキンの無二の親友・コーキィを劇団昴の重鎮・西本裕行さんが演じます。そしてそして、ラスキンの学校の先生で大のシェイクスピア・マニアという、レイス先生役にはROLLYさんが登場です♪♪ (ROLLYさんも残念ながらこの日のお稽古はお休みでしたが、今回の舞台では音楽も手掛けられているとのこと。グラムロックなROLLYサウンドをお楽しみに♪)
(少年ラスキンに、迫り来る大人たち!)
映画『柔らかい殻』や、舞台『ピッチフォーク・ディズニー』など、美しくグロテスクな独特の世界観で知られるイギリスの劇作家フィリップ・リドリーが、自身の子ども時代をモチーフに作り上げた、初めての児童文学『クリンドルクラックス!』。
ファンタジックな冒険物語のようでありながら、実は深くてちょっぴりビターなストーリーは、子どもはもちろん、かつて子どもだった大人たちも楽しめそうな不思議な世界。
新進気鋭の演劇人・谷賢一さんによる翻訳と、陰山恭行さん(俳優・陰山泰さんとしてもご活躍中♪)、どのような舞台が出来あがるのでしょうか。
自分の事を“阿久津”と呼ぶ主演の17歳・阿久津愼太郎さんの独特のキャラクター、そして“声の大きないじめっ子”役がハマりすぎ!という伊阪達也さん。それぞれの子どもたちが可愛くて仕方ない様子のママ・宮地雅子さんと安寿ミラさん。とっても対照的な二組の親子を演じるみなさんに、お話しをうかがってきました!
──阿久津さんは今回、初主演舞台で、しかも最年少の17歳ですね。もう他のメンバーの皆さんには馴染まれましたか?
阿久津) ここ3、4日くらいで、一気に仲良くなれました。
安寿) すっかり、どっぷりとね(笑)。
阿久津) これまでは閉鎖的な生き方をしてきたんですけれど・・(笑)。
──先日、親睦会も行われたとか。阿久津) 酒井さんと色々としゃべっていたら、阿久津の発言を酒井さんがスピーカーのように皆さんに伝えて、それに安寿さんが食いついて来て(笑)。気がついたら自分をすべて、さらけ出していました。
──皆さんとの距離がぐっと近づきましたか?
阿久津) …と、阿久津的には思っています。
伊阪) 距離は縮まってきていると思います。着々と、自然に(笑)。
──今回、それぞれ母と子を演じていらっしゃいます。宮地さんから見て、息子ラスキンを演じる阿久津さんはどんな俳優さんですか?
阿久津) ええー、そんな事を聞くんですか!
宮地) すごくタフ。強いと思いますね。ハートも強いし、喉も強い。肝が太いっていうか、ぶれないんですよね。自分で「緊張しない」って言うんですけど、それが言えるってすごいことだなと思いますね。「舞台をやるために生まれてきた」みたいな、ね(笑)。
阿久津) ええーっ、すごい…。
宮地) だから、とても頼りにしています。可愛いし。これからどんどんいい男になって、いい俳優さんになってほしいなと思っていますね。(コーキィ役の)西本裕行さんとは「70歳差」とか言って笑っていたんだけれど、私だって彼のお父さんお母さんより上かな、というぐらいの歳ですから。(その中に入って)プレッシャーはあると思いますよ。
歳の差70歳!の親友同士を演じるおふたり。劇団昴の重鎮・西本裕行さんの声がお稽古場の雰囲気をぐぐっと引きしめます!!
──阿久津さんから見て、稽古場での宮地さんの印象は?
阿久津) 僕は今まで同年代の子と仕事をすることが多くて、「お母さん役」の方がいるのは今回が初めてなんです。初お母さんと、初お父さん(笑)。ちょっと不思議な感じです。本当に「お母さん」という感じがする…。
宮地) そう思ってもらえると嬉しいですね。可愛くなっちゃう(笑)。まだお稽古も始まったばかりですから、これから親子関係を作っていきたいと思っています。作品の世界観もちょっと特殊なものがありますし。西洋が舞台だし、日本の下町の親子とはまた違うかな。
安寿) 西洋の親子関係って、日本よりもっと密な気がしますよね。子どもは絶対に親を尊敬する!みたいなところがあるでしょう。
──では安寿さんから見て、息子エルビス君(伊阪さん)は?
安寿) 昨日も(ケイブ氏役の大河内さんと)夫婦ふたりで、息子の芝居を見ていたんですけれど、つくづく「馬鹿だねえ」と(笑)。
本当に「この親にしてこの子あり」という感じですね。
エルビスはドラえもんで言うとジャイアンみたいな役柄なんですけれど、彼(伊阪さん)は本当に良くやっています。声も大きいし、図体も大きいの(笑)。アメフトのユニフォームやヘルメットも誰よりも似合っていて、よく彼をキャスティングしたなと思いますね。ぴったり(笑)。
私たちもこれから親子のコミュニケーションをとって、密な家族関係になりたいと思います。馬鹿な子だけどね(笑)。
(町一番の“デリカシーのない親子”を演じるお二人!なんだかとってもお似合いです)
──…と、お母さんは言っていますが、伊阪さんはいかがでしょうか?
伊阪) エルビスから見ると、うちの親は二人ともこわいんですよ(笑)!
でも、稽古場ではお二人の演技をよく見るようにしています。若い時の二人の場面がすごく好きなんですよね。お母さんは凛として、堂々としていて。お父さんは気が強くて乱暴で(笑)。
エルビスの役作りをするのにすごく参考にしています。
安寿) だから似てきたのね、親に。
──威張っているけれど、憎めない家族ですよね。
安寿) 単純なんですよね。子ども相手にデリカシーのないことも言っちゃうし。
伊阪) いかにも「俺の親だ」っていう感じがしますね。この三人が似合っているのが自分でもよくわかるんですよ。家族として似合っている。とても誇らしいです!
安寿) 親には頭が上がらないのね(笑)。
でも実はすごく甘やかしていて、過保護なんですよ。
──阿久津さんと伊阪さんが演じる11歳の役。観る側としてはとても楽しみです。阿久津さんは前回の舞台(「淋しいマグネット」)でも子供役をされていましたね。
阿久津) 9歳役です。9歳、19歳、29歳を演じました。
──子ども役を演じるときに気をつけることは?
伊阪) あまり「子ども」ということは考えないようにしています。台詞を読んでいると、やっぱり子どもの言葉なので…えーと…・
──あまり、こだわらずに?
伊阪) (大きな声で)はい!!
一同) (笑)
伊阪) いや、自分自身の子どもっぽいところはもちろん出していくんですけど、あまり意識はせずに。
安寿) 普段からこうだもんね(笑)。酔っぱらうともっと、声が大きくなる。もう、エルビスそのもの。
伊阪)…そうみたいです…。
俺自身が子どもだから、わざわざ考えなくても子どもになっているんだと思います。
──実際には、阿久津さんとは10歳離れていますね。
伊阪) そうですね。
…あれ? 俺、ダメじゃん(笑)!
──こどもエルビスに会えるのを楽しみにしています。阿久津さんはどのように子供の役作りをされていますか?
阿久津) 前回の舞台(「淋しいマグネット」)では、いかに9歳に見せるかを出演者みんなで話し合いました。舞台上でバカなことを言い合ったりして。ウンチ、ウンチとか(笑)。
でも、今回はあまり子どもということを意識せずにやってみようとなっています。ラスキンという役自体も、考え方が子どもっぽくないし。
伊阪) ラスキンは大人だよね。
──町の大人たちとラスキンとの対比がすごく面白いですね。
安寿) (ラスキンが立ち向かう)ドラゴンの役を大人たちがやるのが、また面白いでしょ。そこには何か意味が込められているんですよね。
──ドラゴンを大人たちが動きで表現するということなんですが、ダンスとは違うのでしょうか? 安寿さんがいらっしゃるということで、ついダンスを期待してしまいます。
安寿) ダンスではないです。踊りませんよ、期待しないように(笑)。でも、前田清実さんの振付で不思議な動きです。とってもキヨミさんらしい、面白い動きですね。衣裳をつけたら誰が誰だかわからなくなっちゃうのかな?
(写真左はラスキンのパパ役・酒井敏也さん。町の地下に巣食うドラゴンの正体とは・・!?)