宮田慶子新国立劇場演劇部門芸術監督5年目のシーズンは巨匠ブレヒトの
傑作音楽劇『三文オペラ』でエネルギッシュに幕開けです!
主役のメッキースには音楽劇初挑戦となる
池内博之さん、相手役ポリーにはNY留学を経てさらなる飛躍が期待される
ソニンさん、さらに演劇界の実力派、ミュージカル界のスターの饗宴でも幅広い演劇ファンの期待を集める『三文オペラ』の制作発表が行われました。
『三文オペラ』『ベガーズ・オペラ』大好き!という方にも、ちょっと難しくってよくわからいイメージ・・・という方も、きっと目から鱗の『三文オペラ』誕生を予感させる素敵な会見でした!あめくみちこさん、石井一孝さん、池内博之さん、ソニンさん、山路和弘さん、島田歌穂さん、大塚千弘さん
まず、とにもかくにもキャストが濃い!!
-ものがたり-
19世紀、女王の戴冠式間近のロンドン。稀代の大泥棒メッキースはロンドン随一の色男。乞食達の総元締め「乞食の友商会」社長・ピーチャムの娘ポリーと結婚式を挙げることに。怒ったピーチャムは警視総監・ブラウンに彼の逮捕を要求する。メッキースの長年の親友でもあるブラウンは、悩みながらも彼を追うことに。
昔なじみの娼婦・ジェニーの元に身を隠すメッキース。ブラウンの娘ルーシーにまで手を出していた彼は、とうとう女たちの裏切りに遭い……。
女好きの色男で大泥棒にして警視総監の大親友!なんだかんだで
魅力の塊メッキースには
池内博之さん!
この日手にされていたステッキは、アレキサンダー・マックイーンからのプレゼント♪ゴージャスです!!
「音楽劇は自分にとって初めての体験になります。音楽が難しくてなかなか覚えられないのですが、そこはみなさんとの稽古の中で乗り越えていこうと思います。今までにない『三文オペラ』をお届けできたらと思います」(池内さん)演劇史上でも有数の色男メッキースとの共通点については
「動物的な感覚っていうか、上り詰めてやろうというところもわかるし(笑)。
お金(に関しては)?どうだろうな、そこまで執着ないですね」(池内さん)そこに鋭い質問が記者席からではなく、ご登壇者から飛び出しました(笑)。
「女は?」(翻訳の谷川道子先生)「え、それは危ないからやめましょう(笑)。共通点、稽古のなかで探りながらもっと見つけていこうと思います」(池内さん)演出の宮田さんからは池内さんのもつ
野性的、動物的な強さがキャスティングの決め手というお話がありました。
「それがなきゃ女は惚れない!」それには納得!の取材班、ワイルドな色気ダダ漏れの池内メッキースに期待です!!
続いて、久々の記者会見にドキドキと仰っていたのはポリー役のNY留学を終えた
ソニンさん!
「音楽も難しく、ストーリーもメッキースが遊び人というだけの印象を持っていましたが、今回深くかかわっていくうちに“これはこれまでと違う、すごく楽しい違う形で『三文オペラ』を伝えられるのではないか”と希望と興奮で満ち溢れています。若い役ですし、新人の気持ちでエネルギッシュに頑張っていきたいと思います」(ソニンさん)ポリーの父・ピーチャム役の
山路和弘さん!
「女性が強い時代、今もそうですけどね(笑)、でも男も強くなきゃ女の強さ=かわいらしさに見えてこないんですよね。その男の強さがあったのは戦後すぐの闇市とかの雰囲気なんじゃないかって。そんな闇市を仕切るおやじを頭においてやってみようと思います」(山路さん)ピーチャムの妻シーリア役は
あめくみちこさん。
「シーリアとの共通点を見つけました。
まず、お酒が好き!そして、お金に執着している!それだけをライフラインとして何とか本番まで頑張っていきたいと思います」(あめくさん)酒場のジェニー役は
島田歌穂さん!
「メッキースの運命を大きく揺さぶる女、愛と憎しみとしたたかさが渦巻く女性・ジェニーを演じます。8年前、(『三文オペラ』のもととなった)『ベガーズ・オペラ』に出演した時はルーシーの役でした。月日が経ってジェニーです(笑)。エネルギッシュに自分の持つ色香と強さを必死に全面に引っ張り出して楽しみながら頑張ります」(島田さん)今回そのルーシーを演じるのは
大塚千弘さんです♪
「演出の宮田さんから(ルーシーは)“とにかく目ヂカラ、肉食で、女豹のように”という注文を受けています(笑)。濃ゆい先輩方、スタッフのみなさまの胸をお借りして、貪欲にしたたかに肉食的に強くルーシーとして舞台上で生きたいと思います」(大塚さん)キャストラストは警視総監タイガー・ブラウン役の
石井一孝さん。
「この役の生命線はメッキースと大親友、対極の大泥棒と警視総監が大親友であるということだと思います。音楽も素晴らしいですし、これまで『三文オペラ』を見てきた、やってきた僕にとっても“そうか!こういうことを言いたかったんだ!”と発見のある決定打のような脚本をいただきましたので、かつてないほど面白い作品になると思います」(石井さん)キャストからもたびたび飛び出した
“難しさ<面白さ”。もしかしたら、これが新国立劇場版のキーワードかもしれません。
そのカギを握るのは「JAPAN MEETS… ─現代劇の系譜をひもとく─」シリーズの醍醐味、
新翻訳!!手掛けるのはブレヒト研究の第一人者
谷川道子さんです。
谷川翻訳について・・・まずは演出も手掛ける宮田慶子さんより。
「新翻訳に際し心掛けたことは、演劇の言葉に翻訳するということ。
原点に立ち返り、谷川先生と読んでみると『三文オペラ』の本来の魅力ってここだったんだなと目から鱗。メロドラマも権力闘争も、男たちの命を懸けた生きがいの問題もある、さらにはもっと達観したとんでもなく高いところから人類を俯瞰したような目もあったり。
本当にたくさんの魅力に満ちた本だということがはっきりと表れました。
それは新たな試みというより、むしろ本来の姿に立ち返ったようです。
本来の魅力を思う存分展開するとこんなに面白いよというところを見せたいと思います」(宮田さん)谷川先生が改めて感じた作品の魅力は、
「この作品には“人間って何だ”という問いかけが根底にあります。みんな欲張りな連中が集まっていて、その一人ひとり存在理由があって生きている。これまではどちらかというとメッキースだけが主人公だったが、みんながいきいきと生きることの権利を求める芝居、もともとはそうなんだと感じています。民衆劇でありながら個人劇なんです」(谷川先生)また、この作品のもう一つのカギは
音楽、そちらの司令塔!
音楽監督を務められるのは
島 健さん♪
「『三文オペラ』の音楽はクルト・ヴァイルの代表作として非常に有名です。でも、正直いうと“なんか変な音楽だな”というのが第一印象。いつも裏切られるようなメロディライン、複雑な転調、そして不協和音もたくさん出てきます。
ただ、その“はてなマーク”こそが、実は『三文オペラ』の複雑な、猥雑な感じを表現していることに気が付き、そう思って聞くと、音楽がとっても芝居と寄り添っているのです。それは“音楽が芝居をしている”といっていいほどの一体感です。
“やっぱり傑作なんだな、よくできている音楽だ”と今は思っています。
今回はオリジナルのスコアを忠実に再現するというコンセプトですが、忠実に再現しつつも新しさが感じられる音楽になればいいなと思います。僕自身もとても楽しみにしています」(島さん)この公演はなんと
生演奏による上演♪楽しみ倍増です!!
最後に宮田芸術監督より楽しみにされているみなさんへのメッセージを!
「ブレヒトの『三文オペラ』は個人的にとてもやりたかった作品なので、念願かなってうれしく思います。混沌として猥雑、みんなが幸せな生活を求めて右往左往!とにかく上昇志向が強くて力強く、ひとりひとりが競争しあうようなエネルギーに満ちた芝居です。
実はこの(会見を行っている)場所で稽古がスタートしています。
毎日大騒ぎです(笑)。みなさん本当に元気でエネルギッシュでとても賑やかな本番になると私自身とても楽しみにしています。秋の話題作になるよう、そして多くの方に見ていたき“元気だね!”と思ってもらえる舞台を目指します」期待しています!!!
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影) 監修:おけぴ管理人