【過去ログ】2012/08/06 劇団青年座第204回公演「ブンナよ、木からおりてこい」稽古場レポ&インタビュー


劇団青年座 第204回公演「ブンナよ、木からおりてこい」稽古場レポ&インタビュー

2012年8月6日(月)11:45

おけぴ会員稽古場レポ隊企画

劇団青年座 第204回公演

『ブンナよ、木からおりてこい』稽古場レポ&逢笠恵祐さんインタビュー

青年座×おけぴ企画第3弾!

1978年の初演からこれまでに1140回の上演を記録している、

青年座の財産ともいえる作品『ブンナよ、木からおりてこい』(原作:水上勉)。

この世にはもっともっと広く、平和で、仲間の殺されない未知の国がある。

そんな思いを胸に、誰もてっぺんを見たことのない高い木に登り始める、

トノサマ蛙の子ブンナ。

そこでブンナが見たものとは・・。

胸に強く訴えかけるメッセージと共に、歌やダンスもふんだんに取り入れられ、

大人も子どもも楽しめる青年座の代名詞とも呼べるこの名作舞台。

本番に向けて稽古が続く青年座劇場に、

おけぴ管理人&抽選で選ばれたおけぴ会員レポ隊5名の皆さんとお邪魔してまいりました♪

今回の公演は、新演出&新楽曲でのリニューアル上演。

青年座としては、これが5バージョン目になるとのこと(!)。

時代に合わせて形を変えつつ上演が続けられているのですね。

演出を手掛けるのは青年座文芸部の磯村純さん。音楽は高崎真介さんです。

そして、元気いっぱいのトノサマ蛙、主演のブンナを演じるのは、

青年座若手の注目株!逢笠恵祐さん。

今回、大抜擢で大役を演じる逢笠さんに、

おけぴレポ隊がお話をうかがってまいりました!!

レポ隊)

『ブンナよ、木からおりてこい』という舞台について、お聞かせ下さい。

逢笠さん)

とてもメッセージ性が強い作品ですよね。

説明の台詞も多いですし、よく喋りますし(笑)。

その中で、いかに説明をしないか、メッセージをいやらしくしないかを課題にしています。

レポ隊)

そのためには、どのようなことを意識して演じていらっしゃいますか?

逢笠さん)

素直にやるのが一番かなと。

(ちょっと間をあけてから)“誠実にやること”ですかね。

質問に対して、ゆっくりと丁寧に、言葉を選びながら語る姿に

なんてしっかりとした若手俳優さんなんだと、しかもなんてイケメンなんだと、

レポ隊一同、間近に見る逢笠さんにほれぼれとして、さらにインタビューは続きます。

レポ隊)

カエルを演じることについて、いかがですか?

逢笠さん)

現実的に考えると・・無理だなと(笑)。

(四つん這いになる格好に)慣れるまでは股関節が痛かったりして(笑)。

腰も痛いな、とか。

でも、その体勢をとったときに“気持ちが変わる”んですね。

そういったところから得るものがありますね。

(カエルの目線で見ると)まるでアリエッティの世界です(笑)。

人間が思わぬところから、カエルたちは影響を受けたりしていて、

例えば外来種なんてカエルにとっては死活問題ですよね。

そういうことにも考えが及んだりして、広がりを感じています。

レポ隊)

気にいったセリフはありますか?

逢笠さん)

ラスト近くの、“たくさんの命がつながって僕というカエルがここにいる”というセリフが好きです。

僕は出身が福島なんです。

震災があり、色々と考えていたときに、この本を頂けたというのがあるので、

このラストは自分に重なります。

(ブンナの物語の)結末は必ずしもハッピーエンドではないと思います。

これから困難もあるだろうし、命の危機も・・もしかしたら次の日に死んじゃうかもしれない。

でも木から降りて、執着心がなくなって新しいものが見えると言いますか。

上を見て、体験して、降りてきて・・(ブンナが)これから強く生きて行くという、

そんなことを思いますね。

レポ隊)

この舞台は、お子さんもご覧になると思いますが、その点については?

逢笠さん)

子供って、思っているよりは大人、ですよね。

こういった普遍的なテーマの作品を、子供は素直に受け取ってくれるんじゃないかと思います。

あまり子供とか大人とか、どちらもとか、そういう目線では作っていないですね。

メッセージを押し付けがましくしないというのが、ひとつのテーマとしてあるんですが、

見た方、それぞれが感じて下さったらいいなと思っています。

“伝える”というよりは、“伝わる”というようになればいいかなと。

逢笠さんの、まさしく“誠実”な受け答えに、レポ隊一同ウンウンと頷きながら

お話に引き込まれました。

ここで聞きたくなったのは、逢笠さんがどんな方なのかということ。

インタビューは和やかに、打ち解けた雰囲気で続きます。

レポ隊) 

青年座に入ろうと思ったきっかけは?

逢笠さん)

福島ではあまり演劇公演がなくて、映画をよく見ていました。

俳優の西田敏行さん(元・青年座所属)が同郷なんです。

映画などで見ていて、あこがれていて・・。

(自分が青年座に)入ってみたら、もういらっしゃらなかった(笑)。

先輩にあこがれて入団した時には、まさか自分がカエルをやることになるとは思っていませんでした。

貴重な経験だと思います(笑)

レポ隊) 

好きな俳優さんはいらっしゃいますか? 

逢笠さん)

渡辺謙さん、真田広之さんは、(力をこめて)かっこいいですよね!

男から見てもかっこいいなって思うのは、すごいことだと思います。

レポ隊)

どういった俳優さんを目指していらっしゃいますか?

逢笠さん)

(しばらく考えてから)今は、このブンナというお芝居を誠実に演じられる俳優になりたいと思っています。

この作品をやり終えた後は、また変わってくると思うんですが。

レポ隊)

好きな映画、お芝居があれば教えてください

逢笠さん)

(ちょっとテレながら)『ニューシネマパラダイス』が大好きなんですよ。

(大きく相槌を打つレポ隊)

あれ、いいですよね!! 何回観てもいいです。普遍的な作品だと思います。

あと、演劇では深津絵里さんが出演していらした『春琴』が好きですね。

レポ隊)

今回のお芝居の配役の発表のときは、いかがでしたか?

逢笠さん)

実は同期からメールで、“決まったよー”って来たんです。

“あ・・・”っていう感じで(笑)。

“・・・メールで来ちゃった”みたいな感じでした(笑)。

レポ隊)

最後に、ブンナという歴史のあるお芝居で主演されるのは大変だと思うんですが、

プレッシャーは感じてらっしゃいますか?

逢笠さん)

プレッシャーはそんなに感じていない方だと思います。

緊張はするのですが、気にしてもしょうがないなと思っちゃうんです(笑)。

逢笠恵祐さんのお答え、ひとつひとつに誠実感があり、

的確な言葉でしっかりと話されるのが印象的でした。

『ブンナよ、木からおりてこい』という先輩たちから受け継がれた重要な作品に対して、

敬意と度胸をもって挑む姿勢に感銘を受けました。

もっともっと聞きたいことも出てくるような雰囲気でしたが、残念ながらお時間です。

稽古中の貴重なお時間をさいていただき、たくさんのお話をありがとうございました!

続いて製作スタッフの方に、青年座劇場の裏側をご案内いただきました!

迷路のように細い通路を抜けて、ドアを抜けて・・・。

青年座劇場の舞台を見下ろす調光室へと出てまいりました。

窓の向こうは劇場です。天井に照明が設置してあるのが見えます。

さらに階段を降りて、稽古場へとご案内いただきました。

本番の舞台は新国立劇場・小劇場ですが、

青年座稽古場に本番さながらの舞台が組んであります。

この作品は、歌とダンスのあるお芝居です。

この日は、発生練習から歌のお稽古、

さらには動きもつけてのダンスシーンを拝見させていただきました。

演出の磯村純さん。とても気さくにレポ隊にも笑顔で話しかけてくださいました!

歌と群舞の迫力が満点です!こんなアクロバティックな振り付けもあります。

だんだん、役者の皆さんが、カエルに見えてきました・・・。

写真左は、かつてブンナを演じられたこともある佐藤祐四さん。今回は老蛙役です。

右の逢笠さんと、新旧ブンナの揃い踏み!

骨太のドラマが展開する中で、

歌ったり踊ったりの楽しい場面も盛り込まれている『ブンナよ、木からおりてこい』。

ブンナが木を登っていく場面は、逢笠恵祐さんが四つん這いで激しいアクション、

ダンスと歌で高揚感に満ちていました!

カエルたちの合唱は、楽しくて、パワーがあって、可愛くてユーモラス♪

それでいて切なく、胸に迫ってくるパワーは、さすが青年座。

充実の稽古場見学を終え、本番の舞台がますます楽しみとなったレポ隊。

スタッフ、キャストの皆様、お忙しいところを、本当にありがとうございました!

稽古場、インタビューの様子は、

おけぴレポ隊参加者の方のブログでも紹介されていますので、ぜひご覧くださいませ。

ブログ「毎日お気楽日記」(みもままさん)

ブログ「青山航士さんを囲むおしゃべり広場」(ゴージャスようこさん)

レポ隊参加者の皆さんから届いた感想を、一部抜粋してご紹介いたします♪

(レポ隊Oさんの感想より)

劇団の見学は、隅々まで拝見させて頂き、たくさんのドキドキ感ワクワク感を体験させて頂きました。

青年座の歴史を垣間見ることが出来、有り難かったです。

仕事中お邪魔しました製作をはじめ、スタッフの皆様ありがとうございました。

歌の練習のあとのダンスは老若男女がみんなと一つになり踊り合わせている姿が、

また、皆さんがいい汗を流している姿が、良いなぁと思い、いい舞台に仕上がる確信を持ちました。

舞台初日が今から楽しみです。

(レポ隊Uさんの感想より)

公演の主演・ブンナ役をつとめる逢笠恵祐さんは意外に冷静でした。

ブンナという大役において、プレッシャーと戦っているのかと思いきや、

「緊張するけど特に気にしない」と淡々と話してくださり、ここでも大物の予感がします。

「演劇を好きになってもらう前に、演じる方が力をつけなければ」。

これからの演劇界における注目株の逢笠さんの堂々と真っ直ぐで力強い目力が、印象に残りました。

福島県出身の逢笠さんが中心となり、カエルの視点で命やその尊厳を描くこの作品が、

東日本大震災やいじめの問題が取りざたされる今に上演されることに大変な意義があると思います。

出演者の皆さんがカエルの体勢で動きながらダンスと歌の稽古を拝見していると、

自分も不思議と動物サイズになっている気分!

人間が姿として登場しないからこそ、弱肉強食の世界における動物たちの生きざまを通して、

真っ直ぐ観客の心に届くものがあります。

歌や台詞など、新しい演出も組み込まれた「ブンナ~」。

今から開幕が待ち遠しいです!

弱肉強食の世界の中で、ブンナが体験する“生”の本当の意味とは・・。

今の時代に痛烈に、そして優しく語りかける名作舞台、お見逃しなく!

劇団青年座 第204回公演

『ブンナよ、木からおりてこい』

8月20日(月)~26日(日)

公式HP

公式ブログでもレポ隊訪問をご紹介いただいています♪

<ものがたり>

この世にはもっともっと広く、平和で、仲間の殺されない未知の国がある。

そんな思いを胸にトノサマ蛙の子ブンナは

住みなれたお寺の境内にそびえ立つ椎の木に登ります。

やっとの思いでてっぺんまで這い上がったブンナ。

そこには、ブンナがもぐり込むことの出来る土のたまった空間があった。

太陽が輝き、草花が風にそよぎ、うまい虫までが飛んでいる。

天国だ――!

しかし、そこは鳶の餌ぐらだったのです。

次々に連れてこられる傷ついた雀、百舌、鼠、蛇たち。

彼等は「死」を前に壮絶な戦いを繰り広げる。

天国から地獄に突き落とされたブンナ。

土の中で怯え、慄きつつ、なを生きることを考える。

季節は秋から冬へ、そして長い長い冬眠――。

春がやってきた。

眠りから覚めたブンナは鼠から生まれ出てきた虫たちを食べ、

仲間が住むお寺の庭へおりて行くのでした。

最後に逢笠恵祐さん&おけぴレポ隊、記念撮影の様子を♪

おけぴレポ隊企画、今後も引き続きよろしくお願いします♪



取材&撮影:yoshida、mamiko、おけぴレポ隊の皆さん  監修:おけぴ管理人

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