森新吾さんに捧ぐ、男たちの抱腹絶倒ノワールコメディ再び!
どんな逆境にあっても、前を向いて進んでいく。ショー・マスト・ゴー・オン! DIAMOND☆DOGS(D☆D)メンバーとして、そしてダンサー、振付家、演出家としても活躍した、森新吾さんが立ち上げた演劇プロジェクト「アクトカンタービレ」。
その第二弾公演『golden lemonade』の稽古開始直前に急逝した森さんを偲び、予定していたタイトルはそのままに、新たに咲山類さんが参加して、前回公演『scene 1 Smoky Dog』をブラッシュアップ上演することが発表されてから約1ヶ月。ステージの上に現れたのは、生きることを愛し、どんな状況にあっても進み続ける男たちの姿でした。
5月9日、博品館劇場にて幕を開けた『
アクトカンタービレ scene 2 golden lemonade ~森新吾へのオマージュ~』観劇レポートをお届けいたします。
“死神”と呼ばれるほどの凄腕の殺し屋(町田慎吾さん)が、依頼を受けて潜り込んだのは、“同業者”たちが集う秘密のアジトだった!?
互いにコードネームで呼び合う男たちが繰り広げるのは、ハードボイルドなストーリーか、はたまた抱腹絶倒コメディか、それとも…?
立入禁止の波止場に現れたのは、“死神”の異名をとる殺し屋の男(町田慎吾さん)。“同業者”が集まるアジトに潜り込み、依頼主の合図があったらターゲットを始末する。そんな奇妙な依頼を受けやってきた彼を待ち受けていたのは…緊迫感ゼロ、やたらフレンドリーな男たちだった!
写真左から)謎のアジト=営業部の所長?咲山類さん、キレキレのターンを随所に盛り込んでくる長澤風海さん、所長とは古い付き合いらしい小寺利光さん
写真中央)アメリカから来日したばかり?冨森ジャスティンさん
お菓子を食べながらワチャワチャと楽しそうな男たち。それぞれの細かいお菓子へのこだわりに思わず微笑…♪
アジトの部屋に流れるラジオ番組「ミッドナイトレモン」のDJ(桐生園加さん)。軽快なおしゃべり!…のなかに、なにやら不穏な発言も…?
和気あいあいと盛り上がる姿に「殺し屋としての自覚が足りない」と苛立つ殺し屋の提案で、「はじめて人を殺した時の話」を順番に語り始める男たち。それぞれの事情、さまざまなエピソード。しかし話が進む内に殺し屋の頭の中にはある疑問が浮かび…
彼の特殊能力は“火を操ること”…?
磁力を操る彼の前に立ちふさがる男は、彼らの正体を知っていた…!?
なにやら訳ありな男を演じる水谷あつしさん。彼の存在が、男たちの運命を変えていくことに!
心優しいある能力を持つ男役・若松渓太さん。美声もたっぷりと♪
出番が少ない!? いいえ、後半に大きな見せ場が♪ これはもはやミュージカル!【運送会社の配送員(?)】法月康平さん
◆森新吾ワールド炸裂でいつ舞台に出てきてもおかしくない作品でした。
皆さんが森さんの世界観を継承して作り上げた作品で、風海さんがセリフを喋るのを初めて見たので新鮮でした。
作品として森さんが生きていることを嬉しく思う内容でした。
◆森新吾君が お亡くなりになってしまい 彼の思い等々 いつもの舞台と違って キャストも凄く頑張って下さって天国で 微笑んでいて下さっているかなと 観る私も いろんな思いでした(今回の公演を見たおけぴ会員の感想コメントより)
◆複雑に交差するストーリーが後半に進むにつれテンポよく展開していき、終盤は想像もしないラストに。
◆ラジオ番組がストーリーにうまく組み込まれていて面白いなあと思っていたら…めちゃめちゃ怖い展開になっていって、最後までどうなるのかわからなくて…終わってみたらあっという間でした。
◆初めはハードボイルド系な舞台かと思っていましたが、蓋を開けてみればコメディで、随所に笑いが散りばめられており、観て元気になれる作品。(前回公演『scene 1 Smoky Dog』を見たおけぴ会員の感想コメントより)
はたして彼らの正体は? そして、男たちの究極の選択とは?
『scene 1 Smoky Dog』の脚本・演出を手がけた米山和仁さん(劇団ホチキス)の協力のもと生まれ変わった、死と再生を司る男たちの物語。前作未見の方はぜひそのまま、ネタバレなしで見ていただきたい! そして前回観劇された方も、新たに加わったキャラクターや要素が生み出す“golden lemonade”な味わいに満足されるはず。
D☆Dの中塚皓平さん、多くの作品で森さんの振付助手をしてきた木野村温子さんとともに、演出も担うことになった元D☆Dの小寺利光さん。そして急遽、森さんの代役として出演が決まった咲山類さん(D☆D)。オリジナル音楽を手がけるのはこちらも元D☆DのTAKAさん。このほか森さんを慕う、縁ある面々が多数かかわり、初日を迎えた『 アクトカンタービレ scene 2 golden lemonade』。
物語の冒頭、タバコの煙をくゆらしながら「人は誰でも必ず死ぬ。どうせ死ぬなら、それまで思いきり好きなように生きたい」と自らの死生観を語る殺し屋の男。そのモノローグを聞きながら、観客がどうしても思い出してしまうのは、今日この舞台の上にいない人のこと。 けれども、森さん自身が望んだ「アクトカンタービレは笑いを大事に、爆笑に次ぐ爆笑の舞台にしたい」という思いをしっかりと受け継いだカンパニーの熱演によって、次第に客席は笑いに包まれ、気づけば舞台上も客席も、最高の笑顔に。
When life gives you lemons, make lemonade. 人生が酸っぱいレモン(試練)を与えたら、そいつを使って甘いレモネードを作っちまえ!
人生にはいろいろなことが起きる。どんなことが起きても、それを逆手にとって楽しもう。成長しよう。そんな舞台人たちの覚悟を見せつけてくれる『 アクトカンタービレ scene 2 golden lemonade ~森新吾へのオマージュ~』。森新吾さんが愛した博品館劇場にて、5月13日(月)まで上演中です。
公演詳細(博品館劇場公式サイト)
おけぴ取材班・mamiko(撮影/文) 監修:おけぴ管理人