2014/11/17 ミュージカル『レ・ミゼラブル』福井晶一さん・吉原光夫さん・ヤン・ジュンモさん“3バルジャンインタビュー”

新演出版初演から2年、2015年の『レ・ミゼラブル』にジャン・バルジャン役でご出演する福井晶一さん、吉原光夫さん、ヤン・ジュンモさん
多くのミュージカル俳優がいつか演じたいとロマンを抱く“ジャン・バルジャン”、それぞれの思いを胸にこの大役に挑む、その決意のほどをうかがいました。


福井晶一さん、吉原光夫さん、ヤン・ジュンモさん

-さきほど2015年の『レ・ミゼラブル』製作発表が終わりました。バルジャン役で出演するということ、改めて現在の心境をお聞かせください。

福井)
今年一年間、活動を休んでいた中で、どういう形で人生をリスタートしようかと思った時にこのお話をいただきました。「ここでしかない」と思い、出演を決めました。
大好きなこの作品にもう一度出演させていただけることに感謝しています。
4月までにじっくりと作品、役と向き合っていきたいと思います。

-吉原さんは再びバルジャン、そしてジャベールの2役ですね。

吉原)
このたび福井さんに裏切られまして(笑)、2役は僕一人だけという。
でも、やらなくてはいけない運命なのかなと思っています。
よく「やりたくねー」とか「噂ではジャベールもやるらしくて・・・」とか軽口を叩いていますが2役演じることはガッツリと自分のほうから受け入れたことです。僕には2役やることが必要で重要なんです。まだ36歳なので(笑)、自分をさらに鍛え、きつい思いをしてもあえてそこに挑戦しようと決めました。

ヤン・ジュンモ)
私のミュージカル俳優としての11年のキャリアの中で、これまでにも演出を手掛けたり、プロダクションを作ったり、ドラマに出演したり、さまざまな挑戦をしてきました。
『レ・ミゼラブル』出演も新たな挑戦、これまでで一番過酷な挑戦になると思いますが、同時にもっとも意味のあるものになると思っています。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』誕生からほどなくして日本のプロダクションはスタートしています。日本の観客のみなさんが抱いている、長い歴史のなかで育まれた作品への思いもひしひしと感じております。その歴史に値する演技をお見せするべく全力を尽くします。

-現時点でバルジャン役をどのようにとらえていますか。福井さん、吉原さんは前回の経験も踏まえていかがでしょうか。


福井)
実は元々ジャベールに興味があって、最初のオーディションはジャベールで受けたんです。バルジャンをやれると思っていなかったので、自分がバルジャンを演じるということは当初は大きな驚きでした。
ただ、結果的には2役やることによって、生きるということと同時に死についても深く考えさせられました。何を選択し、どう生きるか、どう死ぬか、何を残していくか。俳優にとってとてもやりがいがあり、自分自身を成長させてくれる役ですね。

-前回公演では福井さんのバルジャンは“聖人”という部分が際立っていたように感じます。

福井)
そうですか。自分でそう見せようと意識したわけではないんですけどね。

吉原)
福井さんがもともと持っているものです。

福井)
いやいや、そんなことはないです(笑)。
演じる上では、変化していくプロセスを大事にドラマティックに演じられればと思っていただけです。

-福井さんのバルジャンを“聖人”とすると、吉原さんは対照的に“野人”の部分が・・・


吉原)
持っているものなんでしょうね、やはり(笑)。

-吉原さんはその前、2011年の旧演出版からバルジャン役をされていますが新演出版で何か役作りの変化はありましたか。

吉原)
2011年からベースは同じ“普通の人間”です。
この作品がこれだけ長い間上演される理由はそこにあると思います。
バルジャンは奇跡的に生まれた神のような人ではなく、ひとりの人間。出会いと自らが変わろうとする意志の強さで人生を切り開いていった男、それは誰にでも起こり得ることなんです。
それはジャベールもまたしかり、彼も監獄で生まれたにもかかわらずあそこまで上り詰めたんですよ。その過程で彼にも変革していく強さはあったと思います。
ただその先、人を赦すことのできなかった人とすべてを赦せた人、それがあの二人なんじゃないかな。
バルジャンの最期は白シャツに黒パン、何も飾らず普通のおじいさんになって死んでいくんですけど、そこには「所詮人間、すべて神の定めに従うまで」そんな思いが込められているように感じます。
今回も極力“人間”ということを忘れずにいたいと思います。
ただ、会見でジュンモさんがおっしゃったようにプロローグまでのバルジャンは僕らが想像もつかないような人間です。監獄に19年、その重みと向き合うことは毎回きついことですが、そこは頑張ろうと思っています。

このような自分の中のベースは変わりませんが、新旧の演出家によって求められる演技のニュアンスは違ってきます。
旧版は初めの段階でもどこかにその後の片鱗、ピュアなバルジャンを見せてくれ。汚く泥で汚れた中でも白いものを見せてくれという演出でした。
あざとくなく白い部分を見せる、そこは苦労しました。実際「白が見えない」と言われましたしね、なにせ持っているものがこういう人間なんで(笑)。

それに対して新演出でははじめは怖いから噛みつく、殺されそうになると噛みつく、まさに “野良犬”でした。

-とても興味深そうにお聞きになっている、ヤン・ジュンモさん。今のお話を聞いていかがでしょうか。


ヤン・ジュンモ)
昨年、日本で『レ・ミゼラブル』を見ましたが、実はそれが私の人生初『レ・ミゼラブル』(ミュージカル版)でした。そしてその時にバルジャンを演じていたのが吉原さんです。

吉原)
えっ、そうなんですか。

ヤン・ジュンモ)
(吉原さんのバルジャンから)今、お話しされたキャラクター分析そのものを感じました。
その後、韓国プロダクションを見ましたが吉原さんの演技は圧倒的でした。
私は一種の職業病でしょうか、舞台を見ていても気が付くと人間分析をしてしまいます。自分が演じる時も、例えば、殺人者の役ならなぜ殺人を犯すのか、なぜその人間がそのような行動をしまったのか、そういった人間的なところに演技の重きを置きます。
そこを誠実に見せてくれた吉原さんの人間バルジャンに大変感銘を受けました。

今回、私がバルジャンを演じるにあたっては、なぜ彼があの時「独白」を、そしてそこから「彼を帰して」を歌うまで、人間バルジャンが“なぜ”そういった選択をしていったのか、その理由を伝えていきたいと思います。

-日本公演を実際にご覧になったときの印象が出演の動機に繋がったのですね。

ヤン・ジュンモ)
はい。そしてほかにも日本の公演のシステム、スタッフや俳優のみなさんによる細部にも及ぶ徹底した作り込みにも感動しました。その作品作りへの姿勢なども日本の公演システムから学びたいと思います。
また、それに関しては昨年出演した日本でのミュージカルコンサートでの経験も大きく、それもきっかけのひとつです。コンサートにも関わらず細かいところまで神経を注いで作っていたことにびっくりしました。コンサートでこれなら、作品になったどんなことになるのか楽しみにしています。

-では、最後に2015年の公演への意気込みをお聞かせください。

吉原)
ヤンさんの話とも通じますが、“なぜ”を追求したいと思います。
前回は新しいプロダクションだったので、正直言うと段取りの安全性の検証など初演ならではの忙しさに追われる中でなんとかして公演を開けないと!という状況でした。
今回は再来日するエイドリアンと一緒にさらに細かいところ、例えば「なぜここで左手なのか」、「なぜ右に動くのか」そこを突き詰めていけるとさらに面白いものになると思っています。
そしてバルジャンを演じるこの3人。福井さんは復帰、ヤンさんは初めての日本での公演、僕は2役、三者三様の挑戦をする3人で助け合いながら作品を作り上げていきたいと思います。

ヤン・ジュンモ)
今日の製作発表で驚いたことは、このプロダクションではかつてガブローシュを演じた子役がアンジョルラス、そして今はマリウスを演じていることです。(原田優一さん)
そんな作品があることは、俳優をやっている人間にとってとても幸せなことです。
私は韓国のミュージカル界で10年ほど活動してきましたが、再演がかかることは珍しいことですし、さらに3演、4演と歴史を刻んでいける作品はダイヤモンドを探すくらい難しいことです。今日、その歴史を目の当たりにしたことでバルジャン役を務めることに対して、改めて気持ちが引き締まりました。自分に足りないところを補い、みなさんにアドバイスをいただきながら一生懸命に務めたいと思います。

-では、最後に福井さんからご自身の抱負と公演を楽しみにされているみなさんへのメッセージをお願いいたします。

福井)
僕自身はまた一から、本を読むところから始めようかなと思っています。前回の経験が助けにもなると思いますが、また新しい気持ちで役と向き合いたいですね。
カンパニーとしては、前回は新演出初演や映画の公開など話題性も豊富でしたが、今回は再演、二度目の挑戦となります。ある意味では初演より難しいかもしれません。
そこに立ち向かうにはより中身を充実させて作っていかなくてはならないと思います。素晴らしい共演者のみなさん、スタッフのみなさんと力を合わせていい作品を作ります。
2015年の『レ・ミゼラブル』を楽しみにしてください。

-ありがとうございました。三者三様のジャン・バルジャンを楽しみにしています。


製作発表での一枚
そして!

【あったらいいな!】

プリンシパルキャストからアンサンブルキャストまで『レ・ミゼラブル』2015帝劇公演のキャスト組み合わせ検索のページを作成いたしました。

★おけぴキャスト組み合わせ検索『レ・ミゼラブル』2015★ (←クリック)

検索結果ページにて<この回の詳細表示>をポチッとしていただくと、そこにはそれぞれのキャストのみなさんのHPへのリンクもございます。
こだわりの組み合わせでのご観劇、ご観劇日のキャスト確認(自由検索)など、ぜひご活用ください。

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★ミュージカル『レ・ミゼラブル』2015おけぴ観劇会のお知らせ※たくさんのお申込みありがとうございました
★『レ・ミゼラブル』2015製作発表おけぴフォトギャラリー

【公演情報】
ミュージカル『レ・ミゼラブル』
2015年4月13日(月)~16日(木)プレビュー公演
【東京公演】2015年4月17日(金)~6月1日(月)@帝国劇場
【名古屋公演】6月@中日劇場
【福岡公演】7月@博多座
【大阪公演】8月@梅田芸術劇場
【富山公演】9月@オーバード・ホール
【静岡公演】9月@静岡市清水文化会館 マリナート

<スタッフ>
作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作:ヴィクトル・ユゴー
作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
演出:ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳:酒井洋子
訳詞:岩谷時子

<キャスト>
【ジャン・バルジャン】
福井晶一/吉原光夫/ヤン・ジュンモ
【ジャベール】
川口竜也/吉原光夫/岸 祐二/鎌田誠樹
【ファンテーヌ】
知念里奈/和音美桜/里アンナ
【エポニーヌ】
笹本玲奈/昆夏美/平野綾/綿引さやか
【コゼット】
若井久美子/磯貝レイナ/清水彩花
【マリウス】
原田優一/田村良太/海宝直人
【テナルディエ】
駒田一/KENTARO/萬谷法英
【マダム・テナルディエ】
森公美子/浦嶋りんこ/谷口ゆうな
【アンジョルラス】
上原理生/野島直人/上山竜治

【男性アンサンブル】
安部三博/石飛幸治/伊藤潤一郎/上野哲也/宇部洋之/大津裕哉/鎌田誠樹
川島大典/神田恭兵/菊地まさはる/北村がく/櫻井太郎/篠田裕介/杉山有大
高舛裕一/田村雄一/丹宗立峰/照井裕隆/土倉有貴/中西勝之/西川大貴
原慎一郎/日浦眞矩/藤田光之/萬谷法英/持木悠/森山大輔/立崇なおと
【女性アンサンブル】
浅野実奈子/池谷祐子/石田佳名子/王子菜摘子/吉川恭子/児玉奈々子/小南満佑子
島田彩/中西彩加/華花/般若愛実/廣野有紀/藤咲みどり/穂積由香
本田育代/松本ほなみ/三森千愛/三戸亜耶/柳本奈都子/山岸麻美子/綿引さやか

公演HPはこちらから


おけぴ取材班:おけぴ管理人(撮影)chiaki(文)

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