新宿の二つの劇場にて同時上演中の2作品、
鵜山仁さん演出『マンザナ、わが町』、
長塚圭史さん演出『十一ぴきのネコ』、そして、10月10日山形にて大千穐楽を迎える
栗山民也さん演出『國語元年』!
井上ひさしさんの戯曲、ことばを、それぞれの作品を通して伝える…その演出家のみなさんも錚々たる顔ぶれですね。
そこで、おけぴ秋のこまつ座特集!早速届いた『マンザナ…』と『十一ぴき…』の舞台写真とおけぴ関連レポ、そしてお寄せいただいた感想をご紹介いたします。
♪数日前に同じ新宿で開催中の「十一ぴきのネコ」と合わせて観たので、いっそう興味深かった。かたや男優ばかりの寓話、こちらは女優ばかりで実話に基づく戯曲。いずれも国家と個人を考えさせられる井上ひさしならではの作品。
両公演のチケット半券で、井上ひさしメッセージ入りのクリアファイルがプレゼントされます。『マンザナ、わが町』公開稽古レポート←クリック真珠湾攻撃で大きく運命を変えられたアメリカ在住の日系アメリカ人たち。
カリフォルニア州マンザナ強制収容所を舞台に、そこに収容された5人女性たちがある朗読劇の上演をめぐり対立し、葛藤を繰り返す。
井上ひさし流“人間讃歌”の物語を5人の女優の競演でお届けする、こまつ座第113回公演『マンザナ、わが町』。
♪いや~参りました!!胸にビシビシと響く歌声とセリフと演技。
シリアスな内容なのに、笑って、泣けて、考えさせられ・・じわじわ来るこの感覚。
平和で緩んだ今の日本の私たちに優しく「喝!!」を与えてくれているような真面目な中にウイットのある井上さんの魂がこもった秀作 是非ご覧ください!
♪出演者5人それぞれが素晴らしい。オトメ熊谷さんの浪曲とても聴き応えあり笑いも沢山。吉沢さん笹本さんの歌はさすが。土居さんの芯のあるソフィアはピッタリでした。
伊勢さんは初でしたがあの可笑しさは最高!最後は涙が止まりませんでした。
天国の井上ひさしさん、今の地球は美しいですか?
♪5人の女優さんがとにかく素晴らしかったです。最初は重い感じの物語の内容について行けるか心配で少し構えてしまっていたのですが、魂揺さぶられる言葉の数々にグングン引き込まれ夢中になって観ていました。
戦後70年のこの年にこのような素晴らしい作品を観ることが出来て感慨深い気持ちでいっぱいです。『十一ぴきのネコ』公開稽古レポート←クリックいつもお腹を空かせた野良ネコにゃん太郎が十匹の野良ネコ仲間と大冒険の旅に出た!
『キャッツ』誕生の10年前に、馬場のぼるさんの絵本「11ぴきのねこ」をもとに、井上ひさしさんと作曲家の宇野誠一郎さんのコンビで書き上げたネコだけのミュージカル『十一ぴきのネコ』。
◆舞台が始まる前からお楽しみが始まっています。少し早めに着席がオススメです。
みんなちょっと小汚くてノラ感が出ています。子どもむけのお話ですが、
全年齢楽しめると思います。なにより客席の子どもさんの反応が楽しい!
舞台はナマモノですね。最後、なんで〇〇〇の...?という子どもの質問にお母さんはなんて答えてあげるんだろ。。私には難しいなぁ。長塚さんの演出が冴えていると思いました。
◆彼らはまさしくねこ!人間らしい、ねこでした。絵本原作といえど、やはり井上ひさし作品、という感じ。衣装がとっても素敵です。
演者が多いのにも関わらず全員の個性を上手に表現されていました。
役者さんたちももちろん素晴らしい。とくに、北村有起哉さんと山内圭哉さん。
そして、ラストがすごく良いですね。全ての年代の方に見て頂きたいです。
◆井上ひさし作品といえば言葉使いの巧さが有名ですが、それを操る北村さんの声や動きの軽妙さも一見の価値有りです!
耳でも目でも楽しく、気付いた時にはおじさん達11人がちゃんと11匹に見えてきていつのまにかお気に入りの1匹ができています(笑)立っている姿だけでもなぜか可愛い。
役者達が歌い跳ね回る姿はTVでは中々見られない。舞台ならでは!
というのを改めて感じる作品です。ついに大千穐楽@山形!
『國語元年』稽古場レポート←クリック
明治七年、東西の話し言葉がテンデンバラバラだった頃。文部省官吏の南郷清之輔に「全国統一の話し言葉を制定せよ」という命令が下った。
そこからはじまるあれやこれやの大騒動を幻の小学唱歌を織り交ぜながら描く『國語元年』。
★明治初期にあったであろう統一国語を作る作業。そのプロセスを面白可笑しく見せてくれます。
今の私たちは何気なく標準語を使っていますが、それが当たり前ではないことを知らされました。また、つい見逃しがちな、権力との関係にも気付かされました。
「小学唱歌」がいい味を出し、写真が舞台転換に効果的に使われるなど、全編にわたって引きつけられる要素が満載でした。
★簡単に感想が書けるような公演ではありませんが…あえて最も記憶に残ったセリフを。
「国民みんなが使うものなら、特定の誰か1人が決めるのではなく、みんなで決めるべきです」
★いろいろなお国言葉が舞台上で飛び交い、1/3ぐらいの台詞は何を言っているのかよくわからない。それでも可笑しい。方言や国語をめぐる喜劇的なやりとりを通して、ことばと人の結びつき、ことばと国家の結びつきについて再考を促す啓蒙的な内容の作品でした。
音楽劇の要素もあります。八嶋智人さんをはじめ個性的な魅力の俳優たちの達者な演技も堪能できる作品でした。さあ、みなさま、観劇の秋を満喫いたしましょう♪
感想寄稿:おけぴレポ隊のみなさま
編集:chiaki