待望の再演!
浦井健治さん主演ミュージカル「アルジャーノンに花束を」が8年ぶりに帰ってきます!チャーリィ・ゴードン役:浦井健治さん
今年6月に86歳で亡くなったダニエル・キイスが1959年に発表した同名小説を原作としたオリジナルミュージカル『アルジャーノンに花束を』。
32歳になっても幼児なみの知能しかないパン屋の店員チャーリィ・ゴードンが脳の手術によって天才に変貌したが・・・。SF的側面を持ちながら、人間の尊厳や医療倫理などさまざまなテーマを織り込んだ物語。
主人公チャーリィの“心”と彼に関わる人々のドラマを色濃く描いたミュージカル版は大きな感動を呼び、開幕後のチケット難、見たかったけど見られなかったー!!という方も多くいらっしゃるかと思います。
その後幾度となく“再演”の声が聞こえては消え・・・。
そんなまさに“待望”の『アルジャーノン・・・』が再演です。
主演はもちろん浦井健治さん。
2006年の初演の演技が評価され第31回菊田一夫演劇賞を受賞、その後の活躍は言うまでもありませんよね。
かしこくなりたい♪ チャーリィ(浦井健治さん)
チャーリィが手術を受けることを決めた理由は、“ともだちがたくさんできるから”“はなればなれのかぞくにあえるから”。
手術は怖いけど頑張る!
このシーンの浦井さんのセリフ回しは“ひらがな”の響き。原作小説で表現されているたどたどしい言葉が純粋で愛らしい笑顔と共に届けられ・・・なんだかとても
切ないです。
手術後、驚異的な知能の発達を遂げるチャーリィ
知能の発達によりその
声色、表情、操る言葉、まるで別人のような振る舞いを見せるチャーリィ。キニアン先生を見つめる視線も変化し、やがて彼女をアリスと呼ぶようになるのです。
冒頭の少年のような愛らしさから急激な知能の発達と情緒面の発達とのギャップへの葛藤、やがて医師団をも凌駕する天才的頭脳を持った青年へ・・・。
今年初めの『シャーロックホームズ』での一人二役の怪演も記憶に新しい浦井さんですが、それともまた違う
一人の人間の成長と葛藤を凝縮された時間軸で見せる。セリフ、歌声、佇まい、表情そのどれも目を離せない浦井チャーリィです。
アリス・キニアン先生(安寿ミラさん)
チャーリィを見守り、その心に常に寄り添うキニアン先生には安寿ミラさん。
慈愛の人です。保護者としての責任とやがて自分より高度な知能を有するようになるチャーリィへの想いに先生として女性として思い悩む。
こちらも切ない。チャーリィとアリスの関係にも次第に変化が
病院でチャーリィが出会うのが、先に手術を受け天才的頭脳を持った
ネズミのアルジャーノン。
写真中央)ネズミのアルジャーノン(森新吾さん)
ネズミの動きをマイムで表現しつつ、そのどこか達観したような表情が印象的な森さんのアルジャーノンです。
全てを見透かしているかのようなアルジャーノンとチャーリィは運命共同体
チャーリィを取り巻く人々はみなさん複数役で登場しますが、いずれも象徴的な存在です。
いつも鋭い視線を投げかけるのは良知真次さん。
脳手術プロジェクトの主任のハロルド(良知真次さん)
チャーリィの脳手術プロジェクトの主任やパン屋の同僚として登場しますが、現実主義者で世間の厳しさを担う役どころ。良知さんの張りのある歌声も役柄にピッタリ!Sっ気炸裂のお芝居にもご注目ください。
良知さんならではのエンタテインメント性の高い華やかな場面も!
一方で
温もりを感じさせる役どころを担うのは宮川浩さん。
深みのある歌声と包み込むような存在感でチャーリィを見守ります。
チャーリィが働くパン屋のご主人ドナーさん(宮川浩さん)
ドナーさんのパン屋さんはチャーリィの帰る場所!
ほかにも個性的なキャラクターがいっぱい
チャーリィがNYで出会うはじけた女性フェイには秋山エリサさん
チャーリィの母、看護師など悲しみを秘めた芝居が印象的な桜乃彩音さん
チャーリィの世話役であり、友達であろうとしたプロジェクトメンバーのバートに高木心平さん
NYでのシーンもお楽しみに!!
吉田萌美さんはチャーリィの妹やアルジャーノンのお友達ネズミ(ダンス必見!!)など
このオリジナルミュージカルの生みの親をご紹介!
脚本・作詞・演出はみなさまご存じ荻田浩一さん(浦井さんとはミュージカル『WILDe BEAUTY』『蜘蛛女のキス』『CHESS in Concert』など相性抜群、来年は『ボンベイドリームス』が控えます!)。
音楽は“クライズラー&カンパニー”メンバーとして活躍の後現在では宝塚歌劇団への楽曲提供やDANCE ACT『ニジンスキー』など舞台音楽を数多く手掛ける
斉藤恒芳さん。
切ない物語ながら、ポップな曲調あり、情熱的なナンバーありでミュージカルのエンタテインメント性も楽しめます♪
驚異的な知能の発達を遂げたチャーリィは医師団をも凌駕するようになり、やがて・・・。
物語の後半は、家族、友人、笑顔などだれの人生においてもかけがえのないテーマにチャーリィが立ち向かいます。繰り返しますが・・・切ないです。
ただ、切ないだけではありません。チャーリィのたどる運命から、観ている私たちそれぞれが持ち帰るものがある作品なのです。
演劇としての面白さ、エンタテインメント性、メッセージ、再演が切望されたことに納得の作品。
切なさと温かさが共存する複雑な気持ちで稽古場を後にしました。
UK15
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人