2014/02/13 スタジオライフ「少年十字軍」観劇レポ

直木賞作家・皆川博子さんの原作をスタジオライフが見事に舞台化!
スタジオライフ「少年十字軍」の観劇レポをお届けいたします!
本レポ後半では、公演を実際に観てきた方達の生の感想もご紹介!!

1985年に結成された劇団スタジオライフは、
脚本・演出の倉田淳さん以外全員男性というユニークな演劇集団。
(なので少女役、婦人役もすべて男性が演じます)

今回の作品は、主役が誰というよりも、それぞれのキャラクターの個性が際立つ「群像劇」。
その配役がまた絶妙で(さらに一部Wキャストで、その組み合わせ方がまた面白い!!)、
物語の世界観にどっぷりと引き込まれました!


石飛幸治さんのソロから始まる劇中歌も最高に気持ちいいっ♪


舞台は13世紀のフランス────
そっと手を触れるだけで人の病を治してしまう、
"奇跡の力"を持った少年、エティエンヌ。
貧しい少年たちはエティエンヌの力を信じ、
十字軍となって聖地エルサレムを目指します。
「エティエンヌがいれば大丈夫!」と叫ぶ少年たち。

行く先々でエティエンヌの噂は広まり、
大人たちはそれぞれの思惑から懺悔を求め、寄進を申し出ます。
「エティエンヌがいれば大丈夫!」と叫ぶ大人たち。
しかし、その意味するところは少年たちとはまったく異なっていて・・・。



奇跡の力を持った少年エティエンヌをはじめ、ルー、レイモンなど全キャストの配役が見事なはまりっぷり!
宇佐見輝さん演じる少女アンヌ(男性が演じてます)なんて、ほんとにキュンとしてしまう可愛さです!
そして、複数役を見事に演じる笠原浩夫さん、石飛幸治さん(2013レミゼの工場長!歌声も響く♪)ら実力派ベテラン陣の芝居や、
カドック(曽世海司さんと青木隆敏さんのW)、サルガタナス(山本芳樹さんと松本慎也さんのW)など
個性光るキャラクターの見どころは、きっと観劇後語り始めたら止まらなくなると思います。
(おけぴ管理人的ツボはドミニク役の関戸博一さん!!!)

原作の魅力、役者さんたちの魅力を最大限に引き出す倉田淳さんの脚本・演出。
人間の心の"光"と"闇"を表すかのような舞台美術と照明効果、
物語や心情に絶妙に絡み合う音楽も快感です!
(髪型もいいっ!!)

ここで、舞台の雰囲気を、舞台写真をみながら少しご紹介して参りましょう♪


奇跡の力を持った少年・エティエンヌは貧しい人々の希望の光。

「奇跡」を象徴するようなまばゆい光が印象的なシーン。

神の啓示を受けたのはどちらなのか・・・

サルガタナスとガブリエル。山本芳樹さんと松本慎也さんがWキャストで演じます。
両方観たいっ!

階段を効果的に使い、同じセットですべての場面を表現。
13世紀フランスの世界が頭の中に膨らんでいきます。


身勝手な大人たちの思惑に翻弄される少年たち。
エルサレムを目指した彼らの運命は!?

新たなキャラクターが登場するたびに、ワクワクする一幕。
そのキャラクター達の個性がうねるように展開する怒涛の二幕!
まさに生の舞台ならではの緊迫感と興奮を味わえる作品です。

真冬のさなかではありますが、ハンカチで汗を拭きながら、
胸をぐっとえぐられ、心を洗われ、物語の世界観にどっぷり入り込む快感を味わってきて下さい!!

スタジオライフ初めての方にもぜひオススメの舞台です!!
きっと一度観ると、別のチームでも観たくなりますよ!!





【公演情報】
スタジオライフ公演『少年十字軍』
2014年2月8日(土)~3月2日(日)@新宿・シアターサンモール

<スタッフ>
原作:皆川博子『少年十字軍』(ポプラ社刊)
脚本・演出:倉田淳

<キャスト>
ガブリエル:山本芳樹/松本慎也
サルガタナス:松本慎也/山本芳樹
エティエンヌ:藤森陽太/久保優二
アンヌ:宇佐見輝
ルー:田中俊裕/千葉健玖
アントン:澤井俊輝
トマ:若林健吾
ピップ:浅川拓也
レイモン:鈴木翔音/原田洋二郎
ベルトラン:仲原裕之/牧島進一
クレマーンス:原田洋二郎/仲原裕之
フルク:船戸慎士
シモン:神野明人
ジャコブ:藤波瞬平
ドミニク:関戸博一
カドック:曽世海司/青木隆敏
僧院長・市長・ノワイエ夫人ほか:笠原浩夫
ボルケール・ノワイエ伯爵ほか:石飛幸治

<あらすじ>
行け、エルサレムへ―――
大天使ガブリエルの啓示を受け、不思議な力を持った羊飼いの少年エティエンヌと聖地エルサレムを目指す子供たち。
行く先々で奇跡を起こすエティエンヌの噂が広まり寄進や十字軍に参加する人々が増えていった。
ずるくて陰険で身勝手な大人たちは子供たちから甘い汁を吸い取ろうと近寄ってくる。
いくつかの試練を乗り越えて辿り着いたマルセイユの港。
エルサレムは海の向こうまで近づいていたが・・・

公式サイトはこちらから



<観てきた方達の感想もご紹介!>

あの壮大な物語をどうやってまとめるのか…
バッサリと切る所は切る演出の倉田さんならではの「視点」を盛り込む。
でも原作の世界観は決して損なわない。
そんな、相変わらずの大胆不敵でいて鮮やかな手口に感服。

ライフのお芝居がはじめての方々でも共感を持って見られる舞台だと思います。
なんとな~く、ふわ~っと1200年代フランスの世界観に入っていけると思います。
人の欲、人の世界はこうしていつの世も回っていて、
こうして歴史は作られていくのだなと物悲しくもなります。

おもしろい。誰が悪者で誰が善人なのか、翻弄されっぱなし。
テンポよく3時間があっという間です。原作を読んでいなくても大丈夫。
でも、私はこれから読みたくなりました。

神様ってなんだろうなぁと、帰りながら考えてしまいました。
日本に馴染みが少ないキリスト教の話ですが、現代の日本にも通じる所があり、
なんとも言えない後味にもう一度みたくなりました。別チームも観に行きます!

スタジオライフの新作、若手俳優中心に展開されますが、
子役(?)達のひたむきさが切ないです。新人のたどたどしさが却って活かされています。
そして、一人何役をこなしているのやら、ベテラン勢が流石です。
ラストはこれぞスタジオライフ!な醍醐味も。 リピートします。

スタジオライフ初観劇でした。
シェークスピア劇を思わせる膨大なせりふ量と格調高いセリフが印象的で、
それを説得力を持って観客に投げる役者たちの演技も印象的でした。
役者たちを生き生きと浮かび上がらせる照明と、
客席通路も使った臨場感あふれる舞台づくりも素晴らしく、
スタジオライフの舞台をまた観たいと思わずにはいられませんでした。

濃密で緊迫感ある、ダイナミックな舞台に引き込まれました。
史実にのっとりながらも豊かな想像力で独創的な世界を作り上げた作品。
13世紀のフランスが舞台ですが、
あらわに描かれる社会の支配機構・権力関係の暴力性とそこでの人間疎外が持つ普遍性が、
見事に顕現しています。多彩な人物の個性が鮮明。
深い闇を抱え複雑きわまるカドックを演じた曽世海司さん、出色の演技で戦慄ものです。

とても白熱した素晴らしいお芝居でした。
ライフのお芝居では明確な主役の方がいらっしゃるお芝居より
群像劇のほうが私は好きだなあとかんじるのですが、
今回はまさに私が好きなライフのお芝居!という感じでどの登場人物もとても魅力的でした。
劇場いっぱいに使った演出も生観劇ならではの臨場感を感じられて素晴らしかったです。


おけぴ取材班:おけぴ管理人,hase (文) 写真提供:スタジオライフ 監修:おけぴ管理人

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