※舞台写真を掲載しております。
まっさらな気持ちでのご観劇を予定されているみなさまはご注意くださいね!ロシアの天才バレエダンサー・ニジンスキーの人生を描いた美しき絵巻、再び!
2012年、衝撃の初演からさらに深化した
DANCE ACT『ニジンスキー』、演出家
荻田浩一さんの手腕冴えわたる舞台のゲネプロをレポートいたします。
ヴァーツラフ・ニジンスキー:東山義久さん(左)と妹ブロニスラバ・ニジンスカ:安寿ミラさん(右)
美貌と才能が、一人の男にもたらした栄光と破滅を彼にかかわった人々が語り紡いでいくことで浮かび上がる、ニジンスキーの人生。
「私には兄が二人おりました。ひとりは・・・」
物語の口火を切るのは妹・ブロニスラバ・ニジンスカ役の
安寿ミラさん。
家族として、バレエダンサー・振付家として常に兄ニジンスキー(愛称ヴァッツァ)の傍らにいたブロニスラバを凛とした佇まいと語り口で創り上げています。
経済的に精神的に、さまざまな面でニジンスキーを支えたロシアの天才芸術プロデューサー・ディアギレフ。
セルゲイ・ディアギレフ:岡幸二郎さん
登場から気品と傲慢さが共存するオーラ炸裂なうえ、襟元にはロシアンセーブルが!!
これはたまりません。
演じる
岡幸二郎さんの圧倒的な権力者ぶりはその佇まいだけでなく、歌声でもご堪能ください。
牧神の午後の場面では、これでもかというほど・・・
そんなディアギレフとニジンスキーの蜜月を終わらせたとも言えるのが、
遠野あすかさん演じるロモラ・ド・ブルスカ。
ロモラ・ド・ブルスカ:遠野あすかさん
ロモラも大きな苦しみを抱いて生きていくのですが、そのヒリヒリするような痛みが印象的な遠野さんのロモラです。
ちなみにロモラ、かなりの肉食系です。ただものすごく肝が据わっています!!
そして、お待たせいたしました!!
ヴァーツラフ・ニジンスキー、
東山義久さん!!
動の中の静にドキリ
周囲の人が語る記憶の中の“ニジンスキー”に命を吹き込むのが東山さんの躍動する肉体。
その動きの素晴らしさは言わずもがな、ひとつひとつの動きに込められた感情表現という次元でのリアリティが観ている者の心を揺さぶります!
自らの意思を超えた “力” に突き動かされるように踊り続ける東山ニジンスキー。
ニジンスキーを取り巻く人々は他に・・・
ヴァッツァの精神に大きく影響を与える兄スタニスラフ・ニジンスキー:
和田泰右さんヴァッツァ-ロモラとの微妙な関係 フレンケル医師:
佐野大樹さんさらに、この作品を彩るダンサーのみなさんも、
舞城のどかさん、
穴井豪さん、
長澤風海さん、
加賀谷真聡さんと才能豊かな面々が揃いました。
このように写真を織りまぜながらご紹介してまいりましたが、なんといってもDANCE ACTですからね!
音楽、物語そしてダンスが一体となった作品の生の魅力は格別!
2014年の『ニジンスキー』をお見逃しなく!!
最後に寄せられた感想をご紹介いたします。
♪
ニジンスキーを演じる東山さんのダンサーとしての人生観も垣間見たような気がします。
初演も観ましたが、今回はヴァッツァの舞神としての神々しさに加え、一人の人間としての痛みを感じました。もちろん、東山さんのダンス筋を観るだけでも、十分価値がありますが。
♪
東山さんの、何かに動かされているような身体の動きから目が離せない!
ていうか、こちらが射抜かれて動けない? ニジンスキーの時代を超えた尋常でない才気を、ここまで表現できるとはすごい!
♪
岡さんの存在感に改めて感服しました。歌唱力はもちろんですが、立ち姿や台詞回しなど、高貴な中にも男の色気が漂っていて、ついつい見とれてしまいました。
♪
安寿ミラさんが素晴らしかったです。ストーリーテラーとしても、落ち着いた感じが良かったですし、何より指先まで意識された身のこなしが美しかったです。
♪
特別な才能を持ち、非凡であるということは、浴びる光が強い程、その影もまた深いということを物語っていました。心を揺さぶられ、考えさせられるダンスACTでした。
♪
違う時代、違う場所に産まれていたら、また違った人生があっただろうに。
そんな風に感じながら観ていました。圧巻はラストダンス。
光と闇、栄光と挫折、安定と狂気。久しぶりに、「ガツン」とくる舞台でした。
♪
初演と演出が変わり、ニジンスキーと周囲の人間との関わり合いがより深く描かれていました。私は今回の演出の方が好きです。
♪
兎に角、東山さんのバレエから目が離せなかった。正に適役。
有名な「牧神の午後」や「ペトリューシカ」他、従来のバレエの常識を破った手足首の使い方と言われたニジンスキーの踊りを、指先まで美しく、強靭にしなやかに表現している。
特に最後の「戦争」の迫力は凄かった。
徐々に闇に飲み込まれる彼の様を、兄や妹、妻の視点を通して浮き彫りにする演出も面白いし、史実に近い、牧神や薔薇の精の衣装も美しい。岡さんの存在感も素晴らしかった。
おけぴ取材班:chiaki(文・撮影) 監修:おけぴ管理人