近鉄アート館 “復活” オープニングシリーズ第6弾!
幕末の祇園に生きる女たちの姿を、
繊細で優しい眼差しで描く、真紅組プロデュース公演
『宵山の音』。
衣装付き通し稽古の様子をレポートいたします!
“着物芝居” にこだわる作家・女優の
阿部遼子さんと、
演出の
諏訪誠さんがタッグを組み、
“楽・感・艶・剛・魅” な時代物語を作り続けている、
演劇プロデュースユニット
真紅組(あかぐみ)。
10年ぶりの再演となる本作は、初演時に17人だった出演者が25人にパワーアップ。
激動の時代に、それぞれの場所でそれぞれの命を生きた人々の姿が、
いくつかのエピソードから浮かび上がるように描かれます。
稽古場に入り、まず目についたのが艶やかな着物姿の女優陣!
色とりどりの模様、帯との組み合わせも鮮やか。
祇園の芸妓さんという役柄なので、衣装替えの回数も半端ではありません。
阿部遼子さん(写真左)と“真紅組・古参メンバー”の古田里美さん(写真右)。
出番が終わるとダッシュで着替えに向かう出演者のみなさん。
舞台に出ているか、着替えているか、どちらかなのではという忙しさです。
もちろん二部式着物などではなく、きっちり着つける本物の着物。
観ている方は楽しいですが、着替える方は本当に大変そう!
阿部:「もともと着物が好きだったんです。
旗揚げ当時は時代物、というか着物芝居(笑)をする劇団が少なかったので、
自分たちならではの特色が出せるのではと思い、
本公演ではずっと時代物にこだわって活動を続けています」
諏訪:「いつか海外でも公演もしたいと思っていたので、
時代物に特化しているというのは武器になるぞという思惑もありました(笑)。
それからずっと本公演では時代物をやってきて、
衣装はもう “お店が開けるんちゃうかな” というくらいたくさんありますね」
リヨンでのイベントステージや、エディンバラの演劇祭にも参加している真紅組。
着物だけでなく、迫力の殺陣も見どころのひとつ!
諏訪:「今回の演目は、ひとことで言ってしまえば
“時代物エンタメ”。
ダンスあり、殺陣あり、笑いありで、
これまでの真紅組の中で一番華やかなものになると思います。
ダンスも日舞的な要素を取り入れていて、振付はモダンダンスの先生につけてもらいました。
いろいろな要素をミックスして、お客さんに楽しんでもらいたいなと」
阿部:「衣装だけでなく
小道具にも注目してみてください。
真紅組には、なんでも作ってしまう
小道具職人がいるんです」
腰からぶら下げた小道具にぐぐっとクローズアップ!
“小道具職人” こと橘耕作さん(写真右)は、俳優としてもご出演。
(写真左は置屋の女将役の美香本響さん)
“幕末もの” というと、
これまでにも坂本龍馬や新撰組など、
様々な立場で時代を駆け抜けた人物たちが、
小説や映像・舞台作品などで取り上げられてきました。
祇園を舞台にした本作では、
この時代の何処、そして誰にスポットがあてられるのでしょうか?
阿部:「歴史上の実在の人物も何人かは登場します。
とても有名な人が1人、そうでもない人が2人(笑)。
あとは全てオリジナルのキャラクターなんです」
諏訪:「幕末というと、みなさんいろいろ想像すると思いますし、
チラシのビジュアルを見れば 察しがつく方もいるかもしれません。
でも、そこをはっきりと知らせたくはないというか(笑)、
“あ、これって
……?” と想像を巡らせながら、
観ていただきたいなと思っています」
山本美和子さん演じるこの人物は
……?
ひとりの男、そしてひとりの女として、時代を生きる登場人物たち。
(写真左から:大澤真也さん、諏訪いつみさん)
こちらは真紅組・初参加の鈴木康平さん(写真左)と、
初演にも出演していた愛飢男さん(写真右)。
鈴木さんと野村ますみさんのコンビ、いい味出しています!
諏訪:「
誰かひとりが主役という芝居ではありません。
どの登場人物に注目してストーリーを追いかけるかは、お客さん次第。
今回はとくに近鉄アート館ならではの三面舞台になっているので、
どこを観ても楽しんでもらえると思いますね」
阿部:「役者がお客様をお席に案内する
“真紅組流・おもてなし” もお楽しみに。
舞台で演じる役になりきっているので、
劇場に入った時から、お芝居の世界に入り込んでいただけると思います。
実はこの“おもてなし”は、『宵山の音』の初演時にはじめて取り組んだ試みなんです。
最初の頃は、観にきてくれた家族や友人に声をかけられて大変でしたけど(笑)」
こちらは “笑顔” で演出中の諏訪誠さん♪
諏訪:「とにかく
観客が笑顔で帰れるような芝居を目指しています。
お腹を抱えて笑うのではなく、顔がふっとゆるむような。
ネタで爆笑させるのは別のところに任せて(笑)、
真紅組では
芝居ならではの楽しませ方をしたいんです。
誰が観ても楽しんでもらえるように、いろいろな要素を盛り込んであります。
とにかく芝居が終わった後に、穏やかな笑顔で帰っていただくのが一番。
本番中も客席で難しい顔をしていた方が、ニコッと笑顔になったりすると、
すごく嬉しくて、思わず“よっしゃ!”ってガッツポーズです(笑)」
初演から約10年を経て、「台本の8割ほど書き直した」(阿部さん)という再演舞台。
剣をとり、京の街を走りぬけた男たちの影で、
日々を懸命に生き、恋をして、笑って、涙した女たちの物語は、
いったいどんな結末をみせてくれるのでしょうか?
まるで、いいお出汁がでている和食のような味わいの、
“大人な” 時代物エンタメ。
真紅組プロデュース『宵山の音』は7月4日-6日まで大阪・近鉄アート館にて、
9月4日から7日まで東京・池袋シアターグリーンにて上演されます。
ぜひ劇場で、ほっこり優しい「真紅組流・笑顔」を見つけてきてください!
おけぴ取材班:mamiko(文/撮影) 監修:おけぴ管理人