今、二人の女優が、あらたな「歴史」をつくりだす。
熱く、激しく、スリリングな同時代を生きた二人の女王の物語!写真左より)エリザベス役:神野三鈴(かんのみすず)さん メアリー役:中谷美紀さん
近年、『9days Queen~九日間の女王~』や『レディ・べス』など女王をひとりの人間、女性ととらえその生き方を描いた作品が人気を博しています。この『メアリー・ステュアート』の主人公も
同じ時代、同じ島に生きた二人の女王。ひとりは男で身を滅ぼしたといわれる
スコットランド女王メアリー・ステュアート(ブラッディ・メアリーとは別人!)。
かたや一生結婚をしないことを宣言し「処女王(Virgin Queen)」と呼ばれた
イングランド女王エリザベス一世(こちらは『レディ・べス』ですね!)。
イタリア人作家ダーチャ・マライーニが女性の視点からこの二人の女王を主人公に描いた戯曲『メアリー・ステュアート』に今回挑むのは
中谷美紀さんと神野三鈴さん。
登場人物はメアリーとその乳母、そしてエリザベスとその侍女の4人。
4人を2人の女優が演じる、つまりメアリーを演じる女優(中谷美紀さん)はエリザベスの侍女を、そしてエリザベスを演じる女優(神野三鈴さん)はメアリーの乳母を演じます。
二人の言葉が合わせ鏡のように響く
演劇の仕掛けがそこにあるのです。
中谷美紀さんは映像での活躍は言うに及ばず、舞台でも初舞台『猟銃』(2013年)で紀伊国屋演劇賞個人賞、読売演劇賞優秀女優賞を、13年の『ロスト・イン・ヨンカーズ』では読売演劇大賞最優秀女優賞受賞とその実力はお墨付き!
神野三鈴さんは独特の存在感で舞台に数多く出演、とくに『組曲虐殺』(紀伊國屋演劇賞個人賞)『太鼓たたいて笛ふいて』など井上ひさし作品には欠かせない女優さんの一人です。KERAさんの『三人姉妹』でも存在感抜群!
そんなお二人からのコメントをどうぞ。
【中谷美紀さん】
今回はステージの上にはたった二人だけですから、掛け合いの妙をお客様に楽しんでいただくためには、寸分の隙も許されません。
大変な作品と出会ってしまったというのが今の正直な気持ちです。
女王というポジションは、われわれ市井の人間とは異なった特殊なもの。とはいえ、女性が人の上に立つということでいえば、会社を営んだり、あるいは部署を司ったりということで、彼女と同じ立場にいる女性も多いと思います。そしてその中で、自分の意志だけではなにも決められない、という経験のある方も少なくないのでは。そのもどかしさは、
メアリーと現代の女性たちが共通して感じる部分だと思っています。
メアリーは、人の上に立つ者であるにもかかわらず、感情に流されやすく愚かな部分もあって、そこが魅力的でもある人物です。エリザベスのように冷静で、自制心をもって国を治める人間と異なり、彼女はその場の感情に流されている。その二人の対比を楽しんでいただきたいですし、
対照的でありながら、ともに気高い女王たちの物語を全身全霊で演じたいと思っています。
【神野三鈴さん】
神野三鈴さんインタビューも公開しました♪ 中谷さんと一緒に二人芝居を、という話をいただき、しかもそれが『メアリー・ステュアート』。
演劇史に残るような作品を、大好きな女優さんとご一緒できるなんて奇跡のようです。二人だけで、純粋に作品に取り組む環境を作っていただき、演劇を志した頃の夢が叶いました。
私たちはみんな、なにかの役割を演じて生きている。その中で常に選択をし続けなければいけないという部分があると思います。また、その選択に対する覚悟も求められる。この作品では、その一つひとつにもがき苦しむ人間の姿を描きたいですし、
彼女たちが女性ゆえに豊かになれたこと、踏みにじられたことの両方が浮かび上がると思います。
また、エリザベスの人生を演じることで、彼女が抱くものを昇華させてあげられたら、それが、私たちすべての女性の中にあるなにかを昇華させることに繋がったらうれしい。
そして、女性ならではの苦しみや幸福、葛藤を一緒に感じていただければ。舞台という生身の人間が立つ場で、
中谷さんと私が魂でぶつかり合う姿を見届けていただけたら幸せです。
「女」として果敢に生き、奔放ゆえに処刑されたメアリー・ステュアート
国家と結婚したVirgin Queenエリザベス一世
届いたイメージショットがこの美しさ!!
それぞれの魅力に吸い込まれそうです。本番はさらにどんな舞台セット(ジュリア・ハンセンさん)、衣裳(ワダエミさん)になるのか、スタッフワークにも注目です。
chiaki(編集) おけぴ管理人(監修) 写真提供:パルコ