ダイナミックな発想から生まれる個性的なダンスが印象的な名振付師、謝珠栄さん。
毎年多くの作品で振付けや演出&振付をされていらっしゃいます。
そんな謝さんに、おけぴ管理人が直撃インタビュー!
謝珠栄さんはとっても気さくで、
おしゃべりがめちゃめちゃ面白く
まさにアイディアの宝庫!
そしてとってもおしゃれ!
インタビュー後はとっても元気をいただいた管理人でございました。
TSミュージカルファンデーション(1987年に謝さんが設立)ではどのように作品を創っていらっしゃるのでしょうか?
本当に自由ですよ(笑)
脚本家に了解を得てからどんどん本は変えていくし、音楽もみんなと一緒につくります。
きまりを作らずに、みんなで一緒になって、いいものをつくるのが一番いいと思うんですね。
「私の音楽はこれ、絶対変えないで。」
「私の本はこれ、絶対変えないで。」
そういう中でいいものを作るのもプロとしての仕事ですが、
でも、やっぱりコミュニケーションがなかったらだめだと思うんです。
一人のアイディアではなくて総合のアイディアが一つになるときが一番すばらしいんですよ。
一つの作品をみんなで話し合って作りたい。
「私のアイディアはこう。でも、私のアイディアにないものをもっと持ってきて。」って。
すると1つの作品にかける日数というのは結構長い・・・ですよね?
スタッフには嫌がられますけどね(笑)
でも、それが一つの作品として成果になると思うんです。
12月に公演していた「シェルブールの雨傘」もあれだけ映画のイメージを崩さずに
スピーディに展開できたのもキャスト・スタッフとのコミュニケーションがあったからです。
シェルブールの雨傘、私も拝見しましたが、間がとぎれず流れるようでしたね。
とぎれなかったでしょ、映画みたいに。
それがやりたかったから、やっぱりそこに力を入れました。
そのために何をしたらいいかみんなで考えましたしね。
そのイメージっていうのは、「脚本」から読み取ってイメージをふくらめるのでしょうか?
はい、その通りです!
文章からの想像力っていうのはすっごく大切!
私ね、台本を読むと頭の中に全部映像ができるんですよ。
訓練したので昔からそれは得意だったみたい。
美術とか、衣装、照明、音楽とか…ぱぁ〜と頭の中に広がって
頭の中で、いろんな人がしゃべったり歌ったり踊ったりしてます。
時々、外人が踊ってたりもしますけど(笑
『シェルブールの雨傘』に出て来るカーニバルシーンの魚の踊りが印象に残っています。
あれは、シェルブールという街が漁村だから、それが分かった方がいいなと思ったの。
でも、ただ民族衣装を着て踊っても面白くないでしょーと思ったので、
男の子と女の子のラブストーリーだから、
魚を釣るみたいに、女の子が男の子を釣っていたりしてるといいんじゃない?って(笑)
台本には「春の祭典のカーニバル」としか書いてないんだけどね。
なんと、台本の一文からあの踊りを!?
そうそう(笑)
踊りが要所要所に入って、テンポ感がすごくありました。
ね、テンポよかったでしょ?
私、暗転が嫌いなんです。
私も(笑)
- 謝さんがこの世界に入ったきっかけのご紹介 -
謝さんは、もともと小さい頃から音楽が大好きだったそうです。
ある時、宝塚の「ウエストサイドストリー」を見て
「女ばっかりでこんなことができるの!?」と驚き、
即席勉強をして、なんと翌年には宝塚に受かり、そして主席で卒業されました。
退団後は、お父上の後を継いで実業家を目指しNYへ留学。
しかし帰国後に、劇団四季にて活躍された振付家・山田卓先生からの勧めで
振付け家への階段をのぼり始め、
またたくまに振付家としての才能を発揮され、活動範囲が広がっていったそうです。
おもしろいのは、謝さんは
「振付家になるつもりは全然なかった。
いつやめてもいいなーと大阪に帰ることばっかり考えていて
30代まではお嫁さんになるのが夢だった。」
と話されていらっしゃたこと。
周りの人達が謝さんの才能をほっとかなかったことと、
謝さんの負けん気と努力がきっとここまでの道を開いているんだなーと思いました
by おけぴ管理人
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お話しているとすっごくパワーを感じるんですが、
その元気の源はなんなのでしょう?
別に元気でもないですよ、くたびれたおばさんですよ(笑)
ただ、舞台が好きだっていうことはありますよね。
人がきらめいている姿を観るのが好きですよねー。
下手でもいいんですよ。その人がどれだけ誠心誠意を込めて
お客さんの前でやっているかをすごい見ています。
2010年2月19日から、
「GARANTIDO〜生きた証〜」が始まりますね。
今回の作品は、わたしの父親の苦労話と重なっているんです。
父親は16歳のときに台湾から日本に来ました。
神戸についたときには身よりもなく、お金もほとんどない状態でした。
でもそこから、家族を含めていろいろなものを築いて来たんです。
それが、GARANTIDOの、ブラジルへ渡った日本人に重なります。
この作品では、彼らが考えたことや感じた気持ちを色んな方に
分かってもらえるといいなと思います。
この作品のメッセージは?
この作品のメッセージは『仲間』です。
家族、社会、国など人の単位がありますよね。
家族でもグループでも、自分の足でそれぞれがしっかり立っていなといけない。
誰かにもたれかかってたら、みんながダメになっていく。
自分の足でしっかり立てている人が集まった集団こそ強い。
会社もそうですよね。
サラリーマンも『社長にまかせていればいいや』じゃないんですよ。
自分の足で立てる人が集まってこそ、いい集団になるんです。
国民と国家もそうですよ。
人同士のつながりあいが薄い現代社会との対比で
みせていく点も一つの挑戦かもしれません。
また、「逃げたらだめだ、逃げたらいけない、
ぶつかっていけ!」というメッセージもあります。
それは舞台をつくるときも、一緒です。
みんなにいつも言っています。
そして、構成(劇中劇という形での対比)が面白いのでそこは是非注目してほしいです。
TSミュージカルファンデーション
「Garantido(ガランチード)-生きた証-」
(2010年2月19日から28日まで東京芸術劇場にて)
日系ブラジル移民たちの苦闘と
日本の劇団の存続をめぐる葛藤の物語を
並走させながら描いたミュージカルです。
出演は、チラシをみて印象に残ってる方も多いと思いますが(敬称略で)
伊礼彼方/上口耕平/川本昭彦/岸祐二/坂元健児/島田邦人
樹里咲穂/西村直人/畠中洋/平野亙/吉野圭吾/良知真次
なんて素敵なメンバーなのでしょう♪
作曲・音楽監督は林アキラさん、演出・振付は謝珠栄さん。
このキャストで歌!ダンス!これは楽しみでございます。
公演詳細はこちらから
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最後に、謝さんの夢を聞かせて下さい!
海外に出せるくらいの名作をつくれたら一番嬉しいなぁ
管理人:
ぜひ!
【編集後記】
インタビュー後の雑談で、超いちおし!
と紹介してださったマンガをご紹介しておきましょう。
おれは直角 (1) (小学館文庫)
「マンガは好きじゃないけどこれは別格(笑)ベルサイユのばらより断然好き!」
と話す元ジェンヌの謝さん。
インタビュー後、このマンガを読んだのですが
気持ちいいくらいまっすぐで直角な"武士の子"のお話で、
謝さんとお話していて感じた気持ちよさはこれかもと思った管理人でした。
本当にチャーミングな謝さん、貴重なお時間をありがとうございました。
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