観るのか? 観られるのか?
Patchが挑むクレイジーなエンターテインメントショー!
“奇天烈演劇作家” 山崎彬(悪い芝居)VS
“関西発男十五人芝居馬鹿” 劇団Patch!!
(
公演公式サイトより)
劇団Patchの本公演第5弾は“普通の日常” がひっくり返る、“観て、観られる” クレイジーショー!?
8ヶ月連続で8人の演劇人とコラボレーションしてきた武者修行企画『Patch8番勝負!!(パッチパチバンショウブ)』の集大成となる本公演『観音クレイジーショー』。
12月24日の初日に向けて、「楽しみと苦しみ」そして「自由と不自由」が交錯する稽古場に潜入!
作・演出を手がける山崎彬さん(悪い芝居)にお話を聞いてきました!
“史上最も主人公らしくない主人公” を演じるのは中山義紘さん!(写真中央)
「主役ということはあまり意識していません。皆で作り上げている作品なので」
この発言の真意は…劇場へGO!!
【結成3年目。人間で言うと3歳。そろそろ自我が芽生える頃】
「一見なんでもない日常を、ひたすらに “観続ける” 演劇」
…こう聞くと、なにやら実験的で難解な作品なのかと思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし!
稽古場でおけぴスタッフが目撃したのは、Patchメンバーが「真剣にふざけながら」「苦しみながら楽しんでいる」瞬間の連続でした。
会話劇であり、コメディであり、家族ものであり、イケメン男子なメンバーたちがおもいっきりはじけるエンターテインメントであり…正直言葉で説明するのは難しい(笑)!
しっかりと “エンターテインメント” しながら、心のどこかをぐわーっと揺さぶられるような演劇体験。
その仕掛けはぜひ劇場で確かめていただきたいのですが、とにかく言えることは「こんなお芝居観たことがない!」ということ。
目に見えているものだけが真実ではないし、見えていないものは見えていないのかもしれません(笑)!
(なにを言っているのかわからないという方…ぜひ劇場へ!)
「観られている(見られている)主人公」
…この発想、一体どこから生まれたのでしょうか?
山崎:僕はいつも、作品に出演してもらう人たちが決まってから物語を作り出していくんです。演劇ってチームで作るものですから、それがどんな集団なのか、というところから作り始める。
それで、Patchってどういう集団なんだろうと考えた時に、「今まで普通に生きてきた男の子たちが、2、3年前から人前に立つようになって、舞台の上で観られて、それを観ているファンの人たちがいて…」という状況だなと。
演劇人として3歳くらい、それって人間で言うとちょっとずつ自我が出てくる頃合いですよね。
それで、人が大人になっていく過程で、人の目が気になったり、自分ってなんやろうと考えたりする芝居が書けるんじゃないかなと思いました。物語とPatchがリンクするような。
ジーっと観ています。
観ている…。
観ていますねえ…。
【今、目の前にあるこの瞬間】
山崎:今回のテーマは、もちろんPatch との出会いから生まれたものですが、もともと僕が普段考えていたことでもあるんです。
…たとえば、寝ている間にタンスが1センチずれていたとしても普通は気がつきませんよね? でもタンスが動いていないとは言い切れない。わかりにくいですかね(笑)。
今日こうやって取材をしていただいて、僕とあなた(おけぴスタッフ)は初めて会った。お互いに生まれてからずっと生きて、成長してきて、学生時代があって、恋をしたりもしただろうし、誰かと喧嘩もしただろうし…という “はず” ですけれど、もしかしたらそれはなかったことなのかもしれない。僕と会ったこの瞬間に、ブワッと生まれた存在なのかもしれない、ですよね。今日の取材が終わって、さよならーと別れたら、もうそこでいなくなってしまう存在なのかもしれない(笑)。
そういう想像をするのがすごく好きなんです。こどもっぽい妄想かもしれないけれど、でもみんなそういうこと考えていますよね? いや、自分だけなのかな…とか、そういうこともみんなが考えていると思うんです(笑)。
そんなことをずっと考えていて、それとPatchの存在とが重なって生まれてきたテーマですね。
インタビューのおこたえが既に “作品” な山崎彬さん。
もしかするとおけぴスタッフが稽古場を去った後には消えていたのかもしれません…!
【メンバーの中で一番眼の奥が暗かった(笑)】
山崎:自分の劇団やプロデュース公演では、まずどんな俳優に出てもらうかということを考えてから物語を作り始めるのですが、今回は「劇団Patchで」という依頼でしたので、まずは彼らを知ることから始めました。
Patchの本公演を観たことはなかったのですが、若い男性俳優集団ということや、末満(健一)さんが関わっていることは知っていたので、なんとなくのイメージは持っていた。でもイメージだけでは書けないので、今年の1月くらいからちょこちょこと彼らとワークショップをしていたんです。
僕が演劇的に考えていること、彼らが普段考えていることを伝え合いながら、メンバーの個性や関係性も観察しました。「この人はあの人には強気に出るけど、この人には丁寧なんや」とか、「この子は失敗しても笑って許してもらえるタイプだけど、同じことをこの子がすると怒られるんやな」とか(笑)。
その中で、中山くん(中山義紘さん)に主役の男を演じてもらうことにしたのは、彼が一番「目の奥が暗かった」から(笑)。僕もよく言われるんですよ。暗いとか、怖いとか。こんなにフレンドリーやのに。彼にも同じ雰囲気を感じたので、「この男に物語を託してみよう」と。
でも稽古を見てもらってわかるように、主演に抜擢! とかそういう感じではないですよね。Patch メンバー全員がおもしろいし、彼らそれぞれの存在、居方(いかた)に書かせてもらった作品ですね。
この「目」に物語が託されました!
何を演じている、どんなシーンなのか。
詳しくはお伝え出来ませんが…メンバーの個性炸裂です!
「これが…」
「こうなるんです…!」
ブオーン…と、こうでしょうか?
「あるもの」をものすごく「演じて」いらっしゃいます!
客演の向田倫子さんと田中良子さん。
田中さんが演じている「あるもの」…呼吸が大事です!
(お稽古拝見しながら笑いが止まらなかったおけぴスタッフです)
山崎:表現したいものってないんです。誰がそこにいるのか、誰に観てもらうのかをイメージしながら作っている。なんでこれを書いたのかはわからない。でもこれじゃないとだめだったというものを今回も書きました。
だから「信用できる」んです。自分で、自分が書いたものを「信用できる」と思いながら今回も作らせてもらっています。
「こんな感じで寄り添って…」
密着!
複雑な動きは段取りチェック必須!
「でも段取りに振り回されず、その場の感情を大事に!」
…難易度高い!
おけぴスタッフ一押しカップル(?)
おふたりの「共同作業」、 ぜひ劇場でお確かめください!
【Patchと小劇場の出会いでしか生まれないもの】
山崎:僕が書くものって、どんな芝居でもそうなんですけど「お客さんがいないと成立しないもの」なんです。
今回もPatchのファンの人は僕のことを「あいつ誰やねん」と思っているだろうし、小劇場で僕の作品を見てくれている人は「Patchってなんやねん」と思っているだろうし。お客さん同士が出会う客席になる、それを僕らが観る…そのことがとても楽しみです。
「平凡な話をどれだけ観続ければ演劇になるのか」
これが今回考えたことなんです。ドラマチックな展開がないと演劇にならないのか、そんなこと言ったら世の中は平凡なことだらけだけど、みんなそんなにつまらない人生を送っているのか。いや、そんなことないよなって。だとすると、今回中山くんが演じる男の人生も演劇として成立する。彼を見続けることが演劇になるかな、と思って作った芝居です。
今年僕が作ってきた作品の集大成でもあるし、これまでの作品とぜんぜん違うものでもある。一緒に作る人が変わったから、変わるんです。
お客さんの反応がわからないので、初日は楽しみだけど、ちょっと怖いですね。観る人には楽しみにしていてほしいです。
…好かれたいなあ(笑)…! どうせやるなら好きになってほしい!!
…でも、嫌われるならとことん嫌われてもいいです(笑)。そういう作品になったら、好いてくれる人はとことん好いてくれると思うので。
劇場でしか出会えない「演劇」。
稽古を拝見した限り、おけぴスタッフは『観音クレイジーショー』…大好きです!
ここまで読んで「結局どんな舞台なのか、ぜんぜんわからない」というみなさま。
この芝居に施された仕掛け、挑戦、これはぜひぜひ劇場で直接確かめていただきたいんです!
観られているPatchと、観ている私たち。
舞台の上から私たちを観ているPatch。
書けば書くほど混乱してくるかもしれません。
ひとつ言えることは、誠実な演劇的実験でありながら、思いっきりエンターテインメントとして成立しているということ。
まさに、いまの「Patch×山崎彬」だからこそ生まれた『観音クレイジーショー』なのです。
(わけがわからない…そうですよね。だからやっぱり劇場へ!)
(観劇後にきっと山崎さんの言葉に「ああ!」と膝を打つはずでございます!)
それでは最後に
【主演】の(あえて【主演】と言いましょう!)中山義紘さんの言葉をご紹介。
中山:毎回言っているようですが…未だかつてないPatchです!
関西にこんなおもろい若手がいるぞ、という方も、どうせ男だけでチャラついてるんちゃうんか、という方も、期待して観に来ていただいて大丈夫です! 自信ありです!
…本当はまだ自信ないんですけど、これから自信ありになります。
自由ということがこんなにも不自由だったのか、と気づかされた稽古場です。自由に、好きにやっていいよと言われると、普段自分がどんなふうに呼吸をしていたのか、どんなふうに歯を磨いていたのか、とか(笑)、わからなくなるんです。
それでも山﨑さんには「自由にやっていいよ」と信頼してもらっている。「役者の心がその場で動いたらOK」って。だから僕らも舞台の上で素直でいようと思います。
個性際立つメンバー、自由なPatchを観に、ぜひ劇場へいらしてください!
Patch stage vol.5『観音クレイジーショー』は、12月24日クリスマスイブから30日まで全12回、大阪・日本橋のin→dependent theatre 2nd にて上演されます。
今年1年、数々の才能と演劇勝負を繰り広げてきた劇団Patchの、そして来年も要・大注目!の演劇人・山崎彬さんの2014年の集大成!
Patchファンのみなさんも、小劇場演劇好きのみなさんも、そして新しい才能をみつけるのが大好きなみなさんも!
舞台の上で「何かが本当になる瞬間」を見届けていらしてください!!
植田順平さん(悪い芝居)の大暴れにも期待♪