『8月の家族たち August:Osage County』開幕レポート

そこは、8月、うだるような暑さのオクラホマ州のオーセージ郡。
舞台上にウェストン家が立ち上がる!


 トレイシー・レッツによる戯曲はピューリッツァー賞を受賞、作品はトニー賞最優秀作品賞の他4部門を受賞、さらには映画化もされた現代アメリカ演劇の傑作『8月の家族たち』が、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの演出・上演台本で本邦初上演。
 興奮冷めやらぬままお届けした稽古場レポートでの予感は的中、これはのちのちまで語り継がれる舞台になります!





 母バイオレットに麻実れいさん、三人の娘に秋山菜津子さん、常盤貴子さん、音月桂さんほか、実力派と呼ぶにふさわしい最高のキャスティングで、辛辣で激しく狂おしいほどの「愛」を描くこの作品。

 舞台写真とお寄せいただいた感想を交えた、おけぴ開幕レポートをお届けします。


次女(常盤貴子さん)、母(麻実れいさん)、三女(音月桂さん)、長女(秋山菜津子さん)


三人三様の生き方をしてきた娘たち

◆久々に手応えの有るストレートプレイでした。脚本が素晴らしかったです。
本当に8月の家族のお話でしたが、人間が素晴らしく描かれていたと思います。
麻実さんの迫力に圧倒されていたら、秋山さんの迫力まで加わって圧巻でした。
幕開けの村井國夫さんの長ゼリフに感動!
ケラさんお芝居には欠かせない犬山イヌコさんは素晴らしくステキな役者さん。
面白かったです。

◆家族一人一人にドラマが有って、詳しい解説が無くても直ぐ、その人の背景と人間像が理解出来る家族のお話って…。
脚本がとにかく素晴らしい!って事ですかね~。

◆後半色々な本音、真実の暴露と、それによって劇的に変化する家族の姿。
言葉の背後にあるそれぞれの気持ち。とにかく台詞も多かったですが、しっかり入ってきたのは戯曲と台本、役者のすべてが素晴らしかったからだと実感させられました。



物語のハイライトともいえるのが通称“地獄のディナータイム”。緊張感あふれる会話の果てに…すさまじいバトルが!!



いつになく舌好調な母バイオレットにいら立ちを隠せない長女バーバラ


バイオレットの妹マティ・フェイ(犬山イヌコさん)


マティ・フェイの夫チャーリー(木場勝己さん)
バイオレットの発言に凍り付くテーブル、そこに温かい空気を送って均衡を保とうとするチャーリー一家


ちょっと弱気なチャーリーの息子チャールズ(中村靖日さん)


◆映画もすごかったけど、生で見る麻実れいさんや三人娘の迫力は半端じゃありませんでした。
とても重いストーリーで、こんなのありえないと思いながらもセリフの端々に母として、
また娘としてズドンとくるものがあり、家族、親子の在り方を考えさせられました。
役者さん一人一人が主役でもいいほど演技も脚本も素晴らしかった。

◆ストーリーを詳しく知らない状態で観劇しましたが、とても素晴らしい舞台でした!
ある意味悲惨な話なのに劇場で笑いがたくさんおきていました。
麻実れいさんと秋山菜津子さんの掛け合い?がとにかく凄まじかったです!
登場人物が一人一人たっていて、いい舞台ってこういう作品なんだよなーと改めて思える経験を久しぶりにしました。




母と娘が取っ組み合いのケンカです
三女の婚約者スティーブ(橋本さとしさん)の狼狽ぶりが(笑)



◆母バイオレットと、長女バーバラのバトルが凄かった。毒々しいが、本当の親子だからこそ、本音でぶつかり合うのかもしれないな…と感じました。
個性的なメンバーが多く、「オイオイ大丈夫かー?」とつっこみたくなった。
時々笑いがあり、重くなりすぎないところが良かった。

◆芸達者な役者さん達のリアルな家族バトルとテンポの良い会話劇や登場シーンは少なかったですが村井國夫さんの存在感ある演技が素晴らしかったです。
そして舞台では初めて見る常盤貴子さん、綺麗で聡明で声が良く通るしお芝居も上手で素敵でした。





◆お芝居は、さすが見応えありました。演じる生身の人間の心の襞に触れ、幾層もの感情を垣間見ることができて、楽しかったです。
悲しくて、残酷で、可笑しくて、素敵な舞台でした。ありがとうございました。

◆一つの家族に巻き起こる様々な事件が紡がれています。個々の登場人物が直面する問題は大きく、受け止めることは難しく思われますが、見事な演出でクスッとしながら観ることができました。
3時間15分の長い舞台ですが、休憩も2回あり、個々人の物語が一つひとつの場面として切り取られているため、長さを感じることはありませんでした。ストレートプレイの持つ力強さを感じさせてくれるお芝居でした。



 舞台は母親と三姉妹の物語を軸に進みますが、父ベバリー(村井國夫さん)、長女とその夫(生瀬勝久さん)、娘のジーン(小野花梨さん)の一家、マティ・フェイ叔母さん一家、次女の秘密の恋、三女と胡散臭い婚約者…。さまざまな人生が錯綜します。そのもつれた糸が家族という関係で一つに束ねられる。ひとつ屋根の下で明かされる家族の秘密に(気持ちが)前にのめりっぱなしの観劇でした。

 そして、ゾクゾクする女たちのバトルもさることながら、ドラマティックな父たちの愛の余韻に浸っています。



つかの間の笑顔…

【あらすじ】
8月、オクラホマ州のオーセージ郡。うだるような暑さの中、ウェストン家の三姉妹のうち、長女バーバラと次女アイビーが実家に戻ってきた。詩人でアルコール中毒の父ベバリーが失踪したというのだ。ベバリーは家政婦ジョナを雇った直後に、姿を消していた。家に残されていたのは、薬物の過剰摂取で半錯乱状態となり、口を開けば罵声を娘たちに浴びせる母バイオレットだ。長女バーバラは夫のビル、娘のジーンを伴っていたが、家族には明かせない問題を抱えている。両親想いの次女アイビーもまた、家族には秘密の恋愛を育んでいる。ぎくしゃくした母と娘たちの緩衝材は、陽気な叔母マティ・フェイと夫のチャーリーだ。そして一家に、衝撃的な現実が突きつけられた。やがて三女カレンが婚約者のスティーブを連れて姿を現す。叔母夫婦の息子リトル・チャールズも到着し、ようやく一族全員が揃ったディナーのテーブルで、それぞれが抱える鬱積が爆発し…。


【公演情報】
『8月の家族たち August:Osage County』
2016年5月7日(土)~29日(日)@Bunkamura シアターコクーン おけぴ劇場MAP
2016年6月2日(木)~5日(日)@森ノ宮ピロティホール おけぴ劇場MAP

<スタッフ>
作:トレイシー・レッツ
翻訳:目黒条
上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

<キャスト>
麻実れい/秋山菜津子/常盤貴子/音月桂/
橋本さとし/犬山イヌコ/羽鳥名美子/中村靖日/藤田秀世/小野花梨/
村井國夫/木場勝己/生瀬勝久

公演HPはこちらから

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人

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