2014/06/10 劇団壱劇屋『UNKNOWN HOSPITAL』野外・公開稽古レポート


関西小劇場界・注目劇団「壱劇屋」創作現場に潜入!?
(取材当日の降水確率は30%でしたが・・・全員ずぶ濡れです!)

「劇場の使い方がふつうじゃない
「観客を連れて劇場ツアー実施
舞台を客席にして、劇場全体をアクティングスペースにしていた」

「肉体を駆使したパフォーマンス力がすごい」
「劇団なのにダンスコンテストで審査員特別賞を受賞したことがある」
「動きが気持ちわるい(笑)。それがいい!」

「稽古場は河川敷
「稽古場は公園
「稽古場は基本、野外

「海外でも通用しそうなスタイリッシュさがある」
「じつは殺陣もすごい」

「ストーリーも台詞もあるけど、台本は10ページくらい
「アート系とか、エンタメ系とかのジャンル分けは不可能



 おけぴ関西取材班が発足して約半年。取材先のあちらこちらで耳にしたこんな噂。

 気になる、舞台をみたい、彼らに会ってみたい…。

 おけぴ関西スタッフの思いがピークに達した時!

「彼らの創作現場を見にきませんか?」

・・・・・・!!


 劇団初のHEP HALL公演、そして初の東京公演、と初めて尽くしの意欲作『UNKNOWN HOSPITAL』

 約1週間後に初日を控えた、噂の主・劇団壱劇屋の「公開稽古」潜入レポートをお届けいたします!!


大阪・扇町公園にて開催された公開稽古。
ギャラリーがいても、取材が入っても、スタンス変わらず、ガチ稽古です!

<「劇団壱劇屋」とは?>
大阪と京都の狭間、枚方を拠点に活動する劇団。高校演劇全国大会出場メンバーで2008 年活動開始。パントマイム、ダンス、会話劇、コント、アクションを複雑に融合させて観客を不思議な世界へ導く、世にも奇妙なエンターテイメントを創作中。本公演は年に2 ~ 3 回と精力的に活動する若手劇団。DANCE COMPLEX 2008 審査員特別賞受賞。ロクソドンタフェスティバル2010 優秀賞受賞。應典院舞台芸術祭space×drama 2012 優秀劇団に選出。



“ 誰も知らないその病院で、観客の脳は震えだす。”

 先日ご紹介したABCホール『中之島 春の文化祭』で、冒頭パフォーマンスが披露された壱劇屋の第23回公演『UNKNOWN HOSPITAL』。

 不思議な感触を残す、完成度の高いパフォーマンスに、ホラー映画のような雰囲気も感じたのですが・・・


ホラーではないです! “世にも奇妙なエンターテイメント”、“不思議な感覚を味わってもらえるミステリー”というか。今回のモチーフは “病院”。なぜその病院に運ばれたのかわからないひとりの患者が、その謎を解き明かしていく物語です。医療・病院という言葉から受ける、どことなく怖い感じとか、不気味な清潔感を出したくて。大きな病院って、自分がどこに行ったらいいのか、どこにいるのかわからなくなったりするじゃないですか。処方される薬の中身がわからなかったりとか…。といっても、僕自身はあまり病院にお世話になったことはないので、あくまでイメージですが(笑)」

 そう語るのは劇団主宰であり、作・演出も手がける大熊隆太郎さん。

 いいむろなおきさんの薫陶を受けたマイム技術、高い身体能力と不思議な存在感で、他団体への客演多数。京都でロングラン公演をしているノンバーバルパフォーマンス『ギア』にもパントマイマーとして出演中、演出部のひとりにも名を連ねています。
(おけぴスタッフも初めて彼のパフォーマンスをみたときは衝撃を受けました! なんというか目が離せない、癖になるような魅力があるんですよね)


 作・演出、そして劇団代表、ということで、大熊さんがぐいぐいと稽古を仕切っていくのかと思いきや・・・


こちらは劇団“リーダー”の竹村晋太朗さん。
殺陣師としても活躍中です♪
(写真奥は鋭い目つきの大熊さん)

 稽古の様子を眺めていると、竹村さんと大熊さんを中心に “全員参加” “全員演出家” というスタンスでシーンを作り上げているようです。

 組体操のようなフォーメーション、念入りな立ち位置確認。しばらく見学していても、いったい今、どんなシーンが生み出されているのか、全く見当がつきません!



靴の位置を細かく調整。
靴がいったい何をあらわしているのかは、謎のまま。
(写真左から:安達綾子さん 丸山真輝さん 西分綾香さん)

雨が降り出してきました。
なんのシーンを作っているのかは・・・わかりません!
(写真中央ピンクのシャツは坪坂和則さん)

雨は次第に強く・・・
が、しかし!公開稽古は続きます。
(写真中央グレーのシャツは河原岳史さん)

この“病院”ではいったいなにが起こっているのか…?
雨の中で跳ぶ丸山さんと、
真剣な眼差しで見守る竹村さん、笑顔の小刀里那さん(写真左)。

 “自他ともに認める特殊な創作スタイル” のため、“稽古の様子を見られてもネタバレしない” という壱劇屋さん。

 この日も “見学自由!” の公開稽古ということで、ギャラリーも集まっていたのですが、雨は次第に強さを増してきて…


稽古開始から約1時間で無念の公開中止!


 6月、梅雨入り直後ですからこれも致し方なし。しかし野外での創作スタイルでは、こんなことはしばしば起こるのでは?

 夏は暑いし、冬は寒い公園での稽古。蚊も野次馬もあっという間に集まってきます。

「青春気分?」
「経費削減?」
「書を捨てよ町へ出よう!的な?」
「宣伝を兼ねたパフォーマンス?」

 …すみません!
実はこの日、実際の稽古の様子を見るまでは、そんなふうに思っていたおけぴスタッフ。

 しかし! 今回の取材で、野外稽古のワケがすぐにわかりました。

大熊)
段取りがめちゃくちゃ多いんです。動きがずっと続いていくので、ひとつでもパズルのピースが欠けたり、崩れたりしたら物語がつながらない。繊細で、綱渡りの進行ですね。わりと難しいことをやっていると思います(笑)。でも、それが舞台上ですべてうまく行ったら “ものすごいもの” がみせられるはずなので」


 立ち位置がほんの少しずれただけでも、流れが止まってしまう繊細&大胆なパフォーマンス。これは舞台の実寸がとれて、さらに思いきり動ける場所でないと稽古になりそうもありません。

 しかも、演出家や振付家が指導して、出演者が練習する、という流れではなく、劇団員全員が考え、試して、少しずつ作り上げていくスタイル。

 これ、ひとつのシーンを作るのにものすごく時間がかかりそうなのですが…

大熊)
“常におもしろくなくては” と今は考えているんです。ストーリーも、視覚的にも楽しませて、最初から最後まで全ての瞬間がおもしろくないといけない。つなぎのシーンだとか、説明のシーンだとかはいらないな、と。と言っても、結果的に舞台上でそういう部分が出てきてしまうこともあるわけですが(笑)、とにかく作っている段階では、多少整合性が取れなくても、矛盾が出てきても、“常におもしろいことが目の前で起こっている”ということを大事にしようと」


 “全ての瞬間がおもしろい”
 客席に座って開演を待つ観客に、こんなにも嬉しい言葉があるでしょうか。

 今日お会いするまでは、もっと現代アート的というか、前衛的な作品創りをしているイメージがあったのですが、大熊さんのルーツには “吉本新喜劇” もあるとか・・・??

大熊)
「ストレートプレイも、現代ダンスも、吉本新喜劇も大好きなので。抽象的なアートパフォーマンスだけをみせるのではなくて、そういう自分が好きなもの・・・たとえばアニメとかエンタメ演劇とか、そういうものとも融合させて、“いい塩梅” のところを目指したいと思っています。内容は難しくないです(笑)!どんな方でも楽しんでいただける、ほかでは体験できないような、そしてこれまで体感したことのないようなものをお届けします!食わず嫌いをせずに、ぜひ劇場にいらしてください!!」



                                             

 おけぴスタッフが勝手にパワープッシュする “関西小劇場界の若手・最注目劇団”! 壱劇屋第23回公演『UNKNOWN HOSPITAL』は、6月20日から22日まで大阪・HEP HALLにて、そして8月30日から9月2日まで東京・てあとるらぽうにて上演されます。

 白衣の男女が引きずる大きな袋。
 身体はどこも悪くないのに入院している女。
 はたして誰が医師で、誰が患者なのか!?

 「あのときHEP HALLで壱劇屋を観たんだよねー」と、自慢できる日が来るかもしれない。そんな予感でいっぱいの “世にも奇妙なエンターテイメント” 『UNKNOWN HOSPITAL』。おけぴスタッフも今から期待度マックスでワクワクしております♪

 「ちょっと気になるかも」という皆さま、ぜひご一緒に壱劇屋さんデビューをいたしましょう!



<『UNKNOWN HOSPITAL』PV 第一弾>

<「壱劇屋」紹介動画>
(これまでの公演の舞台映像も♪ 必見!!)

【公演情報】
劇団 壱劇屋 第23回公演
『UNKNOWN HOSPITAL』

大阪公演 2014年6月20日(金)-22日(日) HEP HALL
東京公演 2014年8月30日(土)-9月2日(火) てあとるらぽう

作演出:大熊隆太郎
出演:安達綾子/大熊隆太郎/河原岳史/小刀里那/竹村晋太朗
   坪坂和則/西分綾香/丸山真輝/山本貴大

INTRODUCTION:
事故を起こし、意識を失った女。
彼女は奇妙な感覚で目が覚める。
暗闇の中、何処かに吸い込まれるような感覚。
身体は痛くて動かない。
意識がハッキリしてくると、彼女は理解した。
「何処かに運ばれている。」
「私はなにか袋に入れられて引きずられている。」
「そしてこの袋は、死体を入れる袋だ。」
動きが止まった。
女が意識を取り戻したことが伝わったのだろうか。
ジッパーが前置きなく開かれ、青白い明かりが袋に侵入してきた。
袋を開けたのは白衣を着た男だった。
白衣の男は笑みを作ってこう言った。
「ここへ来たからにはもう安心ですよ。」
そして彼女の入院生活が始まった。
誰も知らないその病院で。

壱劇屋公式HP
壱劇屋ブログ
壱劇屋twitter
壱劇屋facebook


「劇団壱劇屋」・・・大化けする予感です!!


  
おけぴ取材班:mamiko(文/撮影)     監修:おけぴ管理人

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