新国立劇場2015/2016シーズン、演劇部門は“ミスター・ミュージカル”スティーブン・ソンドハイムの『パッション』日本初演で開幕です♪
宮田慶子演劇芸術監督(演出)、シルビア・グラブさん、井上芳雄さん、和音美桜さん、福井貴一さん、島 健さん(音楽監督)
『太平洋序曲』(2000年、02年)、『Into the Woods』(04年、06年)と好評を博したソンドハイムのミュージカルが9年ぶりに新国立劇場に登場!作品は…『パッション』日本初演です!(94年、ブロードウェイ初演、トニー賞4部門に輝く傑作)
キャストは発表と同時に、思わず心の中でガッツポーズした方も多いのではないかと思えるほどの、実力者揃い。さらに、演出は宮田慶子芸術監督が、音楽監督には島 健さんが!
これまでにも
井上芳雄さんインタビューや
観劇会ニュースなどでご紹介してきた
『パッション』、いよいよ始動です!どの角度から見ても期待高まる作品の制作発表レポートをお届けします。
【演出:宮田慶子芸術監督】
原作となるイタリア映画『パッション・ダモーレ』を見ての感想から。
「ちょっと衝撃でした。あまり大きな声でいうとアレですが(笑)、まず、ヒロインが病弱で美しくない。
ミュージカルとしてあり得ないですよね(笑)。
通常ラブストーリーでは美しい美女が…ね。それはシルビアさんが美しくないということじゃないですよ(笑)。逆にこんなに美しくあでやかなシルビアさんがこの役を引き受けてくださって。そんなヒロインがドラマの主人公なんですよね。
それから、話がとにかく怖い(笑)。
そして、音楽を聴いていみたら、これがまた難しいんですよね。現代社会や人間の複雑さを描いた、現代音楽に近いような複雑な旋律。アメリカ現代ミュージカルを代表するソンドハイムだからこその音楽的なトライをしているんです」え?難しいの?怖いの?複雑なの?
大丈夫かしら…ちょっと心配になった、その時!!
さまざまな不安を一気に吹き飛ばすひと言が出ました。
「ただ、その中でときおり、身も心もとろけるほど美しいメロディーがあるんです。
そこに、もう見事にハマりました。
そして、ぜひともやりたい!と制作に着手した次第です」ぜひとも見たい!です。宮田監督、さらに畳みかけます。
「とにかくテーマは“愛”です。このミュージカルは、見事に“恋愛はゲームじゃない”と教えてくれます。
おかげさまで、これ以上ない最高のキャストとスタッフが集まりました。
大人のハートをわしづかみできるようなミュージカルにしたいと思っています」すでにわしづかみされております!!
【音楽監督:島 健さん】
福井貴一さん、島 健さん(音楽監督)
島さんからは、もちろん音楽についてのお話が!
「誰でも口ずさめるようなメロディーはほとんど出てきません。現代音楽的というか、伴奏を聴くとかえって歌えないような不協和音も出てきます。でも、稽古をしていくなかで、最初は断片的にしか聞こえてこなかった音楽が、だんだんとパズルが合わさってくるように形を成し、一見怖いけれどロマンティックという作品世界を見事に音楽が表していることに気付きました。深い音楽です」ミュージカルファンのワクワクのツボを押しまくる言葉にすっかり気分が良くなったところで!続いてはキャストのみなさんをご紹介。
【ジョルジオ役:井上芳雄さん】
学生時代に新国立劇場でアルバイトをしていたという井上さん、気持ちとしては…
「故郷へ錦を飾る!」頼もしい!
ご存知の通り、新国立劇場でのストレートプレイ、宮田演出は『負傷者16人』で経験済みですが、ミュージカル、そして中劇場はお初ですからね!
ジョルジオ役については…
「ジョルジオの目を通して描かれているという点、物語の最初と最後で人物像が変化する。その意味では主人公ですが、ひと言で言うと二人の女性に翻弄される役なんですよね。ジョルジオの価値観の変化、ビックリするような人生の転換をお客様も一緒に追体験していただければと思います。
それに加えて、セクシーだったらいいなと」セクシーについては。
井上さんの手のセクシーさにも注目なのです!トート閣下もパッションヴィジュアルも雄弁な手の演技ですよね!
「ヴィジュアル撮影の段階からセクシーにセクシーに!と言われ、シャツをはだけさせたりしました。また、今年は色香漂う役柄が続くのでセクシーをテーマにしています。これまでは好青年を前面に売り出してきたんですけど、そろそろ年齢的にもきつくなってきたので(笑)」
ジョルジオの恋人クララ役は和音美桜さん。ミュージカル『ルドルフ』でのお二人の美しいデュエットも忘れられません!
【クララ役:和音美桜さん】
「初めて新国立劇場の舞台に立たせていただきます。
難しい楽曲に立ち向かい、歌いこなすことで何か表現できることがあると思っています。
音楽は複雑ですが、それが人間の簡単じゃないところに通じるのではないでしょうか。
そんな一人ひとり複雑な人間が、さらに向き合うことで生まれる何か、そして、そういったものが絡み合った時に出てくる“居心地の悪さ”のようなものを追求し、なにかお客様の心に残るものをお伝えできればと思います」クララについては、ベールに包まれたところもあるのですが和音さん曰く
井上さんのお株を奪う(笑?!)この色香…
「観ている方にとって、わりと感情移入しやすい役だと思います」また新しい和音さんが見られる予感!楽しみです♪
宮田さんのコメントにもあった、フォスカ役にはシルビア・グラブさん。
【フォスカ役:シルビア・グラブさん】
パッション!なお召し物で登場のシルビアさん
ソンドハイム作品は3作目というシルビアさん。
「ソンドハイムは、メロディーメーカーである前に作詞家なんだと思います。そして描いた心情、言葉をどう音楽に乗せるかの天才なんです。そうやってドラマを音楽に乗せるので、よりお芝居に近いミュージカルになると思います。
それがうまく表現できたら…いいよね。今は楽曲を覚えられる気がしないんですけど(笑)、一か月半、この調子でお稽古をしていたら、いいものができると思います」フォスカ役については。
「フォスカはジョルジオに恋い焦がれ、もう、自分の命がある限り彼を愛し抜くパッションな女」ある意味、タイトルロールともいえるような、シルビアフォスカにみなさまご期待ください!!
ジョルジオの上官でフォスカのいとこのリッチ大佐には福井貴一さん。
【リッチ大佐役:福井貴一さん】
セクシーダンディの先駆者福井さんですが、会見ではオモシロ担当!?
「みんなが難しい難しいというと、どんな感じの音楽かと思うでしょ。
たとえるなら、スナックでオヤジがカラオケでいきなりキー外したりするでしょ。「それ、キーちゃうで」って思うけど、だんだん、あれ合うてきた?って感動があるじゃないですか。この音楽にはそういう感動があるんです。ところがね、そのカタルシスが長続きしないんですよ。もう一回ちょっとハズれるような…めちゃ分かりやすいでしょ?わからなくなった?(笑)」なんとなくわかったような、わからないような。
きっと、本番を観たときに「こういうことだったのか!」と真意を理解することでしょう(笑)。
さらに素敵なコメントが!
「あと、やるのは難しい作品ですけど聴くのはいいですよ!昨日の本読みで、ああ、これはええ作品やなって感動しました。お客さまにはなんていうか感じてもらえるミュージカルになると思います」感じるミュージカル!楽しみです。最後に、だめ押しともいえるワクワクコメントと番外編フォトをどうぞ!
最後に宮田監督に、本格始動した『パッション』、現段階での手ごたえをうかがいました。
「昨日、キャスト全員が揃って歌もセリフの入れ込んだ本読み稽古を行いました。本当に、嗚呼、『パッション』が立ち上がった!って感じがしましたね。
やはりこのメンバーだからこそ、みんなから楽曲が難しい難しいって出ていますが、見事に歌いこなします。難しさを越えてくると思います。
素晴らしい稽古のスタートができました」井上さんのセクシーについて。
「セクシーだよね。だって、二人の女性にはさまれて…。よっぽどいい男じゃないと、まずお客様が納得しないですよね(笑)。なんで命かけてまで惚れるんだって。
頼むね~(笑)」頼まれた方↑
「オープニングからセクシーにいきます」(井上さん)
【番外フォトコーナー】
本番でこのような表情は登場するか?!シリーズです。
ジョルジオのハニカミ
クララの屈託のない笑顔
フォスカのニッコリ
リッチ大佐のカメラ目線
和気あいあいとしたカンパニー!
おけぴ取材班:chiaki 監修:おけぴ管理人