こまつ座第114回公演『紙屋町さくらホテル』観劇レポート

『父と暮せば』(戦後命の三部作)に次ぐ
井上ひさしが描いたもう一つの「ヒロシマ」。


紀伊國屋サザンシアターにて上演中のこまつ座第114回公演『紙屋町さくらホテル』

昭和20年5月、広島・紙屋町のホテルでのおかしく哀しい三日間の物語。
それぞれの思いを胸に、迫りくる恐怖におびえながらも、そこで懸命に生き、泣き、笑い、芝居を作り上げた人々。
人間賛歌、演劇賛歌の名作!!

稽古場レポートに続いて、みなさまからお寄せいただいた、熱い熱い熱い感想を舞台写真を交えながらご紹介いたします。

楽しいときほど、
その楽しさを無理やり奪われた人たちのことを条件反射みたいに
ふっと思う人間に僕はなりたいし、
そういうのが普通にできるようになったら
絶対に間違わない世の中ができると思う。 ――――― 井上ひさし




左より、神崎亜子、松角洋平、立川三貴、松岡依都美、相島一之、石橋徹郎、七瀬なつみ、伊勢佳世


真に深い感動がありました。
前回の観劇から9年の間、戯曲を読み返していなかったので、思わぬところで新たな気づきがあったりして、心の底から揺り動かされました。
一新したキャストの方々、皆いいですが、長谷川閣下役の立川三貴さん、出色でした!

今まで眼をそむけていた色々な事実を改めて知りました。
さくら隊のその後を知り、後半では涙が溢れました。

コミカルな雰囲気ながら、ドキッとさせられる台詞があった。
後に原爆投下の悲劇あるだけに、悲しみが心に滲みる。

★緊迫感に包まれた場面から始まり、一瞬重いお芝居なのかと思いました。
しかし、それはあくまで前振りであり、すぐに笑い溢れるこまつ座の舞台になりました。
劇中の台詞には、心に響くものが散りばめられており、考えさせられるものもありました。
3時間半という長さを感じさせない、とても素敵な舞台でした。

★芝居の稽古の場面は、小劇場、宝塚、舞台用語、当時の舞台人等の話題も出て来て面白い。
個を押しつぶされた時代に、芝居の稽古を通して個が強く目覚めていく。
「この非常時に役者は役に立たない!」そんな時だからこそ明日への活力、希望が生まれて、勇気となる力が舞台にはある!と作者は伝えていると思う。
俳優、舞台人、そしてその全てを愛する我々へのメッセージ。
舞台は広島。日本人ならこの地で何が起こったのか、知らないものはいない。



左より、石橋徹郎、立川三貴

「Nの法則」、なるほどと頷く。米国と日本、どちらにいても迫害を受ける日系人、無理やり枠にはめ込まれる舞台人。もし明日と言う日が無かったら、無いことを知ってしまったら・・・「今」を一生懸命「生きる」しかないだろう。
作者の思いの詰まったこの本を、鵜山仁氏が見事に演出した。

★こまつ座の戦争に関するお芝居は何本か観ていますが、このさくらホテルの台詞の奥深さに感銘を受けました
井上ひさしさんの韻を踏んだ、言葉を紡ぐような心に染み入る台詞を、経験豊かな役者陣が素敵なお芝居に仕上げた。3時間が短く感じる程良かった。



左より、立川三貴、七瀬なつみ

★七瀬さんの一生懸命な感じが役そのものでとっても良かったです。
沢山笑って最後にボロボロ泣いて。あの日、こんな風にただ懸命に生きていた人達が一瞬で消されてしまったのだと、改めて考えさせられる時間になりました。

★何度も何度も苦しくなって、泣いてしまいました。人間ひとりの命や、夢や、希望は軽んじられてはいけないものなのだと改めて教わった気分です。

★素人の劇団員を指導する練習場面には、芝居への愛が溢れていました。


左より、松角洋平、伊勢佳世、七瀬なつみ、石橋徹郎、高橋和也、神崎亜子、松岡依都美

アンサンブルの良い良質な演劇でした。どんな状況下にあっても演劇力は人間にとって大事だと思いしらされました。

こまつ座作品の中で一番好きかもしれません。
数々の深いテーマが凝縮されていて上演時間も非常に長いのですが、楽しい場面も盛りだくさんで軽やかな仕上がりです。笑顔のほがらかな七瀬さんをはじめキャスト全員が素晴らしく、おそらく今回限りとなる顔寄せは見逃してはもったいない。
心を一つにして何かを為し遂げることの素晴らしさと、国家に強制されて一つの目的に向かって邁進させられることの恐ろしさの対比が見事です。

★こまつ座さんの作品観劇は、これで2度目でした。劇場で、こまつ座さんの法被を来たスタッフさんをお見掛けしたら、前回の観劇のことが蘇ってきました。とても素敵な、こまつ座さんオーラの空間に感じました。
とても心地よい空間です。今回一緒に観劇に行った二男は、この作品の戯曲を持っていて、舞台を観たいとずっと思っていたそうです。
観劇後は、二人で感動しまくりでした。素敵な舞台、素敵な時間をありがとうございました。

★余談ですが、伝説の時代の存在だと思っていた築地小劇場出身の俳優たちを実際にこの眼で観ていたことに衝撃を受けました。
滝沢修、杉村春子、東山千栄子、山本安英などなど大御所でしたがその演技に魅せられました。
そこから文学座、雲、天井桟敷、四季と発展したのですね。
はからずも近代演劇史を学べました。



左より、松角洋平、伊勢佳世、松岡依都美、七瀬なつみ、神崎亜子

★「井上ひさしが描いたもう一つの『ヒロシマ』」には、歌があふれていました。
空襲警報に、特高だの24時間監視だの、恐ろしげなのに、笑いもいっぱい。劇中劇の「しろうとっぽさ」なんかに、ただアハハと笑ってたんですけどね……結局、泣いてしまいました。
戦争の悲惨さや理不尽は、目の前に描き出されなくても、想像することで胸に落ちるのだと、改めて思いました。せめて、想像することを忘れたくない、とも。

★役者さんたちも熱演で、終盤の相島さんの長台詞の場面では、鼻をすする方も多くいました。「Nの法則」には目からウロコでした。
上演時間の長さも全く感じませんでした。ヒロシマの運命を知っている今、たくさんの人に観て欲しい舞台だと思います。ずっと長く続けていってほしいと強く思いました。

★こまつ座のお芝居の中でも五指に入る作品だと思います!
井上ひさしの、反戦、死ぬこと、傍観、国家――といういつもの強いメッセージ性と同じ位強く、芝居に人生を捧げた先輩達への共感、作り手として芝居と役者を愛おしむ心を感じました。
こういう味わいで語られる方が、その後の悲劇を想像させますね。



左より、立川三貴、石橋徹郎

★立川三貴さんが効いていましたね~。身分を偽ってさくら隊に加わった戦争末期と戦後。
信念と誇りをくつがえされてしまう前と後のお芝居の振れ幅!うまいです…

★こまつ座の井上作品は、初期から大体見ていますが、氏の没後も上演が引き継がれているのは素晴らしい。
今回の作品は初めて見ましたが「むずかいことをやさしく」氏の思想が、笑いや涙の中にしっかり盛り込まれ、役者の皆さんも、ドラマの心をよく表現していました。
余計な飾りを排し、動きと肉声で伝える芝居の良さがよく伝わってきました。
「子供の心を犠牲にしてまで守るものがあるのか」というセリフに感動。

★芝居稽古のシーンがとても面白いです。特に園井恵子役の松岡依都美さんの演技指導の中での「宝塚」は最高です。

★どんな時でも、演劇には人のこころを動かす力がある。そう希望を与えてもらいました。
井上ひさしさんの芝居への愛情がセリフの端々にあらわれていました。

★井上ひさしさんの台本の素晴らしさがずば抜けています。チラシに書かれていた井上ひさしさんの言葉にも心うたれました。



左より、高橋和也、相島一之、七瀬なつみ、伊勢佳世、神崎亜子、松岡依都美

★いつも観劇後、ずっと余韻が残り、ことあるごとに思い返してずっと記憶に残ります
年配の人の割合が多いように思いますが、若い人にこそ観ていただきたい、そんな思いです。とても長いセリフ、俳優さんの御苦労がひしひしと感じます。
とても糧になる、観ないと損です。

稽古場のドタバタシーンとか宝塚歌劇の元男役スターがやってみせる宝塚芝居は抱腹絶倒。
皆さん良かったのですが、特に大島先生役の相島一之さん、園井恵子役の松岡さん、長谷川役の立川三貴さんが素晴らしかったです。
笑いながらも最後は井上ひさしさんの思いが伝わってきてジーンとしました。
私の周りではすすり泣きの声があちこちでしていました。



左より、伊勢佳世、松岡依都美、高橋和也

★伊勢佳世さんの広島弁がはじけていて、元気をもらえました。
「すみれの花咲く頃」の歌声が幕後もリフレインしています。

笑って泣いて、最後は笑顔になる。他の井上作品もそうですが、今作は特に長谷川と針生の戦争と自身を振り返る視点が入り、私たち観客もその後広島に原爆が落とされたことを知っているので、深い所に沁みました。
どの役もよく描けていて、役者もすばらしい。
特に伊勢佳世さん、「マンザナ、わが町」に続き好演です。広島弁が真っすぐきます。


公演は24日(日)まで、ぜひ劇場でご覧いただきたい作品です。

【公演情報】
こまつ座第114回公演『紙屋町さくらホテル』
2016年7月5日(火)~24日(日)@新宿・紀伊國屋サザンシアター【おけぴ観劇MAP→

<スタッフ>
作:井上ひさし
演出:鵜山仁

<出演>
七瀬なつみ/高橋和也/相島一之/石橋徹郎/伊勢佳世/松岡依都美/松角洋平/神崎亜子/立川三貴

<あらすじ>
昭和20年5月の広島。
「新劇の団十郎」と呼ばれた丸山定夫と女優・園井恵子を中心に組まれた「移動演劇隊」さくら隊が逗留する紙屋町さくらホテル。
ホテルのオーナーである日系二世の神宮淳子、宿泊客の文学博士、監視役の特高刑事、そして昭和天皇の密使として薬売りに扮し、密かに全国を視察する海軍大将の長谷川清らも巻き込んで、さくら隊は巡演のために演劇の稽古を重ねる。
長谷川らが自分の使命を超えて、演劇の魅力を見出していく一方、時代は刻々と「その時」に向かって動いていた。

公演HPはこちらから

舞台写真提供:こまつ座
編集:chiaki 監修:おけぴ管理人

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