ミュージカルをご覧になる方に知らない人はいないというほど
ご活躍のミュージカル女優、笹本玲奈（ささもとれな）さん。
13歳でミュージカル「ピーターパン」にてデビューし、その後
「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「ミー・アンド・マイガール」
「ルドルフ ザ ラストキス」「ウーマン・イン・ホワイト」などの作品へ出演。
2008年には「笹本玲奈 10th Anniversary Show -Jewel-」、
最近では「プライド」劇中にてオペラ歌唱を披露し、
次回作「日本人のへそ」では井上ひさし作品へ初参加。
そんな笹本さんにお話をたっぷりお伺いしてきました♪
まず、この世界に入る前の笹本さんはどんなお子さんでしたか？
ごく普通の子でした(笑
学校で学芸会などがあると
出来る限り台詞の少ない役を選ぶような、そんな子でしたね。
そこからこの世界へ挑戦するようになる、その転機は？
小学校3年生の時に「アニー」を観てからです。
それまでは運動神経も悪くて、足も遅い。
運動会とか大嫌いだったんです。
それが「アニー」を観てこの世界を目指すようになって、
ダンスを習い始めたのをきっかけに、身体能力も上がり、
足も速くなり、持久力も付いて、先生もビックリでした(笑
そして6年生の時に、学校の英語劇で「オズの魔法使い」の
ドロシー役に自分から挑戦しました。
「アニー」をきっかけに性格も変わりましたね。
芸歴14年目になりますが、芸能活動のキャリアと実年齢のギャップを感じた時期はありますか？
あまり無いですね。
確かにデビューの時、周りから子ども扱いされることが
悲しいと思うこともありました。
後になって思うと、13歳ですからね、当たり前ですよね（笑）
でも、それ以降は特にありません。
カンパニーの中でも沢山の先輩方に囲まれて、可愛がって頂いてきました。
〜 芝居について 〜
役作り、役の深め方について教えて下さい
調べることはもちろんですが、
基本的に稽古場で作り上げていきます。
自分一人で深めるより、共演者の方とのやり取りや、
演出家の方の考えなどを吸収して、
出来上がっていくものだと思っています。
その過程が大好きなんです。
舞台ってお稽古期間が一ヵ月半あったりしますので
その間、本番も含め、同じ人と同じ台詞を
毎日の様にやり取りします。
人間的な関わりも深くなって、
公演を終える頃には家族のようになるんです。
それが楽しいんです！
そうして作り上げられたキャラクター。役を実生活でも引きずることはありますか？
結構あります。
ずっとこういうお仕事をしていると、自分なのか役なのか・・・
私は誰だっけ？と思うことがあります。
夢にも出てきますし、朝起きて、自分が何者なのかと確認したり（笑）
自分は誰で、今、何の役をやっているのか。
それを思い出して一日が始まるような。
お友達とおしゃべりしていても、
「しゃべり方が台詞っぽい」って言われることもあるんです。
大げさなのかなぁ・・・ちょっと直したいところでもあります（笑）
しゃべり方は、役によって変わるのでしょうか？
はい、役によって声の出し方は全然違います。
もちろん、気持ちと声の関係もありますしね。
これまでは比較的、地声で歌うことが多かったのですが、
最近少しそういった役から離れていて「プライド」ではオペラ、
今の稽古(日本人のへそ)に入ってからも、
ビブラートをつけて歌い上げるということはあまり無いですしね。
歌い続けていないと声って忘れちゃうんですよね。
自分の地声ってどんなだったっけ？って。
そんなこともあり、今日はミーマイを聴きながら来ました。
ああ、私の地声ってこうだったなって(笑
〜 プライベート 〜
オフのときはどんな過し方をされていますか？
ボーっとするのが好きなんです。
この時期はコタツで読書とか好きですね。
ひたすらコタツです。
身体が冷えやすいみたいで、お風呂も3時間くらい入ったり、
生姜をたくさん食べたりしているのですが、
なかなか温まらないんです。血の巡りが悪いのかな・・・。
お風呂、3時間！その過し方は？
テレビを見たりしますね。
あとはお風呂って“記憶”するには
一番いい場所だと思うんです。
コンサートやライブをする前には必ずやるんですけど、
歌詞を書いて、ちょっと濡らして
ぺたぺたと壁一面に張るんです！
すごく良く憶えられますよ！
台詞を覚えるのもお風呂？
あ、台本は・・・
以前お風呂に持ち込んだことがあったのですが、
見事に落としてしまい、
稽古でとても恥ずかしい思いをしましたので、
それ以降、止めました(笑
台詞はやっぱり本読みの過程などで入っていくものですね。
これまでの作品でラブストーリーも数多くありましたね。どんな恋がしたいですか？
これまでの作品・・・ハッピーエンドってあったかな(笑
ミーマイとガイズ＆ドールズくらい？
どちらも、報われないと思わせて最後ハッピーエンドですね。
そういうのいいですね！
喉のケアとかも含めて、何か健康法はありますか？
あんまり無いですね(笑
普通に加湿器を炊くぐらいです。
健康とかあまり気を使い過ぎないほうがいいということを
以前どなたかにうかがって。
サプリメントも飲みませんしね、
基本、栄養は食べものからです！
私、お米が大好きですごい食べるんです(笑
でも、ヘレン役のためにもちょっとダイエットも必要かと思い、
最近はお弁当を作ってきているんです。
夜も、一度お弁当箱に詰めてから食べるようにすると、
量がコントロールできますしね。
ただ・・・お菓子の量が減っていないので。
お菓子大好きなんです、止めたほうがいいですよね〜(笑
〜 日本人のへそ 〜
(おけぴ管理人の"日本人のへそ"稽古場レポより)
井上ひさしさんの作品に今回初出演ですね
最初に、演出の栗山民也さんから
「この作品に出会えたことは運命だと思って下さい」と言われたんです。
井上先生の作品は、台詞はもちろんのこと、
ト書きから歌詞に至るまですべてお一人で書き上げられている本。
その一文字一文字、句読点にまで魂が込められているのが台本から伝わってきます。
韻を踏んだり、七五調であったり、数々の言葉遊び・・・
言葉の美しさ、大切さ、面白さもすごく感じています。
栗山さんの演出によってそれらの言葉の重みというのは日々増しています。
その本当の意味は、これからわかってくるのかなと思いますが、
演劇界に大きな意味を残したこの作品との出会い。
正直、大きなプレッシャーも感じています。
ヘレン天津という役については
今はまだ役に入り込んでいるという状況ではないので、
客観的に見ることしかできませんが、
何にも知らない田舎娘が東京っていいところだなと憧れて、
どんどん洗練されていく姿がリアルに生々しく描かれている。
少なからずショックを受けます。
その一方で、台詞がリズムに乗って進んで行くことで、
ショッキングなシーンもあまり重くなり過ぎずにやっていけるのかなと
少し心が軽くなったりもします。
それは小曽根さん（ピアノ）の音楽によるところも大きくて、
観ている皆さんの中にもスッと入っていくのではないかと思います。
今回はあくまでもお芝居。
音楽劇として井上先生の言葉を伝えることを
テーマに歌にも取り組んでいます。
あ、東北弁に関しては、褒められちゃいました（笑
そんなに抵抗なくて。私、元々訛っているのかな？
〜 これから 〜
最近では名実ともに“先輩”という立場に立つことも出てきましたよね？
年下の方が出てきて、最初は正直ちょっと戸惑うこともありました(笑
でも、私自身、沢山の大先輩方を見て育ってきたので、
これからは少しずつでも私がそういった立場になっていかなくてはという気持ちを持っています。
そして、先程お話したように、私が小学校3年生の時に「アニー」を観て憧れたように、
子供達が私の舞台を観て、舞台女優っていいなと思ってもらえるようにも頑張っていかなくてはと思っています
舞台、ミュージカルを目指す子供達が増えるといいですよね
いいですよね。
そしてミュージカルを楽しんでくださる方も増えるとうれしいです。
日本ではまだミュージカルというものが浸透しきっていなくて。
最近ではテレビで活躍されている方が舞台にも出演され、
注目されるようにもなっていますが、
映画やテレビと比べると
まだまだミュージカルファンの人口は少ないので、
もっと多くの方に楽しんでいただきたいなと思っています。
ありがとうございました！
最後に動画メッセージをいただくことができました♪
笹本玲奈さんご出演の「日本人のへそ」は
シアターコクーンにて2011年3月8日から27日まで上演！
詳細はこちら
＜お知らせ＞
3月9日19時から、笹本玲奈さんが、演劇評論家の扇田昭彦さんと
舞台の魅力を語る講座があります。"日本人のへそ"の作品や役柄の
お話を中心に、舞台の魅力についてたっぷりとお聞きいただけると思います。
まだ受付中のようですので、ご都合よろしい方はぜひ！
（朝日カルチャーセンター新宿教室にて。一般3,990円）
詳細はこちらから
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【管理人の編集後記】
このインタビューをさせていただいた後、
こまつ座第九十三回公演"日本人のへそ"のお稽古場を
見学させていただいたのですが、
インタビューの時のおだやかな口調とは一転、
今までの笹本さんの舞台では拝見したことのないような
衝撃キャラクター＆衝撃パフォーマンスの数々。
特に劇中の幼い頃のあどけないかわいらしさと、
その後の変化にノックアウトされた私管理人でございます。
"日本人のへそ"での笹本玲奈さん、必見です。
この機会に、ぜひ劇場で生でご覧下さい！
(おけぴ管理人の"日本人のへそ"稽古場レポはこちら)
最後に笹本玲奈さんのオススメの一冊をご紹介
『ニーチェの言葉』
哲学的、思想的な言葉がとてもシンプルにわかり易く綴られています。
この仕事をしているせいか、デビューして13年間、他人の評価が気になってしまいます。
どうやって、それだけにとらわれずに生きていくか。常に戦っている自分がいます。
色々と悩んだりした時に出会ったこの本には人間に必要なこと、
基本となるような、当たり前に近いことが書かれているのですが、
それらが自然と心に落ちてくるのです。
最近出会った中でNo.1の本です。(笹本玲奈)
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