【つながりと愛】ミュージカル『ラグタイム』開幕レポート

20世紀初頭のニューヨークを舞台に、ユダヤ人、黒人、白人。それぞれのルーツをもつ3つの家族が織りなすドラマ。ミュージカル『ラグタイム』の日本初演がいよいよ開幕です!

初日を前に、娘の未来のためにラトビアから移民としてアメリカにやってきたユダヤ人ターテ役:石丸幹二さん、新しい音楽“ラグタイム”を奏で、新時代の到来を願う黒人ピアニストのコールハウス・ウォーカー・Jr.役:井上芳雄さん、正義感にあふれ人種の偏見を持たない、裕福な白人家庭の母親マザー役:安蘭けいさん、差別が色濃く残る時代において慈善活動をはじめ、教育者や作家として活動した、ブッカー・T・ワシントン役:EXILE NESMITHさんご登壇の会見と公開ゲネプロが行われました。開幕レポートとして、会見の様子とゲネプロ速報の写真をお届けします。



EXILE NESMITHさん 井上芳雄さん 石丸幹二さん 安蘭けいさん






──いよいよ『ラグタイム』日本初演の幕が上がります。石丸さん、今の心境は?


石丸さん)
四半世紀前に誕生した『ラグタイム』を日本で上演する。そしてそこに出演することが私の夢でした。その夢が叶います。非常に嬉しくもありますが、お客様はどのような反応をされるのか、期待と不安が入り混じっています。

──井上さんが思う本作の見どころ、聞きどころは?


井上さん)
本作はとても大きなテーマをもった作品です。(異なる)人種の話ですので、日本で、僕たちが演じる上ではたくさんのハードルがありました。それをカンパニー一丸となり乗り越え、自分たちならではの表現を探しながら大事に作ってきました。そこが一番の見どころになると思います。聴きどころは──とにかくスティーヴン・フラハティ作曲の音楽が素晴らしい。まもなく始まる『アナスタシア』も彼の作曲ですが、あちらより2,3曲、いい曲が多いんじゃないかな(笑)。というのは冗談で、どちらも素晴らしいです。

──アメリカの社会、歴史が色濃く描かれる作品ですが、この作品を通して感じるアメリカについて、またそれを日本で上演する意義についてどう感じていますか。


井上さん)
アメリカって、僕たちミュージカルをやっている人間にとっては憧れの国。今回、その成り立ち、大国アメリカも最初から大きかったわけではないことを改めて知りました。夢を持った人々が集まり、そのたくさんの人の力によって今の形になっているということに、親近感のようなものを覚えました。一方で、今も続く問題も抱えている。それは自分たちとは関係ない話にも思われがちですが、決してそんなことはありません。ここで描かれていることは時代こそ違えども、今の日本に暮らす僕たちにも深く関わりのある問題です。

また人種の問題はとてもセンシティブ。どう表現するかを、僕らは模索しています。今回は、少し前まで日本の演劇界で行っていた見た目(メイクアップ)やわかりやすい記号で描くのではなく、それぞれが抱く思いや生活、文化、匂い、振付や所作と言った動きで、その“人となり”を表現するべく、演出の藤田さんをはじめとするみんなで考え続けてきました。その結果が明日、出ます。僕らの『ラグタイム』を感じてください。


──石丸さんは本作が日本で上演されることについて、どのようにお感じですか。



ターテの同胞の女性アナーキストであるエマ・ゴールドマン役:土井ケイトさん

石丸さん)
少し視野を広げると、今、世界中で起こっている弱者が強者に立ち向かって戦うという構造。この作品で描かれているのも、それなのです。ですので、アメリカの歴史の中のひとつの出来事でありながら、自分たちの身近にある問題と何一つ変わらない。それをこの作品の稽古を経て、ここにたどり着いた今、改めて感じています。

芳雄くんの話にもあったように、これまでの日本の演劇界では“振り”や“風”をしてきました。今回は、エイマン・フォーリーの振付によって人種ごとの動きが明確になり、観客にも伝わるようになっていると思います。所作もそれぞれ違います。

井上さん)
衣裳も違いますよね。

石丸さん)
そうだね。黒人はカラフルな衣裳、白人は白、移民はグレーやブラック。そのように複合的な表現を試みています。

──安蘭さんご自身も含め、石丸さん、井上さんというミュージカル界をけん引されるお三方が揃い踏みというのも話題の本作。実際に、お稽古をご一緒し、同じ板の上に乗っていかがでしょう。



安蘭さん)
正直言うと、稽古日数が足りないなと思っています。ですが、この短い期間でここまで作り上げられたのは、お二人のような経験を積んだ方々がいたからこそ。そこには自信を持っています。みなさんの背中、それぞれの役の作り方など、稽古に取り組む姿を見て、足りない時間を補っていけるのだと感じました。このカンパニーにしかできない舞台になっているので、楽しみにしてください。


──NESMITHさんは、この座組に参加されていかがですか。


NESMITHさん)
まず、こちらのお三方と僕が並んで立っていることが信じられません。本当にありがたい機会をいただきました。また、4年前にミュージカル『ピーターパン』で藤田俊太郎さんと出会い、今回またお声がけをいただきました。僕自身、ブラックとのダブルです。本作のテーマや台詞、シチュエーションと父親という自分のルーツを重ねながら稽古をしてきました。そこで見たみなさんのお芝居で感じたこと、過ごした時間、自分にとって忘れられない作品、歴史の一つになるでしょう。素敵なカンパニーのみなさんとご一緒し本当にしあわせです。

──井上さんにお聞きします。NESMITHさんと舞台上で対峙されていかがですか。


井上さん)
NESMITHさんからたくさんのものをいただいています。普段はEXILEの一員として歌ったり踊ったり、パフォーマンスされている方ですが、お芝居の力強さ、説得力も素晴らしいです。今日のGPでも、僕らが対峙する終盤のライブラリーのシーンは非常に重要なシーン。大曲も歌いますし(笑)。その前はちょっと緊張してしまうんです。でも、NESMITHさん演じるワシントンから力をもらえばいいんだと思うと安心します。

稽古期間中も、稽古が終わってからもピアノとともに台詞合わせをする姿を拝見していました。努力を惜しまない、役者としてのNESMITHさんもとても豊かで素敵な方です。


──藤田俊太郎さんの演出の印象は。



石丸さん)
いろいろなタイプの演出家の方がいらっしゃいますが、藤田さんの素晴らしいところは俳優とのキャッチボールが密なところです。こちらの意見を聞き、それを踏まえて彼のアイデアと融合させて柔軟にシーンを作っていきます。それによってやることが増えて時間が足りないということも生じますが、最後の最後まで粘って突き詰めていくので、明日の初日までまだまだ油断はできません(笑)。それが魅力。

井上さん)
藤田さんはすごく褒めてくれます。褒めて、褒めて、ここまで来るのってすごいですよね。蜷川幸雄さんのお弟子さんということですが、真逆のように見えますが、でも不思議と共通するものも感じます。

NESMITHさん)
僕のシーンが終わったとき、「メチャクチャいいです!! でもひとつだけここを……」というようにアプローチの仕方がとても優しい方です。

安蘭さん)
私は昭和の人間なので、褒められると「本当ですか?」と思ってしまうんです。

井上さん)
逆に不安になりますよね(笑)

安蘭さん)
そうそう。「素晴らしい」と言われると「どこが?」というような。でも、こちらの考えも受け入れてくださる、俳優の言葉に耳を傾けてくれる演出家です。


──最後にメッセージを!

NESMITHさん)
カンパニー一丸となり、本作を通じて伝えたいこと、その目標に向かって稽古を重ねてきました。今の時代にも通じるたくさんのメッセージを持ち帰っていただきたいと思います。



安蘭さん)
私たちにしかできない『ラグタイム』がここに誕生します。みなさん、楽しみにしていてください!



井上さん)
お客様がどう受け取るのか、こんなにドキドキする作品もありません。同時に、これはミュージカル界にとって大事な作品だとも思っています。この表現方法が成立することは、演劇界に大きなインパクトを与えるという気もしていて。これが可能なら、どんな作品でも、どんな国、誰でも演じられるという勇気を持てるトライアルだと思っています。その目で見て、証人になっていただければ!



石丸さん)
『ラグタイム』の大きなテーマは、つながりと愛。それをお客様にお届けするべく、明日からの公演を元気に怪我無く務めていきたいと思います。



マザーの弟ヤンガーブラザー役:東啓介さん
美貌のイヴリン・ネズビット役:綺咲愛里さん


ヘンリー・フォード役:畠中 洋さん


コールハウスの恋人で、マザーの家に身を寄せるサラ役:遥海さん


奇術師にして“脱出王”の名をとどろかせていた、ハリー・フーディーニ役:舘形比呂一さん


写真中央)マザーの夫、裕福なファーザー役:川口竜也さん

メッセージ性と音楽性の高さが際立つ本作を、このキャストで観られることを幸せに思えるミュージカル『ラグタイム』日本初演。およそ100年前のアメリカの社会を生きた人々、彼らの視線の先にある未来という希望。彼らが思い描いた、その未来に生きる私たちが生きる世界は──本作から届けられるメッセージはどう響くのか。

心に刻まれる独創的なオープニングから、3つの家族の交わりが象徴する“アメリカ”が抱える問題、ラグタイムという音楽に乗せて描かれるドラマをぜひ劇場で感じてください。

【あらすじ】
ユダヤ人のターテ(石丸幹二)は、娘の未来のために移民となり、遠くラトビアからニューヨークにやってきた。黒人のコールハウス・ウォーカー・Jr.(井上芳雄)は才能あふれるピアニスト。恋人のサラ(遥海)は彼に愛想をつかし、二人の赤ん坊を、ある家の庭に置き去りにしてしまう。赤ん坊が置き去りにされたのは、裕福な白人家庭の母親 マザー(安蘭けい)の家だった。偏見を持たず、正義感にあふれるマザーは、夫のファーザー(川口竜也)が長く家を不在にしている中、赤ん坊を拾い上げ家に迎え入れる。マザーの弟であるヤンガーブラザー(東 啓介)は生きがいをもとめる不器用な若者。アメリカ中の注目の的である美人女優のイヴリン・ネズビット(綺咲愛里)に愛の告白をするが、イヴリンは公衆の面前で彼にキスをしておきながら、その後すぐに軽く拒絶する。

ターテと娘はニューヨークに着いてから貧しい生活が続いていた。やがて同胞の女性アナーキストであるエマ・ゴールドマン(土井ケイト)、奇術師にして“脱出王”の名をとどろかせていた、ハリー・フーディーニ(舘形比呂一)と縁を結ぶことになる。

サラの愛を取り戻すため、マザーの家に身を寄せる彼女の元に通い詰めるコールハウスは、今や“ラグタイム”を奏でるピアニストとして世間で注目され始めていた。ヘンリー・フォード(畠中 洋)が世に送り出したT 型フォードを買うことができるくらいまで稼げるようになったが、黒人を蔑視する白人たちに車を破壊されてしまう。そんな中、教育者、作家として啓蒙活動を行う、ブッカー・T・ワシントン(EXILE NESMITH)のように、社会に影響を与える黒人も現れ始めていた。

自らの正義と、生まれたばかりの息子の未来を守るため、差別に立ち向かおうとするコールハウスではあったが・・・。

【公演情報】
2023年9月9日(土)~30日(土) @日生劇場(東京)
10月5日(木)~8日(日)@梅田芸術劇場 メインホール(大阪)
10月14日(土)~15日(日)@ 愛知県芸術劇場 大ホール(愛知)

石丸幹二/ターテ
井上芳雄/コールハウス・ウォーカー・Jr
安蘭けい/マザー

遥海/サラ
川口竜也/ファーザー
東 啓介/ヤンガーブラザー
土井ケイト/エマ・ゴールドマン*
綺咲愛里/イヴリン・ネズビット*
舘形比呂一/ハリー・フーディーニ*
畠中 洋/ヘンリー・フォード*&グランドファーザー
EXILE NESMITH/ブッカー・T・ワシントン*

新川將人 塚本 直 木暮真一郎
井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希
原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、山野靖博

リトルボーイ(Wキャスト):大槻英翔 村山董絃
リトルガール(Wキャスト):生田志守葉 嘉村咲良
リトルコールハウス(Wキャスト):平山正剛 船橋碧士

*は実在の人物

脚本:テレンス・マクナリー
歌詞:リン・アレンズ
音楽:スティーヴン・フラハティ
翻訳:小田島恒志
訳詞:竜 真知子
演出:藤田俊太郎

公演HP:https://www.tohostage.com/ragtime/

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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