ミュージカル『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』初日前囲み取材レポート



シアタークリエにて上演中のミュージカル『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』。
小説や漫画原作からのミュージカル化に定評がある韓国文化体育観光庁傘下のソウル芸術団により2019年にミュージカル化され、好評を得て2021年に再演した本作が初の日本版上演となります。

一流のバレエダンサーを目指すイ・チェロクには三浦宏規さん(㊗第49回菊田一夫演劇賞)、かつて諦めたバレエという夢に挑戦するシム・ドクチュルに川平慈英さん。また、ドクチュルの妻には岡まゆみさん、ドクチュルの次男には狩野英孝さん、ドクチュルの長男にはオレノグラフィティさん、チェロクに未来を挫かれたと思っている幼馴染役に瀧澤翼さん、ドクチュルの孫に青山なぎささんと井上音生さん(Wキャスト)、チェロクのバレエ団長に舘形比呂一さんと、豪華キャストが揃いました。上演台本・日本語歌詞・演出を手掛けるのは桑原裕子さんです。

まずは初日前囲み取材をレポートいたします。
登場したのは、三浦宏規さん、川平慈英さん、岡まゆみさん、狩野英孝さんです。



──一流のバレエダンサーを目指す青年イ・チェロク役は三浦さんにピッタリです。本作への ご出演が決まったときの心境は。



三浦:ずっとクラシックバレエをやってきたので、クラシックバレエを題材にした作品で、この役を演じられることがとても嬉しかったです。つい“舞い上がって”しまい、いろんな取材で「(この役には)僕しかいないと思います」と言い過ぎて……結果的に自分でハードルを上げてしまい、今はめちゃくちゃ緊張しています。でも、“僕が”とかではなく、みなさんが本当に素晴らしく、素敵な作品に仕上がっていますので、楽しみにしていてください。

──でも、やっぱりこの役には三浦さんしかいないですよね。

三浦:言わせようとしています?(笑)
川平:間違いないです!
三浦:(奮起して)僕しかいないという気持ちで臨みます!うわぁ、汗がスゴイ出てきた!!
川平:宏規しかいないということは、舞台をご覧いただけばすぐにわかると思いますので期待してください。

──川平さんは70歳でバレエレッスンを始めるシム・ドクチュルを演じます。



川平:そうなんですよ。夢だったバレエダンサーを目指すおじいさんの役なのですが、「70歳」「クラシックバレエ」と聞き、一瞬「え?」と思ったのですが、逆にチャレンジングな役だということ、そしてこの作品の圧倒的な音楽、メロディの力にノックアウトされ、この船に乗りたいと思いました。本当にいいチャレンジになっています。これまでもジャズやミュージカルダンスの経験はありましたが、クラシックバレエはほぼ初めて。でもね、ちょっと虜になっています。やってみたら腰痛もちょっと治ったりして(笑)。背筋が伸びたのかな! みなさん、お勧めです! 何歳からでもバレエはできます。

──三浦さんからご覧になって、川平さんのバレエはいかがですか。

三浦:上手過ぎるんです。(ドクチュル役としては)最初はできないところから始まるのですが、ピルエットも軸が真っ直ぐで、「慈英さん、もうちょっとできない感じに」とオーダーがあったくらいです。



狩野:ドクチュルさながらに、稽古場で休憩中もずっとバレエを練習されている慈英さんがどんどん上手くなっていく過程を見て、客席でお客様が味わう感動をひと足先に味わっていました。

──狩野さんもバレエシーンが?

狩野:ないですよ! (稽古場で)ちらっとやってみましたが、やっぱり難しいということが身に染みてわかりました。
三浦:バレエ、あるじゃないですか!
狩野:勝手に作りました(笑)。アドリブみたいな感じで……やるかやらないかは観てのお楽しみです。
三浦:すごいんです! クラシックバレエでは見たことのないテクニックが!
川平:ネオバレエ的な?
三浦:まさに!
狩野:見よう見まねで(笑)。
川平:でも、やっぱりパンチラインというか、コメディパートでは適いません。
(みなさん賛同!)
狩野:このお三方がしっかり作ってくださるので、遊びどころがあるというか。それで遊びすぎてちょっとカットされてシュンとするぐらい伸び伸びやらせていただいています。
岡:こうおっしゃっていますが、すごく真面目な方ですよ。
狩野:ミュージカルも舞台も初めてなので、本読みではどこまで台詞を入れていくのか、稽古場で台本を持ったらいけないのかなどすべてが探り探りでした。みんなが二歩も三歩も先に行くから必死で、とにかく迷惑をかけないようにやってきました。
(ここで三浦さんからひと言)
三浦:英孝さん! 僕のことを、未だに三浦さんっていうのだけはやめてもらっていいですか(笑)。
狩野:なんで!
三浦:いつ宏規って呼んでくれるのかなって。
川平:ここで呼んでみたら?
狩野:宏規……。いやいや、もうリスペクトがすごくて無理です。


──岡さんはこの個性豊かなメンバーを支えていく立場として……(笑)。



岡:本当にみんなが役にピッタリなんですよ。宏規くんもピッタリだし、ドクチュルは慈英さんしかいない! 英孝さんもね、心も顔もイケメンだということを再認識しています。このメンバーでお届けする作品をお楽しみください。
(岡さんもまたピッタリ!なことを付け加えさせていただきます!!)

──韓国のWEB漫画に始まり、ドラマも大ヒットした「ナビレラ」。この舞台は2019年に初演された韓国ミュージカルの日本初演でもあります。

三浦:僕にとって初めての韓国ミュージカル、しかも日本初演ということで、プレッシャーもあります。Netflixのドラマも話題になったので、作品へのイメージを持たれているお客様もいらっしゃると思いますが、いい意味でそれを裏切るような……原作へのリスペクトは大前提ですが、その上で日本オリジナルの良さ、我々だから出せる味を出していければと思っています。

川平:ドラマを観ましたが、涙がちょちょ切れ、心をわしづかみにされました。断片的ではありますがミュージカル版の映像も見ましたが、今回は、そこに演出の桑原(裕子)さんならではの解釈も入り、宏規も言ったようにオリジナリティの高い仕上がりです。力強いストーリー、音楽、ダンス、そしてキャスティングがハマった日本のミュージカルのエポックメイキング的な作品になるのではないか。これほどまでに勇気と希望と夢をもらえる作品はなかなかないと自負しています!本当によくできたミュージカルです。ポケットティッシュではなく、箱ティッシュご持参で楽しんでいただければ!

──三浦さんと川平さんは劇中ではバレエの師弟関係となりますが、実際のお二人は。

川平:バディです!
三浦:ありがとうございます。僕はもともと慈英さんの大ファンだったので、こうして一緒にモノ創りができていることが本当に嬉しいんです。最初は恐れ多かったのですが、今は楽しくお芝居をさせてもらっています。
川平:僕のほうこそ、いろいろと教えてもらっています。宏規のほうがお兄ちゃんって感じのときもあります! あとは……もう、ずるいんですよ。この愛くるしい瞳が目の前でフルパッションで歌うんですよ。グッとくるのを堪えながらシーンを作っています。

──狩野さんも歌われるんですよね。

三浦:英孝さんの歌、泣けます! 慈英さんからも「英孝さんに真っ直ぐに見つめられて歌われるとヤバい。一切クセがない!」と、稽古場でこっそり打ち明けられました。
狩野:まだまだです。ミュージカルは生バンドの演奏に合わせて、歌い始めまでに芝居を収めて、そこから歌に入る。ただ歌うだけでなく、前奏から始まっているんです。歌い方も含め、ミュージカルのテクニックというものがあるのだと知りました。
川平:ミュージカルにはもちろん経験やボイストレーニングを積み重ねることで培われるテクニックもあります。でも英孝さんの、ある意味何にも染まっていないストレートな歌声にグッとくるんです。
狩野:ちょっと自信を持って歌えそうです。

──三浦さんは菊田一夫演劇賞も受賞され今後益々のご活躍が期待される中、まずはこの作品! 初日に向けてひと言いただけますでしょうか!

三浦:演出の桑原さんをはじめとするスタッフの皆様、キャストの皆様、全員の心意気が最高! 家族みたいなカンパニーです。素敵な素晴らしい人が集まった奇跡に感謝しながら、自信を持ってお客様にお届けできる作品に仕上がっております。
狩野:心強いひと言! 稽古場でも、宏規くんの「これはいける!」という心の声が聞こえた瞬間がありました。そこでカンパニーがさらに強く結束しました。宏規くんがそう思うならって!
三浦:頑張ります!!



公開GPより
あらすじ
一流のバレエダンサーを目指すイ・チェロクは才能を持ちながらも、自身を取り巻く厳しい現実に将来を見出せず、スランプに陥っていた。一方、郵便配達員として家族のため長年働いたシム・ドクチュルは定年を迎え、残りの人生を考え始める。

ある日、ドクチュルはダンススタジオを通りかかり、そこでチェロクが踊る姿に心を奪われる。ドクチュルは子どもの頃バレエダンサーに憧れていたが、家庭は貧しく、実現できる環境ではなかったのだ。かつて諦めた夢に挑戦しようと、チェロクが踊っていたスタジオを訪ね、バレエのレッスンを受けたいと伝えるが、チェロクは相手にしない。それでも熱心に通い続けるドクチュルを見たバレエスタジオの団長から、チェロクはドクチュルのバレエの指導者になるよう、そしてドクチュルはチェロクのマネージャーになるよう、言い渡される。

こうして、若者と老人、一見奇妙な2人のバレエレッスンが始まった──。



ミュージカル『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』
2024年5月18日(土)~6月8日(土) @日比谷シアタークリエ

<スタッフ>
上演台本・演出 桑原裕子
原作「ナビレラ」 作:HUN, JIMMY
オリジナル台本・作詞 パク・ヘリム
作曲 キム・ヒョウン
オリジナル・プロダクション ソウル芸術団

<キャスト>
イ・チェロク:三浦宏規 シム・ドクチュル:川平慈英

ドクチュルの妻:岡まゆみ
ドクチュルの次男、TVプロデューサー:狩野英孝
ドクチュルの長男、会社員:オレノグラフィティ
チェロクの元サッカー仲間:瀧澤 翼
ドクチュルの孫娘:青山なぎさ/井上音生(W キャスト)
バレエ団長:舘形比呂一

久保貫太郎
市川絵美 岩﨑巧馬 岡山玲奈 河西茉祐 古賀雄大 政田洋平 舞夏 山田美貴

作品公式サイト: https://www.tohostage.com/navillera/

おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人

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