『ラストダンス──ブエノスアイレスで。聖女と呼ばれた悪女 エビータの物語』開幕直前!水夏希さんインタビュー

【感想&舞台写真が届きました】




♪水さん圧巻の存在感と美しさでした。指先まで気を配った動きと、力の入った演技が特に印象的でした。また脇を固める役者さんも上手い!特に福井貴一さんの何役もあっと言う間にこなす演技力、歌も素晴らしかったです。何より美しい水さんを近くで見られて幸せでした。

♪水夏希さんのエビータとなってからの情熱的で気品のある声、表情、態度、物腰が本当のエヴァもこうだったから大勢の国民から愛されたのではないかと納得させる素晴らしい舞台でした。
 最後の国民に向けての演説には、自分がアルゼンチンの民衆の一人であるかのように感動しました。


♪水夏希さんがエビータそのもので、少女時代からのしあがって行く様子、ファーストレディになってからと、とても上手く演じ分けられてました。特に、演説シーンは素晴らしかったです。
 水夏希さんと福井貴一さんの歌声、大村俊介(SHUN)さんとのダンス、ストーリーテラー的な役割の伊万里有さんと、四人の役割とバランスが良かったです。

♪エビータの人生を表すにふさわしい情熱的な舞台だった。
 水夏希さんはエビータそのものだった。アルゼンチンが舞台の作品だけあり、バンドネオンの生演奏が素晴らしい。堪能した。

♪哀愁漂う生演奏にのった実力派俳優たちの熱演を小劇場で味わうことができる贅沢に満足しました。エビータの情熱に劇場の空間が熱くなった気がしました。


♪とても見応えのある舞台でした。エビータの一生を追っていくのですが、裸足で走り回る水さんは、本当に少女のようでした。ブエノスアイレスに出てきてから、色々な人に出会う場面でのドアを使っての演出もわかりやすかったです。
 水さんの台詞の量が半端なかったです。 SHUNさんのダンスもエビータの心情を表していて、バンドネオンとギターの生演奏も素敵でした。サイド席での観劇は、舞台に近く、演者の熱気が直に伝わってくるようなめったにできない経験でした。

♪水さんの情熱的で伸びやかな歌とダンスがエビータの生き様をそのまま表していて、特に演説の熱量はもの凄く、気づけば聴衆の1人となっていました。
 それなのに一幕では本当に水さんが幼い可愛らしい少女に見えたりもして…、少女の成長もみどころです。
 またそれを取り巻く男たちを演じ分ける福井さんの演技は圧巻でした。生演奏のタンゴのリズムが時にはエビータのように情熱的で、時には情緒的で物語にとても引き込まれます。

♪ステージの横に設置されたサイド席に座ったのですが、ステージに近くて迫力があり、こういうステージの使い方、良いなと思いました。広場にいる気分になりました。



♪勢いがあってあっというまに物語の世界に引き込まれました。後半の畳みかける展開に圧倒されます。水夏希さんの歌声は流石でした、伊万里有さんがハンサムでドキドキしました。

♪パトロン、兄、夫、労働者と人生というダンスを踊ってきたエビータが、ラストダンスを踊った相手に感動でした。

♪ハンドネオンとギターの生演奏に合わせて繰り広げられるダンスの熱量がとにかく凄い。ダンスを通して、彼女の悲しみや喜び、生きざまを感じました。

♪エビータ役の水夏希さんの見事な手の動きや、キレのあるダンスの素晴らしさに圧倒されました。ギターとバンドネオンも、超一流で、アルゼンチンの雰囲気を盛り上げてくれました。シャツを着ていない人、descamisado(camisa=シャツ)、勉強になりました。



♪死者の語りなのか、生きている人間なのか。初見では時の流れが分かりにくい部分がありましたが、あとから、ああ!となりました。SHUNさんがパントマイムで表現した民衆は、エビータに魅了され聖女と呼び、支持する民衆。気づけば演説に見せられ、(その時はSHUNさんが)客席の代弁者にも見えました。
 そして、伊万里さんは立っているだけでも絵になりますね。彼が常にエビータの叩こうとしている扉を立って支えている演出好きです。立っているだけではなく、笑顔だったり、心配そうであったり…。トラブルメーカーの兄であっても、幼き頃の兄弟の中で唯一の理解者であり、常に傍らにいた彼が、彼女が未来に向かって扉を開いていくのを支えていたのかなと。2時間半があっという間でした。

♪ステージ横のサイド席。手を伸ばせば届いてしまうのではないかと思うくらい近くに出演者の方がいらっしゃって…ずっと舞台袖から見ているような不思議な感覚でした。






 9月28日よりDDD AOYAMA CROSS THEATERにて上演される『ラストダンス──ブエノスアイレスで。』は、石丸さち子さん(作・演出)と水夏希さん(主演)のタッグで再び届けられる、エビータの愛称で呼ばれたアルゼンチンのファーストレディ、エバ・ペロンの物語。
 2015年のリーディングドラマ『サンタ・エビータ ~タンゴの調べに蘇る魂』上演から2年、表現形態も音楽やダンスに彩られたストレートプレイ『ラストダンス──ブエノスアイレスで。』となり、より一層深められたひとりの女性の生き様が舞台上に立ち上がるのは、もう間もなく。
 開幕直前の水さんにお話をうかがいました。



【一緒に生きていける作品になるといいな】


──劇場内でまさに仕込みが行われていますが、ついに劇場入りです。現在の率直なお気持ちは。

 今、客席から舞台を見てきましたが、この劇場でこの仕様の舞台というのは私は初めてです。稽古場より臨場感が増し、とても素敵な空間になっていました。一方で私自身の緊張感は半端ないです(笑)。まるで退団公演を前にしたような緊張感!それはきっとエビータ自身が、とてつもなく大きなものを背負って生きたからなのだろうと思います。

 初演の時も緊張はしていましたが、また違います。上演台本はそれほど変わっていないのですが、初演は“ある女”としてエビータという女性の人生を語る表現形態でしたが、今回は劇中でエビータの人生を生きる。彼女の生き様のエネルギーが生半可なものではないので、その大きなパワーをひしひしと感じております。

 ただ、初演の経験は確かに活きていて、作品としての流れを(石丸)さち子さんとあらかじめ共有できているところから始まった稽古でしたので、ここまでたどり着けたと思います。

──作品が成長し、さらなる高みに到達しているのですね!作品作りとしてはとても丁寧なステップを踏んでいるように感じます。そこには石丸さんの強い思いもあるかと思います。

 さち子さんはエビータへの思いも知識もとても深い方、エビータ博士とお呼びしたいくらい(笑)。もう、何でもご存知なんです!そのさち子さんのもとで作ってきた作品です。


──水さんにとっても特別な作品ですね。

 作品との出会いはご縁。エビータという女性を演じたいと思っても、実際に演じられるチャンスはそうそう訪れるものではありません。その中で前回、そして今回さらにバージョンアップしたものに出演できることは本当にありがたいことです。だからこそ、自分を鼓舞する意味でも、“今、日本でエビータを演じるのは私だけ”選ばれた者だと自信をもって演じたいと思います。

 今、お稽古をしていて前回、2年前とは違うエネルギーをエビータからもらえています。ですので、これで終わらずに、また時間を経て、私自身もエビータを演じるエネルギーを蓄え、エビータからまたエネルギーをもらい…そんな風に一緒に生きていける作品になるといいなと思っています。


【ひるんでいたらエビータはできません。でも、そう信じるエネルギーをくれるのもまたエビータなんです】



──エビータという女性への水さんの思いをひと言で表すと。

 “憧れ”です。生きる強さ、生きる上での信念を曲げない、それは狂信的と表現されるほどに。人生では挫折や諦め、決意が緩んでしまう、心にネガティブなものが生まれやすい中で最後まで強さを持っていき抜く彼女のエネルギーに憧れます。

──過去を消そうとしていたエビータですが、やや短絡的な考えかもしれませんがいろいろと問題を起こす兄ファンシートの存在を消すことはなかった。そこにあるものは。

 彼女自身が何か文献などで残したわけではないので、あくまでも私が感じていることですが、父親の愛情を受けることのなかったエビータは、男性に対してどこかで自分を見守ってくれるような“父性”を求めたのではないでしょうか。それはペロンに対してもそうですし、兄も絶対的に信じることができる味方だったのかな。頼りになるというよりは、チャラくてペラペラな兄ですが(笑)。

 劇中でも兄とは絡みがありそうでないという距離感。でも、親密に絡まなくても空気が繋がっている。そのあたりを感じていただけると面白いですよね。

──その兄を演じるのが伊万里有さん、ほかにも福井貴一さん、大村俊介(SHUN)さんと個性豊かで出自の違う表現者がエビータと関わる人々を演じるために集いました。

 だからこそ、さまざまな角度からエビータを表現できる。多面的で色彩豊かな彼女の人生を共演者のみなさん、そしてお客様と共有できることは、私にとっても大きな楽しみです。



──今回加わったSHUNさんのデスカミサドス(シャツも着ない労働者たちを親しみを込めてそう呼んだ)というのは。

 アルゼンチンの何百万という労働者階級の人々をお一人で…、一体どうやって?と思われますよね。多くの台詞を発することはないのですが、当時、たくさんいた民衆の一人、そこを担うのがSHUNさんに決まったことで、“エビータのラストダンス”という画に迷いがなくなったとも言えます。デスカミサドスをどう描くかで作品が変わる、それくらいの存在です。

──本番でデスカミサドスがどのように映るのか、とても楽しみです。また、作品を彩る大切な要素として音楽の生演奏もありますね。

 ストレートプレイとなり(表現)空間も作品の世界観も広がります。そこを支えてくれる音楽はバンドネオンにギターも加わりより厚みを増しました。私がアルゼンチンタンゴを踊るということはないのですが、タンゴの音楽はずっと流れていて、アルゼンチンの空気を作り出してくれます。

 そして、さち子さんの選曲、詞も素晴らしくて!すべてもともとある曲なのですが、それぞれのシーンにピッタリな曲ばかりです。

──最後に、こうしてお話を伺っているといつもにも増して(?!)凛々しく美しい水さんとエビータが重なります。

 エビータっぽい?無意識のうちに影響されているのかな(笑)。
 信じることはすごく大事。私は、なにもせずに何とかなるさ!というような、空っぽの楽観主義は好きではありません。明日は明日の風が吹くとかね。明日は明日の風が吹くかもしれないけど、今日解決しませんか?というタイプです(笑)。でも、できる限りの準備をした上では「ダメかも」より「成功するに違いない」と信じて進む方が絶対に上手くいくと思っています。この作品でも不安はたくさんありましたが、最終稽古が終わって、やるしかない!きっとうまくいく!と覚悟が決まりました。
 ひるんでいたらエビータはできません。でも、そう信じるエネルギーをくれるのもまたエビータなんです。

 みなさんには一人の女の子がエビータになる、その激動の人生の旅を通して、生きることの素晴らしさ、エネルギーをお持ち帰りいただければうれしいです。



──はい!楽しみにしています。
 取材後におけぴスタッフも客席から舞台をチラリと見せていただきました。まだ調整中ではありましたが、確かに眺めが…通常とちょっと違います。きっと観客はエビータの人生を目の当たりにするような感覚になるような気がします。
 水さんがお話しされていた“エビータの生き様”を肌で感じる初日はもうすぐそこです!



【公演情報】
『ラストダンス──ブエノスアイレスで。聖女と呼ばれた悪女 エビータの物語』
2017年9月28日(木)~10月9日(月・祝)@DDD AOYAMA CROSS THEATER

<スタッフ>
[作・演出]
石丸さち子

<キャスト>
水 夏希
福井貴一、伊万里有、大村俊介 (SHUN)
[演奏]
渡辺公章(バンドネオン)、大西孝明(ギター)

公演HPはこちらから

おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・撮影・文) 監修:おけぴ管理人

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