【公演NEWS】MET ライブビューイング 2018-19 《椿姫》 新演出 演出家 マイケル・メイヤー氏 NY 現地インタビュー オフィシャル・リリースが届きました

世界最高峰のメトロポリタン・オペラを大スクリーンで体感!
MET ライブビューイング 2018-19 《椿姫》 新演出
トニー賞受賞 気鋭の演出家 マイケル・メイヤー氏

NY 現地インタビュー オフィシャル・リリース


1月30日にはブラボー上映会開催!詳細はこちらから!




(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場(MET)の世界最高峰の最新オペラ公演を大スクリーンで楽しむ MET ライブビューイング。今シーズン第 5 作目となるヴェルディ《椿姫》新演出が 2 月 8 日(金)~14 日(木)まで〈東劇のみ2/21(木)までの 2 週上映〉全国公開となります。

 パリの社交界を魅了する病身の高級娼婦がめぐり逢った真実の愛!人生で一度は観るべきオペラといわれる人気作《椿姫》を豪華キャストの競演と、ミュージカル『春のめざめ』や最近ブロードウェイで大評判を収めた『ヘッドオーバーヒールズ』など、トニー賞常連のマイケル・メイヤー氏による最高のプロダクションでお届けいたします!

 そしてこの度、《椿姫》の公開を記念して演出家マイケル・メイヤー氏の現地取材を行いました!


“オペラの伝統がなければ、ミュージカルは存在しない”

 演出家のマイケル・メイヤーにとってこの秋は、オペラの秋だった。自らオペラ化のアイディアを作曲家ニコ・ミューリーに持ちかけ、5 年越しでメトロポリタン・オペラ初演が実現した《マーニー》から息をつく暇もなく、12 月にはヴェルディ《椿姫》MET 新制作の初日を迎えた。2013 年秋に MET が新制作した《リゴレット》の演出でオペラを初めて演出したメイヤーにとって、今回の《椿姫》は 2 作目のヴェルディにあたる。



にこやかに微笑むメイヤー氏 (C)小林伸太郎

 1983 年、俳優としてニューヨーク大学の大学院プログラムを修了し、ニューヨークのシアターシーンに乗り出した頃、メイヤーは今の自分を想像することができただろうか?2007 年にロック・ミュージカル《春のめざめ》で演出家としてトニー賞を受賞したときでさえ、ヴェルディの傑作オペラを続けて 2 本、クラシックの牙城 MET で演出することになるとは思っていなかったに違いない。

 《リゴレット》では 16 世紀のイタリアのマントヴァから 1960 年代のラスべガスに舞台設定を移して多くの支持者を掴み、そして同じくらい多くの敵を作り出したに違いないメイヤーは、今回の《椿姫》では打って変わり、ヴェルディが作曲した時代である 19 世紀のパリという、ごく一般的な舞台設定を選択した。



(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera.jpg

「今回は、これまで MET で上演されていた、モダンで少しディコンストラクトされた(脱構築的なところのある)ヴィリー・デッカーのプロダクションの後に続くものであることを承知していました。今回ヴィオレッタを歌ったディアナ・ダムラウがこの演出でヴィオレッタを初めて歌った時に、私も観ましたが、とても素晴らしい演出でした。しかし今回私が演出するにあたって、同じように現代的なプロダクションを繰り返すことは観客の益にならないと思いました。

 私はオペラのエキスパートではありませんが、《椿姫》は傑作のひとつだと思います。そういう傑作を新鮮かつ意味あるものに保つには、作品として異なる解釈が生きられるようにするべきだと思います。芝居であろうが、ミュージカルであろうが、オペラであろうが、原作者のインパルスだと私が理解するものに、常に忠実でありたいと思っています。」



「今回の《椿姫》は、ロマンティックで、よりビジュアルが豊かなものにしたいと考えました。そしてその美は、自然から得られるのではと考えました。ヴィオレッタのアルフレードとの愛を辿ると、4 つの章になる。

 プロローグは冬で、結末がどのようになるかがそこに見られるかもしれない。その間が春、夏、秋になると。人生のフラッシュバックを、四季を通じて辿るわけです。装置のクリスティーン・ジョーンズと、死の直前のエクスタシーについて語り合いました。ヴェルディはそれを、非常に美しく描いています。オペラ全体をフラッシュバックとして語るのは、コンセプトとして新しくないかもしれませんが、四季を通じて描けば、ヴィオレッタのドリームをもう少しリアリスティックに展開できると思ったのです。それに前のプロダクションはモダンでしたので、今回はヴェルディ作曲当時の現代であった 19 世紀パリに舞台を設定しようと思いました。

 舞台の中央に常にベッドを置くことは、テクニカルリハーサルの時に思いつきました。生まれてから、高級娼婦として生き、死ぬまで全てベッドが人生の真ん中にある。それなら、舞台からベッドを片付けずに常に置いてみようということになったのです。」



 初めて知る純粋な愛に心を震わすヒロインの高級娼婦、ヴィオレッタを今回歌ったディアナ・ダムラウとは、《リゴレット》に続いて 2 回目のコラボレーションとなる。



(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

「私は彼女から非常に多くのことを学びました。彼女の演技は非常に素晴らしいので、歌が演技の自然な延長のように感じられます。彼女はすでにいろいろなところでヴィオレッタを歌っていますが、そんな彼女と新しい解釈に取り組むことはとても楽しいことでした。今回のヴィオレッタは、自分の運命を常に意識していると思います。そこに私はとても心動かされました。」

 ヴィオレッタを真正面から愛する青年、アルフレードには、この役に今回初めて取り組んだフアン・ディエゴ・フローレスがキャストされた。フローレスは、ロッシーニやベッリーニ、ドニゼッティといった作曲家たちによるベルカント・オペラの難曲を華麗に歌い上げる、現在最高のベルカント・テノールである。



(c)Marty Sohl/Metropolitan Opera

「ベルカントのテノール役の多くは、ちょっと自己中心的な役が多いと思うのですが、アルフレードはヴィオレッタという女性を遠くから眺め続け、彼女に会う機会を心待ちにするナイーブさがある。だからこの役を若く純粋なキャラクターにしたいと思いました。フアン・ディエゴはこの解釈に、とてもオープンに取り組んでくれました。」


「指揮のヤニック・ネゼ=セガンは、ストーリーにとても関心があるので、音楽がどの部分でストーリーに対してどんな影響を与えるかについて、真の対話を持つことができます。歌手との信頼関係も素晴らしい。彼との仕事は、とても楽しいものでした。」

 前回の演出の《椿姫》は休憩が1回だけだったが、今回は歌手の負担を考慮するネゼ=セガンが主張して 2 回に増やされた。



(C)Jonathan Tichler/Metropolitan Opera

「正直言うと、休憩を入れるのが私だったら、第2幕第1場の後を選んだと思います。しかしヤニックは、歌手のために第3幕の前に休憩が必要と考えました。それは私にとって妥協かもしれませんが、それほど気にしていません。ミュージカルだったら、演出家として私の仕事は、クリエーションに関わるチームメンバーの全てが同じ考えで確実に作品に取り組めるようにすることだと考えています。

 音楽から振付、衣装、照明、全ては演出家に責任があります。しかしオペラは、音楽のサウンドが最も重要な要素なのです。だから指揮者が《椿姫》〈乾杯の歌〉より最終的な決断を下し、全ては音楽との関係において解決されなくてはならないのです。音楽を自分の演出に合うように変えることは、許されない。それがオペラです。ストーリーはステージングやリブレット(台本)に存在するのと同じように、オペラの場合、音楽にあるものだと信じています。

 私はヤニックのように、ストーリーに関心がある指揮者と取り組むことができて、とてもラッキーだと感じています。」



 演劇の世界からオペラに踏み込んだメイヤーだが、演劇ファンにもオペラを積極的に見て欲しいという。

「オペラの伝統がなければ、ミュージカルは存在しないんですよ。パティ・ルポンやクリスティン・チェノウェス、バーバラ・ストライサンドの歌に感動する人は、オペラの歌唱の素晴らしさに圧倒されると思います。それにディーヴァの元祖は、オペラ歌手ですからね。今回の《椿姫》には、歌手はもちろん、バレエにも素晴らしい才能が揃っています。この作品は、史上最も美しい音楽で最も素晴らしいストーリーを語っています。あなたの人生を変貌させるパワーを持つ、愛に対するラブレターなのです。ぜひご覧いただきたいと思います。」

 ヴェルディは最高のオペラ作曲家というメイヤーだが、将来はベルクの《ヴォツェック》《ルル》といったアヴァンギャルドな作品、クルト・ヴァイル、ブリテン、ストラヴィンスキーといった作曲家の作品にも取り組んでみたいという。オペラ演出家として、いきなりオペラ界の頂点 MET から歩を踏み出したメイヤー。今後の活躍に、大いに期待したい。

(インタビュー/音楽ライター小林伸太郎)


★マイケル・メイヤー/ Michael Mayer プロフィール


(C)小林伸太郎
 アメリカを代表する演出家のひとり。大胆な読み替えで古典を刷新する才能で注目を浴びる。1960 年メリーランド州ベセスダ生まれ。2007 年『春のめざめ』でトニー賞受賞。12 年《リゴレット》で MET にデビュー、60年代のラスベガスに置き換えた新鮮な設定で絶賛された。今シーズンは《マーニー》も手がける。


★人生で誰もが一度は観るべきオペラ!

心揺さぶる不朽の名作を四季の移ろいを描いた華麗な新演出で!

MET ライブビューイング 2018-19
ヴェルディ《椿姫》新演出

2019 年2月8日(金)~14日(木) ※東劇のみ 2/21(木)までの 2 週上映
東劇・新宿ピカデリーほか全国公開
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン 演出:マイケル・メイヤー
出演:ディアナ・ダムラウ、フアン・ディエゴ・フローレス、クイン・ケルシー

HPはこちらから
この記事は公演主催者からの情報提供によりおけぴネットが作成ました。

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