【イベントレポート&インタビュー】KENTARO 30th Anniversary Live ~あの日の路上から~

 今年、芸歴30周年を迎えたKENTAROさんのアニバーサリーライブが開催されました。その美声と変幻自在なキャラクター作りでミュージカル『レ・ミゼラブル』、『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』など、数々のミュージカル作品で活躍中のKENTAROさん。芸能活動30年の歩みをお客様、そしてスペシャルゲストのギタリストの堀尾和孝さん井上芳雄さんとともにたどったライブの様子をレポートいたします。さらにライブ直後のKENTAROさんにお話も伺いました。


【ライブレポ~あの日の路上から~】



 開演を待つ時間もワクワク。特製ドリンクSunshine dayも爽やかで美味しい!

 この日の主役KENTAROさんが姿を現すとお客様から大きな大きな拍手がわき起こります。笑顔いっぱいの客席の間を縫ってステージへ、それもライブハウスの醍醐味。どこか恐縮しつつ歩みを進めるところがKENTAROさんのお人柄。

 1曲目はSMAPの「夜空ノムコウ」。ミュージカル作品での張りのある歌声は封印、繊細でクリアな歌声にハッとしました。歌声で“青春”の景色が広がります。



 実はこの曲は、KENTAROさんが初めてミュージカルのオーディションを受けた際に歌った思い出の曲。その作品は宮本亜門さん演出の『くるみ割り人形』(2001年、赤坂ACT)。

KENTAROさん)
 知人にすすめられてオーディションを受けたのですが、その頃の僕はミュージカルの楽曲は知らず、ポップスでもいいと言われてこの曲を歌いました。毛色が違う俳優が来たことで、亜門さんが興味をもってくださって合格させてくれたのかな。稽古場に行っても、ほかの俳優さんはなんて言うかみなさん小綺麗(笑)。つまり僕は薄汚い稽古着で……そうしたら逆に“おしゃれ”なんて言われて。そんなミュージカルキャリアのスタートでした。


 ベッド・ミドラーの「THE ROSE」(2ndステージは玉置浩二さんの「メロディ」)に続いては、こちらもちょっと意外なウルフルズ「バンザイ」を伸びやかに♪(2ndステージは愛し続けるから(TEE))

KENTAROさん)
 今回のライブのサブタイトルは~あの日の路上から~、これは僕自身が歩んできた道そのものなんです。はじめは10代の頃、テレビに出たい一心で“劇男一世風靡”に入りました。路上パフォーマンスをしながら、運よくすぐにTVに出演できたのですが、そこからが苦難の道。でも、一世風靡で目上の方への礼儀などを叩き込まれたことはいい経験でした。その後、路上ライブをしながら音楽活動をしていたのですが、その頃に耳にした、叫ぶというか怒鳴るように歌っているのにとてつもなく人の心を揺さぶる歌、それがウルフルズの「バンザイ」。自分もあんな風に歌を届けたいと思いました。そして音楽活動をしていた頃にご一緒していたのがお一人目のゲスト、ギタリストの堀尾和孝さんです。




堀尾和孝さん


 KENTAROさんと堀尾さんは一緒にJリーグ発足当時にヴェルディ・サポートソングを歌っていたということですので長い長いお付き合い。ライブハウスでの今思うと奇妙な経験など思い出話が次々に飛び出します。KENTAROさん曰く「堀尾さんのギター演奏はとにかくスゴイんです」。百聞は一見に如かず、まずはギターソロでイーグルスの「ホテルカリフォルニア」をご披露くださいました。ソロ、確かにそうなのですが、“アコギ一本勝負”というツアーもされている堀尾さん、本当にギター一本なの?どうやっているの?というほどの多層的な演奏に圧倒されました。カッコイイ!



 そして、堀尾さんとKENTAROさんのセッション「メンバーズオンリー」(ボビー・ブランド)へ。グッと大人の雰囲気に。


 ここで二人目のゲスト井上芳雄さんの登場です。





アレンジも素敵でした!!

 KENTAROさんと井上さんがお話されていると、突如「いつマイクを持とうかと……」しゃべりだしたのはそれまで素敵なピアノ演奏でライブを盛り上げてくださっていた大貫祐一郎さん。実は、ライブ開催の直前に井上さんと大貫さんのラジオ「by MYSELF」にゲスト出演されたというKENTAROさん、「大貫さんのトーク力はすごいですよね」と。大貫さんがおっしゃるには「すべてこの方(井上さん)の影響」だそうです。

 KENTAROさんと井上さんの初共演は2002年、ミュージカル『モーツァルト!』初演です。

KENTAROさん)
 初めて東宝ミュージカルに出演したのがこの作品です。ここから本格的にミュージカルの仕事を続けていくことになったのですが、最初の作品が『モーツァルト!』で本当によかったと思っています。キャストもスタッフも、皆、プロフェッショナルの仕事をされていて、僕自身大きな衝撃を受け、この道でやっていこうと思うことができました。そしてミュージカル経験の浅い僕でしたが、なぜかダンスリーダーに選ばれ、稽古前のウォーミングアップなども任されていました(笑)。『モーツァルト!』にご出演の大先輩のお二人もこのウォーミングアップを気に入ってくださり、お一人が遅れるときは「すぐ来ると思うからちょっと待っていてあげて!」と言ってくださるほどでした。
 芳雄くんともそこで出会ったのですが……。




井上さん)
 実はKENTAROさんと、役を離れてお互いのことをじっくりと話す機会というのは、これまであまりなかったんですよね。もしかしたら男性の俳優同士でのアルアルかもしれませんが、今日、こうしてKENTAROさんの歩みを伺っていて、そうだったんだと思うことがたくさんありました。




 しかしながら、公演を通じて培ってきた絆は強い。この後KENTAROレオポルトと井上ヴォルフガングの夢の競演で披露された『モーツァルト!』メドレーは初披露とは思えない完成度で、ライブハウスが帝国劇場に変わりました。



 メドレーは作品の中の「父」と「息子」にスポットを当てて構成され、聴きごたえ十分。歌い出すと、ヴォルフガングの、息子の顔になる井上さん、レオポルトの、父の顔になるKENTAROさん。葛藤と情熱、愛に心揺さぶられました。

 映画版もヒットしている「サークル・オブ・ライフ」(ライオンキング)に続いては、ご自身、非常に思い入れも深く、つい先日まで公演をされていたミュージカル『レ・ミゼラブル』より……「Stars」。現在はテナルディエ役を務められているKENTAROさんのですが、2011年はジャベール役でご出演されていました。シャープで芯のあるKENTAROジャベールとの再会は嬉しいサプライズでした。



 MCでKENTAROさんがおっしゃっていたことで印象的なのは「人との出会いに恵まれてきた30年でした」ということ。さらには「素晴らしい音楽、素晴らしい作品との出会いがあったから今の自分がいる」と。その一つひとつを大切にされてきたからこその、今、そしてこれからなのだと胸が熱くなりました。



 楽しい時間はあっという間……というところでお祝いのケーキ登場!!「わぁ、どこに置こうか!」(井上さん)「ここ空けるから!」(KENTAROさん)というワチャワチャ感もアットホームな味わいに変えてしまう魅力。

 そして、ライブのアンコールはKENTAROさんのオリジナル曲、その名も「サンシャイン・デイ」をこの日の出演者全員で。特製ドリンクのさわやかさの源はこの曲だったのですね!

 人柄は真面目、一見怖そうですが(失礼!)穏やかで、歌うとめっぽうカッコイイKENTAROさん!30周年おめでとうございます。





【インタビュー】


ここからは30周年インタビューをお届けします。



素敵なライブ空間でした

──90分に30年が凝縮されている濃密で素敵なライブでした。

 ご来場のお客様は、ミュージカルで僕のことを知ってくださった方がほとんどだと思うので、僕がミュージカルを始める前の10年、そして始めてからの20年を一緒にたどっていただけるような構成を考えました。ここまでどんなことをしてきた人間なのか、どんなきっかけでミュージカルを始めたのか、駆け足になりましたがそれが伝わったらうれしいです。

──ライブMCにもあったように、ほかのミュージカル俳優さんとはちょっと雰囲気が違う……というところが解き明かされたような気がします。

 芳雄くんとは全然違いますよね(笑)。路上パフォーマンスに路上ライブ、サブタイトルにある通り“路上”が僕の原点ですから。そんな僕がミュージカル、それも大作に出演させていただけていることをありがたいと思っています。最初は、制作側も相当勇気のいることだったのではないかと。僕は歌もちゃんと習ったことはないですし、譜面も読めません。音楽に関しては耳だけが頼り。とにかく聴いて、聴いて、覚えています。

──KENTAROさんと言えば、“声”も大きな魅力です!

 ハハハ。声だけはよく褒められるんです。

──声と言えば、ここ最近はテナルディエ役を拝見していたので、今日のクリアな歌声は新鮮でした。様々なキャラクターの様々な歌声を出せるというのがKENTAROさんの魅力ですよね。

 ちまたではカメレオン俳優なんて言われています(笑)。それはアンサンブルを長くやったことで身についたことかもしれません。シーン毎に違う人物として登場するので、声色も変えていく、それをやっているうちに必然的にそうなっていった。テナルディエを演じるときもいくつかの声を使い分けるということを意識していますし、それが僕の強みだと思っています。

──アンサンブルのみなさんは衣裳を変えるだけでなく、キャラクターに応じて声色から変えていらっしゃるのですね。

 だからこそアンサンブルは常にリスペクトする存在です。彼らがいなかったら作品は成り立たない、僕たちも安心して演じることはできません。そして、“道を切り開く”というのは大げさですが、最近では少なくなったアンサンブル経験のあるプリンシパルの一人として、もっともっと頑張って活躍していかないといけませんね!



──改めてこの30年を振り返ると。

 寄り道をしたことも、道を踏み外しそうになったこともあります。でも、いつも誰かが見えないところでブレーキをかけてくれていた。だから大事故に繋がらずここまで来ることができました。そんな恩人の存在にすぐに気づけたこともありましたが、その時は気づけなかったこともあります。改めて振り返ると、本当に人に恵まれた30年でした。ここまで導いてくださった方々に感謝し、これからも立ち止まることなくもっともっと攻めの姿勢で挑戦していこうと思います。

 そして、30年は通過点と言えば通過点なのですが、今日だけはちょっと自分を祝おうかなと思いました。

── 一年間、祝い続けましょう!でも、“今日だけ”というところに生真面目さが。

 よくストイックだと言われるのですが、本人はずっとこうやってきたので至って普通。辛かったら辛いと言いますし、これが自然体なんです。自分のペースで止まることなく活動していければと思います。止まったら老け込んでしまいそうで(笑)。

──止まっている暇はございません。この先も『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』が控えています。

 今回、再々演となりますが出演者がだいぶ変わります。この作品は、普遍的な魅力はそのままに、出演者が変わることでまた新たな魅力を発する作品なんです。これは初演から出ているからわかること。僕らも新しいキャストのみなさんに触発され、パワーアップした作品になると思います。楽曲も素敵ですし、メッセージ性もある。そしてとにかく底抜けに明るい作品なので、思いっきり楽しんでください。

──つい先日までテナルディエ夫妻としてコンビを組んでいた森公美子さんが今度は……。



2019年のKENTAROさん!!
写真左より)『レベッカ』ジャイルズ役→『レ・ミゼラブル』テナルディエ役→『天使にラブソングを~シスター・アクト~』ジョーイ役

 『レ・ミゼラブル』では夫婦を演じ、ちなみにその前は『レベッカ』でも共演していて。今年は1年間ずっとご一緒させていただいています。「なんだか私たち、ずっと一緒ね」とモリクミさんにも言われて(笑)。夫婦から一転、今度は追いかけて、捕まえて、なんと……!ただならぬご縁を感じています(笑)。このご縁の意味、今はモリクミさんからたくさんのことを学びなさいということなのかな。非常に尊敬する先輩のお一人です。

──最後に応援してくださっているみなさんにひと言。

 みなさんのお陰で30年周年を迎えることができました。これからも攻めの姿勢でみなさんのご期待に応え、さらにはその期待をも越えていくような俳優でありたいと思います。劇場でお客様が日常を忘れる空間を作るのが僕たちの務め、そのために日々頑張っていこうと思います。これからも末永く応援のほど、よろしくお願いいたします。
【公演情報】
KENTARO 30th Anniversary Live ~あの日の路上から~
2019年9月21日(土)@目黒ブルース・アレイ・ジャパン
出演:KENTARO
ピアノ:大貫祐一郎
スペシャルゲスト:井上芳雄、堀尾和孝(ギター)


【次回出演作】
ミュージカル『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』
2019年11月15日(金)-12月8(日) 東急シアターオーブ
ほか全国ツアー公演あり 


音楽:アラン・メンケン/歌詞:グレン・スレイター
脚本:チェリ・シュタインケルナー&ビル・シュタインケルナー
演出:山田和也
翻訳・訳詞:飯島早苗
指揮:塩田明弘 

出演:
デロリス・ヴァン・カルティエ:森公美子/朝夏まなと(Wキャスト)
エディ:石井一孝
カーティス:大澄賢也/今拓哉(Wキャスト)
シスター・メアリー・ラザールス:春風ひとみ
シスター・メアリー・パトリック:未来優希
シスター・メアリー・ロバート:屋比久知奈

TJ:泉見洋平
ジョーイ:KENTARO
パブロ:林翔太(ジャニーズJr.)
オハラ神父:小野武彦
修道院長:鳳蘭

荒田至法/石川剛/坂元宏旬/常住富大/
池谷祐子/伊藤典子/伊宮理恵/大竹萌絵/神谷玲花/
河合篤子/坂口杏奈/柴崎咲子/鈴木裕香/須藤香菜/
田中利花/千葉由香莉/堤梨菜/元榮菜摘/吉田彩美

公演公式サイト

ライブ写真提供:Gran Arts
おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文) 監修:おけぴ管理人

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