1988年に音楽座の旗揚げ公演として初演された『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』。その後も継続的に上演され、この作品を見てミュージカルファンになった、ミュージカルの道を志したというお話もよく聞かれます。
そんな日本のオリジナルミュージカル作品が2020年の幕開けにシアタークリエで上演中です。
本公演に携わるスタッフ・俳優のみなさんのなかにもこの作品へ並々ならぬ思い入れのある方が多数いらっしゃいます。演出を手掛ける小林香さんも、スタイリッシュなショー作家としての活動も印象的ですが、オリジナルミュージカルを深く愛するクリエイターのお一人!小林さんの人や社会を見つめる優しい視点と描き出す芝居の温かさはこの作品にピッタリだということを感じます。
歌、ダンス、芝居とミュージカルの王道!
あの方もこの方も思わぬところに登場することがあります♪
悠介役:井上芳雄さん
シャイで少し頼りない等身大の青年を演じます。物語の途中で彼が見せる強さ、悠介の成長も見どころです。
主演の井上芳雄さんも「この作品はオリジナルミュージカルの最高傑作」と言ってはばからない『シャボン玉~』ファンのお一人。ダブルキャストでマスター役を務めるお二人、福井晶一さんと吉野圭吾さんは揃ってミュージカル俳優の道を志したきっかけとなった作品に『シャボン玉~』を挙げられています。また、日本を代表するミュージカルディーバ・濱田めぐみさんも音楽座入団のきっかけとなり在籍時代にご出演されていた思い入れがある作品と公言されています。この舞台で舞台人として第一歩を踏み出した畠中洋さんや照井裕隆さん、藤咲みどりさんらも熱い思いを寄せながら舞台に立っていらっしゃいます。
そして、初演で折口佳代役を演じ、その観客のみならずミュージカル界にとっても多くの人に夢と希望を届けた土居裕子さんもご出演されるというまさに奇跡の公演!
もちろんそこに今回佳代を演じる咲妃みゆさんや、上原理生さん、仙名彩世さん、内藤大希さんらフレッシュな才能も!2020年の『シャボン玉~』は連日、感動を呼んでいます。
と熱く語っておりますが、おけぴスタッフにとっては今回の上演が“はじめまして”。みなさんの熱量についていけるのだろうかという思いが無きにしも非ずではありましたが、そこで描かれる小さな幸せと大きな愛、いつの世も変わらぬ人間の姿に心動かされたのでした。そして優しい詞と曲の調和やほのぼの感、ちょっと懐かしいバブルの香りなどオリジナルの魅力が溢れていました。
ただし、お話は一筋縄にはいきません。「え?」の連続!さてその先はどうなるの?と引力十分、時空を超えたSFラブストーリーなのです。原作は筒井広志さんの「アルファ・ケンタウリからの客」。
音楽家を志す悠介(井上芳雄さん)が里美(仙名彩世さん)という女性と初デートで遊園地へやってくる
そこは運命の場所だった。
運命的に出会った人生に迷う男女、女性はスリを生業としている生活から脱したいともがく佳代(咲妃みゆさん)。
身寄りがなくひねくれて生きてきた佳代が悠介との出会いを機に、その瞳にキラキラを宿す。でも、佳代には本人も知らない秘密が──。
★
『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』、本作のもう一つの世界は宇宙(ソラ)。ラス星人たちの宇宙船です。
ゼス:上原理生さん、ピア:土居裕子さん、テムキ:畠中洋さん、ミラ:内藤大希さん
後ろに横たわるのはオリー:松田未莉亜さん
無機質な宇宙船、シリアスな宇宙人と思いきや──地球人にはとてもコミカルに映る!
彼らの変化も物語のカギに。
宇宙人トリオ、ワケあって地球に?!
こちらは悠介のバイト先の喫茶・ケンタウルス
やがて佳代もケンタウルスで働くことに!
悠介は、心優しいマスター(吉野圭吾さん、Wキャスト)、その妻・春江(濱田めぐみさん)に叱咤激励される日々(笑)。そこに集う人々も昭和のホームドラマさながらに口は悪くも情に厚い。その何気ない日常が愛おしいのです。
作曲家を目指す悠介が恩師の早瀬(上原理生さん2役)のもとを訪ねると、新たな道が開ける!
昨夏のインタビューで大学の先輩である井上芳雄さんとの共演を楽しみにされていた上原さん、まさかの恩師役!!でもなんとも言えないちょっと面白風味のダンディさを見せつけます。そして美声!
悠介の心の描写がショーシーンになるところもミュージカルの面白さ
尊い!(カーテンコールより)
虹色のシャボン玉 宇宙(ソラ)まで飛ばそう~♪
2020年に上演されるミュージカル『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』、ここからまたどんなドラマが始まるのか楽しみです。シアタークリエでの公演は2月2日まで、その後、福岡(福岡市民会館)、大阪(新歌舞伎座)へと公演は続きます。
こちらはマスター役ダブルキャストの福井晶一さん!
福井さん&濱田さんのコンビの喫茶ケンタウルスもどんな雰囲気か楽しみです。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)、監修:おけぴ管理人