新国立劇場 演劇2021/2021シーズン、
シリーズ「人を思うちから」の第一弾。
フルオーディションを経た16名が、三好十郎の大作に挑む! 【感想ご紹介】
作品を観劇されたおけぴ会員の皆様から寄せられた感想をご紹介いたします(一部抜粋,
4/11追記)。
◆仙太の名台詞、「俺はあんたを俺の女房だと思って死んでいく」。
伊達暁氏の色気が終始匂い立つよう。
◆これこそ今日ただいま上演すべき・観劇すべき作品です! 不条理な社会構造の中で個人がよりよく生きることが、どうしたら可能になるのか、考える指針を与えてくれます。簡素な傾斜舞台に人数を絞り込んだキャスト、展開の緩急も程よく、長時間ずっと引き込まれます。
◆上演時間は4時間20分(休憩20分×2回含む)と長丁場ですが、勢いでぐいぐいと魅せてくれる舞台なので大丈夫。見所はなんと言っても役者さん全員。みなさんパワフルで魅力的で素晴らしいです。特に仙太役の伊達さん!時代がかった言い回しと膨大なセリフ量に圧倒されますが、ふんわりと聞いていてもストーリーについていけますので、役者さんたちの演技を堪能してください。
──とは言え、やはり少し歴史的背景を知っていた方がより楽しめると思います。
いまの大河ドラマでも水戸藩が関わってくるので、詳しくない私でもなんとなくわかった気になれましたが(笑)もうちょっと勉強しておけば良かったと後悔。
◆何もかも素晴らしかった。幕末から明治に生きた若者の長い長い道のり。観客も共に歩んだ気持ちになる作品でした。大河ドラマを思わせる時あり、オペラのワンシーンを思わせる時あり、泣いて、笑ってと4時間超え上演があっという間。美術、音楽、照明全て素敵でした。役者全員が自分の人生を生ききっていて名も無い一人一人が愛おしいです。
特に最後の場面は秀逸。
◆今回の演出凄い!一人何役もやることにちゃんと意味を持たせるとは。
セリフのカットなしでやってもらいたいくらいです(序盤の白米おにぎりのところは女房も出して原作通りで観てみたい)。役者全員素敵ですね。主人公だけが目立つのではなく、周りがキラキラしてた。特に佐藤さんの長五郎、小泉さんの加多、陽月さんのお蔦、中山さんの瀧三、書いているうちに全員の名前あげちゃいそうです。でも何よりも瀬口さんの段六!!段六!最初から最後まで嬢様のそばで信念を貫いた格好良さ。めちゃくちゃ惚れました。
◆今の世界に向かって「おーい、聞いてるかぁ」と言われているような気がしました。
◆三好十郎、長いからなあ…、でも、伊達さんご出演だしなあ、ってことで、観劇意欲あやふやなまま出かけたが、久々に4時間超えの長尺ドラマを堪能。
天狗党の叙事的ヒストリーではない。実に様々な階層の登場人物たちのセリフ、これが一々「今」だという事にまざまざと気付かされ、深く感じ入りました。
フルオーディションキャストの、役と舞台への入れ込み具合が容易に推し量れる舞台で、役者が発するセリフを思わず手繰り寄せるように聴き入り咀嚼しようと前のめりになった観劇でした。
◆1934年の戯曲とは信じられないくらい現代的な内容でした。
甚伍左が仙太を傀儡と叱るシーンが印象的でした。状況を客観視できないのは怖いことです。武士の都合に振り回される農民、町民が哀れでした。
◆2回の休憩込み4時間20分、ですが、疲れもあまり感じず、主人公・仙太郎の人生を一緒に駆け抜けたかのよう。ちょうど大河ドラマと時代や場所が重なるのも楽しかったです。
音楽の力も感じました。役者さんはフルオーディションで、ということで、馴染みのない方も大勢でしたが、むしろ、おお!(いいよこの人)、の発見もありました。
◆オリジナルは7時間あるとのこと。どうせなら、それも観てみたかった。エピローグの自由党のエピソード、百姓達プロレタリアートが支配階級の権力闘争を冷やかに突き放す。いつの時代も構造は決して変わらないとのことか。一筋縄では理解し辛い作品。三好十郎に俄然興味が湧いた。左から)伊達 暁、小泉将臣
撮影: 宮川舞子
右から)伊達 暁、陽月 華
撮影: 宮川舞子
多くの人々に愛され続けている日本の名作をお届けする「人を思うちから」。第一弾となる本作は、劇作家・三好十郎が、幕末から明治にかけての激動期を描いた超大作。物語の舞台は江戸末期。常陸の国の農民・仙太郎は、あまりの凶作に年貢の減免と取立て猶予を申し出た兄へのひどい仕打ちに絶望し国を後にし、江戸で剣の使い手となる。故郷へ向かう道すがら、ひょんなことから水戸天狗党の絡む一大騒動へと巻き込まれていく......。
これまでも新国立劇場で数多くの話題作を生み出してきた上村聡史が演出を担い、総勢80名余に上る登場人物を、6週間に及んだオーディションを経た16名の俳優が演じます。
演出の上村聡史さん、仙太役の伊達暁さんよりコメントが届きました。
演出:上村聡史さんコメント
念願の本作を演出でき、大変嬉しいのと同時にお客様が4時間近くを集中してご覧になられていて、勇気を頂きました。今の時期、劇場に足を運ぶことさえ大変なのに、三好十郎さんが32歳の時に書いたこの大作が、今のこの時代だからこそ、こんなにも響く力を持っているんだなと改めて実感しました。なかなか上演されることのない作品であることも含め、是非劇場に足をお運び頂けたらなによりです。
仙太郎役:伊達 暁さんコメント
フルオーディション企画第3弾の「斬られの仙太」、いよいよ初日を迎えました。キャスト決定したのが一年前。コロナ禍を経て、百姓仙太郎の世を憂う叫び声はより痛烈に響ます。緊急事態宣言下での気の抜けない稽古場でしたが、集ったメンバーは意欲的に三好十 郎の重厚な戯曲に挑み、きつく傾いた八百屋舞台で汗をかいてきました。さて、どうなるものか。千穐楽まで力を尽くして幕末の水戸を駆け抜けたいと思います。
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました