2021年7月上演決定を受け、新国立劇場『反応工程』2020年稽古場レポート蔵出し掲載!



 新国立劇場フルオーディション企画・第二弾『反応工程』、2020年4月の公演中止を乗り越え、全キャスト、全スタッフが再集結して2021年7月に上演!

 2021年の公演へ向けて演出・千葉哲也さんからのメッセージです。

 『反応工程』……そこにあるのは敗戦数日前の軍需工場という閉鎖された場所で、戦争に 巻き込まれた人々の生活です。市井の人々には如何ともし難く、先の見えない大きな出来事 に飲み込まれた時、人はどう変わり、行動を起こしていくのか。

 この作品を上演するはずだった時から1年を経ても、世界は依然として混沌の中にありま す。この事態に僕らはどう立ち向かい、どう考え、どう行動すべきなのか。

 あの時よりもいっそう強い思いで、この作品に向かいたいと思います。

千葉哲也




 ここで、幻の2020年3月の稽古場取材レポートを蔵出し掲載!!レポラストには先ごろ届いた幻の2020年版舞台稽古写真も!



 新国立劇場フルオーディション企画・第二弾『反応工程』稽古場をレポートいたします。(おけぴ注:2020年の稽古場風景、あの頃はまだマスク無しで稽古が行われていました)

 小川絵梨子演劇芸術監督の就任以来、「演劇システムの実験と開拓」として、シーズンに1本行われているフルオーディション企画。第二弾は劇作家・宮本研が終戦前夜の軍需工場で生きる人々を鮮やかに描いた『反応工程』です。演出は、俳優としても演出家としても新国立劇場の舞台に携わってきた千葉哲也さん。2018年10月末より12月中旬まで6週間に及ぶオーディションを経て決定した14 人の俳優たちとともに、骨太戯曲に挑みます。



 劇作家宮本研 自身の経験をもとに描かれた本作。

 舞台となるのは、太平洋戦争の敗色濃い1945年8月、九州中部にある軍需指定工場。
 そこでは動員学徒やベテラン工員たちが、ロケット砲の推進薬を作り出す“反応工程”の現場で汗を流している。そこへ届く召集令状。

 工員の中にも管理職、いわゆるプロパー工員もいれば徴用工、学徒、そして若い見習工まで様々、彼らはそれぞれの立場で戦争に巻き込まれていく。勝利を信じる者、戦争の本質を説く者、迫りくる“その日”にうすうす感づいている者……抗うのか突き進むのか、互いに影響を与え合いながらもそれぞれの考えのもと行動する。

 心がぐちゃぐちゃになるような終戦間際の出来事。


 この日は最終幕となる、戦後、動員学徒だった田宮が再び工場を訪れる場面のお稽古を取材いたしました。



見習工の矢部(八頭司悠友さん)と動員学徒の田宮(久保田響介さん)


そこには終戦間際の、あの重苦しい空気はない

 一気に進む民主化、組合の設立などこれまでと真逆とも言える価値観の世の中。以前からそうであったかのように振る舞う大人たち。それぞれの学校、故郷へ帰っていく動員学徒のエリートたちとは違い、元の工員たちは、ここで生きていくしかないという現実も。



会社の方針転換に従っていくしかない係長・牟田(高橋ひろしさん)と腕を組みじっとやり取りを聞くベテラン工員・荒尾(有福正志さん)


職長の猿渡(平尾仁さん)は相変わらずお調子者



田宮に戦争の真実を説いた太宰(内藤栄一さん)との再会

 悲しみや苦しみ、悔しさは心の奥底にしまって、「信じられる明日」、新しい世の中を生きる人々。はじけた演技を見せる若者たちへの千葉さんの助言が印象的でした。

「ここで描かれているのは傷を背負った人たちの戦後。
だから逆に言うと戦後のほうが一つひとつの言葉や動きにより力が入る。
じゃないと死んだ人たちが浮かばれない」(千葉さん)



千葉哲也さん(演出)と田宮の妹・節子役の田尻咲良さん


 戦前・戦後の日本人のメンタリティ、それを掴もうと必死に食らいつく若き俳優たち。千葉さんはいくつものヒントを与えながら彼らを導きます。そして、すべてを腹の中に落とし込んで存在するベテラン俳優の味わい。ひと言の重さ。 群像劇でもある『反応工程』のために集まり、選ばれた俳優たちが奏でる絶妙バランスはフルキャストオーディションならでは。



職人気質の責任工・荒尾(有福正志さん)


 信じていたものに裏切られ、大切な人を失った。だれの言葉の根底にも確実にある戦争体験、それを抱えながらも生きる人々の力強さ。
 1958年に初演された本作は、戦争責任を検証するとともに、戦後を生きる人々へのエールでもあったのではないでしょうか。

 また、取材時には出番がなかった神農直隆さんの監督教官の清原なども重要な役どころ、本番が楽しみです!最後に、最終幕のひとつ前、第三幕のラストシーンをちょい見せ!



荒尾の娘・正枝(天野はなさん)と田宮の恋も描かれます



キャリアも出自も異なる俳優たちが一丸となって挑む『反応工程』
自ら志願し、選ばれたからこそ作品とがっぷり四つに組む!
気概に満ちた稽古場です


【2021年追記】

 稽古場を取材し、開幕を楽しみにしていたのですが、みなさんご存じの通り昨年の公演は中止を余儀なくされました。しかし!2020年4月の公演中止を乗り越え、この夏、2021年7 月に上演が決定。大きな力に翻弄され、傷つき、それでも立ち上がる『反応工程』。

 フルオーディション企画としては、第三弾『斬られの仙太』とお目見えする順番が逆になりましたが、企画の狙い、強みが回を追うごとに色濃く表れているように感じます。来シーズンの『イロアセル』はまた毛色の違った作品になりますが、こうやっていい形でバトンが繋がれ、その価値が広く認知される。そうなるであろうと言える『反応工程』。芝居としての力が半端ないのです!!


 ここからは2020年版舞台稽古写真をお届け!


2020年4月舞台稽古風景 撮影:宮川舞子



2020年4月舞台稽古風景 撮影:宮川舞子



2020年4月舞台稽古風景 撮影:宮川舞子



2020年4月舞台稽古風景 撮影:宮川舞子



2020年4月舞台稽古風景 撮影:宮川舞子



【公演情報】
新国立劇場 演劇 フルオーディション企画 第二弾 『反応工程』
2021年7月12日(月)~25日(日)@新国立劇場 小劇場

<スタッフ>
作:宮本 研 演出:千葉哲也
芸術監督:小川絵梨子
主催:新国立劇場

<キャスト>
天野はな 有福正志 神農直隆 河原翔太 久保田響介 清水優 神保良介
高橋ひろし 田尻咲良 内藤栄一 奈良原大泰 平尾仁 八頭司悠友 若杉宏二

<ものがたり>
太平洋戦争の敗色濃い1945年8月、九州中部にある軍需指定工場。戦前は染料を製造するためだった工場も、今ではロケット砲の推進薬を作り出す"反応工程"の現場となっている。 田宮、林、影山らの動員学徒も配属され、日夜、古株の工員らと共に汗を流している。勝利を信じる田宮だったが、勤労課の職員である太宰に戦争の本質を説かれ、禁書となっている本を渡される。そんな中、影山に召集命令が下り......。

公演HPはこちらから

おけぴ取材班:chiaki(稽古場撮影・文)監修:おけぴ管理人

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