ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』鈴木拡樹さん&三浦宏規さん “Wヒロキ”取材会レポート



 この夏、ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(リトショ)がシアタークリエに帰ってくる! 昨年に引き続き、主演を務められる鈴木拡樹さんと三浦宏規さんの“Wヒロキ” の取材会が行われました。前回、途中で公演中止となってしまった悔しさ、こうして再びリトショを上演することへの意気込みなど、お二人の気持ちがギュギュっと詰まったひとときでした。



鈴木拡樹さん、三浦宏規さん

【止まっていた時計がまた動き出す】

──2020年の公演は、開幕が遅れ、また公演途中で中止となってしまいましたが、こうして、この夏の再演が決まりました。まずは再演が決まった時の心境からお聞かせください。

鈴木さん)
 幕を開けることができたことに安堵したものの、まだまだ届けるべきお客様がたくさん待っていてくださった中で公演を終えなくてはならなかった前回公演。それぞれが思い残しのある状態でしたので、こうして一年という短いスパンで再集結し、上演する機会をいただけたことをうれしく思います。止まっていた時計がまた動き出すような、カンパニー一同、あの日の続きからスタートしようという思いで稽古に取り組んでいます。

三浦さん)
 昨年、周りには1公演もできないカンパニーもある中で、リトショは計12回(それぞれ6回ずつ)、公演を行うことができました。その意味では恵まれていたと思います。東京公演が途中で中止になった時も、僕の中では、まだ地方公演はできるかもしれないという望みを持ち続けていました。結果的にそこで終わってしまい、そのまま自粛期間に入ったのですが、もっとやりたかったという強い思いから自粛中も考えることはリトショのことばかりでした。ですので、こうしてリトショへの熱が冷めやらぬ状態で再演できることをうれしく思います。

──前回公演の思い出・印象に残っていること、また、再演の稽古場はどのような雰囲気ですか。

鈴木さん)
 今は、歌稽古、そして歌に合わせた部分的なシーン稽古が始まったという段階。再演での変化は、この先、お芝居も含めた稽古が始まってから感じていくのではないかと楽しみにしています。前回公演で印象的だったことは、かなり早い段階で通し稽古に入ったこと──。

三浦さん)
 確かにそうでしたね(笑)。

鈴木さん)
 今回も早いのではないかと身構えています(笑)。その通し稽古では、演出の(上田)一豪さんが誰よりも率先してみんなのテンションを上げてくださっていたことが印象的です。一豪さんの「イエーイ!」というかけ声によって全体のテンションが上がったところに入っていくことで感じる楽しさにみなさんを巻き込んでいこうという感覚が、自分の中に自然に生まれます。今回も稽古場からそこを大切にし、みんなでどこまで上げていけるのか、楽しみにしています。

三浦さん)
 前回公演のことで思い出すのは、いつもみんなで笑い合っていた景色。とても楽しいカンパニーと記憶していました。それが……、今回稽古が始まって稽古場に行った時、その記憶を越えてくるくらいの明るさで(笑)。一年しか経っていないのですが、あれ、こんなにだったかな⁉というくらいです。また、今回から参加されている阿部(裕)さんもとても優しい方で、すでにカンパニーの一員として溶け込んでいらっしゃいます。この和気あいあいとした雰囲気が、作品をより良いものにしていくと感じています。


【ダブルキャストの面白さ】


──妃海風さんと井上小百合さん、二人のオードリーはどう映りましたか。

鈴木さん)
 この表現が合っているかわかりませんが、静と動のオードリーだと感じました。芝居の中で、風さんからは“動”、動きのあるアプローチ、小百合ちゃんからは儚さのような、静かなアプローチを受け取る。同じことをしているのに受け取るものが違うって面白いですよね。でも、よく考えると役を離れたお二人の人柄も同じように静と動なのかも。それがオードリーとしての個性にも繋がっている気がします。

三浦さん)
 シーモアにとってオードリーは、まさに“高嶺の花”の存在。妃海さんのオードリーからは太陽のような明るさを感じ、井上さんは静かな……拡樹さんと同じだ(笑)。なんて言うか、(うなじあたりを示し)この辺の魅力が。

鈴木さん)
 アクションで表現とは!これは図解が必要ですね(笑)。

一同) (笑い)

三浦さん)
 言葉にするのは難しいですね(笑)。とにかくそれぞれの魅力があるのですが、お二方とも確かにオードリーなんです。同じ役でも演じる人が変わると印象が変わる。きっと拡樹さんと僕のシーモアでも違いますよね。

鈴木さん)
 両方見てくださった方から、違いが面白いと言われることも多かったよね。

三浦さん)
 自分たちでは、その違いはわかりませんし、意図的にここを変えていますということはないのですが、自然に生まれる違いこそが二人の俳優が1つの役を演じる、ダブルキャストの面白さだと感じています。

──お二人のシーモア、互いにどんな印象ですか。

鈴木さん)
 本人の持つやわらかさがシーモアのやわらかさに繋がり、人を惹きつける。お客様が応援したくなる、愛されるシーモアだと分析しています(笑)。

三浦さん)
 拡樹さんのシーモアからは知的な部分を感じます。シーモアは決して賢いわけではないけれど、植物に対する知識は突出している。それが尋常でない!

鈴木さん)
 植物に関してだけは前のめりだからね(笑)。

三浦さん)
 一方で、それ以外のことに対する挙動があまりにも不思議(笑)。稽古場から、拡樹さんのシーモアを見るのは大変勉強にもなりましたし、純粋に楽しくもありました。


【デーモン閣下のオードリーⅡの威力】

──改めて、この作品の好きなナンバーやシーンは。

鈴木さん)
 基本、全部好きです(笑)。その上で、一番テンションが上がるのが(プロローグに続く)♪Skid Rowというナンバーです。この曲で、自分の中でギアがひとつ上がります。(三浦さんを見て)一曲挙げるとしたら、どう?

三浦さん)
 一曲ですか、めちゃくちゃ難しいですね。僕は二幕冒頭の電話のシーン♪Call Back in the Morningが好きです。 演出でとても細かい動きがついていて稽古で苦労したシーンでもあります。稽古中はとにかく動きに追われていましたが、本番を迎えるころにはそこから解き放たれ楽しくなっていきました。シーンとしても、一幕ラストの展開から休憩をはさんで、さあこれから二幕だ!というところなので自分の中でも楽しみながらやっています。

──デーモン閣下が声を担当されたオードリーⅡの印象は。

鈴木さん)
 音源が届いた時は、出演者であることを忘れて、ただただうれしかったですね! 声の出演ではありますが、デーモン閣下との共演が現実のものになったことに感動すら覚えました。実際に聞いてみると、これは“あてがき”、デーモン閣下がオリジナルキャストなのではと思うほどピッタリで、シーモアとして自然に芝居ができました。

三浦さん)
 声は録音なのですが、録音でもすごいんです。オードリーⅡがシーモアの欲望を掻き立てる♪Feed Meでは、閣下の歌声に乗せられてどんどん興奮していきました。あのシャウト、叶うものなら、一度、生で聴いてみたいなという“欲望”があります。

──Wヒロキ、お互いにどう呼び合っていますか。

鈴木さん)
 “ヒロキくん”と呼ぶのは、僕の中に気恥ずかしさがあって(笑)、三浦くんと呼んでいます。リトショの現場では、鈴木の“ス”、三浦の“ミ”を取ったスーモア、ミーモアと呼ばれています。これは前回ご出演された岸(祐二)さんが付けてくれた呼び名です。

三浦さん)
 僕は拡樹さんと呼んでいます。ひとつ付け加えるとリトショカンパニーの中でも例外的にカズ(石井一孝)さんだけはヒロキ(鈴木さん)、ヒロちゃん(三浦さん)と呼びます(笑)。


【シーモアの成長】



──お二人が演じるシーモアというキャラクターについて。実際に演じることによって発見はありましたか。

鈴木さん)
 僕自身、シーモアのように何かの後押しがあった方が行動しやすいタイプ。そう思うと、僕も悪魔(オードリーⅡ)にささやかれたらコロッといっちゃうのではないかと。

三浦さん)
 コロッと⁉……拡樹さんは仏なのに(笑)!
(鈴木さんは、その穏やかな人柄から“仏”と呼ばれているとのこと。前回公演に向けての取材会でも話題になりました。その時の記事はこちら

鈴木さん)
 そのくらい、あの悪魔のささやきはヤバいということです(笑)。

三浦さん)
 確かにオードリーⅡは、自分が手塩にかけて育てたかわいい子なので愛着もひとしお。もし自分が猫を飼っていたとして、その猫が急にしゃべり出したら言うことを聞いてしまいそう。そんな感覚でとらえると気持ちはわかりますね。あそこまでやるかと問われると……ですが。

──物語の中で、オードリーとの関係も含めシーモアは変化していきます。

鈴木さん)
 オードリーに対して憧れはあっても、それ以上に「自分なんて」という思いがあります。ただ淡い夢は持っているんですよね。「オードリーと一緒にデパートへ行きたいな」、そのレベルですが(笑)。そこにオリンというオードリーのボーイフレンドが登場し、シーモアのコンプレックスを刺激する。自分は彼のようにはなれないけれど、オードリーはああいうタイプが好きなんだ……。そこから勘違いしてオリンのファッションをまねて革ジャンを着たりして(笑)。そんなところは可愛いと思います。そして、オードリーⅡの出現によるシーモアの一連の変化は、もともと内在していたシーモアの欲望がオードリーⅡをきっかけに表出したのだと感じています。

三浦さん)
 シーモアはオードリーⅡによって成長していく、それは自我の目覚めとも言えるでしょう。それによってオードリーのシーモアを見る目も変わるのですが、今度はオードリーⅡが暴走していく。皮肉ですよね。やがてシーモアが行きつく先は……というところがリトショのみどころになってくると思います。その過程では、先ほど拡樹さんがおっしゃったようにオリンの存在が大きい。シーモアは狭い世界で生きてきた視野の狭い人間。オリンのことは嫌いだけど、オードリーが憧れている=オリンみたいな人がカッコイイんだと思ってしまう。嫌いと同時に憧れるというのが難しいところですが、そこも含めてシーモアの変化を彼の成長としてしっかりと表現したいと思います。


【楽しみに待っていてください】

──シアタークリエの真ん中に立った時の思いは。

鈴木さん)
 僕にとっては想像もしていなかったこと。ミュージカル作品への本格的な出演もはじめてでしたが、その挑戦を後押ししたもののひとつがシアタークリエとのご縁をいただけたということです。それでも実際に立つまでは、自分がシアタークリエの舞台に立つなんて信じられないくらい、それまでの自分とはかけ離れた世界。それも主演で。でも、それゆえに大きなやりがいも感じました。チャンスをいただけたことに感謝していますし、この経験に恥じない成長をしていきたいと思いました。

三浦さん)
 シアタークリエは、それまで何度も観劇で訪れていた劇場。その舞台に主演として立つことは、うれしさもありましたが、それ以上に最初は足がすくむような、信じられないという思いの方が強かったです。稽古では作品を作ることに必死で、それだけに集中していましたが、初日が開いてカーテンコールで自分が真ん中にいる現実を目の当たりにした時は不思議な感覚でした。うれしさと共に、ここからもっと頑張っていかなくてはという決意を新たにしました。

──最後にリトショを楽しみにされているみなさんへメッセージを。

鈴木さん)
 改めて、リトショをまたやれますという報告をしたいと思います。昨年の公演をご覧いただいたみなさんにも、事前にチケットを手にされていたけれど見ることが叶わなかったみなさんにも、このタイミングで興味を持ってくださったみなさんにも、再び作品をお届けする機会を持つことができたことをありがたく思っています。我々は、一致団結して楽しい作品を作ることに全力を尽くします!

三浦さん)
 こうして一年という短いスパンで再演が決まったのは、また見たいと思ってくださるお客様の応援があったからこそだと思います。再演に向け、しっかり稽古期間があるので、この素晴らしい作品をさらにブラッシュアップしてお届けできるでしょう。それを僕自身もうれしく、そして楽しみにしています。みなさんも楽しみに待っていてください。



 ハワード・アシュマンとアラン・メンケンの名コンビが生み出した、ちょっとブラックな物語に心躍るポップな音楽が詰まった刺激的カルト・ミュージカル! 『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』は8月26日よりシアタークリエにて上演。さらにパワーアップしたリトショに期待が高まる取材会でした♪



【公演情報】
ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』
2021年8月26日(木)~9月11(土)

<スタッフ>
脚本・歌詞:ハワード・アシュマン
音楽:アラン・メンケン
演出:上田一豪

<出演>
鈴木拡樹・三浦宏規(Wキャスト)
妃海 風・井上小百合(Wキャスト)
阿部 裕、石井一孝
まりゑ、清水彩花、塚本 直
榎本成志、高瀬雄史
デーモン閣下(声)

<あらすじ>
さびれた街の小さな花屋で働く冴えない青年シーモアは、店主のムシュニクに怒られてばかり。シーモアは同僚のオードリーに恋をしているが、彼女にはオリンという歯科医のボーイフレンドがいる。

ある日、シーモアは町で奇妙な植物を手に入れる。意中のオードリーにちなんで、“オードリーⅡ”と名付けたその植物を店に置くと、客の来なかった店がなんと突然、大繁盛!

しかし、“オードリーⅡ”には、人びとを魅了する不思議な力がある一方で、あるとんでもない秘密が隠されていた。
“オードリーⅡ”によってシーモアの人生は一変し、一躍有名人となるのだが――。

<公演HP>
https://www.tohostage.com/little-shop-of-horrors/

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おけぴ取材班:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人

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