公演写真提供:国立オデオン劇場 ©Jan Versweyveld
あらすじ
この戯曲は「追憶の劇」である。
舞台は不況時代のセントルイスの裏町。メインキャラクターはアマンダ、彼女の娘のローラ、息子のトムの 3 人。生活に疲れながらも昔の夢を追い、儚い幸せを夢見る母親アマンダは未だに自分のことを箱入りの南部婦人だと思っている。靴工場で働くトムは家族を養いながら夢である詩人を志し、隙を見つけては映画に通う。彼の姉ローラは病的なほどに自意識過剰である。彼女はアパートから一歩も出ずに、自身のコレクションである小さく繊細なガラス細工の動物たちを来る日も来る日も磨き続ける......。この家にはそれぞれに別の幸せな人生を夢見る 3 人の孤独な者たちが一緒に閉じ込められている。しかしそんな日々も、彼らの夢が叶うかに思えたある晩までのことだった。ごく普通の青年でトムの友人でもあるジム・オコナーを、アマンダは「婿候補」と勘違いし、彼がローラにプロポーズする姿まで夢想してしまう。当然のごとく、彼女の計画は新たな、あるいは最後の幻想となる......。
作:テネシー・ウィリアムズ (Tennessee WILLIAMS)
アメリカの劇作家(1911年-83年)。ミシシッピ州コロンバスに生まれ、不況時代のセントルイスで複雑な家庭環境のもと青春時代を過ごす。各地を放浪しながら創作をしていたが、39年に4つの一幕劇でシアター・ギルド賞を受賞。44年自伝的作品『ガラスの動物園』がブロードウェイで上演された第一作。この成功に続く47年の『欲望という名の電車』、55年の『やけたトタン屋根の上の猫』で2度のピュリッツァー賞を受賞し、劇作家としての地位を確固たるものにしたが、その名声の裏で、生涯背負い続けた孤独と葛藤から私生活は荒れていった。83年ニューヨークのホテルの一室にて事故死。享年71歳。演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ (Ivo van HOVE)
2001年よりインターナショナル・シアター・アムステルダムの芸術監督を務めている。自身の演出作品(『Germs』、『Rumours』)により、1981年に演出家としてのキャリアをスタートさせた。90年から00年の間、Het Zuidelijk Toneel 劇団の監督を務める。98年から04年には、オランダ・フェスティバルの監督を務め、国際的な演劇作品、音楽、歌劇、およびダンスを毎年上演した。また10年まで、アントワープの劇場芸術部門の芸術的指導者を務めた。