イギリス・ケルトに伝わるアーサー王伝説をもとに、アーサーをはじめとする騎士たちの物語をフランスの作曲家ドーヴ・アチア氏(『1789~バスティーユの恋人たち』『ロックオペラ モーツァルト』)による楽曲に乗せて描くミュージカル『キングアーサー』。2023年1月の上演を前に、プレイベントが行われました。
石に突き刺さった聖剣エクスカリバーを抜くことができた者が次の王となる──養父のもとで身分を知らずに育った、実はブリテン王国の偉大な王ユーサーと家臣の妻との間に生まれた息子であるアーサー(浦井健治)。運命のいたずらか、宿命か、期せずして王となったアーサーの成長と運命を描く物語。
ほかの登場人物たちも“キラキラorギラギラ”と濃い目!
アーサーの宿敵、最強の騎士でありながら、エクスカリバーを抜くことができず、王座を、さらには婚約者グィネヴィア(小南満佑子/宮澤佐江)までもアーサーに奪われ復讐に燃えるメレアガン(伊礼彼方/加藤和樹)。
アーサー王を支える面々、いわゆる“アーサーと円卓の騎士”と呼ばれる男たちは、アーサーの王妃と知らずにグィネヴィアを愛してしまう誠実で武芸に秀でた若き騎士ランスロット(太田基裕/平間壮一)、アーサーの甥で側近として忠誠を誓うガウェイン(小林亮太)、アーサーの異母兄で執事として仕えるケイ(東山光明)……。
大きな力でアーサーの運命に影響を与えるのは、アーサー誕生の秘密に深く関与した罪を償うべくアーサーを真の王に導く魔術師マーリン(石川禅)、一方で母親をユーサー王に奪われたアーサーの異父姉モルガン(安蘭けい)は魔術でアーサーへの復讐を企てる。
ドラマティックでロマンティック、人々が織りなす正義と愛の葛藤と戦いのなかで、自らの運命を切り拓いていくアーサー王の姿を描くミュージカル『キングアーサー』。
主要キャストご登壇のプレイベントでは歌唱披露&トークセッションが行われました。
【歌唱披露】
いずれもプレイベントスペシャルバージョンで披露されました。

♪奪われた光
「王座を、婚約者をこの手で奪い返せ!」 ここに戦いの火ぶたが切られた、メレアガンが復讐へ燃え上がる感情を歌い上げる♪奪われた光。メレアガン役の伊礼彼方さん、加藤和樹さんに加え、小南満佑子さん、宮澤佐江さん、東山光明さん、小林亮太さんがコーラスに。ともに熱量は高く燃え上がるような印象でありながら、一曲のなかでも伊礼さんは天を突くような、加藤さんは地を這うような、異なるアプローチの片鱗を感じました。稽古を経て、お二人のメレアガンがどう立ち上がるのか、そしてそれぞれが浦井さんのアーサーにどんな影響を与えるのか。アーサーとWメレアガン、まさに好敵手になると確信。
続いてはアーサーとグィネヴィアが奇跡の出会いを高らかに歌う♪魔法に導かれて。戦いと共に色濃く描かれる愛、浦井アーサーの柔らかい歌声とその思いに呼応するような二人のグィネヴィアの歌声、そこに……「二人運命に導かれ、魔法のように結ばれた」、最後はみなさんでの大合唱!

世界観!
【トークセッション】
はじめに、演出のオ・ルピナさんより日本語でご挨拶がありました。ルピナさんは『デスノート THE MUSICAL』韓国プロダクションに演出補として参加、ミュージカル『キングアーサー』韓国プロダクションの演出も手掛けられています。
はじめまして、ミュージカル『キングアーサー』の演出を務めますオ・ルピナです。ステキな作品に参加できてうれしく思います。またこのような機会を与えてくださったホリプロに感謝いたします。素敵なスタッフ素敵な俳優とご一緒できて光栄であり、またとても楽しみです。よろしくお願いします。
ここからはキャストのみなさんのコメントをご紹介。トークは事前に集められた質問をもとに行われました。
【浦井さんが語る楽曲の魅力】
(歌唱披露で)お聴きいただいたように、和樹と彼方のシャウトやどこまでも高い(音域)、またそれをこの時間(午前中)に出すという(笑)。今日、改めて役者としてやりがいを感じる楽曲ぞろいだと感じました。体力をつけて、このメンバーだからこそ出せる音を紡いでいけたらと思います。
【安蘭さんが楽しみにされていること】
強い女性を演じることは多いですが、今回のように“悪”の要素が入った役は宝塚をやめてから初めてかな。そこが楽しみです。また、初めてご一緒するオ・ルピナさんがどんな演出をされるのかも楽しみにしています。
【伊礼さんが対戦(⁉)を楽しみにされているのは】
(浦井さんの合いの手付)それはどなたもなにも浦井健治でしょ。
(浦:なんでですか!)作品ではいつも負かされているけど、プライベートでは負けませんからね。
(浦:プライベートで戦うことはない!)。プライベートを楽しみにしていてください。
(浦:プライベートを楽しみにって⁉)こうやってまた舞台上で浦井健治くんとご一緒でき、戦うシーンもあるということで
(浦:バチバチですね)重たい鎧、革の衣裳を着て、汗だくになると思うので、まずは怪我をしないで、最後まで務めたいです。でも、一公演くらい勝たせてもらえないか、ルピナさんにお願いしようかと(笑)。
~いつしか三つ巴に⁉~
浦井さん:(メレアガンが)エクスカリバーを抜くことはできないから。
伊礼さん:一回くらい抜いてもいいかなと(笑)。あと、個人的にはThe Musical『AIDA』でご一緒した瞳子さん(安蘭さん)、彼女と愛し合った日々がありますから……
安蘭さん:かれこれ干支ひと回りくらい前になるね。
伊礼さん:12、13年前ですかね? 今回、こうしてまた舞台上で……
安蘭さん:戦いはないけどね。そうだ、私がエクスカリバーを抜こうかな。
浦井さん:誰よりも似合いそう!
伊礼さん:ついて行きます(笑)。
【加藤さんが語るフレンチロックの印象】
僕はミュージカル『1789』でフレンチロックの世界を経験しました。今回、改めて聴くととてもエモーショナルなメロディラインが印象的です。また、今日は歌だけでしたが、アンサンブルキャストが踊れる方ばかりなので音だけでなく、視覚的にも派手になるでしょう。そのなかでときに切なく悲しくなるような場面も。それらをすべて表現できる楽曲です。歌うのは本当に難しいですが、そこはみんなで頑張ります。
【東山さんが目指す“兄”像】
僕は実生活では三兄弟の末っ子ですが、今回はアーサーの兄の役。“兄”のイメージは、責任感が強く、あ、実際の兄はオラオラ系なんですけど(笑)。そっちではなく自由奔放に飄々と、誰からも愛されるような憎めないキャラを作れたらと思っています。どこかに末っ子感も出ちゃうかもしれませんが(笑)。
【太田さんが殺陣で気を付けるのは】
怪我をしない、させない!それが第一です。ただ、先ほどの伊礼さんのお話を聞いて、本当に伊礼さんが浦井さんを倒してしまわないかも監視しながら稽古に挑みたいと思います。
伊礼さん:違うところにまで気を配ってもらって(笑)。
【平間さんが楽しみにされていること】
この作品を見たときに感じたことは、みんなが、歌うことも含めて全身を使って表現しているなということ。ミュージカルとはまた違う、まるでサーカスを見ているような楽しみ方ができるなって。全力で汗かいて、身体を目いっぱい使って表現するのが今から楽しみです。僕自身、そこに期待しています。
【小南さんが感じる衣裳の魅力】
今回の衣裳は、役として“舞台上にリアルに存在すること”をポイントに作られています。グィネヴィアのドレスはローシルクという素材でできています。とても繊細で美しいです。舞台上で照明が当たると、より美しいラインが見えると衣裳の前田文子さんも仰っています。そこにもぜひ注目してください。
【小林さんは刀から剣に⁉】
別作品で鬼を狩るために日本の刀を振っているのですが(笑)、今回は初めて西洋剣術に挑みます。浦井さんと剣を交えることもあるので稽古で怪我をさせないように、しないように丁寧に作っていきたいです。
(浦:なるべく呼吸は使わないようにお願いしたいです(笑))調べると、その重さや両方斬れる(両刃)という特徴があり、基本的には両手で持って斬るというところも大事になってきます。そういったところで嘘をつかずに、リアリティをもって務めたいと思います。
【宮澤さんが克服したものは】
(劇中に登場するアーサーを王たらしめた聖剣エクスカリバー、ともに難局を乗り越えるこのアイテムにちなんで、絶対無理だと思っていたけれど克服できたものを伺いました)パクチーです。ずっと苦手だったのですが、あらゆる料理にパクチーが入っているお店に行ったことをきっかけに、今は一番好きな野菜になりました!
【石川さんは〇〇キング⁉】
(タイトルにちなんで、これは誰にも負けないと思うことについて伺いました)「今いるメンバーの中で、ぬか漬け漬けたことある人?」との問いにまさかの挙手(小南さん、小林さん)「いるの!!」
ここでルピナさんにぬか漬けを紹介(親切!)。韓国にキムチがあるように、日本にはぬか漬けがあります。乳酸菌と酵母の作用ですごく体にいい。コロナ禍で、ぬか漬けを始めました。ぬか床を毎日かき混ぜなくてはいけないのですが、ぬか床かき混ぜキングです。
それぞれのお気に入りはカブ(石川さん)、キュウリ(小南さん)、アボカド(小林さん)とのこと。
下手と上手、若干温度差が(笑)
【集合扮装ビジュアル初披露、あれこれ】
浦井さん:圧巻ですね。前田文子さんの衣裳は袖を通したときに物語を感じるんです。その人物の歴史を。
伊礼さん:展覧会とかやった方がいいと思います。みなさんにも見て、触って、着てもらいたいくらい!でも、着るのも大変で衣裳さん二人がかりで着させてもらうことになりそうですが(笑)。
安蘭さん:(ご自身の衣裳について)役どころのままに「黒い」なと。まるで衣裳が演じてくれような前田さんの衣裳、ステキです。
ここで伊礼さんからもの言いが!
伊礼さん:ランスロットが美化され過ぎてない? なんかそれがイヤなんだよな(笑)。真っ白な王子様風で……、衣裳からそんないい人漂わせなくてもいいんじゃない?
浦井さん:いい人かどうかは、かなり裏切られるから……
伊礼さん:そうか。
太田さん:そこからのギャップ的な……黒い部分も出していきたいです(笑)。
ここで改めてルピナさんより。
フレンチミュージカルは華やかなショーシーンも大きな特徴ですが、ショーの部分だけをアピールするのではなく、各キャラクターの感情、成長と苦しみを細やかに表現したいと思っています。そこも見ていただけると嬉しいです。
浦井さん:この作品はダンスありアクロバットあり殺陣あり、そしてフレンチロックということでかなりギラギラキラキラしたド派手な作品になると思います。でも、演出家の話にもあったように、群像劇のようにそれぞれの正義や真の愛の形など繊細な感情を紡いでいくお芝居も大切に作りたい。
本当に体力勝負になるでしょう、怪我無く、誰一人かけることなく千穐楽まで駆け抜けていきたいと思っています。この作品、禅さんを筆頭に、イケメンぞろい。安蘭さんも! 皆様に楽しんでいただける作品になると思います。
トークセッション冒頭の株式会社ホリプロ 菅井敦代表取締役社長のご挨拶によると、韓国版を成功させたルピナさんに、今回新たにオリジナルのフランス版をもとにした日本版演出をお願いしたとのこと。新たな『キングアーサー』の誕生を予感させます。また、2023年1月の公演のみならず、今後、レパートリー作品にしていきたいとのこと。その暁にはこう呼ばれるかもしれない──“伝説の初演”をお見逃しなく!!
こちらが公開された集合扮装ビジュアル!
【歌唱披露ダイジェスト映像】
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人